八千代工業 (株) 2016年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2016年
3月期
2015年
3月期
増減率
(%)
備考
全社
売上収益 149,816 142,043 5.5 -自動車部品における受注の増加、為替換算上の影響により増収
営業利益 11,766 16,760 (29.8) -原価改善効果や為替換算上の影響などはあったが、前期に厚生年金基金の過去分返上による生産差益や退職給付制度の変更による過去勤務費用現象に伴う利益があったことにより減益
税引前利益 11,333 16,788 (32.5) -
親会社の所有者に帰属する当期利益 4,715 8,341 (43.5) -
日本
売上高 31,718 31,966 (0.8) -
税引前利益 418 5,697 (92.7) -
米州
売上高 41,879 36,939 13.4 -AY Manufacturing Ltd.における受注の増加や為替換算上の影響により増収
税引前利益 2,278 2,613 (12.8) -為替換算上の影響はあったが、機種構成変化や新機種の立ち上がり費用などにより減益
中国
売上高 23,471 19,586 19.8 -八千代工業 (中山) および八千代工業 (武漢) における受注の増加や為替換算上の影響により増収
税引前利益 3,846 3,938 (2.3) -受注の増加はあったが、機種構成変化や償却費の増加などにより減益
アジア
売上高 52,749 53,553 (1.5) -Goshi-Thanglong Auto-Parts (ベトナム) における受注の増加や為替換算上の影響などはあったが、Siam Goshi Manufacturing (タイ) およびGoshi India Auto Parts (インド) における受注の減少などにより減収
税引前利益 4,920 4,426 11.2 -機種構成変化や為替換算上の影響などにより増益



中期経営計画

-第12次中期計画において、板金部品事業を終了し、主力製品である樹脂製燃料タンクおよびサンルーフの事業に経営資源を集中。新たなラインナップを追加し、量産を開始するとともに、販路の拡大を進める。

  • 樹脂製燃料タンク (PFT: Plastic Fuel Tanks): 新技術・新製法を用いた製品を受注
  • サンルーフ (Roof Systems): 大開口のパノラマサンルーフの量産を開始


-同社は長期事業計画 「ヤチヨ2020年Vision」 の見直しに着手した。新たに2025年を最終年としたビジョンを策定し、主力の燃料タンクやサンルーフで、主力納入先であるホンダ以外の完成車メーカーからの受注を増やす。サンルーフのホンダ以外向けは現在約10%だが30%に引き上げる。樹脂ライナーを使用した水素タンクや炭素繊維強化プラスチック (CFRP) による量産部品など新たな事業につながる研究開発にも長期的視野で取り組む。17年度からスタートする3カ年の次期中期経営計画は25年を見据えた 「育成期」 とし、将来の持続的成長につなげる。(2016年5月10日付日刊自動車新聞より)

-「ヤチヨ2020年Vision」: 卓越した技術と特長ある製品で真のワールドワイドプレーヤーになる

  • 第11次中期事業計画 (2011~2013年度) 「変革と仕込みの期」: グローバルで存在を認知される技術・製品の競争力を身につける
  • 第12次中期事業計画 (2014~2016年度) 「育成の期」: グローバルでトップクラスの技術・製品の競争力を獲得する
  • 第13次中期事業計画 (2017~2019年度) 「収穫の期」: グローバルでトップの技術・製品の競争力を実現する



事業再編

東プレに国内プレス部品事業を譲渡
-2015年10月15日開催の取締役会において、四日市製作所の板金プレス工場 (三重県四日市市) を吸収分割により、連結子会社のワイジーテック (三重県員弁郡) に承継させた上で、所有するワイジーテックの全株式を東プレへ譲渡することを決議し、同日譲渡契約を締結。2016年1月1日付でワイジーテック株式の譲渡が完了し、連結の範囲から除外。

-2016年1月、連結子会社であるワイジーテックの全株式を東プレへ譲渡する手続きが完了したと発表した。ワイジーテックは今後、「東プレ東海株式会社」 として自動車用プレス部品の製造を行う。(2016年1月6日付プレスリリースより)

