(株)GSユアサ 2011年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2011年
3月期
2010年
3月期
増減率
(%)
要因
全体
売上高 27,2514 247,224 10.2 1)
営業利益 17,589 11,521 52.7 2)
経常利益 17,513 10,171 72.2 -
当期純利益 11,722 6,487 80.7 -
国内自動車電池
売上高 60,305 58,307 3.4 3)
営業利益 4,837 1,753 175.9


要因

1)
-アジアを中心とした海外で好調に推移。国内においても新車用自動車電池及びフォークリフト用電池の需要の回復、車載用リチウムイオン電池の本格的な立ち上がりにより、2,725億14百万円と前年度に比べて252億89百万円の増加(10.2%)となった。

2)
-営業利益は、国内の新車用自動車電池及びフォークリフト用電池の需要が回復したことや、アジアを中心とした海外事業が堅調に伸びたことにより、前年比52.7%増の175億 89百万円となった。

3)
国内自動車電池
-国内自動車電池部門の売上高は、エコカー補助金による需要増に加え、補修用電池も記録的な猛暑や冬場の需要期の盛り上がりなどが追い風となり堅調に推移した。

国内産業電池及び電源装置
-売上高は、フォークリフト用電池が需要の回復に伴い販売数量が増加し、加えて太陽光発電設備の需要拡大もあり、681億97百万円と前年度に比べて68 億80百万円の増加(11.2%)となった。

海外
-売上高は、中国、東南アジアを中心に自動車電池の販売数量が増加したことや鉛価格の上昇を販売価格に転嫁したことにより、前年比12.5%増の1,197億76百万円。

その他
-売上高は、車載用リチウムイオン電池の販売数量の増加や道路照明分野を中心とする官需が堅調に推移したこと等により242億33百万円と前連結会計年度に比べて30億96百万円の増加(14.7%)となった。営業損益は、消去又は全社費用に加え、車載用リチウムイオン電池の生産能力拡大に向けての設備投資による減価償却費の増加や研究開発費の負担もあり、42億78百万円の営業損失(前年度は40億26百万円の営業損失)となった。

 


 

2012年3月期 業績見通し

セグメント別業績予想

( 単位:百万円 )
  2012年3月期
予想
2011年3月期
実績
増減率
(%)
国内自動車電池 売上高 54,000 58,887 (8.3)
営業利益 4,500 4,837 (7.0)
国内産業用電池および電源装置 売上高 70,000 65,944 6.2
営業利益 8,500 8,436 0.8
海外 売上高 124,000 118,197 4.9
営業利益 8,500 8,593 (1.1)
リチウムイオン 売上高 25,000 - -
営業利益 (2,000) - -
その他 売上高 17,000 29,485 (42.3)
営業利益 (1,500) (4,278) -
合計 売上高 290,000 272,514 6.4
営業利益 18,000 17,589 2.3

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
合計 5,854 4,442 5,395
国内自動車電池 762 - -
国内産業電池および電源装置 2,188 - -
海外 781 - -
その他 2,122 - -

 

研究開発体制(電池及び電源)

-国内自動車電池の研究開発は、㈱GSユアサの研究開発センター、㈱GSユアサの技術開発本部が実施している。
-国内産業電池及び電源装置の研究開発は、㈱GSユアサの研究開発センター、㈱GSユアサの技術開発本部、産業電池電源事業部電源システム生産本部開発部等がそれぞれ実施。
-海外の研究開発は、㈱GSユアサの研究開発センター、統一工業股份有限公司の研究グループ、Yuasa Battery, Inc.の開発グループ、Yuasa (Tianjin) Technology Ltd.の技術開発部等がそれぞれ実施。
-その他の研究開発は、㈱GSユアサの研究開発センター、㈱GSユアサのリチウムイオン電池事業部開発本部、㈱ジーエス・ユアサ テクノロジーの特殊・リチウム電池本部大型リチウムイオン技術部、㈱リチウムエナジージャパン研究開発部、㈱ブルーエナジー研究開発部、㈱GSユアサのライティング事業部技術開発部、産業電池電源事業特機本部技術開発部、㈱ユアサメンブレンシステム等がそれぞれ実施している。

