Federal-Mogul Holdings Corporation 2013年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2013年12月期 2012年12月期 増減率
(%)
要因
売上高 6,786 6,444 5.3 1)
EBITDA 587 488 20.3 -
パワートレイン部門
売上高 4,173 3,926 6.3 2)
車両部品部門
売上高 2,935 2,853 2.9 3)

要因
1) 全社
-2013年12月期の売上高は、前年比5.3% (342百万ドル) 増。このうち為替差益は24百万ドル、BorgWarnerの部門買収で得られた売上43百万ドル、欧州でのイグニッション製品の代理店からの売上112百万ドルとなった。残り163百万ドルが本業の売上増加分となる。

2) パワートレイン部門
-2013年12月期の売上高は、前年比6.3% (247百万ドル) 増。このうちBorgWarnerの部門買収で得られた売上は43百万ドル、外部への販売増202百万ドル。地域別売上は、北米で前年比10%増、その他地域が同12%増、欧州が同1%増。

3) 車両部品部門
-2013年12月期の売上高は、前年比2.9% (82百万ドル) 増。このうち欧州でのイグニッション製品の代理店からの売上は112百万ドル。本業の売上は39百万ドルのマイナス。地域別売上は、北米で前年比3%減、その他地域が同11%減、欧州が同4%増。

売却

-同社のパワートレイン部門が2013年6月28日をもってコンロッド事業とカムシャフト事業を、米国のJD Normanに売却すると発表した。売却したのは、カナダのWindsorに有する同社唯一のコンロッド製造工場と英国・グロスタシャー州Lydneyに有する同じく同社唯一のカムシャフト工場。(2013年7月1日付プレスリリースより)

-同社のフューエルシステム事業がCarter Fuel Systems, LLCに売却された。この事業は製品としてフューエルデリバリーモジュール、フューエルポンプ、ハンガーアッセンブリー、ベイパーセパレーターを含み、顧客として小型車アフターマーケット、大型・オフロード車と船舶メーカーを含んでいる。 (2013年9月30日付同社発表より)

買収

-同社は、子会社のFederal-Mogul InvestmentsがロシアのDimitrovgradを本拠とする非公開会社DZV Bearingsを買収することで正式合意したと発表した。2013年内または2014年第1四半期に買収手続きが完了する予定。DZVは、エンジンベアリング、ブッシュ、スラストワッシャーを生産し、ロシアの商用車メーカーおよび産業用エンジンメーカーに納入している。従業員数は375名。なお、Federal-Mogulのパワートレイン部門は、ロシアにおいてNaberezhnye Chelny工場でピストン、ピストンリング、ライナーを生産しているほか、Togliatti工場でピストンの生産を行っている。 (2013年12月2日付プレスリリースより)

受注

-グローバル自動車メーカー3社より鉛の使用を低減またはゼロにしたブレーキパッドを受注したと発表した。2014年モデル以降の小型車用プラットフォームに採用される予定。これにより、2015年までに同社の「Eco-Friction」パッドは100万台超の車両に使用されることになるという。Federal-Mogulは、この製品のエンジニアリングを米国・欧州・アジアの技術センターで行い、世界の複数の拠点で生産している。 (2013年9月16日付プレスリリースより)

増産

-ポリマーコーティングを施したエンジンベアリング「IROX」の生産量を、2016年より年間70百万ユニット超にする見込みと発表した。今後3年間で、北米で生産される小型および大型商用車用エンジンの30%に、同社のIROXベアリングが採用される予定。この製品のエンジニアリングは、ドイツのWiesbadenおよび米国ミシガン州のPlymouthにある技術センターで行われ、生産は世界の複数拠点で行われている。また、このベアリングは発売から3年以内で、自動車メーカー4社に採用された。 (2013年4月25日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
合計 173 173 166
売上高に占める割合 (%) 2.5 2.7 2.5

