武蔵精密工業 (株) 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 148,820 125,993 18.1 1)
営業利益 8,567 938 813.3 -
経常利益 9,623 2,597 270.5 -
当期純利益 6,827 2,529 169.9 -

要因
1) 売上高
<日本>
-売上高は35,421百万円 (前年度比0.2%増) 、営業利益は2,760百万円 (前年度比23.0%減) となった。

<北米>
-主要取引先への販売は減少したが、為替変動の影響等があり、売上高は30,567百万円 (前年度比16.2%増) 、営業利益は1,104百万円 (前年度比151.6%増)。

<欧州>
-四輪車用製品の販売が減少したが、為替変動の影響もあり、売上高は5,305百万円 (前年度比3.0%増)、営業利益は485百万円 (前年度比15.2%増)。

<アジア>
-四輪車用製品の販売が増加したこと等により、売上高は62,771百万円 (前年度比39.4%増) 。営業利益はタイの洪水影響の回復や円安効果により3,229百万円 (前年度は3,835百万円の損失)。

<南米>
-二輪車用製品の販売が減少したこが、為替変動の影響もあり、売上高は14,755百万円 (前年度比4.2%増) となり、営業利益は327百万円 (前年度比35.4%減) 。

受注

受注会社 発注元/対象 受注部品 備考
本社 (日本) ホンダ 新型 「Fit」 トランスミッション部品、エンジン部品、足廻り部品 2013年7月より生産・納入を開始
ホンダ 「Accord Hybrid」 トランスミッション部品、エンジン部品、足廻り部品 2012年12月より生産・納入を開始
Musashi Auto Parts India
(インド)
Honda Cars Indiaより 「City」 マニュアルトランスミッション部品、エンジン部品、足廻り部品 2013年12月より生産・納入を開始
Honda Cars Indiaより、インド向けディーゼル車 「Brio Amaze」 エンジン部品、足廻り部品 2013年3月より生産・納入を開始
Musashi Auto Parts Michigan
(米国)
Chrysler 「Jeep Cherokee」、「200」 デファレンシャルASSY 2014年1月より生産・納入を開始
ZFの新型トランスミッション向け デファレンシャルASSY 2013年2月より生産・納入を開始
Musashi Auto Parts Canada
(カナダ)
Ford 「F-150」の新型エンジン カムシャフト 2015年9月から量産・納入を開始
Musashi Auto Parts
(タイ)
Dana経由Ford車両用、
タイ、南アフリカ、アルゼンチン市場向けモデル
ベベルギア 2013年11月より生産・納入を開始
ジヤトコ経由、アジア市場向け小型車 CVT用ギア 2013年7月より生産・納入を開始
Musashi Auto Parts Indonesia
(インドネシア)
Astra Daihatsu Motorの小型車 トランスミッション部品 2014年4月以前に生産・納入開始済。
Honda Precision Parts Manufacturing経由、ホンダの 「CR-V」 に搭載 デファレンシャルASSY 2013年2月より生産・納入を開始
武蔵精密汽車零部件 (中山) 有限公司
[Musashi Auto Parts (Zhongshan) Co., Ltd.]
(中国)
ジヤトコ経由、アジア市場向け小型車 CVT用ギア 受注終了

中期経営計画

-2013年10月、2016年を最終年度とする中期経営計画を発表した。2016年末までに売上高を2013年度見通し比250億円増の1,700億円、営業利益率は同2.2ポイント増の8%を目指す。2020年には売上高2,000億円、営業利益率10%を目標に掲げた。次世代の独自ブランドの創出、グローバルプラットホームの構築、グローバル人材活用の基盤構築、二輪及び四輪事業の再構築、受注から量産までの業務フローと生産拠点の評価・改善する仕組みの融合と進化の計6項目を重点的に取り組む。

-製品カテゴリー別売上高構成の推移 (%)
2020年3月期
(計画)
2014年3月期
(実績)
ギア等 - 68
-ディファレンシャルギア 16 10
-プラネタリィギア 10 3
カムシャフト - 18
ボールジョイント - 14
-ディファレンシャル: 小型・軽量・ユニット化を実現し、大型車から軽自動車まで多様な車種・地域向けにシリーズ化する。
-プラネタリィギア: 高速・自動ライン・ユニット化を実現し、グローバル生産体制を構築する。

2015年3月期の業績予想

(単位:百万円)
2015年3月期
(予測)
2014年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 160,000 148,820 7.5
営業利益 12,000 8,567 40.1
経常利益 11,500 9,623 19.5
当期純利益 7,000 6,827 2.5

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 1,563 1,481 1,539

研究開発体制

(単位:百万円)
担当部門 役割 要員 研究開発費
開発部 -シャシー系、エンジン系、駆動系商品の開発
-次世代商品に向けた技術開発
-知的財産の管理
71名 924
生産技術部・塑型技術部 -新生産技術方案の研究開発
-新塑型技術方案の研究開発
101名 311
九州武蔵精密 (株)
技術部
-二輪、汎用ギヤ、カムシャフト等の
生産技術に関する研究開発
38名 327

研究開発活動

シャシー系商品開発
-主要客先の機種開発に対応し、ほぼ計画通りに量産を開始。2013年度開発モデルには、同社開発の小型ボールジョイントが適用され軽量化に貢献。2014年以降の開発車種においても、継続して軽量化デザインの提案や現地鋼材を活用した仕様・製法の開発評価を実施する。

