Parker-Hannifin Corporation 2015年6月期までの動向

業績

(単位:百万ドル)

2015年6月期 2014年6月期 増減率 (%) 要因
売上高 (Net Sales) 12,711.7 13,216.0 (3.8) 1)
営業利益 (Operating Income) 1,838.4 1,790.2 2.7 -
部門別売上高 (Sales by segment)
多角的産業セグメント >10,457.1 10,981.4 (4.8) 2)


要因
1)売上高
-2015年6月期、売上高は対前年比3.8%減の12,711.7百万ドル。為替レートのマイナス要因により約547百万ドルの売上減。為替要因を除いた売上高は概ね前年レベルを保つ。

2)多角的産業セグメント売上高
-2015年6月期、前年比4.8%減で10,457.1百万ドルであった。北米の売上高は前年と比較してほぼ前年と同水準であった。為替レートのマイナス要因があったが、乗用車とトラック市場におけるエンドユーザーからの需要増がこのマイナス要因を相殺した。北米以外の事業は主に為替レートの要因により対前年比10.3%減だった。

売却

-2012年10月、自動車用エアコン事業をContiTechへ売却したと発表。今回の売却対象は、乗用車・小型トラック市場向けにホースおよびチューブASSY、アキュムレーター、レシーバードライヤー、オイルクーラントASSYなどを生産する以下拠点:

  • メキシコ Monterrey工場
  • メキシコ Montemorelos工場
  • チェコ Chomutov工場
  • 韓国 天安工場
  • 中国江蘇省 無錫工場

なお、同様の製品を大型トラックや農業・建設機械のエアコンおよびホース向けに販売する部門に関しては、今回の売却から除外されている。

開発動向

-2015年3月、同社の Tube Fittings (チューブ継手) 部門は、Oリングフェースシールチューブ継手「Seal-Lok」の製品ラインナップを拡大した。圧縮天然ガス (CNG) 向けの「Seal-Lok」は、エラストマーシール用コンパウンドを使った天然ガス用途製品において、確実な燃料伝達を可能にするという。このコンパウンドは、耐オゾン性を向上させながら、広い温度領域での動作をサポートする。さらに、車載向けCNG用途製品における「NGV 3.1」、「ECER110」、「ISO 15500」などの規格にも準拠している。(2015年3月25日付プレスリリースより)

企業買収

-2012年、大阪を本拠とする過半数所有子会社TAIYOの残りの株式について、公開買付けを終了したと発表。今回の買付けはParker Hannifin Japan Holdingsが行ったもので、買付け後のParkerの所有割合は97.82%となる。買収金額は55億円 (約70百万ドル)。Parkerは2006年6月より、TAIYOの筆頭株主として株式56.49%を保有していた。なお、TAIYOは様々なモーションコントロール製品の開発・生産を行っており、年間売上額は約173億円 (約215百万ドル) を記録。引き続きParkerのGlobal Hydraulics Groupに属することになる。(2012年3月15日付プレスリリースより)

-2008年12月、ブラジルのDetroit Plasticos e Metais S/A を買収。Detroitは、継手、バルブ、マニホールド、熱可塑性プラスチックチューブの製造メーカーで、2007年度の売上高は約17百万ドル。ブラジルの流体継手事業 (Fluid Connectors) にDetroitを組み入れる。(2008年12月1日付プレスリリースより)

-2008年10月、Legris SAを買収。LegrisはフランスのRennesに本拠を置く、流体回路部品およびシステムメーカー。2007年の売上高は233百万ユーロを記録している。買収後、Legrisの売上は同社の流体継手事業に計上される。

-2008年10月、Origaグループを買収。Origaはロッドレス空圧アクチュエーター、電動アクチュエーター、FRL (フィルター、レギュレーター、ルブリケーター)、空圧シリンダー、バルブなどを製造している。このグループの主要拠点は、ドイツのFilderstadt、オーストリアのWiener Neustadt、米国イリノイ州のGlendale Heightsなどに所在。買収後、Origaは同社オートメーショングループの一員となる。

-2008年9月、ドイツのLingk & Sturzebecher (L&S) の買収を発表。 L&Sは、炭素繊維や炭素繊維複合材を採用した軽量・耐高圧シリンダー/アクチュエーターを生産し、航空、自動車、その他産業向けに供給している。L&Sの2007年度売上げは約7.6百万ユーロ (約11.2百万ドル)。同社の油圧機器事業にL&Sを組み入れる。(2008年9月4日付プレスリリースより)

受注

-2014年11月、同社はフロリダ州Miami-Dade郡がAutocar E3 ごみ収集トラックのハイブリッド車の3回目の発注を行ったと発表した。今回の発注は29台のハイブリッドトラックからなり、これにより同郡のトラック台数は合計64台になる。同トラックは、ブレーキング時の損失エネルギーの71%を回収する同社のRunWise Advanced Series Hybrid Drive Systemを搭載している。このシステムは各トラックにおける年間の燃料消費量を4,300ガロンまで節約する。 (2014年11月19日プレスリリースより)

-2009年、Daimler Trucks North America LLC (DTNA) に新型の油圧式ハイブリッドシステムを供給する。納入はDTNAの子会社「Freightliner Custom Chassis Corporation」に対して行う。対象車両は合計638台のハイブリッド車および代替燃料車で、United Parcel Service (UPS) の配達車両として使用される見込み。(2009年10月16日プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ドル)
2015年6月期 2014年6月期 2013年6月期
合計 403.1 410.1 406.6



