(株) ブリヂストン 2013年12月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2013年12月期 | 2012年12月期 | 増減率 (%) | 要因 | |
売上高 | 3,568,091 | 3,039,738 | 17.4 | - |
営業利益 | 438,131 | 285,995 | 53.2 | - |
経常利益 | 434,793 | 285,043 | 52.5 | - |
当期純利益 | 202,053 | 171,605 | 17.7 | - |
タイヤ部門 | ||||
売上高 | 3,033,660 | 2,554,126 | 18.8 | 1) |
営業利益 | 399,496 | 260,488 | 53.4 | - |
要因
1) タイヤ部門
<日本>
-乗用車および小型トラック用タイヤの販売本数は、市販用が増加した影響により前年を上回り堅調に推移した。トラック・バス用タイヤの販売本数も、前年を上回り順調に推移。
<北米>
-北米タイヤ事業の販売本数は、乗用車および小型トラック用タイヤ、トラック・バス用タイヤともに前年を上回り好調に推移。
<欧州>
-乗用車および小型トラック用タイヤの販売本数は、前年を下回る。トラック・バス用タイヤの販売本数は、前年を上回り好調に推移した。
<アジア・太平洋地域>
-乗用車および小型トラック用タイヤの販売本数は、市販用が増加した影響により前年を上回り順調に推移。トラック・バス用タイヤの販売本数は前年を上回り好調に推移。
<中国>
-乗用車および小型トラック用タイヤ、トラック・バス用の販売本数は前年を著しく上回った。
受注
製品名 | 搭載モデル |
Dueler H/T 687 | トヨタ 「Harrier」 |
ECOPIA EP150 | Chevrolet 「Spark」 |
ECOPIA EP150 | マツダ 「Axela」 |
ECOPIA EP150 | ダイハツ 「Tanto」、「Tanto Custom」 |
ECOPIA EP25 | トヨタ 「Corolla Axio」、「Corolla Fielder」のハイブリッドモデル |
ECOPIA EP25 | トヨタ 「Corolla」のハイブリッドモデル |
FirestoneブランドのDestination LE2およびDestination A/T | Chrysler 「Jeep Cherokee」 |
ECOPIA EP150 | 日産「DAYZ/DAYZ Highway STAR」、 三菱「eK wagon/eK custom」 |
TURANZA T001/ER33 | トヨタ 「Lexus IS」 |
ECOPIA EP150 | スズキ 「Spacia」 |
RE050A RFT | GM 「Cadillac ATS」 |
事業再編
スチールコードを製造する黒磯工場を閉鎖へ-グローバルでの最適生産に向けて、タイヤのスチールコードなどを製造する黒磯工場 (栃木県那須塩原市) を2014年9月末に閉鎖すると発表した。スチールコード生産の競争が激化している中で、国内2拠点体制を維持するのが困難になったことから、余剰となっている国内の生産能力を削減、経営効率化を図る。同社では、タイヤの補強材に使用されるスチールコードを日本国内では黒磯工場と佐賀工場 (佐賀県三養基郡) の2拠点で生産している。黒磯工場の生産能力はスチールコードが年間約4万7,000トン、ホースワイヤーが年間約6,200トン、ビートワイヤーが年間約2万9,000トン。(2013年10月18日付日刊自動車新聞より)
<イタリア>
-乗用車用ラジアルタイヤを製造するイタリアのバリ工場を2014年上期中に操業を停止して閉鎖すると発表した。欧州経済の悪化からタイヤの需要が低迷しているため。生産能力は日産2万1,000本。バリ工場では、生産設備が古いため、市場拡大が見込まれる超高性能タイヤや冬用タイヤなどの戦略商品への生産シフトは困難で、物流費、光熱費などのコストが他工場と比較して高水準。将来的にも収益確保が困難なため、閉鎖することを決めた。バリ工場には約950人の従業員が就業している。同社では、従業員とその家族、地域社会に対する影響が最小限にとどまるよう、協議していくとしている。(2013年3月6日付日刊自動車新聞より)
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2013年12月期 | 2012年12月期 | 2011年12月期 | |
グループ全体 | 89,000 | 82,800 | 83,900 |
タイヤ部門 | 75,100 | 66,700 | 66,200 |
製品開発
非空気入りのタイヤ環境技術「エアフリーコンセプト」の第2世代モデル-非空気入りのタイヤ環境技術「エアフリーコンセプト」の第2世代モデルを発表した。エアフリーコンセプトは、タイヤ側面に張り巡らせた特殊形状スポークが荷重を支えることで、空気の充てんが不要なタイヤ。最初のモデルは、耐久性などの問題から電動カート程度が限界だった。今回開発した第2世代では、耐荷重性と走行性向上による機能性の強化と二酸化炭素 (CO2) 排出量削減に向けた低転がり抵抗性能を追求した。これにより耐荷重性と走行性能を向上、超小型モビリティーで最高時速60キロメートルでの高速走行が可能となった。同社では今後、耐久性やリサイクル性能を実証し、数年以内に実用化する計画。(2013年11月25日付日刊自動車新聞より)