研究開発活動(国内自動車電池事業)

-自動車用鉛蓄電池に関する研究開発を実施している。この分野では、普及が進んでいる「アイドリングストップ車」などの低燃費車両に必要な自動車用バッテリー技術として、充電受入性の向上や耐久性の向上などの開発を進めている。

-その他の事業としてリチウムイオン電池基礎研究、車載用リチウムイオン電池、産業用リチウムイオン電池、航空機用リチウムイオン電池、宇宙用リチウムイオン電池、施設照明、紫外線応用機器、環境関連機器に関する研究開発を実施している。リチウムイオン電池基礎研究の分野では、中大型電池の信頼性、安全性の向上を目的として様々な研究を実施。

-車載用リチウムイオン電池の分野では、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池を増産するとともに、品種展開と増産対応に向けてさらなる改良と信頼性、安全性向上を行っていくとしている。京都工場での増産に合わせて、生産速度の向上に対応した製造方法の最適化開発を実施し、予定通りの能力の生産稼動を可能とした。ハイブリッド車(HEV)用リチウムイオン電池の開発も継続しており、世界最高水準の出力性能と長寿命を両立した「EHシリーズ」の改良に取り組んでいる。本田技研工業㈱と連携して搭載検討も順調に進んでいる。

-GSユアサと三菱商事、三菱自動車、リチウムエナジージャパンの4社は、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池2次利用事業開発のための実証試験を京都 市内で26日から開始すると発表した。太陽電池で得られた電力を三菱自動車のEV「i―MiEV」(アイ・ミーブ)で使用済みとなったリチウムイオン電池 に貯蔵し、急速充電器でEVに充電する日本初の試み。1年をかけてリチウムイオン電池のリユース品活用によるエネルギーコストの低減と電池資源の有効利用 を通じた環境負荷低減の効果を調べる。(2011年1月26日付日刊自動車新聞より)

製品開発

リチウムイオン電池用正極材料
-安全性が高く出力特性に優れるリチウムイオン電池用正極材料「リン酸バナジウムリチウム」を開発したと発表した。ハイブリッド車(HV)やアイドリングス トップを含むマイクロHV向けに、今後はリン酸バナジウムリチウムを正極材料に用いたリチウムイオン電池の開発を進める。この正極材料を用いたリチウムイ オン電池で、リン酸鉄リチウムと同等の安全性を確保しつつ、それを20%上回る出力特性を得ることに成功した。 (2010年9月10日付日刊自動車新聞より)

電気自動車(EV)用急速充電器
-電気自動車(EV)用急速充電器「EVC―50KA」を発表した。7月1日に発売する。行政機関や商業施設などへの提案活動を積極化し、初年度は200台 の販売を目指す。新製品は、チャデモ協議会(CHAdeMO)によるチャデモプロトコルを採用し、高い安全性を確保。大型液晶カラーパネルと音声ガイダン スにより充電操作性を高めた。50キロワット出力タイプの場合、三菱自動車の「i-MiEV(アイ・ミーブ)」換算で、30分間で約120キロメートル走 行分を充電できる。10キロワットの電源ユニット構成のため、10キロワット-50キロワットの容量選択が可能。アイ・ミーブや富士重工業の「プラグイン ステラ」のほか、今後発売予定のEVにも対応する。 (2010年6月28日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資費

( 単位:百万円 )
  2010年3月期 2009年3月期 2009年3月期
合計 20,005 16,911 10,775
電池及び電源部門 - 3,271 4,942
国内(自動車電池) 521 521 -
国内(産業電池及び電源装置) 837 896 -
海外 3,689 1,854 -
その他 14,956 - -

 

国内投資

-連結子会社のリチウムエナジージャパン(京都市南区、LEJ)が建設を予定している栗東工場(滋賀県栗東市)の隣接用地取得に向けた取り組みを開始すると 発表した。リチウムイオン電池事業の工場を建設する予定。LEJは栗東工場を2012年度初頭より稼働し、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池を年間 440万セル(三菱自動車のEV「i-MiEV」5万台分)を生産する。 (2010年9月29日付日刊自動車新聞より)

