Inergy Automotive Systems 2011年12月期までの動向

ハイライト

事業概況

-2011年、燃料システムを14.1百万個を納入。売上高は1,500百万ユーロ(2010年は1,200百万ユーロ)。世界で生産される小型車の5台のうち1台に同社の燃料システムが使われている。

-2010年、樹脂燃料システムを119万個を納入、売上高は1,200百万ユーロ(2009年は900百万ユーロ)。世界で生産される小型車の6台のうち1台に同社の燃料システムが使われている。

-2010年より、Plastic Omnium の完全子会社となった。

企業買収

-2011年、米国ミシガン州Milanを拠点とするFord傘下のAutomotive Components Holdings LLC (ACH)より、樹脂製燃料システム・燃料タンク製造事業を買収すると発表。同拠点は年間1.3百万個の燃料システムを生産。2011年6月1日付けで、買収手続きが完了する見込み。Inergy Automotive Systemsは、北米に3工場(ミシガン州Adrian、サウスカロライナ州Anderson、メキシコRamos)を保有しており、GM、現代、日産、Chryslerを主要納入先としている。今回の買収により、同社は北米生産拠点を強化する。なお、ACHのミシガン州Milan工場における生産は、同州に建設される新工場へ2013年に移管となる予定。同社は、2012年に燃料システム15百万個超の生産を見込んでいる。(2011年5月19日付プレスリリースより)

合弁会社

-2011年、同社はロシアの自動車部品メーカーDetalstroykonstruktsiyaと、ロシアに合弁会社を設立することで合意したと発表。Inergyが51%出資する新会社は、樹脂製燃料システムを生産し、ロシア市場に供給する。また、InergyのStavrovo工場、DetalstroykonstruktsiyaのTogliatti工場を使用する計画。燃料システムの供給先は、AvtoVAZ(Togliatti)、Ford(Saint Petersburg)、Avtoframos(Moscow)のほか、将来的にはロシアで生産予定の日産・Renaultモデルにも供給する予定。(2011年10月18日付プレスリリースより)

-2011年、北京汽車工業(BAIC)子会社の北京海納川汽車部件(BHAP)と、中国に合弁会社を設立すると発表した。BHAPが40%、Plastic Omnium Auto Inergyが60%を出資する。新会社は、現代自動車向け燃料システムを生産しているPlastic Omnium Auto Inergyの北京工場を使用する予定。(2011年7月11日付プレスリリースより)

受注

-2011年、Audiに選択的触媒還元システム(SCR)を36,000ユニット供給。GM、Chryslerからも同製品を受注。

リストラクチャリング

-2010年12月31日時点で、Inergy Automotive Systems Canada Inc のBlenheim工場を売却中。

開発動向

研究開発費

-研究開発費は売上の約1%。

研究開発体制

-世界の主要地域にR&Dセンターを5カ所、技術拠点を6カ所保有。

製品開発

炭化水素、NOx、CO2排出の抑制
-TSBM(Twin Sheet Blow Molding)や、SCRで炭化水素、NOx、CO2等の削減を推進。
  • TSBM:燃料タンクを製造したあとに部品を溶接するのではなく、ブロー成形時に燃料タンク内に多くの部品を組み込むことで炭化水素の排出を抑制する技術。
  • DINOx Premium:第二世代のSCRシステムはディーゼルエンジン車のNOx排出を95%、CO2排出を最大8%削減することが可能。サイズの最適化や性能強化により、2014年に欧州で発効予定のEURO VIを含む排出・燃費基準に対応できる。
キャップレス燃料補給システム
-車両は耐用期間中に平均で50リッター分のガソリン蒸気を燃料補給中に大気中に放出している。同社は、キャップレス燃料補給システムを開発し、北米で 「INERFILL」、欧州で「CLINFILL」の名称で市場化。世界のあらゆるガソリンエンジン車にこのシステムを導入することによって、大気汚染を減らすとともに少なくとも年間で600百万リッターのガソリンの節約が可能と考えられる。

設備投資

海外投資

<ブラジル>
-2011年、サンパウロ近郊のSorocaba工場を開設。トヨタ向けに燃料システムを製造。

<モロッコ>
-2011年、Tangiers工場を開設。Renault-Daciaのモロッコ新工場向けの燃料システムを製造。

<中国>
-2010年、北京(Plastic Omnium Auto Inergy)に新工場を設立。

-2005年1月、中国政府のState Development Investment Corporation (SDIC、国家開発投資公司)と、同社がYangzhou Yapp Automotive Plastic Parts Company Limitedの過半数株式を取得することに関する覚書に調印した。手続きにはいくつかの条件があり、2005年に完了予定。政府からの認可待ち。Yappは、2004年度売上高約50百万ユーロ、揚州市、上海市、唐山市に生産拠点を保有する、中国の大手プラスチック製燃料システムメーカー。SDICはYappの過半数株式を保有している。

<インド>
-2010年1月に、Maruti Suzukiと提携を結び、共同で(Inergyがマジョリティ株式を保有)「Swift」用燃料タンクを製造する工場を設立中。2011年から稼動予定。

-2008年、インドのMadrasとBangaloreの中間地点に工場を建設。2010年後半よりトヨタの新型低コスト車向けに燃料タンクの生産を開始。

<ロシア>
-ロシアのStavrovoに工場を建設。2009年初めに生産を立上げ、Renault 「Logan」向け燃料システムを供給する。

<米国>
-2004年9月、Anderson工場の拡張を発表。BMWの2007年モデルに製品を供給する予定。Anderson工場では、現行のBMW 「X5」の燃料タンクおよび、その他外装部品を製造している。

-2003年4月、需要対応のため、Anderson工場の生産能力を20%増強すると発表。