Visteon Corporation 2013年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2013年
12月期
2012年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 7,439 6,857 8.5 -アジア、北米、欧州における生産量増加による、クライメート部門およびエレクトロニクス部門の売上増加
-Yanfeng Visteon Automotive Electronicsの連結化
-為替差益
純利益 775 170 355.9 -
部門別売上高
クライメート部門 4,871 4,286 13.6 -アジア、北米、欧州における生産量の増加
-為替差益
エレクトロニクス部門 1,455 1,274 14.2 -北米、アジアにおける生産量の増加
-Yanfeng Visteon Automotive Electronicsの連結化
-一部、為替差損によるマイナス要因により相殺
内装部門 1,261 1,388 (9.1) -欧州の景気悪化による生産量の減少
-為替差損

事業再編

<内装事業>
Yanfeng Visteonの売却
-2013年12月、中国合弁会社の延鋒偉世通汽車飾件系統 [Yanfeng Visteon Automotive Trim Systems:YFV] における保有株式50%を、華域汽車系統 [Huayu Automotive Systems] へ売却。

Dongfeng Visteon Automotive Trim Systemsの株式売却
-2013年6月、YFVの子会社Dongfeng Visteon Automotive Trim Systems Co., Ltd.の株式20%を、20百万ドルで売却。

内装事業の事業方針
-2013年12月末現在、内装事業を長期的な戦略計画において非コア事業と位置付けた。事業は継続するものの、条件によっては同事業の売却も検討する。

買収

エレクトロニクス部門の強化
-2014年1月、Johnson Controlsより自動車用エレクトロニクス事業を買収することで合意したと発表。買収金額は265百万ドルで、手続きは2014年第2四半期に完了する見込み。今回、Visteonが取得するのは、Johnson Controlsのインストルメントクラスター、インフォテインメント、ディスプレイ、ボディエレクトロニクスの関連事業。また、欧州・北米・アジアにおける7つの研究開発センターに勤務する技術者約1,000名を含む従業員約4,800名が対象。なお、2013年9月期の同事業の売上高は約13億ドルとなった。

-2013年第4四半期、延鋒偉世通汽車電子 [Yanfeng Visteon Automotive Electronics:YFVE] の株式11%を58百万ドルで追加取得。これにより、同社はYFVEの株式の過半数を取得。Johnson Controlsのエレクトロニクス事業の買収と併せて、同社はエレクトロニクス部門の売上が約30億ドル規模になると見込む。

-ロシア合弁会社Visteon Avtopribor Electronicsへの出資比率を49%から68.77%に引き上げた。同合弁会社は、2010年にVisteonとロシアの自動車部品メーカーAvtopriborにより設立。製品開発から製造までを一貫して行い、Ford、Renault-Nissan、GAZ、AntoVAZをはじめ、グローバルおよび地元の自動車メーカー向けにコックピット用電子部品を納入している。ロシアのVladimirを本拠とし、従業員190名を雇用している。(2013年10月31日付プレスリリースより)

受注

-マツダの「Mazda 3」および「Axela」に使用されているグローバルプラットフォームに、同社初のタブレット型ディスプレイが採用されたと発表した。このディスプレイは平面型でタッチ操作が可能。車載環境に対応する耐久性のある表面保護技術が適用されている。(2013年10月30日付プレスリリースより)

-大手欧州自動車メーカーより新型インフォテインメントシステムの開発・生産を受注した。2015年モデルへの搭載を予定している。この新型システムは、マルチデバイス接続が可能でアプリや機能の提供、ストリーム配信、インターネット接続のほか、乗員が使用するシンプルなユーザーインターフェースを通じて、クラウドベースとローカルベースのコンテンツもシームレスに統合できる。(2013年2月25日付プレスリリースより)

-Porscheと提携し、「e-hybrid」システムを採用したコンセプトカーPorsche 「Panamera Sport Turismo」向けに、新型の先進インストルメントクラスターを開発した。Visteonが開発したインストルメントクラスターは、複数の高画質薄膜 (TFT) ディスプレイにタッチ機能を統合しており、開発期間はわずか10週間。12.3型のTFTセンターカラーディスプレイとその左右にTFTカラー計器を1つずつ搭載している。センターディスプレイには、タコメーターやナビゲーションをはじめ、車両の外部カメラからの映像など、様々な車両・運転情報が表示される。(2013年1月8日付プレスリリースより)

見通し

-同社は以下期間の売上高、修正後EBITDAを予測。
  • 2014年12月期:売上高 7,800百万ドル、修正後EBITDA 680百万ドル *内装部門の売却およびJohnson Controlsの事業買収による影響は含まれていない
  • 2017年12月期:売上高 最大9,700百万ドル、修正後EBITDA 最大1,000百万ドル