-リチウムエナジージャパン(LEJ、京都市南区)は、三菱自動車のEV 「i―MiEV(アイ・ミーブ)」用に生産しているリチウムイオン電池の生産能力を、2012年度まで段階的に現在の30倍以上の規模へと拡大すると発表 した。現在の生産能力は年間2300台分だが、6月には同6800台分、12月には同1万7800台分へと増やす。さらに、12年度初めには一気に同5万 台分を追加する。このため、新工場建設などに合わせて484億円を投資する。長期的には年産10万台分まで能力を拡充することも視野に入れている。LEJ は07年にジーエス・ユアサコーポレーションと三菱商事、三菱自の共同出資会社として設立した。出資比率はGSユアサが51%、三菱商事が34%、三菱自 が15%となっている。(2010年4月15日付日刊自動車新聞より)


海外投資

-インドネシアの自動車用鉛蓄電池の関連会社「ピーティー・トリミトラ・バテライ・プラカサ」(TBP)を持分法適用会社にすると発表した。TBPが10月 に発行を予定する1880万株の全数を約464億ルピア(約4億3千万円)で引き受ける。GSユアサグループは、インドネシアの50%出資子会社「ピー ティー・ユアサ バッテリー インドネシア」の保有株と合わせて合計出資比率を50%に引き上げ、TBPとの資本関係を強化する。アジアでの事業拡大戦略の一環で、2013年度には TBPの年間販売で610万個を目指す。TBPはインドネシア内だけでなく、GSユアサの欧州やベトナム、マレーシア、オーストラリアなどの拠点に四輪用 鉛蓄電池を供給し、品ぞろえの充実や価格競争力から輸出販売を伸ばしている。今回の持分法適用会社化でGSユアサはTBPを輸出戦略拠点として強化し、年 間販売で13年度は09年度比1.6倍の610万個を目指す。(2010年10月9日付日刊自動車新聞より)

設備の新設(抜粋)

(単位:百万円)
事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
着手 完成
予定
必要性
(株)GSユアサ
(京都市南区)
自動車用蓄電池等の製造設備 873 2011年3月 2012年3月期及び2012年4月以降 コスト低減
電源装置・産業用鉛蓄電池等の製造設備 956 2011年3月 2012年3月期及び2012年4月以降 コスト低減
研究開発設備、その他製造設備、関係会社賃貸設備等 4,841 2011年3月 2012年3月期及び2012年4月以降 研究開発設備の拡充、コスト低減、製造設備の新設等
大型リチオウムイオン電池等の製造設備 1,038 2011年3月 2012年3月期及び2012年4月以降 生産能力の拡充
(株)リチウムエナジー ジャパン
(京都市南区)
大型リチオウムイオン電池等の製造設備 23,053 2010年11月 2012年3月期及び2012年4月以降 製造設備の新設、生産能力の拡充
(株)ブルーエナジー
(京都市南区)
自動車用リチオウムイオン電池等の製造設備 13,068 2011年1月 2012年3月期及び2012年4月以降 製造設備の新設
統一工業股份有限公司
Ztong Yee Industrial Co., Ltd.
(台湾 台南県永康市)
鉛蓄電池等の製造設備 620 2010年12月 2012年3月期及び2012年4月以降 生産能力の拡充
Yuasa Battery, Inc.
(米国 ペンシルバニア州)
鉛蓄電池等の製造設備 405 2010年12月 2012年3月期及び2012年4月以降 生産能力の拡充
Century Yuasa Batteries Pty Ltd.
(オーストラリア クイーンズランド州)
鉛蓄電池等の製造設備 457 2010年12月 2012年3月期及び2012年4月以降 生産能力の拡充
湯浅蓄電池(順徳)有限公司
(Yuasa Battery (Shunde) Co., Ltd.)
(中国 広東省)
鉛蓄電池等の製造設備 623 2010年12月 2012年3月期及び2012年4月以降 生産能力の拡充
天津杰士電池有限公司
Tianjin GS Battery Co., Ltd.
(中国 天津市)
鉛蓄電池等の製造設備 1,041 2010年12月 2012年3月期及び2012年4月以降 生産能力の拡充