リトレッドを2回可能なトラック・バス用オールシーズンタイヤ
-リトレッドを2回可能なトラック・バス用オールシーズンタイヤ「M800」を開発し9月1日に発売すると発表した。リトレッド2回可能を明言したタイヤの市場投入は同社として初めて。タイヤの内側に張り付けることで空気を通しにくくする性能を持つインナーライナーに、空気が透過する経路をブロックする新技術の開発によって実現した。リトレッドは、一定距離を走行してタイヤの溝が磨耗した使用済みタイヤの路面との接地部分であるトレッドゴムを貼り替えて再利用するもの。リトレッドタイヤは、トレッドゴム1回の貼り替えが一般的だが、同社はサイズ限定ながら今回初めて2回の貼り替えを実現した。(2013年7月13日付日刊自動車新聞より)
カラータイヤ
-タイヤサイド部に、特殊インクをプリントしたカラータイヤを世界で初めて発売する。商品は「ECOPIA EP001S COLORSIDE」(グリーン)、「ECOPIA EV-01 COLORSIDE」(ブルー)で、7月1日から順次発売していく。同社が2012年に発表したカラー印刷技術は、耐久性のある特殊なインクや変色防止に優れたゴムなどをインクメーカーと共同開発した新技術。従来のカラータイヤとは異なり、色付きゴムを使用するのではなく、インクプリントすることで、耐久性とドレスアップの両立を実現した。 (2013年6月14日付日刊自動車新聞より)
研究開発拠点数
北米 | 中南米 | 欧州 | 中近東/ アフリカ |
アジア 大洋州 |
日本 | 合計 | |
技術センター | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 2 | 5 |
プルービング グラウンド |
2 | 2 | 1 | 0 | 3 | 2 | 10 |
国内研究開発施設
名称 | 所在地 |
技術センター | 東京都小平市 |
化工品技術センター | 神奈川県横浜市 |
ブリヂストンプルービンググラウンド | 栃木県那須塩原市 |
北海道プルービンググラウンド | 北海道士別市 |
海外研究開発拠点
国名 | 所在地 |
技術センター | |
アメリカ | オハイオ州Akron |
イタリア | ローマ |
中国 | 無錫 (Wuxi) |
プルービンググラウンド | |
アメリカ | テキサス州Fort Stockton オハイオ州Columbiana |
メキシコ | Acuna |
ブラジル | San Pedro |
イタリア | Aprilia |
タイ | アユタヤ県Nong Khae |
インドネシア | Karawang |
中国 | 宜興 (Yixing) |
<タイ>
-Bridgestone Asia Pacificは、タイBangkokでテクニカルセンター「Bridgestone Asia Pacific Technical Center Co., Ltd.」の開所式を行ったと発表した。日本・中国を除くアジア・太平洋地域で初のテクニカルセンターとなる。投資額は約41億円 (41.7百万ドル)。従業員数は約40名で、タイヤ開発・生産技術・品質マネジメント・原材料調達といった機能を有し、アジアの生産拠点の安全性・環境・品質・納入などの事業活動を強化する中核拠点となる。(2013年8月19日付プレスリリースより)
<米国>
-Bridgestone Americasは、米国アリゾナ州のMesaに建設する「バイオゴムプロセス研究センター (Biorubber Process Research Center)」の着工式を開催したと発表。同センターでは、新たな天然ゴム資源としてグアユールの実用化に向けた調査を行う。完成後は、40名の調査員および研究者が勤務することになる。2015年半ばに最初のタイヤ用ゴムサンプルを作成する計画。グアユールは、米国南西部やメキシコ北部原産の多年生低木で、樹皮や根から天然ゴムを生成する。グアユールからとれる天然ゴムは、現在タイヤの主原料となっているパラゴムノキから採取する天然ゴムとほぼ同質であるという。(2013年5月9日付プレスリリースより)
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2013年12月期 | 2012年12月期 | 2011年12月期 | |
グループ全体 | 274,900 | 245,600 | 201,300 |
タイヤ部門 | 255,900 | 223,600 | 174,700 |
海外投資
<ブラジル>-ブラジルで乗用車用ラジアルタイヤと小型トラック用ラジアルタイヤの生産能力を現在の1.4倍に増強すると発表した。総投資額は6300万ドル (約65億円)。ブラジル子会社のブリヂストン・ドゥ・ブラジル・インダストリア・エ・コメルシオ (BSBR) がブラジル・バイーア州で運営する乗用車用ラジアル
タイヤと小型トラック用ラジアルタイヤ工場の生産能力を、日産約2800本増強する。増強が完了する2015年下期には日産約1万100本体制となる見込み。(2013年12月18日付日刊自動車新聞より)