エンジン系商品開発
-二輪・四輪のカムシャフト、バランサーシャフト等、今後の事業拡大に向けたコスト競争力強化に取り組んでいる。併せてエンジン構造の進化への対応や、顧客への仕様提案力を強化する。

駆動系商品開発
<ディファレンシャルギア>
-独自の3次元歯形によるベベルギアの小型化・高精度という優位性を核に、デフケース形状も最適化した2ピニオンタイプの軽量デフASSYのシリーズ化を完了。
-主要客先の2ピニオンタイプのデフASSYの量産適用の拡大が図られた。
-新規海外顧客向けデフASSYの量産を開始。
-さらなるデフASSYの軽量化・コスト削減に特化した新技術の開発。
-ムサシグローバルネットワークを活用した現地仕様開発、現地生産を拡大。

<プラネタリィギア>
-新規顧客より受注し、計画通りに量産を開始した。
-進化型プラネタリィギアASSYの受注展開を推進。

先進技術開発
-要素技術開発の領域については、トライボロジー力学を用いた技術に基づく表面改質技術開発の研究開発を、産学共同で開始。
-ハイブリット車や電気自動車、電動パーソナルモビリティ向けの新商品・新技術の開発についても、電動ユニットの先行開発を推進する。

生産技術開発関連
-設計部門を生産技術部門に取り込み、機能・性能と生産効率を両立させた新商品の開発に取り組んだ。
-デフASSYにおいては、ベベルギアの塑加工現調化を強力に推進。
-デフケース加工においては、省エネ・生産効率を重視した最新鋭の設備を国内外の各拠点に導入。
-プラネタリィASSYにおいても、グローバル供給体制を確立。
-環境性能にも配慮した冷間鍛造と機械加工の一貫ラインの確立やASSYでの製品機能保証するための新組立ラインの海外展開を果たした。
-塑型領域においては、既存プレス機の能力を最大限に引き出し、主要顧客の開発する新骨格トランスミッションにいち早く対応すべく開発を進める。
-また、塑型領域において同社開発の装置により、成型荷重を従来比30%低減。コストや投資の削減につながった。

技術援助契約

(2014年3月31日現在)
相手方の名称 (国名) 契約品目 契約内容 契約期間
Musashi Auto Parts Michigan Inc.
(米国)
四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
1994.02.01-1999.01.31
以降1年ごとの自動更新
Musashi Auto Parts Co., Ltd.
(タイ)
四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
1987.12.28-1992.12.27
以降1年ごとの自動更新
P.T. Musashi Auto Parts Indonesia 
(インドネシア)
四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
1996.05.08-2001.05.07
以降1年ごとの自動更新
Musashi Auto Parts Canada Inc.
(カナダ)
四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
1998.01.01-2002.12.31
以降1年ごとの自動更新
Musashi Hungary Manufacturing Ltd.
(ハンガリー)
四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
2001.01.01-2005.12.31
以降1年ごとの自動更新
Musashi Auto Parts India Private Ltd.
(インド)
四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
2003.04.01-2004.03.31
以降1年ごとの自動更新
Musashi da Amazonia Ltda (ブラジル) 四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
2009.11.01-2014.11.01
まで5年間
武蔵精密汽車零部件 (中山) 有限公司
[Musashi Auto Parts (Zhongshan) Co., Ltd.]
(中国)
四輪・二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
2006.0101-2015.12.31
まで10年間
Musashi Auto Parts Vietnam Co., Ltd.
(ベトナム)
二輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
2012.12.15から無期限
Musashi Auto Parts Mexico, S.A. de C.V.
(メキシコ)
四輪自動車および汎用製品で随時決定される特定部品 1.「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助
2.工業所有権の提供
2012年4月1日から無期限

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 24,314 22,907 18,182

-地域別内訳 (単位:百万円)
地域 新機種対応 増産対応 合理化投資 既存設備の更新 合計
日本 1,590 1,450 - - 3,816
北米 4,441 937 - - 5,837
欧州 - 278 17 - 320
アジア 5,522 2,300 - - 13,031
南米 791 - - 140 1,310

海外投資

<メキシコ>
-2015年をめどにメキシコでユニット部品の生産を始める。足回り用部品のデファレンシャル、無段変速機 (CVT) 用のプラネタリーギアを生産する。納入先のホンダがユニットでの納入を求めていることに対応し、構成部品を単品で納入する形態からユニットでの納入に切り替えた上で生産を現地化する。同社はユニット部品の生産をグローバルに拡大しており、デファレンシャル、プラネタリィギアともに2017年3月期に向けて生産量を大幅に増加させる計画。付加価値の高いユニット部品の販売を拡大することにより、収益力の向上につなげていく。 (2014年4月4日付日刊自動車新聞より)

<インド>
-インドで四輪部品の生産能力を倍増する。北部ハリアナ州のバワル工場の生産能力を、2014年春に年間12万台分から同24万台分に増強する。インドではホンダが四輪車の第2工場を2014年中に稼働する計画。武蔵精密は2012年に四輪部品の生産を立ち上げたばかりだが、主要取引先のホンダの生産拡大に対応し、現地の生産体制を早期に拡充して現地調達ニーズに対応する。 (2013年11月21日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画

(2014年3月31日現在)
地域 計画金額 (百万円) 設備等の主な内容・目的
日本 3,100 新機種対応、既存設備の更新、合理化
北米 2,100 四輪部品の生産能力増強、既存設備の更新、合理化
欧州 800 新機種対応、合理化
アジア 14,000 新機種対応、二輪・四輪部品の生産能力増強
南米 1,000 既存設備の更新、合理化