GKN Plc 2012年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ポンド)
  2012年12月期 2011年12月期 増減率
(%)
要因
全社
売上高 6,510 5,746 13.3 -
営業利益 628 374 67.9 -
部門別売上高
ドライブライン部門 3,236 2,795 15.8 1)
粉末冶金部門 874 845 3.4 2)

要因
1) ドライブライン部門
-2012年は2011年9月に買収したGetrag Driveline Productsが売上増に寄与した。本業の売り上げは7%伸びた。このうち等速ジョイントの売り上げは6%増加、等速ジョイント以外の売り上げも8%増加し、世界の自動車生産の伸び(6%)を上回った。

2)粉末冶金部門
-2012年はGKN Sinter Metalsの売り上げが自動車生産が好調だった北米で10%伸びたほか、自動車生産が5%落ち込んだ欧州でも1%増加した。売り上げは中国でも好調で、自動車市場の振れが大きいインドやブラジルでも伸びを確保した。

受注

-2012年、パリモーターショー2012に展示される複数のモデルに、同社の製品が採用されていると発表した。
・ 三菱の新型プラグインハイブリッドSUV「Outlander」:トランスミッション「eTransmission」とリアサイドシャフト。ノンハイブリッドの四輪駆動(AWD)車には、パワートランスファーユニット (PTU) と電子制御カップリング (EMCD)。
・ Land Rover 「Range Rover Evoque」:フロントおよびリアサイドシャフト、PTU、リアディファレンシャルモジュール (RDM)、電子トルクマネージャー (ETM2)、フロントおよびリアプロペラシャフト。
・ BMW 「MINI Paceman」:PTU、EMCD、フロントおよびリアサイドシャフト。
・ Volkswagenの新型MQBプラットフォームを採用した「Golf」:カウンタートラックCVJシステム。AWD車にはリアサイドシャフト。
・ Land Roverの第4世代「Range Rover」:新型CVJシーリングシステムが採用。
(2012年9月27日付プレスリリースより)

-2012年、ジュネーブモーターショー2012に展示される様々な車両に、同社の製品が搭載されていると発表。
・ 電子トルクベクタリング (ETV):BMW 「X6 M50d」
・ 電子制御カップリング (EMCD):BMW 「MINI JCW Countryman ALL4」
・ パワートランスファーユニット (PTU):Ford 「Kuga」、BMW 「MINI JCW Countryman ALL4」
・ 電子トルクマネージャー (ETM):BMW 「M6 Coupe」
・ ダイレクトトルクフロー (DTF):Audi 「A6 Allroad Quattro」、Audi 「RS4 Avant」
・ GKN Driveline製CVJシステム:BMW 「M6 Coupe」、Ford 「Kuga」
(2012年3月7日付プレスリリースより)

合弁事業

-2012年、同社とジェイテクトは、タイにおけるドライブラインに関する合弁事業を解消すると発表した。これにより、GKNは生産合弁会社GKN Driveline JTEKT Manufacturing Limited (GTM) に対するジェイテクトの持分49%を取得し、完全子会社化する計画。一方のジェイテクトは、販売・流通合弁会社GKN JTEKT (Thailand) Limited (GTT)に対するGKNの持分49%を取得し、完全子会社化する。GKNとジェイテクトは今後、トヨタ向けのドライブシャフトの供給などの既存事業を除いて、個々で操業を行う予定。なお、今回の取引によりGKNはジェイテクトへ約7.7百万ポンドを支払う。また、GTMの今後の受注状況によってはさらに1.3百万ユーロを支払うことになる。 (2012年1月27日付プレスリリースより)

受賞

-2012年、GMより「Supplier Quality Excellence Award」を受賞した。今回、この賞を受賞したのは、GKN Sinter Metalsの欧州8工場のうちの1つであるドイツBad Bruckenau拠点。同拠点は、2005年よりGMのStrasbourg工場向けに、オートマチックトランスミッション用のクラッチプレートを納入している。 (2012年11月27日付プレスリリースより)

