thyssenKrupp AG 2015年9月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2015年
9月期
2014年
9月期*
増減率
(%)
要因
全社
売上高 42,778 41,212 3.8 1)
EBIT 1,050 1,145 (8.3) -
部品テクノロジー
売上高 6,753 6,172 9.4 2)
EBIT 294 234 25.6  -
欧州鉄鋼事業 (Steel Europe)
売上高 8,697 8,819 (1.4) 3)
EBIT 514 195 163.6  -
米州鉄鋼事業 (Steel Americas)
売上高 1,773 2,060 (13.9) 4)
EBIT (147) 64 - -

*IFRS第11号の適用により、2014年9月期の各数値は修正されている。

要因
1) 全社売上高
-2015年9月期の売上高は前年比3.8%増の42,778百万ユーロ。部品テクノロジー事業、エレベーター事業の業績が好調であったこと、為替による好影響が売上高を押し上げた。

2) 部品テクノロジー
-2015年9月期の売上高は前年比9.4%増の6,753百万ユーロ。欧州および米国市場で乗用車、トラック向け製品の需要が堅調に推移したことを背景に、新製品および新工場における増産、アクスルモジュールASSYの需要増、為替差益等が寄与。

3) 欧州鉄鋼事業 (Steel Europe)
-2015年9月期の売上高は前年比1.4%減の8,697百万ユーロ。主に、大幅な原材料費安を背景とした鉄鋼価格の下落が影響。

4) 米州鉄鋼事業 (Steel Americas)
-2015年9月期の売上高は、米国事業部門 (thyssenkrupp Steel USA) 売却の影響を受け、前年比13.9%減の1,773百万ユーロ。

事業再編

高性能合金事業を売却
-2015年4月、高性能合金事業VDMをドイツのDusseldorfを本拠とするLindsay Goldbergに売却すると発表。thyssenkruppは2014年2月にOutokumpuからVDMとイタリアのステンレス鋼工場ASTの全株式を取得していた。VDMはWerdohlを本拠とし、世界で従業員約2,000名を雇用している。(2015年4月17日付プレスリリースより)

中国事業

溶融めっき鋼板事業を拡大
-欧州鉄鋼事業部門は、中国の自動車市場において高品質の溶融めっき鋼板事業を拡大する。同社はこれまで、中国の製鉄会社の鞍鋼股份有限公司 [Angang Steel] と同国で合弁会社の鞍鋼蒂森克虜伯汽車鋼 [TKAS Auto Steel] を運営してきた。thyssenkruppは今回、重慶で溶融めっき工場の建設を行っている鞍鋼鉄鋼集団傘下の子会社の株式を取得する。これにより、欧州鉄鋼事業部門は同子会社の株式12.5%を、合弁会社の鞍鋼蒂森克虜伯汽車鋼を通じて間接的に37.5%を保有することになる。すでに契約は締結されており、今後数カ月で手続きが完了する見込み。新工場は年内にも稼働を開始する予定。(2015年5月12日付プレスリリースより)

受注

-2015年、日産自動車とルノーの次期小型車シリーズのコラムアシスト式電動パワーステアリング (EPS) を受注。2017年に供給を始める予定で、生産拠点を増やして対応する。中型車クラスまで対応できる高トルク仕様であることや、システムでの一体開発が可能なことを強みに日産・ルノーの主要プロジェクトで受注した。「CMF B」と呼ばれる日産、ルノーの次期小型車シリーズに搭載される。同社はコラム式EPSを中国とブラジルで生産し、米メーカーに納入している。新規受注に合わせ16年にハンガリー、18年にメキシコでも生産を始める。19年には日産・ルノー向けで年間130万個の生産を見込んでいる。(2015年6月9日付日刊自動車新聞より)

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2015年9月期 2014年9月期* 2013年9月期
合計 735 709 647

*IFRS第11号の適用により、2014年9月期の各数値は修正されている。

研究開発体制

-約3,000名が100カ所超の開発センターで研究開発に従事。

技術提携

Maxion Wheelsと超軽量ホイールを共同開発
-2015年6月、ThyssenKrupp Carbon ComponentsとMaxion Wheelsは、超軽量のアルミ/カーボンファイバーハイブリッドホイールを共同開発し、高級車向けに販売することで合意したと発表。高性能鍛造アルミホイールに比べて最大40%の軽量化を実現する。両社は、高級車やSUV向けにプロトタイプを製作し、幅広い試験を行った。試験はMaxion Wheelsの認証済み実験室で行われた。さらに、同社とMaxion WheelsのチームはVolkswagen Groupと協力し、プロトタイプの実装試験を行った。公道試験では、振動やロードノイズを低減させる優れた減衰性など、性能の向上がみられたという。(2015年6月19日付プレスリリースより)

製品開発

InCar plus プロジェクト
-自動車製造におけるエネルギー効率、エレクトロモビリティ、軽量化等に資する研究プロジェクト「InCar plus」に参画。このプロジェクトでは40の部品やソリューションが開発され、部品重量が最大50%削減され、燃費が20%改善するという。さらに、1キロ当たり8グラムのCO2削減に貢献する。InCar plusで開発された主なソリューションには以下の物が含まれる:

  • 新組成鉄複合材
  • 中空シャフトを用いた電気モーター用ローター
  • ショックアブソーバーチューブやステアリングコラム部品への炭素繊維の採用

設備投資額

(単位:百万ユーロ)

 

2015年9月期 2014年9月期* 2013年9月期
全社 1,235 1,260 1,313
-部品テクノロジー 392 356 389
-欧州鉄鋼事業 (Steel Europe) 458 516 408
-米州鉄鋼事業 (Steel Americas) 86 89 170

*IFRS第11号の適用により、2014年9月期の各数値は修正されている。

海外投資

<メキシコ>
-2015年4月、メキシコのPueblaにステアリング部品の新工場を開設したと発表。北米の自動車市場向けに供給する。このステアリングシステム工場の開設により、同社はメキシコにおいて4拠点で自動車部品を生産することになる。生産品目は、エンジン部品、ステアリング部品、スプリング、スタビライザー、アクスルモジュール組立など多岐にわたる。同社は2020年までに、北米の部品事業単独で500百万ユーロ超を投資する計画。また、同年までに北米事業全体では総額800百万ユーロ超を投じるという。(2015年4月24日付プレスリリースより)

-2015年2月、メキシコのPueblaで新しい自動車部品工場が生産を開始したと発表。新工場では、Volkswagen向けにフロントアクスルの組み立てを行う。既存の組立工場が手狭となったほか、複数の新規受注を獲得したことで生産能力の拡大が必要となった。11,000平方メートルの新拠点では、物流・組立ラインが1つの建屋に集約されている。1日あたり2,200ユニット超のモジュールを生産し、Volkswagenへ納入することが可能だという。同社のアクスルは、「Jetta」、「Golf A7」、「Beetle」などメキシコで生産されるVolkswagenの全モデルに搭載される。従業員数は約240名。このPuebla工場のほかに、thyssenkruppはSan Jose Chiapaから70km離れた位置にアクスル組立工場を建設中で、Audiに納入する予定。2016年に新型 「Q5」向けの生産を開始する計画。(2015年2月11日付プレスリリースより)

<中国>
-2014年11月、中国の江蘇省常州 (Changzhou) 市に自動車用パワートレイン部品工場を開設したと発表。新工場では、中国市場向けにシリンダーヘッドカバーを生産する。投資額は約40百万ユーロ。今後は最大200名の従業員を雇用し、年間約100万ユニットのシリンダーヘッドカバーを生産する予定。(2014年11月4日付プレスリリースより)