The Goodyear Tire & Rubber Company 2012年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2012年
12月期
2011年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 20,992 22,767 (7.8) 1)
営業利益 1,248 1,368 (8.8) -

要因
1) 売上高
-2012年12月期の売上高は前年比7.8% (18億ドル) 減少の21億ドル。主に欧州/中東/アフリカにおけるタイヤ生産量の減少 (1,639百万ドル)、為替差損 (766百万ドル)、および北米タイヤのタイヤ関連事業 (主に化学製品) の売上減少 (489百万ドル) が主な要因。一方、製品・価格ミックスの好転 (1,223百万ドル) により一部相殺。

販売数量

-補修用、OE用を合わせた、各地域での販売数量は下記のとおり。
  (単位:百万本)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
北米タイヤ 補修用 44.5 50.0 50.8
OE 18.1 16.0 15.9
欧州/中東/アフリカタイヤ 補修用 46.4 56.8 55.6
OE 16.3 17.5 16.4
南米タイヤ 補修用 11.8 13.0 13.9
OE 6.3 6.8 6.8
アジア太平洋地域タイヤ 補修用 11.7 12.4 12.7
OE 8.9 8.1 8.7
小計 補修用 114.4 132.2 133.0
OE 49.6 48.4 47.8
合計 164.0 180.6 180.8

-2012年の世界におけるタイヤ販売数量は前年比9.2% (16.6百万本) の減少。景気後退により、欧州/中東/アフリカにおける一般補修用事業が減少したこと、また北米タイヤは需要の減少と一般向けタイヤの生産量が減少したことにより、補修用タイヤは前年比13.5% (17.8百万本) 減少した。一方で、北米タイヤのOE用タイヤが前年比2.4% (1.2百万本) 増加したことで一部相殺。

受注

-「Dunlop SP Sport 5000」タイヤがマツダのスポーツセダン「Mazda6」の2014年モデルに採用されたと発表。このモデルは2013年はじめに発売される予定。タイヤサイズはP225/45R19となる。(2012年11月29日付プレスリリースより)

-Ford 「Shelby GT500」の2013年型に、同社の「Eagle F1 SuperCar G:2」タイヤが再度採用されたと発表。タイヤサイズはP265/40ZR19 (フロント) およびP285/35ZR20 (リア) となる。(2012年10月9日付プレスリリースより)

-日本グッドイヤーは、環境対応型タイヤ「エフィシエントグリップ」が、トヨタ自動車の新型「Auris」に採用されたと発表した。エフィシエントグリップは、欧州グッドイヤーが開発、非対称パターンを採用した。低転がり性能を持たせるとともに、排水性や静粛性にも優れる。採用サイズは、205/55R16 91V。(2012年9月25日付日刊自動車新聞より)

-日本グッドイヤーは、乗用車用タイヤ「デュラグリップ」が、トヨタ自動車の新型「Corolla Axio」に採用されたと発表した。技術承認を取得したサイズは175/70R14 84S。同タイヤは欧州グッドイヤーが開発、非対称パターンを採用した。低転がり性能を実現するとともに、排水性と静粛性を高い次元で両立している。(2012年5月28日付日刊自動車新聞より)

-日産とDunlopが共同開発した「SP Sport Maxx GT 600 DSST CTT」タイヤが、日産 「GT-R」の2013年モデルに新車装着されたと発表。タイヤサイズはP255/40ZRF20 (フロント) およびP285/35ZRF20 (リア)。このタイヤの走行テストは、ドイツのNurburgringで行われた。(2012年4月5日付プレスリリースより)

-日本グッドイヤーは、トヨタ自動車の新型ハイブリッドカー「Aqua」の「Lグレード」の標準装着用タイヤにグッドイヤーの「デュラ・グリップ」が採用されたと発表した。デュラ・グリップは、欧州グッドイヤーが開発した非対称パターンを採用した乗用車用サマータイヤで、燃費向上に貢献する低転がり抵抗を実現しながら、排水性や静粛性でも高いレベルを達成したとしている。(2012年1月12日付日刊自動車新聞より)

-同社は米国Detroitにおける北米国際自動車ショーで展示されるGMのコンセプトカー「Chevrolet Code 130R」および「Chevrolet Tru 140S」に、同社製タイヤが装着されていると発表。このタイヤは、米国オハイオ州AkronのGoodyearの拠点Tire Design Studioにおいて、GMと共同開発され、同社のルクセンブルク工場で生産された。(2012年1月10日付プレスリリースより)

見通し

-同社は長期的に世界のタイヤ産業は成長していくと見ているが、短期では欧州の景気後退により成長スピードは遅いと予測。2013年12月期の北米タイヤにおいては、一般補修用市場は横這いから2%の増加、一般OE市場は5%の増加、商用車補修用およびOE市場は横這い。2013年12月期の欧州においては、一般補修用市場は横這いから2%の増加、一般OE市場は5%の減少、商用車補修市場は5%の増加、商用車OEは横ばいから5%の増加と見込む。2013年通期のタイヤ販売数量は2012年と比べて1ケタ成長にとどまると予測。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
全社 370 369 342

 

研究開発体制
-3カ所の研究・開発施設および技術センター、3カ所のタイヤ性能試験場を所有・運営する。

技術提携

-同社とDuPont Industrial Biosciencesは、石油ベースのイソプレンに代わるバイオ素材の「BioIsoprene」を共同開発している。この「BioIsoprene」は、天然ゴムを代替する合成ゴムやその他のエラストマーの生産に使用が可能。この技術を開発することにより、タイヤ・ゴム産業は石油由来製品への依存を軽減できる。両社は2008年より協業を開始しており、最近になって「BioIsoprene」モノマーを使用したタイヤ試作品の開発・実証を行った。なお、DuPontは2011年5月に、デンマークのDaniscoとDanisco傘下で「BioIsoprene」製品の研究・開発を行うGenencorを買収している。(2012年3月6日付プレスリリースより)

製品開発

大豆油を使用したタイヤ
-同社は、イノベーションセンターで行った試験により、大豆油を使用したタイヤがトレッド寿命を10%延長するとともに、同社の石油使用量を年間最大7百万ガロン削減する可能性があることがわかったと発表した。米国オクラホマ州のLawton拠点で製作したプロトタイプタイヤを、今後数ヶ月以内にテキサス州San Angeloの性能試験場でテストする予定。この大豆油を使用したタイヤは、早ければ2015年に販売される見込み。なお、この同社のプロジェクトには、全米大豆基金財団 (USB) より2年間で50万米ドルの助成金が授与されている。(2012年7月24日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
北米タイヤ 212 236 319
欧州/中東/アフリカタイヤ 344 240 183
ラテンアメリカタイヤ 250 237 135
アジア太平洋地域タイヤ 286 314 281
セグメント合計設備投資額 1,092 1,027 918
その他 35 16 26
合計 1,127 1,043 944