OSRAM Licht AG 2018年9月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
  2018年9月期 2017年9月期 増減率 (%) 要因
全社
売上高 4,115 4,128 (0.3) 1)
EBITDA 477 621 (23.3) -
部門別売上高
特殊照明 (Specialty Lighting) 2,224 2,312 (3.8) 2)
光半導体 (Opto Semiconductors) 1,725 1,685 2.4 3)

要因
1) 全社
-2018年9月期、売上高は前期と比べ0.3%減の4,115百万ユーロ。収益は困難な市況に影響を受けマイナスとなった。自動車産業における需要減少に加え、スマートフォンなどのモバイル事業および農業分野、また欧州・米国の一般照明事業の減速が影響した。

2) 特殊照明 (Specialty Lighting)
-2018年9月期、同セグメント売上高は3.8%減の2,224百万ユーロ。自動車部門において、その他製品の販売減少に対してLED製品の増加が上回ったものの、為替の悪影響により4.9%のマイナスを受けた。

3) 光半導体 (Opto Semiconductors)
-2018年9月期、同セグメントは2.4%増の1,725百万ユーロ。一般照明部門が2桁増となり最も成長率が高く、自動車関連事業は中程度であった。

買収

-同社は、米国に本拠を置くVixarを買収して、半導体ベースの光セキュリティ技術の強化を図ると発表した。Vixarは米ミネソタ州Plymouthに本拠を置く、VCSEL(垂直キャビティ面発光レーザー)技術に特化した企業で、買収に伴い約20名の従業員はOsramに転籍する。VCSEL技術の3D環境データの取り込みは、ジェスチャー認識、拡張現実(AR)、ロボット技術、近接センサーから自動運転まであらゆるアプリケーションに適用されるという。(201853日付プレスリリースより)

事業動向

-同社は、ContinentalOsramが折半出資する合弁会社Osram Continental2018年下半期から操業を開始すると発表した。Osram ContinentalはドイツMunichに本社を置き、世界16カ所に拠点を構える。当初の従業員数は約1,500名で、今後5年間で毎年2ケタ増の成長を見込み、年間売上高数億ユーロを目指す。今後は本社をドイツGarchingに移転する計画。LEDやレーザー照明部品などの開発に注力し、2021年までに量産を予定する。(201873日付プレスリリースより)

受注

-2018年10月、トヨタ「Corolla Sport」に小糸製作所および同社の標準化LEDランプが採用された。

ー同社の光半導体事業分野及びJoyson Safety Systemsが半自動運転車向けシステムをCadillac CT6に供給していると発表した。「Super Cruise」は業界初高速道路でのハンズフリー運転技術。

ー2018年3月、新型フラッグシップAudi「A8」のフロントライトに同社の「Oslon Compact PL」が採用された。

ー同社は、Varroc Lighting Systemsとの共同開発を行った次世代「Osram SMARTRIXモジュール」が搭載されたJaguar Land Roverの新型車が発売されたと発表した。
 

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2018年9月期 2017年9月期 2016年9月期
全社 421 364 334
全社売上高に占める割合 (%) 10.2 8.8 8.8

 -2018年度、研究開発における人員は2,700名 。

 

製品開発

補助ハイビーム用新型レーザー「PLPT9 450D_E A01」

-第2世代の青色マルチモードレーザーダイオードにより、従来のLEDソリューションと比較し、倍である600メートルの距離を照らすことが可能。

新型赤外線LED製品「Synios SFH 4772S A01」「Synios SFH 4775S A01」

-ドライバーの虹彩スキャンや顔認証により、ドアロック解除やエンジンイモビライザーの無効が可能。

端面発光レーザー「SPL DS90A_3」

-車の周囲を赤外レーザー光線でスキャンし、高精度な3D マップを生成。

照明ソリューション

ーInova Semiconductorsのシリアルコントロールドライバーを新製品「E4633i」に組み込み。シリアルバスシステムを介して多数のLEDを個別またはグループで制御することが可能となった。

LED「Oslon Boost HX」

-200cd/㎜²以上の輝度を提供し、照明ベースの運転支援システムやドライバーとのコミュニケーションなどのソリューションを高める。

集積回路(IC)付アンビエント・ライト・センサー「SFH 5701 A01」

-センサーによって気象条件や輝度レベルを読み取れるよう車内のバックライトを調整することが可能。

シグナルライト向けLED光源「XLS(eXchangeable LED Signal)」

-黄色(LY5)は方向指示器向け、白(LW5)はバックライト及びデイタイムランニングライト、白(L1)は高精度フォグランプ、赤(LR5)はブレーキランプ、リアランプ、フォグランプに用いられる。

自動車用赤外線型LED(IRED)「Oslon Black」

-ナイトビジョン、歩行者保護などの外装部品向け及びドライバー監視、シート着座検出などの車室内向けがそれぞれ開発された。

広帯域フォトダイオード

ー世界初となる表面実装パッケージを採用。フロントガラスに搭載されるレインセンサーなどに使用される。

ハイブリッドLEDプロトタイプ「Eviyos」

-マイクロ構造の発光チップと個別のピクセルコントロールを統合。ハイビーム時も照射光や反射による目のくらみがない。



設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2018年9月期 2017年9月期 2016年9月期
全社 467 537 349
-特殊照明 (Specialty Lighting) 49 57 69
-光半導体 (Opto Semiconductors) 393 443 239

-同社は467百万ユーロ(前年537百万ユーロ)の設備投資を行った。内訳は不動産、工場及び設備等の有形固定資産。光半導体事業における設備投資はLEDチップ製造能力拡大に使用された。

国外投資

ー同社は、マレーシアKulimLEDチップ工場が予定通り操業を開始したと発表した。Kulim工場の第1段階完成に、同社は370百万ユーロを投資。さらに2段階かけて工場を拡張し、Osramのグローバル工場アライアンスにおけるLED組立能力の拡張などを含め、投資総額は最大で10億ユーロに達する可能性があるという。Kulim工場では、コンバーターレイヤーにより白色発光が可能な青色LEDチップを生産。中期的には、自動車向け照明や映像プロジェクションなど、高品質な用途向けLEDチップの生産を見込む。同社はまた、Regensburg工場の拡張も計画。従業員を現在の約2,500人から最大で1,000人増員し、車のヘッドライトなどに使用される高品質なLEDチップやレーザーダイオード、自動車の先進運転支援システム向けの赤外線ダイオードなどを生産する予定。(20171123日付プレスリリースより)