Eaton Corp. 2012年12月期の動向

ハイライト

業績

 (単位:百万ドル)
  2012年12月期 2011年12月期 増減率
(%)
要因
全社
売上高 16,311 16,049 1.6 -
営業利益 2,216 2,260 (1.9) -
自動車部門
売上高 1,605 1,746 (8.1) 1)
営業利益 150 209 (28.2) -
トラック部門
売上高 2,309 2,644 (12.7) 2)
営業利益 420 486 (13.6) -

要因
1)
-2012年12月期の自動車部門の売上高は、前年比8%の減少。内訳は、為替要因による減収分4%、2011年の事業売却に伴う減収分3%、本業の製品売上の減収分1%。製品売上の減収は欧州市場の落ち込みが主因。

2)
-2012年12月期のトラック部門の売上高は、前年比13%の減少。内訳は、本業の製品売上の減収分7%、為替要因による減収分6%。本業の製品売上の減収は、米国景気の先行き不透明感に伴う北米のClass 8トラック市場の落ち込みとブラジルのトラック・バスの販売台数の減少が背景。

企業買収

-2012年、電気機器メーカーCooper Industriesの買収を完了したと発表。今回の買収に関しては、2012年5月21日付で発表済み。買収金額は130億米ドルとなった。両社の統合により、パワーマネジメント製品の新会社として「Eaton Corporation plc」が設立。完全統合には2、3年を要するとみられる。EatonとCooperの2012年9月期決算を合わせると、Eaton Corporation plcの年間売上見込みは218億米ドルとなる。 (2012年11月30日付プレスリリースより)

-2012年、電気機器メーカーのCooper Industriesを買収することで正式合意したと発表。パワーマネジメント製品事業と電気事業の生産能力・拠点範囲を大幅に拡大する。買収手続きは2012年後半に完了する見込みで、その際両社はCooperが本拠を置くアイルランドに新会社「Eaton Global Corporation Plc」を設立する予定。年間売上額は、2016年までに約535百万米ドルに達する見込み。出資比率はEatonが約73%、Cooperが約27%となる。 (2012年5月21日付プレスリリースより)

事業提携

-2012年、同社とMitsubishi Motors North Americaは、米国ハワイ州にEV用充電ステーションを共同で設置すると発表した。近くオアフ島のKo Olina Resortに、Eaton製の超急速充電ステーション「DC Quick Charger」を1台設置する予定。この充電ステーションは、CHAdeMO仕様の急速充電ポートを装備したEVであれば無料で使用できる。2012年モデルの三菱 「i」 に関しては、30分以内でメインのリチウムイオン電池パックを80%まで充電可能。なお、この充電ステーションの設置会社Volta Industriesは、まずオアフ島の2ヶ所のショッピングエリアに、レベル2充電ステーション4基を設置すると発表している。さらに、今後1年にわたって、無料で利用可能なレベル2充電ステーション数十基を同島内に配備する計画。 (2012年3月29日付プレスリリースより)

-2012年、同社と米国のEVインフラ会社Coulomb Technologiesは、北米におけるEV用充電ステーションのネットワークを拡大する計画を発表した。今回の計画は、Eaton製充電ステーション「Pow-R-Station Level II」および「Pow-R-Station DC Quick Charger」を、CoulombのEV用充電サービスネットワーク「ChargePoint Network」に接続させるもの。これに伴い「Pow-R-Station」は、サービスの集中管理インフラ、自動課金、24時間対応のドライバーサポート、リアルタイムでのステーション利用可能情報サービスなど、「ChargePoint Network」の全ての機能とサービスプランに接続可能となる。 (2012年1月9日付プレスリリースより)

受賞

-2012年、日産より「Global Innovation Award」を受賞したと発表。同社は日産 「Micra」 向けに、TVSスーパーチャージャーを納入している。 (2012年8月21日付プレスリリースより)

受注

-2012年、Eatonの大型車用自動マニュアルトランスミッション「UltraShift PLUS」は、Westport Innovationsの15L高圧直噴液化天然ガスエンジン「Westport HD」に採用されている。最大総重量が11万ポンド (50トン) 超の車両に対応するこのエンジンおよびトランスミッションは、Kenworth 「T800」 とPeterbilt 「367」・「386」・「387」に搭載。なお、Eatonの「UltraShift PLUS」は現在、北米の大手ディーゼルエンジンメーカーであるCumminsDetroit Diesel、Caterpillar、International/Navistar、Volvoなどに採用されている。 (2012年8月24日付プレスリリースより)

