ThyssenKrupp AG 2012年9月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2012年
9月期
2011年
9月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 47,045 49,092 (4.2) 1)
EBIT (4,370) (988) -
スチールヨーロッパ (鉄鋼事業)
売上高 10,922 12,814 (14.8) 2)
EBIT 188 1,133 (83.4)  -
部品技術
売上高 7,011 6,908 1.5 3)
EBIT 681 543 25.4  -

要因
1) 全社
-2012年9月期の売上高は前年比4.2%減の470億ユーロ。スチールヨーロッパ (鉄鋼事業) と素材サービスの売り上げが落ち込んだ。

-2012年9月期のEBITは4,370百万ユーロの損失。Steel Americas (鉄鋼事業) の減損会計と、事業停止による多大な損失が影響。

2) スチールヨーロッパ (鉄鋼事業)
-2012年9月期の売上高は前年比14.8%減の10,922百万ユーロ。自動車向け売り上げ減は出荷量の減少と、原料価格の下落による値下げ影響による。

3) 部品技術
-2012年9月期の売上高は前年比1.5%増の7,011百万ユーロ。特に乗用車用、トラック用部品への需要が牽引した。加えて対USドルおよび対スイスフランの為替レートが良い影響を及ぼした。

受注

-ThyssenKrupp Steel Europe傘下のThyssenKrupp MgF Magnesium Flachprodukte GmbHは、BMW 「3-series」向けのマグネシウム製リヤシートバックレストに、同社のマグネシウム板が採用されたと発表。このバックレストは、BMW MがTeMaKplusのワークショップで発表したもので、60:40分割の折り畳み式となっている。重さはわずか5.45kgで、従来のスチール製の約11.5kgから50%超の軽量化を実現。このバックレストには、厚さ1.5mmと2mmのThyssenKrupp製マグネシウム板を使用している。ドイツ教育研究省より助成金を受けるTeMaKplusは、12の企業および研究グループで構成。マグネシウムを軽量素材として、工業生産に幅広く適用することを目指している。 (2012年7月11日付プレスリリースより)

売却

-同社は、子会社のThyssenKrupp Tailored Blanksを中国の武漢鋼鉄 (集団) 公司 (Wuhan Iron and Steel Corporation:WISCO) へ売却することで合意した。ドイツDuisburgを本拠とするThyssenKrupp Tailored Blanksグループは、1985年より自動車産業向けにテーラードブランク材の生産を行っており、この分野における世界市場のシェアは約40%。ドイツのほか、スウェーデン、イタリア、トルコ、米国、メキシコ、中国に13の生産拠点を保有している。従業員約950名を雇用し、2011年は自動車メーカー向けに約58百万ユニットの部品を供給した。2010-2011年度の売上額は約700百万ユーロ。なお、今回の売却は、が2011年5月に発表した戦略的開発プログラムにおける資産最適化計画の一環となる。この計画に従って、同社は売却候補のうち約95%の事業に関して、既に契約を締結または売却を完了している。 (2012年9月28日付プレスリリースより)

-同社は、米国New Yorkを本拠とする非公開投資会社KPS Capital Partnersへ、北米の鋳造工場ThyssenKrupp Waupacaを売却する手続きが完了したと発表。今回の売却に関して、両社は2012年5月14日付けで合意に達していた。 (2012年7月2日付プレスリリースより)

-ZFは、ThyssenKrupp Automotive Systems (TKAS) よりキャビンサスペンション事業を買収することで合意したと発表。ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州Werdohlを拠点とする同事業には、従業員41名が勤務し、売上額は約15百万ユーロ。2012年第1四半期に買収が完了する見込み。今回の買収により、ZFの商用車技術部門 (Commercial Vehicle Technology) は生産品目を拡大する。また、買収予定のWerdohl拠点は、ZF のCV Chassis Modules Business Unit傘下に入り、2012年末までに同州Dielingen拠点へ移管される予定。なお、CV Chassis Modules Business Unitは、DielingenおよびErmua (スペイン)、Izmir (トルコ)、Gainesville (米国フロリダ州)、Sorocaba (ブラジル)、上海 (中国) に生産拠点を保有している。 (2012年1月26日付プレスリリースより)

-Magna Internationalは、傘下のCosma InternationalがThyssenKrupp Automotive SystemsよりブラジルのThyssenKrupp Automotive Systems Industrial do Brasil Ltda. (TKASB) を買収したと発表。TKASBは、シャシー構造部品およびモジュールの生産・組立を行っている。2011年9月期の売上額は、約250百万米ドル。ブラジルのSao Bernardo do Campo、Ibirite、Camacari、Sao Jose dos Pinhaisに計4工場を保有し、従業員数は約770名。Ford、Fiat、Renault-Nissan、ホンダ、PSAなどに供給している。なお、Magnaは現在、南米において生産9拠点・研究開発2拠点を保有している。 (2011年12月6日付プレスリリースより)

新会社

-同社とOutokumpuは、同社のステンレス鋼部門Inoxumをフィンランドのステンレス鋼メーカーOutokumpuと統合し、新会社を設立すると発表した。Inoxumの企業価値は約27億ユーロと算定され、ThyssenKruppは統合後の会社の株式29.9%を保有する計画。新会社は、引き続きフィンランドEspooを本拠とするOutokumpuの名称で操業を行う。売却手続きは2012年末までに完了する見込み。なお、Outokumpuは今後、ドイツのKrefeld溶解工場を閉鎖し、溶解能力を縮小する計画。Inoxumのドイツにおける全ての生産拠点は、少なくとも2015年まで操業を継続する予定。 (2012年1月31日付プレスリリースより)

