ThyssenKrupp AG 2011年9月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2011年
9月期
2010年
9月期
増減率(%) 要因
全社
売上高 49,092 42,621 15.2 1)
EBIT (988) 1,346 -
部品技術
売上高 6,908 5,724 20.7 2)
EBIT 543 252 115.5  -

要因
1)
全社
-2011年9月期の売上高は前年比15%増の491億万ユーロ。全ての事業における売上増が寄与した。

-2011年9月期のEBITは988百万円の損失。Steel Americas(鉄鋼事業-米州)のブラジルと米国の新工場と、Steel Americas(鉄鋼事業-米州)とステンレス事業の損失が影響。

2)
部品技術部門

-2011年9月期の売上高は前年比20.7%増の6,908百万ユーロ。特に自動車関連事業が乗用車用、トラック用ともにグローバルで堅調に推移した。なかでも中国、ブラジル市場が顕著に成長。

-カムシャフトアッセンブリー、電動パワーステアリングシステム、パッシブ/アクティブサスペンションシステム、機械加工および鍛造クランクシャフトとブレーキ部品の受注が増加した。

事業再編

-同社のStainless Global事業を分社化し、社名を「Inoxum」とすると発表。Inoxumは、ステンレス平鋼製品の生産・加工・販売のほか、ニッケル合金、チタ ン、ジルコニウムなど高性能材料の生産・販売も行う。ドイツ、イタリア、メキシコ、中国、米国に生産拠点を持ち、従業員約11,300名を抱える。なお、 同事業の2009-2010年度の売上額は、約59億ユーロを記録した。(2011年9月30日付プレスリリースより)

-2011年10月1日付でBilstein groupおよびPresta Steeringのシャシー事業を統合すると発表した。これに伴い、リヒテンシュタインEschenに持株会社を設立する予定。(2011年7月29日付プレスリリースより)

-同社は事業計画を発表した。この計画には、ThyssenKrupp WaupacaおよびThyssenKrupp Tailored Blanksの売却、Bilstein groupおよびPresta Steeringのシャシー事業の統合、スプリング・スタビライザー事業およびBrazilian Automotive Systemsの売却、Stainless Global事業の分社化が含まれる。(2011年5月13日付プレスリリースより)

売却

-スペインのGestamp Automocion S.L.に対するMetal Formingグループ売却を、2011年7月20日付けで完了したと発表。取引金額は非公開とされている。ThyssenKrupp Metal Formingは、ドイツ・フランス・英国・スペイン・ポーランド・トルコ・中国にシャシーおよび車体部品工場を保有している。(2011年7月20日付プレスリリースより)

-同社のMetal Formingグループ売却に関して、スペインのGestamp Automocion S.L.と独占交渉を行うと発表した。この売却は、ThyssenKrupp Steel Europeの主力事業に同グループが現在含まれないという状況に基づくもの。このMetal Formingグループはドイツ、フランス、英国、スペイン、ポーランド、トルコ、中国にシャシーおよび車体部品工場を保有している。従業員5,700名が勤務し、2010年9月期はおよそ11億ユーロの売上を達成。また、Gestampは現在約18,000名の従業員を抱え、車体用金属部品・構造部品の開発・生産を行っている。18ヶ国に拠点を置き、2010年の売上は約30億ユーロを記録した。 (2011年3月1日付プレスリリースより)

事業提携

-同社傘下のUhde(Plant Technology部門)は、ドイツのEvonik Industriesおよび中国吉林省との間で、吉林省に過酸化水素酸化プロピレン(HPPO)工場を建設・操業する非独占ライセンス契約を締結したと発表。この契約により、吉林神華集団(Jilin Shenhua Group)と吉林市北方化学工業(JNCC)による合弁会社が、UhdeとEvonikが共同開発したプロセスを導入し、年間30万トンの酸化プロピレンの生産を行う。酸化プロピレンはポリウレタンフォームの原料で、自動車用軽量構造などに利用される。(2011年6月17日付プレスリリースより)

-ThyssenKrupp Steel Europe AGの子会社Magnesium Flachprodukte GmbHと韓国の鉄鋼メーカーPoscoは、マグネシウムシートの生産および供給に関して協力する。両社は自動車業界向けの安定供給を確保するため、供給に支障が生じた際は相互に協力体制を取る旨、了解覚書(MOU)を締結した。(2010年10月5日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2011年9月期 2010年9月期
合計 524 442

研究開発体制

-約3,000名の技術者や専門家、科学者が研究開発に従事。

製品開発

自動車用環境対応素材
-1000MPa 級高張力鋼板を開発。同鋼板は同社の冷間成形された鋼板で最も硬いため、薄肉・軽量化部品に適している。同素材を自動車車体の構造部品に使用することで、従来比20%の薄肉化が可能であり、軽量化、燃費向上、二酸化炭素排出の削減を実現。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)

 

2011年9月期 2010年9月期
全社 2,771 3,513
部品技術 361 288
-主に欧州、中国、米国、ブラジル、インドにおいてカムシャフトの生産能力の増強や電動パワーステアリングシステムの製造設備の拡大に投資。

国内投資

-ThyssenKrupp Steel Europe AGは、ドイツのBochum工場、Duisburg工場の熱間圧延機へ、300百万ユーロを投資すると発表。この投資により、自動車用軽量スチール、自動車用ハイブリッドエンジンなどに使用される電磁鋼用の出発原料などを生産する圧延機を改修する。(2011年5月23日付プレスリリースより)

-ThyssenKrupp Steel Europe AG のドイツ子会社MgF Magnesium Flachprodukte GmbHは、同じくドイツのFreiberg University of Mining and Technology(フライブルグ鉱山大学)と共同で、マグネシウムの熱間圧延工場を開設した。建設に際してドイツSaxony州から750万ユーロの資金提供を受け、運営は同大学のメタルフォーミング研究所により行われる。(2010年11月22日付プレスリリースより)

海外投資

<中国>
-中国の江蘇省南京(Nanjing)市に新工場を開設すると発表した。2012年10月より、中国トラック市場向けにクランクシャフトを生産する予定。年産能力は36万本を見込む。同社は新工場へ190百万米ドルを投資。190ヘクタールの敷地に建設される同工場は、ThyssenKrupp Forging Groupの生産能力拡大に貢献する。(2011年4月6日付プレスリリースより)

-中国の四川省成都(Chengdu)市において、スプリングおよびスタビライザーの生産能力を拡大。

<ブラジル>
-ブラジルのサンパウロにおいて、スプリングおよびスタビライザーの生産能力を拡大。