英国部品事業を譲渡
-2015年6月、八千代工業とエイチワンは、両社の英国関連会社で自動車部品の製造・販売を行っている 「UYT Ltd.」 が、2015年6月15日付で同社の全事業を英国の自動車部品メーカー 「N Press Assembly Limited」 へ譲渡すると発表した。両社はこれに先立ち、折半出資による英国関連会社で土地・建物のリースを行う 「Hirata Yachiyo Leasing Limited (HYL)」 の株式全てをUYTへ売却する。八千代工業の連結子会社 「Yachiyo Industry (UK) Limited」 とエイチワンは、それぞれUYTの株式35%を保有。「Honda of the U.K. Manufacturing Ltd.」 が25%、「Honda Trading Europe Ltd.」 が5%を出資している。UYTはホンダの英国工場にプレス部品などを供給していたが、事業環境の変化を踏まえ全事業の譲渡を決めた。譲渡先のN Press Assemblyは2015年2月に設立した自動車部品メーカーで、中国の化学品会社が75%を出資している。

受注

樹脂製燃料タンク (PFT: Plastic Fuel Tanks)
-従来のセダン用タンク比で約43%薄型化した当社最薄のPFTがホンダ 「オデッセイ」 に採用され、その技術が引き続き 「ジェイド」 「ステップワゴン」 に採用されるなど、ホンダのミニバンの特長である低床・低重心に寄与している。

サンルーフ
-従来モデルの約2.8倍の面積を達成したパノラマサンルーフが広汽ホンダの 「Crosstour」 に採用。

製品開発

エネルギーストレージ
-液化石油ガス (LPG) コンポジット容器、天然ガス車用燃料タンク、水素ステーション用蓄圧器の開発を順次進めており、最終的には燃料電池車用水素タンクの量産を目指す。LPGコンポジット容器については、2016年3月期中のアジアでの販売を目指す。

CFRP製品
-CFRP (炭素繊維強化プラスチック) の自動車ボディ骨格部品開発の一端として、CFRP素材の陸上競技用車いすを販売。

研究開発活動

  • 新型車用の燃料タンクの量産化
  • 新型車用のサンルーフの量産化
  • 新型車用の燃料タンクの開発
  • 新型車用のサンルーフの開発
  • 国内・海外の排ガス規制対応の二輪車用メタルハニカム高密度セル担体の開発
  • 新構造樹脂製燃料タンクの研究と開発
  • 新型サンルーフおよび周辺技術の研究と開発
  • 自動車部品の環境対応技術の研究と開発
  • 福祉車両の運転補助装置の研究と開発
  • 新事業参入のための研究と開発



研究開発拠点

拠点名 所在地 内容
第1研究開発部
(栃木研究所)
栃木県さくら市 量産車に搭載する燃料タンク、サンルーフなどのシステム・製品の開発。
第2研究開発部
(埼玉研究所)
埼玉県狭山市 次世代研究開発。2012年4月設立。
合志技研工業 熊本県合志市 二輪車部品
北米研究開発センター
(Yachiyo of America Inc.)
米国オハイオ州 北米生産のサンルーフ、燃料タンクなどの設計、試験研究。2008年7月設立。



研究開発費

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 4,009 3,083 4,837



完成車事業

少量特殊生産に転換
-キャンピングカー用品シリーズ 「きゃんぱち」 を2014年12月に発売。まずはホンダ 「バモス ホビオ」 用を販売、2016年3月期中に 「N-BOX」 用の発売を目指す。

-「フィット ハイブリッド」 に上肢不自由なドライバーのための運転補助装置 「フランツシステム」 を取り付けた特装車両の生産を三重県四日市市の四日市製作所で始めた。開発から生産までを担い、利用者それぞれの使い勝手に応じたカスタマイズを行っている。同製作所では軽自動車の受託生産台数が減少しており、収益の維持に向けて特装車両のビジネスを拡大する。同システムは左足の前後回転運動によってステアリングを操作するもので、ホンダが開発者のフランツ氏から技術指導を受け、独自技術も加えて1982年に発売した。(2016年3月24日付日刊自動車新聞より)

