Federal-Mogul Holdings Corporation 2014年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2014年12月期 2013年12月期 増減率
(%)
要因
売上高 7,317 6,786 7.8 1)
EBITDA 624 591 5.6 -
部門別売上高
-パワートレイン 4,430 4,173 6.2 2)
-モーターパーツ 3,192 2,935 8.8 3)

要因
1) 全社
-2014年12月期の売上高は、前年比7.8%増。為替差損の51百万ドルを除けば、売上高は前年比9%増となる。

2) パワートレイン
-2014年12月期の売上高は、前年比6.2%増。すべての販売地域において売上と市場シェアの拡大が見られた。地域別では、欧州で前年比6%増、北米で同9%増、その他地域が同12%増。

3) モーターパーツ
-2014年12月期の売上高は、前年比8.8%増。主にAffiniaグループのシャシー事業の買収と、Honeywell社のブレーキ事業の買収に因る。地域別では、欧州が前年比3%減、主に東欧での売上減による。その他地域が同4%増、中国およびインドでアフターマーケット売上が好調。

再編

-2014年4月15日、Federal-Mogul CorporationからホールディングカンパニーであるFederal-Mogul Holdings Corporationへの株式異動を完了した。

-2014年9月、パワートレイン (Powertrain) 部門とモーターパーツ (Motorparts) 部門をそれぞれ独立した株式会社にすると発表した。分割は、モーターパーツ部門を分社化する形で行う予定。同部門は、20を超えるブランドの製品をアフターマーケット向けにグローバルで販売しているほか、自動車メーカー向けにブレーキ、シャシー、ワイパーの関連製品を納入している。スピンオフの手続きは2015年年末に向けて完了する見込み。

買収

-2015年2月、TRWのエンジンバルブ事業の買収に関して、手続きが完了したと発表。買収金額は385百万ドル。今回買収された事業はドイツのBarsinghausenを本拠とし、世界に約4,000名の従業員を雇用している。同事業の合弁会社 (ベネズエラを除く) は含まれていない。TRWのエンジンバルブ事業は、乗用車用エンジン・大型エンジン、産業用・船舶用の大口径エンジン向けに、エンジンバルブの開発および生産を行っており、グローバルの売上高は年間610百万ドル。

-2014年7月、モーターパーツ部門がHoneywellの摩擦材事業 (Friction Materials) の大部分の買収を完了したと発表。買収金額は約155百万ドル。Honeywell Friction Materialsは乗用車・小型トラック・商用車のほか、鉄道など産業機器向けのディスクブレーキパッドやブレーキシステム部品を生産し、自動車メーカーやアフターマーケット向けに供給している。ドイツのGlindeを本拠とし、ルーマニアと中国に主要拠点を置く。今回買収した事業の拠点は欧州・中国・ブラジルのみで、米国は含まれていない。また、この買収には米国におけるBendixブランドの製品や資産などは含まれていない。

-2014年5月、Affiniaグループの買収を完了した。買収金額は約149百万ドル。今回買収された事業は米国のアフターマーケット顧客にプライベートレーベルのシャシー製品を販売するもので、同社の製品ラインアップを拡大し、運営のシナジー効果を狙う。

合弁事業

-2014年6月、同社と安慶環新集団有限公司 [Anqing Huanxin Group Co., Ltd.] が設立した環新輝門粉末冶金有限公司 [Huangxin Federal-Mogul Powder Metallurgy Co., Ltd.] は安慶で生産拠点建設の着工式を行った。合弁会社の総投資額は50百万ドル。バルブシートインサートとバルブガイドの生産を行う。2015年生産開始予定で、2018年には売上高は80百万ドルに達する見込み。 (2014年6月24日付けプレスリリースより)

受注

-「Ward's 10 Best Engines」に選出されたエンジンのうち9基にパワートレイン部門の製品が採用されたと発表。これらのエンジンは、2015年モデルの車両に搭載されている。
・BMWの127kW電気モーター: 「i3」
・BMWの1.5LターボチャージャーDOHC直列3気筒: 「Mini Cooper」
・FCAの6.2LスーパーチャージャーOHV Hemi V型8気筒: 「Dodge Challenger SRT Hellcat」
・FCAの3.0L Ecodiesel DOHC V型6気筒: 「Ram 1500」
・Fordの1.0L Ecoboost DOHC DI直列3気筒: 「Fiesta」
・GMの6.2L LT1 OHV DI V型8気筒: 「Chevrolet Corvette Stingray」
・スバルの2.0LターボチャージャーDOHC DI Boxer水平対向4気筒: 「WRX」
・Volkswagenの1.8L TSIターボチャージャーDOHC直列4気筒: 「Golf」
・Volvoの2.0LターボチャージャーT5 DOHC直列4気筒: 「S60」
これらのエンジンには、ピストン、リング、ライナー、バルブシート、バルブガイド、ベアリング、ブッシュ、シール、ガスケット、システム保護製品などさまざまなFederal-Mogul Powertrainの製品が採用されている。 (2015年1月14日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 192 173 173
売上高に占める割合 (%) 2.6 2.5 2.7

研究開発拠点数

(2014年12月31日現在)
  北米 欧州・中東・アフリカ その他地域
テクニカルセンター 8 5 1

研究開発拠点

<米国>
-ミシガン州Plymouth、イリノイ州Skokie、ミシガン州Ann Arbor、ペンシルバニア州Exton、ミズーリ州St. Louis、ウィスコンシン州Waupun