<メキシコ>
-メキシコのグアナファト州セラヤに自動車シート用ウレタンフォームの工場を新設すると発表した。設備投資額は約14億円。メキシコは自動車メーカーが自動車生産工場を新・増設しており、現地供給ニーズに対応する。2015年上期から量産を開始する予定。自動車シート用ウレタンフォームの工場としては同社グループで5カ国・10番目の生産拠点で、メキシコでは初の工場となる。新工場は、同社が今年7月に設立した製造子会社ブリヂストン・オートモーティブ・プロダクツ・デ・メキシコ(BAMX)が建設、運営する。自動車シート用ウレタンフォームは、自動車のシートに利用されるクッション材。新工場の生産能力は、乗用車のシート用ウレタンフォーム36万台分となる。(2013年10月31日付日刊自動車新聞より)
<中国>
-中国の江蘇省無錫 (Wuxi) 市の乗用車用ラジアルタイヤ工場を運営する普利司通 (無錫) 輪胎有限公司 (Bridgestone (Wuxi) Tire Co., Ltd.) が生産能力を日産約5,300本増強すると発表した。増強が完了する2016年下期には、日産約22,600本体制となる見込み。総投資額は852百万元 (約115億円) を予定している。(2013年10月29日付プレスリリースより)
-中国・遼寧省瀋陽 (Shenyang) 市でトラック・バス用ラジアルタイヤ工場を運営するグループ会社の普利司通 (瀋陽) 輪胎有限公司 (Bridgestone (Shenyang) Tire Co., Ltd.) が、移転に伴い新たに工場を建設すると発表した。今回の建屋建設および設備等の導入に伴う投資総額は299.7百万USD (約245億円)。移転後の生産能力は日産約5,000本で、2014年中の生産開始を予定している。(2013年2月22日付プレスリリースより)
<ベトナム>
-ベトナムに建設を進めている乗用車用ラジアルタイヤ新工場の生産能力を増強すると発表。世界市場で汎用タイヤの需要が想定を上回るペースで拡大する見通しであるため。総投資額は約416億円となる。同社子会社のブリヂストン・タイヤ・マニュファクチャリング・ベトナム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー(BTMV)は、2014年3月の稼働に向けてハイフォン市にあるディンブー工業団地に乗用車用ラジアルタイヤ生産工場を建設している。当初、タイヤ生産能力は16年上期に日産2万5,000本の計画だった。今回、17年下期までに生産能力が日産約2万4,000本の生産設備を増強する。設備増強後のベトナム工場の生産能力は日産約4万9,000本と当初計画の倍増となる。(2013年10月17日付日刊自動車新聞より)
<トルコ>
-2018年1月からトルコに建設する新工場で乗用車用ラジアルタイヤを製造すると発表。アクサライ工業団地に工場を建設するための土地を取得することで合意した。同社は、トルコで乗用車用ラジアルタイヤを製造することを決定し、工場建設予定地を検討してきた。現地企業との合弁会社が、約280億円を投じて同工業団地内にタイヤ工場を新設、18年1月から操業を開始する。生産能力は22年下期時点で日産約1万3千本。(2013年10月10日付日刊自動車新聞より)
<タイ>
-タイで自動車用ホースや防振ゴムを製造しているグループ会社のブリヂストン・NCRが、タイ・ラヨーン県にある工場でコンベヤーベルトを生産すると発表した。約30億円を投じてコンベヤーベルトの生産体制を構築する。生産開始は2015年上期の予定。 (2013年8月23日付日刊自動車新聞より)
<ロシア>
-ロシアのウリヤノフスク州にあるザヴォルジェ工業団地に乗用車用ラジアルタイヤ工場を新設すると発表した。新工場は、同社にとって初のロシア・CIS地域のタイヤ生産拠点となる。日系タイヤメーカーでは横浜ゴムが昨年からロシアで乗用車タイヤの現地生産を開始している。タイヤメーカー各社は新興市場での生産能力を増強、事業拡大を図る。ロシアにタイヤ製造会社「ブリヂストン・タイヤ・マニュファクチャリングC・I・S」を今年上期に新設する。出資比率はブリヂストンが90%、三菱商事が10%。三菱商事の出資を含む総投資額は125億ルーブル (約375億円)。新会社は2016年上期にロシア・CIS市場向けウインタータイヤを中心とする戦略商品を生産する。生産能力は18年下期に日産約1万2千本となる予定。(2013年4月16日付日刊自動車新聞より)
<米国>
-Bridgestone Americas Tire Operationsは、同社の米国サウスカロライナ州Aiken County拠点の拡張を完了し、乗用車用・小型トラック用ラジアルタイヤの生産能力を日産12,750本増強したと発表した。この計画による投資額は346百万ドルで、従業員約300名を増員している。
<インド>
-インド子会社のブリヂストン・インディア (BSID) が、マハラシュトラ州プネ市近郊に約500億円投じたタイヤ新工場を完成し、乗用車用ラジアルタイヤの生産を開始したと発表した。自動車市場が拡大しているインド国内向けのタイヤ供給体制を強化する。新工場では、今年10月からトラック・バス用ラジアルタイヤも生産する予定。(2013年2月7日付日刊自動車新聞より)