Federal-Mogul Corporation 2011年12月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万ドル) |
2011年12月期 | 2010年12月期 | 増減率 (%) |
要因 | |
売上高 | 6,910 | 6,219 | 11.1 |
1) |
EBITDA | 702 | 671 | 4.6 | - |
パワートレインエネルギー | ||||
売上高 | 2,304 | 1,860 | 23.9 | 2) |
パワートレイン用シーリング・ベアリング | ||||
売上高 | 1,266 | 1,096 | 15.5 | 3) |
車両セーフティー・保護 | ||||
売上高 | 1,015 | 936 | 8.4 | 4) |
要因
1)
全社
-2011年12月期の売上高は、11%増(691百万ドル増)の6,910百万ドル。米国外の売上が60%を超えるため、主に対ユーロドル安による為替差益(157百万ドル)が売上を押し上げた。
2)
パワートレインエネルギー
-2011年12月期の売上高は、24%増(444百万ドル増)の2,304百万ドル。全地域においてOEMの生産台数が増加、および市場シェアの拡大(344百万ドル増)、Daros Groupの買収効果(16百万ドル増)、米国外の売上が80%を超えることによる為替差益(60万ドル)、価格設定が奏功(24百万ドル増)したことが主な要因。
3)
パワートレイン用シーリング・ベアリング
-2011年12月期の売上高は、16%増(170百万ドル増)の1,266百万ドル。全地域においてOEMの生産台数が増加、および市場シェアの拡大(122百万ドル増)、米国外の売上が約70%であることによる為替差益(31百万ドル増)、価格設定が奏功(17百万ドル増)したことが主な要因。
4)
車両セーフティー・保護
-2011年12月期の売上高は、8%増(79百万ドル増)の1,015百万ドル。全地域においてOEMの生産台数が増加、および市場シェアの拡大(49百万ドル増)、買収効果(1百万ドル増)、米国外の売上が約70%であることによる為替差益(34百万ドル増)。納入先からの値引き要請の継続(4百万ドル減)が主な要因。
受注
-Mercedes-Benzと共同で開発したピストンが、DaimlerのV6ディーゼルエンジンに採用されていると発表。同社の生産プロセス「DuraBowl」を用いることで、ピストンの耐熱・耐久性を高めることに成功した。(2011年9月1日付プレスリリースより)-防音材「QuietShield GRN」を2012年モデルのGM「Buick Verano」に納入し、キャビン内の騒音低減に貢献している。吸音材として「Verano」のヘッドライナーに使用されるもの。この製品は、「Buick LaCrosse」の2010年モデルに初めて採用された。なお、「QuietShield GRN」はヘッドレスト・ヘッドライナー・ドアおよび蹴板・トランクライナーなどのライニングや防音パッドに使われている。(2011年6月21日付プレスリリースより)
-Fordの2011年型「Explorer」に様々な部品を納入している。3.5L GTDIエンジンには、シリンダーヘッド、エキゾーストマニホールド、オイルターボガスケット、メインベアリング、フランジベアリング、ロッドブッシュなどが採用された。また、トランスミッションには同社のユニピストンとブッシュが搭載。ブレーキライン、フューエルライン、HVACシステム、電線には耐熱カバー、機械カバーが使用されている。さらに、エクステリアランプ向けに小型ソケットも納入している。(2011年1月13日付プレスリリースより)
-GMの電気自動車「Chevrolet Volt」(2011年モデル)向けに部品供給を行うと発表。対象となるのは、同社のSystems Protectionグループが開発した耐摩耗性カバーで、リチウムイオン電池パック冷却システム、ブレーキシステム、高圧電気システムなどに使用する。「Chevrolet Volt」のリチウムイオン電池パック向け高圧システムは、同社のホースカバー「FlexFit」および「FlexGuard」を採用している。また、高圧ケーブルシステムには「TwistTube 2420」、ブレーキラインには「ShrinkGard」が使用される。(2011年1月6日付プレスリリースより)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万ドル) |
2011年12月期 | 2010年12月期 | 2009年12月期 | |
合計 | 172 | 156 | 140 |
OEM向け売上高に占める割合 | 3.8% | 4.0% | 4.7% |
研究開発拠点 |
(2011年12月31日現在) |
米国・カナダ | 欧州 | その他地域 | |
テクニカルセンター | 8 | 7 | 2 |
<米国>
-ミシガン州Plymouth、イリノイ州Skokie、ミシガン州Ann Arbor、ペンシルバニア州Exton
<海外>
-ドイツ:Burscheid、Nuremberg、Wiesbaden、Bad Camberg
-英国:Chapel
-フランス:Crepy
-中国:上海
-インド:Bangalore
-日本:横浜
製品開発
ライト-手の動きで操作可能なタッチフリーのLEDインテリアランプを新開発した。最初の製品は、天井コンソールに設置するドームランプで、静電容量センサーが統合されている。コンソールやインストパネルのスイッチを探す手間を省き、運転に集中することが可能になる。今後、ドアポケットなどの収納スペース向けのランプにも採用が拡大する見込み。なお、この製品の開発は、米国のミシガン州Ann Arborにある同社のテクニカルセンターで行われた。(2011年12月12日付プレスリリースより)