研究開発拠点数

(2013年12月31日現在)
  米国・カナダ 欧州 その他地域
テクニカルセンター 9 5 2

<米国>
-ミシガン州Plymouth、イリノイ州Skokie、ミシガン州Ann Arbor、ペンシルバニア州Exton

<海外>
-ドイツ:Burscheid、Nuremberg、Wiesbaden、Bad Camberg
-英国:Chapel
-フランス:Crepy
-中国:上海
-インド:Bangalore
-日本:横浜

製品開発

ワイヤーハーネス保護スリーブ
-パワートレイン部門は、乗用車、大型トラックおよびオフハイウェイ車向けのワイヤーハーネス保護スリーブ「FastWrap」を開発した。高密度の織物構造により、耐摩耗性と柔軟性に優れるため、容易に組み付けることが可能。繊維はポリエステルモノフィラメントとマルチフィラメントで構成されており、150℃までの耐熱性を実現し、エンジンフルードに対する耐性を持つという。製品は3サイズで、ワイヤーハーネス束の直径8ミリから40ミリまで対応可能。すでに大手欧州OEMメーカーが採用を決定しており、パイロット規模での生産が始まっている。量産開始は2013年後半を予定。 (2013年10月28日付プレスリリースより)

ピストン
-パワートレイン部門は、次世代の小型ガソリンエンジン用の新型ピストン「Elastothermic」を発表した。精度や耐久性のレベルを下げることなく、出力密度および圧縮比を向上させることができる。この新型ピストンは、同社のガソリンエンジン用ピストン「Elastoval」の低質量・低摩擦構造を採用しているほか、冷却空洞をピストンクラウンの高い位置に設計している。この設計によりクラウンの温度を低下させ、高温・高圧のエンジンにおいてもデトネーションやノッキングのリスクを軽減することが可能になる。開発は、ドイツNurembergにある同社の研究開発センターで行った。生産は2013年中に開始する計画。なお、アジア・北米・欧州の自動車メーカーは、この新型ピストンを採用したエンジンの開発を進めている。 (2013年7月30日付プレスリリースより)

ピストンリング
-パワートレイン部門は、新しいピストンリングコーティング技術「DuroGlide」を開発した。ガソリンエンジンや軽量および大型ディーゼルエンジン向け。試験の結果、「DuroGlide」でコーティングしたピストンリングは、従来のものに比べて最も高い耐久性を持つという。また、エンジンの種類によって小型車で最大1.5%の燃費向上、1kmあたり3gのCO2削減に貢献する。さらに、これまで50%程度であったダイヤモンド構造炭素の濃度をさらに高濃度にすることで、極めて高い硬度と耐摩耗性を実現。全ての鋳鉄製・鋳鋼製ピストンリングに適用が可能となる。開発はドイツのBurscheidで行い、同拠点で2014年中に複数のガソリンおよびディーゼルエンジン向けに生産を開始する予定。 (2013年5月21日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
パワートレイン部門 276 278 259
車両部品部門 86 86 68
全社 13 16 14
非継続事業 5 7 7
合計 380 387 348

海外投資

<中国>
-合弁会社2社「上海菲特爾莫古軸瓦有限公司 (Federal-Mogul Shanghai Bearing)」、「上海菲特尓莫古複合材料有限公司 (Federal-Mogul Shanghai Compound Material Co., Ltd.)」と華域汽車系統股份有限公司は2012年12月12日、上海浦東の周浦で新生産拠点建設の鍬入れ式を行った。新しい生産拠点は華域汽車とFederal-Mogulが3.8億元を共同出資し建設する。敷地面積は4.2万平方メートル。ベアリング、ブッシュ、スラストワッシャーなどのエンジン部品を生産する。現在6本あるベアリング生産ラインを10本まで増やすとともに、環境対応車に応用できる「IrOx」コーティングベアリングの生産ラインを国外から導入するなどして、ベアリング生産能力を大幅に引き上げる。完工は2013年11月。2014年12月までに移転を完了する予定。なお、Federal-Mogul Shanghai Bearingは過去3年間、毎年平均30%の売り上げ増を達成しているという。 (2013年1月14日、各種リリースより)