-2012年、Schaefflerは、ドイツRadevormwaldを本拠とするGKN Sinter Metalsに、2012年度「Supplier Award」を授与したと発表。 (2012年10月12日付プレスリリースより)

開発動向

製品開発

Countertrack 等速ジョイント
-高効率および燃料消費の低減
-SX8 47標準タイプは2013年に立ち上げ予定

フェイススプライン ハブ接続
-軽量、接続時の緩みを除去
-BMW 「7 Series」 に搭載済み。また、新型BMW 「5 Series」、「6 Series」にも2011年末に搭載予定。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ポンド)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
自動車部品部門 159 113 73
粉末冶金部門 47 44 27

英国内投資

-2012年、英国のBirmingham拠点およびTelford拠点に12百万ポンド超を投資すると発表した。Birmingham拠点では従業員650名が勤務し、英国に拠点を置く主要自動車メーカー向けに部品を納入している。Jaguar Land Rover、トヨタ、日産、ホンダ、Bentley、LotusのほかRenault、Fiat、Volvo、Daciaなどが対象。さらに日本、南アフリカ、米国、スウェーデン、ベルギー、イタリア、ポーランド、ルーマニア、トルコなどに輸出も行っている。なお、同拠点は生産のほかに、エンジニアリング設計および試験を行うGKN Driveline拠点の1つでもある。一方、近郊にあるGKN Land SystemsのTelford拠点では、従業員900名を雇用。Land Roverの新型「Range Rover Sport」に構造部品を納入するための製造設備に向けて投資する計画。 (2012年8月10日付プレスリリースより)

海外投資

<中国>
-2012年、中国の江蘇省儀徴 (Yizheng) 市において、GKN Sinter Metalsの新工場の起工式を行った。新工場の敷地面積は3万平方メートルの予定で、投資額は26百万米ドル。自動車用エンジン、トランスミッション、ボディ、シャシーなどに使用する小型精密部品のほか、電動工具や白物家電、工業製品、民生品向けに様々な部品を生産する。2013年第4四半期までに生産を開始する計画で、その時点での部品年産能力は1億ユニットを見込んでいる。 (2012年11月8日付プレスリリースより)

-2012年、中国の吉林省長春 (Changchun) に同社にとって同国で7番目となる工場を開設したと発表。工場面積は13,900平方メートル。従業員250名を雇用し、年間1百万本のサイドシャフトを生産する。第2フェーズの拡張工事で建設される面積10,000平方メートルの工場を加えると、今後5年間以内にサイドシャフトの生産能力は年間4百万本に達する見込み。また、同社は2009年に開設した湖北省武漢 (Wuhan) の工場においても、中国中部の自動車メーカー向けにサイドシャフトを生産している。この面積25,000平方メートルの工場では、2012年末までに2百万本のサイドシャフトを生産する計画。 (2012年4月24日付プレスリリースより)

<ドイツ>
-2012年、ドイツのGKN Driveline Trierが20百万ユーロを投じて、新たなフローラインを開設したと発表。新施設では、CVJ Systemに使用する精密鍛造品の生産を自動化する。この組立ラインを使った生産は、2012年7月1日より開始する予定。 (2012年6月29日付プレスリリースより)

<メキシコ>
-2012年、メキシコCelayaに精密鍛造工場を開設。同国での事業を拡大している。新工場は、同社にとってCelayaで3番目の鍛造工場となる。11.5百万米ドルを投じた新工場の面積は28,300平方メートルで、年間15百万個超の鍛造部品を生産する計画。年内にはフル稼働に達し、その時点での従業員は150名となる見込み。GKN Drivelineは、2005年から1億米ドル超をメキシコ事業に投じており、今後3年間でさらに1億米ドルを投じる計画。これにより、CVJシステムの生産能力を2011年の6百万基から2013年は9百万基に増強する。なお、メキシコの従業員数に関しても、2011年の1,300人から2012年には1,700名に増員する見込み。 (2012年6月7日付プレスリリースより)