-2012年、英国Northamptonを本拠とするCosworth Groupとの間で、販売代理店契約を締結したと発表。TVSスーパーチャージャー (Twin Vortices Series) およびその他のルーツ型スーパーチャージャーを欧州自動車市場へ供給するのが目的。今回の契約により、Cosworthは少量生産車両の工場装着用にTVSスーパーチャージャーを納入するとともに、英国をはじめとする欧州のアフターマーケットの顧客向けにはパフォーマンスキットを供給する。なお、同社のスーパーチャージャーは様々な自動車メーカーに採用されており、現在は以下のモデルに搭載されている。Audi 「A6」、「S4」、「S5」、Chevrolet 「Corvette ZR1」、GM 「Cadillac CTS-V」、Volkswagen 「Touareg Hybrid」、Porsche 「Cayenne S Hybrid SUV」、Jaguar 「XKR」、「XFR」、「XJR」、Land Rover 「Range Rover Sport」、日産 「Micra」。 (2012年6月14日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
合計 439 417 425

研究開発拠点

-7カ国に合計9つの研究開発センターを所有。

-2012年、中国・上海のイノベーションセンターにおいて、新たに研究施設を開設したと発表。中国国内市場に向けた、エネルギー効率性の高いパワーマネジメントシステムの開発を推進する。新施設の面積は300平方メートル超。2010年9月に設立されたこのイノベーションセンターは、次世代のパワーコンバーター、代替エネルギー用安全ソリューション、圧力スイッチ、自動車用パワートレイン、EV、充電システムなどの先進技術およびソリューションの開発を進めている。同社は、2012年2月に同センターの拡張を発表しており、広東省深圳 (Shenzhen) の1部門を移管することで電力変換技術に取り組んでいる。なお、同社は現在、世界で約9,000件の特許を保有。2011年単年では900件超を取得している。 (2012年7月25日付プレスリリースより)

-2012年、チェコの投資会社Czech Investおよびチェコ工科大学と共同で、プラハ (Prague) にイノベーションセンターを新設したと発表。Roztoky Science & Technology Center内に開設した同施設は、Eatonにとって欧州初のイノベーションセンターであり、世界では米国・インド・中国に続いて5つ目となる。新センターでは、高エネルギー効率のパワーシステムの開発および輸送・自動車・航空用製品の電動化に関する研究を行い、Eaton の顧客であるSkodaやVolkswagen Groupへサービスを提供する。今年度はまず、最大50名のエンジニアを雇用し、今後4-5年間で約300名に増員する計画。 (2012年1月19日付プレスリリースより)

製品開発

-2012年、商用車用ハイブリッドパワーシステムの燃費・性能向上に向けた様々な新製品を発表した。高容量バッテリー、AC115V単相の補助発電機 (APG)、高性能クラッチが含まれる。まず、高容量リチウムイオンバッテリーは最新の電池構造を採用しており、Eatonのハイブリッドパワーシステムの燃費をさらに5-10%向上する。また、同社は単相5キロワットのAPGユニットを2012年秋に発売する。従来製品に比べて小型化するとともに、25ポンドの軽量化を実現した。また、ユーティリティ車両用の高容量バッテリーおよびAPGを2012年第4四半期に発売し、配達トラクターや飲料トラクター製品向けの高容量バッテリーを2012年第3四半期に発売する予定。さらに、同社は現在、最大トルク860ポンドフィート・300馬力のエンジンを制御する高性能クラッチを販売している。 (2012年5月31日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
全社 593 568 394
自動車部門 79 92 61
トラック部門 69 80 59
 

海外投資

<ドイツ>
-2012年、ドイツのNordhausen工場において、中空バルブの生産能力を大幅に拡大すると発表した。2012年4月に新たな設備を導入し、内部冷却型のエンジンバルブの生産能力を2倍にする計画。さらに同工場は、中空バルブの最終設計や製造工程の開発を行い、これにより同社の「中空バルブ生産の中核拠点 (Eaton's Center of Excellence for Hollow Valve Production) 」となる。 (2012年4月13日付プレスリリースより)