「S660」の受託生産増強
-2015年5月、受託生産しているホンダの軽オープンスポーツ 「S660」 の生産能力を増強することを明らかにした。現在1日当たり40台を生産しているが、2割増の48台に引き上げる。発売以来積み重なっている受注残の早期納車へ生産体制を強化する。(2015年5月27日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
日本 1,587 3,885 2,546
米州 1,215 2,554 3,720
中国 1,090 957 1,405
アジア 1,019 1,517 2,091
合計 4,922 8,913 9,763


-2016年3月期実績: 新規受注対応、能力拡充、設備更新および試験装置等

-2017年3月期見通し: 7,700百万円 (体改/能拡 1,400百万円、新機種 4,000百万円、更新 2,300百万円)

設備の新設計画

(2016年3月31日現在)
会社名・事業所名/
所在地
設備の内容 投資予定総額
(百万円)
着手 完了予定 備考
柏原工場
(埼玉県狭山市)
生産関連設備 317 2016年
3月
2017年
2月
試験装置、設備更新等
四日市製作所
(三重県四日市市)
生産関連設備 437 2015年
7月
2017年
3月
設備更新、省力・合理化等
鈴鹿工場
(三重県鈴鹿市)
生産関連設備 317 2016年
4月
2017年
1月
新規受注対応、設備更新等
亀山事業所
(三重県亀山市)
生産関連設備 143 2016年
3月
2017年
1月
設備更新、新規受注対応等
本社
(埼玉県狭山市)
事務管理施設 90 2016年
5月
2017年
3月
設備更新、環境改善等
栃木研究所
(栃木県さくら市)
研究開発設備 127 2016年
5月
2017年
2月
設備更新、環境改善等
埼玉研究所
(埼玉県狭山市)
研究開発設備 337 2016年
4月
2017年
2月
試験装置、新規受注対応等
合志技研工業株式会社
(熊本県合志市)
生産関連設備
研究関連設備
539 2015年
3月
2017年
3月
新規受注対応、試験装置等
AY Manufacturing Ltd.
(米国 オハイオ州)
生産関連設備 335 2015年
2月
2017年
3月
省力・合理化、新規受注対応等
八千代工業 (中山) 有限公司
[Yachiyo Zhongshan Manufacturing Co., Ltd.]
(中国 広東省)
生産関連設備 1,171 2015年
4月
2017年
3月
新規受注対応等
八千代工業 (武漢) 有限公司
[Yachiyo Wuhan Mfg. Co., Ltd.]
(中国湖北省)
生産関連設備 1,294 2016年
4月
2017年
3月
新規受注対応等
Siam Yachiyo Co., Ltd.
(タイ プラチンブリ県)
生産関連設備 296 2016年
4月
2017年
3月
新規受注対応、能力拡充等
Siam Goshi Manufacturing Co., Ltd.
(タイ ラヨン県)
生産関連設備 414 2016年
4月
2017年
3月
新規受注対応、能力拡充等
Goshi-Thanglong Auto-Parts Co., Ltd
(ベトナム ハノイ)
生産関連設備 497 2016年
4月
2017年
3月
省力・合理化、能力拡充等
Goshi India Auto Parts Private Ltd.
(インド ハリアナ州)
生産関連設備 270 2016年
4月
2017年
3月
能力拡充等



2017年3月期の見通し

(単位:百万円)
2017年3月期
(予想)
2016年3月期
(実績)
増減率
(%)
売上収益 144,000 149,816 (3.9)
営業利益 11,500 11,766 (2.3)
税引前利益 11,300 11,333 (0.3)
当期利益 7,700 6,957 10.7
親会社の所有者に帰属する当期利益 5,500 4,715 16.6

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

主要分野の売上収益見通し

(単位:億円)
2017年3月期
(予想)
2016年3月期
(実績)
増減率
(%)
自動車部品 1,350 1,399 (3.5)
-サンルーフ 400 410 (2.4)
-燃料タンク 330 336 (1.8)
自動車組立 90 99 (9.1)
合計 1,440 1,498 (3.9)