-LEDと新型ランプレンズ「NovaLens」を組み合わせた自動車用超薄型インテリアランプを開発した。従来のランプの厚さ30mm超に比べて、新製品の厚さは12mm。最大60%の小型化を実現している。また、同等の白熱電球が消費電力10Wなのに対して、LEDの消費電力は2W未満。これにより、CO2排出・バッテリー消費の削減に貢献する。さらに、「NovaLens」はLEDの光を反射・屈折し、レンズ全体からの均一な照明を可能にする。このルームランプは、2012年中に販売開始となる予定。なお開発は、米国のミシガン州Ann Arborに位置する同社のLighting Technical Centerで行われた。(2011年12月6日付プレスリリースより)
摩擦材
-ドイツ Bad Camberg拠点の研究開発チームが、Daimlerの大型トラック「Mercedes-Benz Actros」のフロントおよびリアアクスル向けに、Ferodoブランドの摩擦材2種類を開発したと発表。フロントアクスルには、Knorr-Bremse製キャリパー「SN7-30」が、リアアクスルには同じくKnorr-Bremse製キャリパー「SN7-25」が装着。これらのアクスルに使用されるFederal-Mogul製摩擦材は、優れた熱分布機能を持ち、激しい振動を抑制することで快適性を向上させる。また、高温でも高いブレーキ性能を発揮する。(2011年9月16日付プレスリリースより)
イグニッション
-2011年フランクフルトモーターショーにおいて、イグニションシステム「Advanced Corona Ignition System (ACIS)」を発表する。従来のイグニションコイル・スパークプラグに比べて高い点火エネルギーを供給。希薄・希釈燃焼が可能で、最大10%の燃費向上を実現した。(2011年8月30日付プレスリリースより)
ピストンリング塗装技術
-ピストンリング塗装技術「CarboGlide」を新開発した。リングの摩擦を抑え、従来の窒化物などによるコーティングに比べて、最大20%の燃費向上・CO2削減を実現するもの。高い耐摩耗性を持ち、エンジン寿命を延長する。この技術は、ドイツ Burscheidのテクニカルセンターで開発され、今年から複数カーメーカーのエンジンに採用される予定。(2011年8月8日付プレスリリースより)
システム保護
-高圧ケーブル用保護材「CrushShield」を開発した。電気自動車およびハイブリッド車が衝突した際、乗員保護に貢献するもの。電気ケーブルを囲い、他の部品から電気系統を隔離する。また、連邦自動車安全基準「FMVSS305」を達成し、既にハイブリッド車向けに生産が開始されている。なお「CrushShield」は、米国のペンシルベニア州Exton、日本の湘南、フランスのCrepy-en-Valois拠点の共同チームにより開発された。(2011年7月13日付プレスリリースより)
燃料ポンプ
-電動ブラシレスディーゼル燃料ポンプを開発した。ディーゼルエンジンメーカーおよびディーゼル燃料フィルターメーカーへ供給している。このポンプは12ボルト・24ボルト用で、中型・大型のオンハイウェイ車に搭載されるディーゼルエンジン向け。この電動ブラシレスポンプは同社の耐久性試験で、従来のポンプより約20倍の寿命を持つことが実証された。米国インディアナ州のLogansportテクニカルセンターで開発され、生産はLogansport工場で行われている。(2011年6月27日付プレスリリースより)
防音ヒートシールド
-コルゲート加工済みのアルミ製ヒートシールド「Nimbus GII」を開発した。従来のサンドイッチ構造のヒートシールドに比べて、最大約80%の軽量化および15%から30%の耐熱性向上を実現。生産は同社のSkokie(米国イリノイ州)、Port Elizabeth(南アフリカ共和国)、Tepotzilan(メキシコ)、南昌(Nanchang:中国江西省)の各拠点で行い、複数のカーメーカー向けに供給する予定。(2011年5月9日付プレスリリースより)
投資
設備投資額
|
(単位:百万ドル) |
2011年12月期 | 2010年12月期 | 2009年12月期 | |
パワートレインエネルギー | 177 | 119 | 76 |
パワートレイン用シーリング・ベアリング | 81 | 58 | 44 |
車両セーフティー・保護 | 69 | 51 | 38 |
グローバルアフターマーケット | 6 | 5 | 2 |
全社 | 15 | 18 | 16 |
合計 | 348 | 251 | 176 |
海外投資
<インド>-インド子会社が2011年初めに、同国Chennaiでブレーキ摩擦材工場の建設に着工したと発表。敷地面積は10エー カー、工場建屋面積は38,000平方メートル。同社は、この建設に約15百万米ドルを投じる計画。生産は2011年末までに開始する見込み。同工場では まず、小型車向けのノンアスベストオーガニックのディスクブレーキパッドおよび、商用車向けのハーフブロックライニングを生産する。フル稼働時には約 300名の従業員を雇用する見込み。なお、同社のインド事業における売上額は約250百万米ドル。Bangalore、Bhiwadi、 Parwanoo、Patiala、Radrapurに7工場を保有する。今回建設するChennai工場は、同社にとってインドで8番目の生産拠点とな る。(2011年9月26日付プレスリリースより)