受賞

-2013年の主な受賞は以下の通り。
部門 授与者
同社 GM Supplier Quality Excellence Award
Chongqing Xuagang Electronics Co., Ltd.
(Yanfeng Visteon Automotive ElectronicsとChangAn Automotive Electronicsの合弁)
Ford Q1 Award
内装部門 インド Pune拠点 Volkswagen India Supplier Quality Award
内装部門 PSA Peugeot Citroen Excellence in program management
Halla Climate Control インド Bhiwadi拠点 Maruti Suzuki Gold Award in the Overall Excellence
Visteon Automotive Systems India Mobis India Ltd. National Top Performer for Business Development Award
Halla Climate Control チェコ Novy Jicin拠点 Volvo Quality Excellence Award
Halla Climate Control Automotive News PACE Award (product innovation category)
Visteon Automotive Systems India 現代 (Hyundai) Best Innovation of the Year 2012

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
合計 325 299 326

研究開発拠点

クライメート エレクトロニクス 内装
-韓国 Daejeon
-ドイツ Kerpen
-インド Bhiwadi
-日本 広島
-米国 ミシガン州
-英国 Chelmsford
-中国 上海
-インド Chennai
-ブラジル Camacari
-フランス Harnes
-ドイツ Berlin
-スペイン Igualada
-インド Pune
-日本 横浜
-タイ Rayong

製品開発

中間熱交換器一体型水冷コンデンサー
-中間熱交換器を統合した、世界初の水冷コンデンサー。水冷コンデンサーで冷却された冷媒を、コンデンサー下部に設置された中間熱交換機がさらに冷却することでコンプレッサーの消費力を20%低減。

アダプティブ温度制御システム
-高感度IRセンサーを用いた同システムは、乗員の人数、着座エリア、伸長、体重、体温等を検知し、最適な車室内温度に自動で調整。これにより、燃費を3%改善。

燃料電池用遠心式エアコンプレッサー
-燃料電池スタックに圧縮・加圧された空気を供給。従来のスクリュー式と比較して、この遠心式コンプレッサーは17%の性能および2%の燃費改善を実現。小型で軽量であること、また高回転時のノイズが少ないことが特徴。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
クライメート部門 187 152 168
エレクトロニクス部門 46 23 23
内装部門 35 34 41
コーポレート 1 9 8
合計 269 218 258

海外投資

<ブラジル>
-Halla Visteon Climate Control (HVCC) は、ブラジルのサンパウロ州Atibaiaに同社にとって南米初の工場を開設すると発表。新工場「HVCC Climatizacoes do Brasil Industria e Comercio Ltda.」は、同地域の自動車メーカー向けにHVAC製品を納入する。フル稼働時には、約100名の従業員を雇用する計画。生産スペースは3,000平方メートルで、必要に応じてさらに拡張が可能となる。2014年第2四半期に生産を開始する予定。これにより、HVCCは世界19カ国に拠点を置くことになる。(2013年12月13日付プレスリリースより)

<チェコ>
-Halla Visteon Climate Controlは、チェコのHluk拠点において新工場を開設。Hluk拠点における、欧州自動車メーカー向けのEGRクーラーおよびラジエーターの生産能力を約20%増強する計画。新工場の従業員数は約430名で、グローバル自動車メーカーにラジエーター、EGR、コンデンサー、インタークーラーを納入する。2014年のフル稼働時までに約140名を増員する予定。今回のプロジェクトによりHluk拠点は8,000平方メートル拡張され、総面積は25,256平方メートルとなった。(2013年11月8日付プレスリリースより)

<タイ>
-タイ RayongのHemaraj工業団地内に自動車用エレクトロニクス工場を開設。新会社「Visteon Automotive Electronics (Thailand) Limited」は、Ford、マツダ、日産、ホンダ向けにインストルメントクラスター、オーディオ製品、マルチファンクションディスプレイを納入する。工場面積は4,700平方メートルで、従業員数は約190名。新工場の開設により、東南アジア事業を強化する考え。(2013年10月16日付プレスリリー スより)

<ロシア>
-Halla Visteon Climate Control (HVCC) は、ロシアのTogliattiに開設した新工場「Halla Visteon Rus LLC」を稼働させたと発表。同社のパートナーの敷地内に建設した新工場は、HVCCにとってロシア初の生産拠点。まず、冷却モジュールおよびHVACユニットの組立を行い、同国内の自動車メーカーに納入する予定。今後3年間で、従業員数は300名近くに達する見込み。(2013年9月3日付プレスリリースより)