製品開発

CLEANDieselフィルター製品
-2014年12月、同社は、フィルター部門のRacorおよびVelconの燃料フィルター技術を集結させ開発した新たな製品ライン「CLEANDiesel」 を発表した。主要製品には、レーザー式の粒子検出モジュール「CLEANDiesel Integrated Particulate Monitor (IPM)」、燃料汚染物質コントロールシステム「CLEANDiesel Filtration Skid (DFS)」、多目的ハウジング「CLEANDiesel Filtration Skid (DFS)」などが含まれる。「CLEANDiesel」の燃料フィルター製品を使用することで、CaterpillarやCumminsなどのエンジンメーカーが公表する洗浄レベルに対応するディーゼル燃料を提供することができる。この製品のフィルター性能は、ディーゼルエンジンの米国排出ガス規制 「EPA Tier 4」クリアに貢献するという。(2014年12月9日付プレスリリースより)

American Public Transportation Association (APTA) Expo 展示会から
バスドアアクチュエータ (Bus door actuators)
-2014年10月、同社はテキサス州Houstonで行われたAPTA Expoで2種類のバスドアアクチュエーターを展示した。一つ目の電気油圧式モジュラーは必要なドアアクチュエーションで使用されている圧縮空気を移動することによって、コンプレッサーの寿命を長くする。二つ目は統合障害検知機能を搭載した統合電動空気圧アクチュエーターが展示された。この統合アクチュエーターは既存のドアシステムに取り付けることが可能、したがって、製造のための労力が少なくすむ。 (2014年10月6日プレスリリースより)

GreenMAXデーゼルフューエルフィルターウォーターセパレーター (GreenMAX Diesel Fuel Filter Water Separator)
-2014年10月、同社はGreenMAXディーゼルフューエルフィルターウォーターセパレーターをテキサス州Houstonで行われたAPTA Expoで展示した。このThe GreenMAX フィルターは低気温の運転時に、燃料要求に応じて温まったエンジンの燃料を再利用する技術が搭載されている。他の機能としては標準のWater-in-Fuelセンサー、視覚品質チェック用クリアボウル、自己換気ドレインがある。 (2014年10月6日プレスリリースより)

多目的電子コントローラー (General purpose electronic controller)
-2014年10月、同社はVMM1615多目的電子コントローラーをテキサス州Houstonで行われたAPTA Expoで展示した。このVMM1615コントローラーは車載診断機能と状態を表すLEDを持ち故障診断プロセスを容易にする。このコントローラーはさらに入力 × 16、出力 × 15、2つのCAN Bus/J1939通信ポート、32Vまでの安定状態の直流電源をサポートする。(2014年10月6日プレスリリースより)

統合タッチスクリーンディスプレイクラスター (Integrated touchscreen display cluster)
-2014年10月、同社は統合タッチスクリーンディスプレイをテキサス州Houstonで行われたAPTA Expoで展示した。このDPS70ディスプレイクラスターは多彩な操作方法を持つ7インチカラーLCDタッチスクリーンを搭載している。DPS70は車両診断とサービスをアシストするための車両パフォーマンスデータへアクセスする機能が備わっている。(2014年10月6日プレスリリースより)

冷却ファンシステム (Fan cooling systems)
-2014年10月、同社は2つの冷却ファンシステムをテキサス州Houstonで行われたAPTA Expoで展示した。「Parker Transit Bus E-Fan 冷却システム」 および 「Parker Transit Bus Variable Hydraulic Fan 冷却システム」 で固定容量式油圧ファンドライブの燃費を向上させるという。このE-Fan システムは可変油圧ファンがエンジンスピードから独立してファンスピードを保つことにより、エンジンゾーンを冷やすことによってエンジン温度を最適化する。 (2014年10月6日プレスリリースより)

RunWise 油圧ハイブリッド技術 (RunWise hydraulic hybrid technology)
-2010年、同社は油圧ハイブリッドシステムに関する新技術を開発した。ゴミ収集車および配達車両向けで、米国の燃費・排出ガス新基準の達成に貢献する。RunWiseと呼ばれるこのシステムによって、燃料消費と排出ガスの50%削減が可能となる。米国環境保護庁 (EPA) による支援のもと開発を行い、南フロリダ州3地域の配達車両に既に搭載している。この油圧ハイブリッドシステムを搭載した配達車両を、United Parcel Service (UPS) とFedExが企業で初めて発注した。これらの車両は2011年に導入される予定。なお、同社はバス向け油圧ハイブリッドシステムも開発中。一般的なディーゼルパワートレインと比較して45%の燃費向上、電気ハイブリッドシステムに比べて2倍以上の燃費向上をターゲットとしている。(2010年11月22日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万ドル)
2015年6月期 2014年6月期 2013年6月期
合計 215.5 216.3 265.9



海外投資

<インド>
-2013年、インドのChennaiに新工場を開設。投資額は10億ルピー (18.7百万ドル) で、Mahindra World City内の10エーカーの敷地に建設された。第1フェーズでは面積166,000平方フィートの建屋を建設しており、第2フェーズでは100,000平方フィートを拡張する予定。新工場では、自動車、オフハイウェイ車、電気通信、石油・ガス、鉱業などの市場向けにさまざまな製品・システムを生産する。また、今後2、3年間で従業員300名の雇用を目指している。同工場の開設と今後の買収計画により、Parker Hannifin Indiaは5年以内に売上額を倍増する計画。(2013年1月9日付プレスリリースより)