<海外>
-ブラジル:Araras
-ドイツ:Burscheid、Nuremberg、Wiesbaden、Bad Camberg
-ベルギー:Aubange
-英国:Chapel-en-le Frith、Coventry
-フランス:Noyon Codex
-中国:上海

製品開発

ピストンリング
-パワートレイン部門は、さまざまな技術や素材、設計を組み合わせることで、大型ディーゼルエンジン車向けピストンリングの大幅な摩擦低減を実現した。この摩擦低減に向けた取り組みは、同社の「DuroGlide」ピストンリングコーティングや「LKZ」ピストンリング、高度に精製された鋳鋼材料「GOE70」を用いた縦型鋳造プロセスなど、新たな技術やプロセス、素材により可能になった。 (2014年9月23日付プレスリリースより)

クラッチピストン
-パワートレイン部門は、新型の高剛性クラッチピストン「Unipiston」を開発した。クラッチにかかる圧力の増加、クラッチの高速化や大口径化などに対応する柔軟なトランスミッションの設計を可能にした。この「Unipiston」は、すでに量産が開始されている。 (2014年9月18日付プレスリリースより)

スチールエラストマーヘッドガスケット
-パワートレイン部門は、シリンダー圧力が最大250バール、排気温度が最大1000℃の環境下でも安定した作動を実現するスチールエラストマーヘッドガスケットを提供している。商用車用エンジンのCO2低減・効率化をサポートするもの。この製品は、多層スチール (MLS) 技術とエラストマー系流体シールを組み合わせることで、燃焼ガスとエンジンフルードの両方を最適に密閉する。同社の高温合金 (HTA) と高温コーティング (HTC) は、従来のステンレス鋼やグラファイト材料に比べて、高温下でもエキゾーストジョイントの高い密着性を実現するという。 (2014年8月21日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
パワートレイン 268 276 278
モーターパーツ 130 86 86
全社 20 13 16
非継続事業 - 5 7
合計 418 380 387

海外投資

<中国>
-2014年11月、パワートレイン部門は、中国におけるパワートレイン部品の需要拡大に対応するため、上海にある2つのエンジンベアリング工場 (上海菲特爾莫古軸瓦有限公司 [Federal-Mogul Shanghai Bearing]と上海菲特尓莫古複合材料有限公司 [Federal-Mogul Shanghai Compound Material Co., Ltd.] ) を移転し、より大きな工場に統合したと発表。上海の周浦智慧産業園に建設された新工場は、上海汽車 (SAIC) 子会社の華域汽車系統股份との合弁会社。Federal-Mogulが過半数株式を所有する。面積は215,000平方フィート、自動車メーカー向けにベアリング、ブッシュ、スラストワッシャーを生産する予定。今後5年間で、中国顧客向けのエンジンベアリングの生産能力を現在の2倍に引き上げる計画。また、新工場では同社独自のIROXベアリングの現地生産も立ち上げ、中国市場向けに供給する。

-2014年10月、パワートレイン部門は、中国の江蘇省常熟 (Changshu) 市にシステム保護製品工場を開設したと発表。同国内の自動車、高速鉄道、航空などの市場向けに供給する。工場面積は7,000平方メートル。新工場の開設により、エキゾースト絶縁スリーブ「Thermflex」を含むシステム保護製品の生産能力を拡大する。「Thermflex」は特殊天然繊維でつくられ、排出ガスを十分に分解できるようエキゾーストパイプ内の熱を効率的に維持することができる。主に粒子状物質 (PM) や一酸化炭素の排出低減に向けて、乗用車のほか中国国内の公共輸送車両に使用されるという。 (2014年10月23日付プレスリリースより)

-2014年4月17日、同社の青島工場はピストンの生産能力増強のための拡張工事を開始した。完成後、工場面積は30%拡大する。2014年下半期よりグローバル自動車メーカー3社に対して、ピストン「Elastoval」の改良版を供給する。同ピストンはエンジンプラットフォームの中国現地化生産に適しているという。また、中国の中・高級乗用車ガソリンエンジン向けにアルミピストン「Elastoval Ⅱ」を生産する。「Elastoval」は構造の高強度化と、ピストンスカート部に低フリクション性および耐摩耗性コーティングを施すことで軽量化を実現しているという。 (2014年5月4日付け各種リリースより)

<メキシコ>
-2014年10月、パワートレイン部門は、メキシコのPueblaにピストンリング工場を開設したと発表。新工場では、北米・南米の自動車メーカー向けにスチール製および鋳鉄製のピストンリングを生産する。まず従業員120名を雇用し、今後数年間でさらに拡張する計画。この新工場の開設により、パワートレイン部門のメキシコ生産拠点は合計7カ所となった。 (2014年10月9日付プレスリリースより)

<韓国>
-2014年4月、アジア市場における鉛フリーエンジンベアリングの需要拡大に対応するため、韓国の世宗 (Sejong) 市にある生産工場を拡張したと発表。同社は、ドイツWiesbadenのGlobal Bearing Technology Centerでこの無鉛エンジンベアリングの開発を行い、世界の複数の拠点で生産を行っている。 (2014年4月30日付プレスリリースより)