海外事業

<米国>
-同社は、ThyssenKrupp Steel Americasのブラジル工場および米国工場に関して、提携・売却を含めたあらゆる戦略オプションを検討することを決定した。ブラジル・Rio de Janeiroの工場では、2011年度前半で約1.7百万トンのスラブを生産。また、米国・アラバマ州のMobile工場は同時期に、約1.4百万トンのスチールを出荷している。 (2012年5月15日付プレスリリースより)

事業概況

-ThyssenKrupp Nirostaは、継続する受注減に伴い2012年9月より操業時間の短縮を行うと発表。同社ではステンレス鋼板製品を生産している。今回の操業短縮を導入するのは、従業員456名が勤務するドイツのBochum拠点。ThyssenKrupp Nirostaのその他の拠点に関しては対象外となっている。 (2012年8月30日付プレスリリースより)

-ThyssenKrupp Steel Europeは、継続する受注減に伴い2012年8月より操業時間の短縮を行うと発表。対象となる拠点は、ドイツのDuisburg-Hamborn、Duisburg-Huttenheim、Bochum、Dortmund、Siegerland。当面の間、Finnentrop拠点はこの操業短縮から除外されている。同社は現時点で、年末までこの措置を続ける必要があるとの考え。冷間圧延工程および塗装工程のほか熱間圧延製品に関する業務が対象で、全従業員17,500名のうち約2,170名に影響が出ると見られる。 (2012年7月26日付プレスリリースより)

認証

-同社は、ThyssenKrupp Stahl-Service-Centerの本社および拠点 (ドイツのKrefeld、Radebeul、Mannheim) が、環境マネジメントシステム規格「ISO14001」認証を取得したと発表。 (2011年10月5日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2012年9月期 2011年9月期 2010年9月期
合計 644 551 442

研究開発体制

-3,000名以上の調査員や開発者がグローバルに活動。

製品開発

電動アシストステアリング
-日本板硝子は、タイミングベルト用ガラス繊維コード (グラスコード) が、Gates Power TransmissionとThyssenKruppが共同開発した電動アシストステアリング (EPAS) に採用されていると発表。EPASの駆動ベルトには、同社グループのNGF Europeで製造する最薄の0.2ミリ厚ゴムコードが使用されている。EPASはすでに欧州市場で約200万台の車両に採用されており、今後、欧州市場と北米市場での採用拡大が見込まれている。 (2012年6月18日付プレスリリースより)

素材
-ThyssenKrupp VDMはJulich Research Centerと共同で、固定酸素燃料電池 (SOFC) 用の高性能材料「Crofer 22 H」を開発したと発表。自動車用の軽量燃料電池セルスタックなどに使用されるもの。20~24%のクロムの他に、タングステン、ニオブ、チタン、ランタンなどの合金成分を含む。また、最大900度での高耐食性、酸化被膜の高導電性、高温での機械的強度特性を持つ。なお、「Crofer 22 H」の他にも、ThyssenKrupp VDM製の高温ニッケル合金などの材料は、熱交換器やリフォーマーのようなSOFC製品に使用されている。 (2011年12月23日付プレスリリースより)

塗装剤
-ThyssenKrupp Steel Europeは、熱間鍛造部品向けの防錆塗装剤「GammaProtect」を新たに開発した。「GammaProtect」の使用により、コーティングの融点は870度以上に上昇。また、高い亜鉛量を持ち、カソード腐食防止の特性を維持する。これによりこの塗装技術は、特に腐食の危険がある自動車ボディーの水回り部品などの熱間鋳造部品に、幅広く使用される。 (2011年11月7日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)

 

2012年9月期 2011年9月期 2010年9月期
全社 2,204 2,771 3,513
スチールヨーロッパ (鉄鋼事業) 505 431 286
部品技術 420 361 288

-全社の設備投資額の減少は、Steel Americas (鉄鋼事業) と素材サービス事業における減少による。
-部品技術事業では、成長市場である中国、インドでの新工場の建設、拡張および欧州、米国、ブラジルへの投資が含まれる。

国内投資

-ThyssenKrupp Presta Camshaftsは、ドイツIlsenburgの工業団地に新工場を建設中と発表した。従業員100名を雇用し、2013年第3四半期よりシリンダーヘッドカバーの生産を開始する予定。建物の延床面積は12,000平方メートルで、このうち約6,000平方メートルが生産スペース、3,000平方メートルが倉庫となる。工場の敷地面積は34,000平方メートルの予定だが、必要に応じてさらに55,000平方メートルの拡張が可能になるという。 (2012年8月31日付プレスリリースより)

-ThyssenKrupp Steel Europeは、ドイツのBochum工場における設備のアップグレードが完了したと発表。まず対象となったのは、圧延工程の最適化。この他に、冷却セクションを層流方式へ改良した。これにより、高強度鋼および超高強度鋼の生産能力拡大を目指す。なお、同拠点への投資額は総額140百万ユーロ超にのぼる。 (2012年5月31日付プレスリリースより)

-ThyssenKrupp Nirostaは、ドイツのDusseldorf-Benrathに位置する冷間圧延工場を、2016年までに国内のKrefeldへ移転する意向を発表した。移転に伴い、数億ユーロを投じて設備のアップグレードを図る。 (2012年1月10日付プレスリリースより)

海外投資

<中国>
-上海において、中国市場向けにステアリングシステムとダンパーを製造する工場の建設に着手した。 (2012年9月期)