日立電線株式会社 2008年3月期の動向

ハイライト

業績 (単位:百万円)
  2008年
3月期
2007年
3月期
増減率
(%)
要因
全体
売上高 565,994 544,244 4.0 -電線・ケーブル、伸銅品等の主材料である銅の価格が高値で推移したことに伴い製品販売価格が押し上げられたことや、光海底ケーブルが好調に推移したこと等。
営業利益 23,117 22,983 0.5 -売上高の増加や原価低減努力の効果等が寄与。
経常利益 21,639 20,449 5.8
当期純利益 10,708 8,662 23.6 -
電線ケーブル事業
売上高 297,706 286,518 3.9 -
高機能材料事業
売上高 204,815 204,093 0.3 -自動車用部品は、主力のブレーキホースは好調だったが、子会社であるHitachi Cable Philippines, Inc.が、2006年10月末で自動車用電線事業から撤退した影響等の結果、前年度の売上高を下回った。


海外事業
<韓国>
-2007年6月1日付けで、韓国ソウル市に販売会社を設立すると発表。同社は、2005年6月、ソウル事務所を設置し市場調査等を行ってきたが、今般、同事務所を販売会社として現地法人化し、韓国向け事業のさらなる拡充を図る。新会社の商号は、「Hitachi Cable Korea, Ltd.」で、資本金は8千万ウォン(約1千万円)。従業員は3名で、2007年度は1億円の売上を目指す。(2007年5月25日付プレスリリースより)

<中国>
-子会社である上海日立電線貿易有限公司の商号を日立電線(中国)商貿有限公司に変更するとともに、中国事業の中核会社としての機能を持たせることで、中国における営業体制を強化する。さらに、日立電線(中国)を通し、中国にある同社グループの生産、販売会社4社への出資を行い、これらの会社との連携を深める。又、日立電線(中国)は、Hitachi Cable Asiaを通じ、北京・上海を含む華北・華東地区は勿論、香港・華南地区も含めた中国全土で、市場動向、経済情勢、法令に関する情報を収集し、集約・発信するとともに、一貫した事業戦略の立案、経理・労務管理・人材教育等のシェアドサービス提供を行う。(2007年7月23日付プレスリリースより)

<ベトナム>
-Hitachi Cable Asia Pacific Pte. Ltd.(ヒタチケーブル・アジア・パシフィック社)がベトナムの首都ハノイ市に駐在事務所を設立すると発表。同事務所は、日立電線グループとして初めてのベトナムの拠点となる。日立電線グループでは、これまでベトナム市場に対し、東南アジア地区の営業拠点からそれぞれ個別に市場調査を行ってきたが、今後の急激な市場環境の変化や顧客の現地調達促進の流れを確実に捉える必要性から、東南アジア地区の地域統括会社であるヒタチケーブル・アジア・パシフィック社の駐在事務所を設置し、ベトナムにおける市場調査、情報収集活動等を強化するとしている。(2007年10月4日付プレスリリースより)

<東南アジア>
-子会社であるHitachi Cable Asia Pacific Pte.Ltd.(ヒタチケーブル・アジアパシフィック社)の管理・販売部門を分社化し、東南アジアにおける地域統括機能を強化する。分社化後に残る製造部門も、製造事業に特化することにより生産体制最適化を図る。分社化の手続としては、2008年4月1日に地域統括会社となる新会社「Hitachi Cable Asia Pacific(HCAP) Pte.Ltd.」設立するとともに、現ヒタチケーブル・アジアパシフィック社の社名を「Hitachi Cable(Singapore)Pte.Ltd.」に変更。次いで、同5月1日に「Hitachi Cable(Singapore)Pte.Ltd.」から、「Hitachi Cable Asia Pacific(HCAP)Pte.Ltd.」に営業・管理部門を事業譲渡する。(2008年3月25日付プレスリリースより)

<米国>
-米の自動車用ホースメーカーのカップルド・プロダクツ(ミシガン州)から自動車用ブレーキホース事業を譲り受けたと発表。譲受金額は非公表。これに伴い同社は、ブレーキホースの新会社「日立ケーブルフロリダ」を設立した。新会社の設立により北米自動車メーカーとの取引関係の拡大を狙う。日立電線の自動車用ブレーキホースの売上高は06年度比80%増となる180億円に、世界シェアは14%から20%超にそれぞれ拡大し、トップシェアの地位を獲得することとなる。事業譲受は、2008年2月29日付で実施した。対象は、カップルド・プロダクツのフロリダ工場とメキシコ工場の一部。また、ブレーキホース開発部門と同事業の商業権を引き受けた。(2008年3月8日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費 (単位:百万円)
  2008年3月期 2007年3月期 2006年3月期
全社 10,526 10,000 10,832
電線・ケーブル事業 1,628 2,016 2,887
高機能材料事業 4,535 4,238 3,722


開発体制

-技術本部(技術研究所)と事業本部の開発部門で推進。

-(株)日立製作所をはじめとする日立グループの研究開発機関と密接な連携・協力関係を保つとともに、必要に応じ顧客及び政府の研究開発機関とも共同研究を進める。


高機能材料事業
<自動車用部品分野>
-ブレーキホース、パワーステアリングホース等の自動車用ホースや電装部品、情報機器用部品等の研究開発を推進。

-金属反射膜(Metal Reflector)を設けた高発光効率アルミニウム・ガリウム・インジウム・リン(AlGaInP)赤色LEDチップを開発したと発表。開発したLEDチップは従来構造のLEDチップよりも発光効率が約5倍高い65ルーメン/ワットを達成した。高い発光効率により屋外でも色合いを鮮明に識別できるため、幅広い表示・照明用途用途等に利用することができるのが特徴。自動車用リアコンビネーションランプでは多様なデザインのランプを実現できる。(2007年12月17日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額 (単位:百万円)
  2008年3月期 2007年3月期 2006年3月期
全社 27,823 21,455 19,691
電線・ケーブル事業 7,819 5,521 4,917
高機能材料事業 16,700 13,296 11,739


電線・ケーブル事業
-絶縁線・産業用ケーブルの生産設備の合理化・拡充を中心に投資。

-土浦工場の銅条製造設備について、約60億円の投資を行うことを決定したと発表。土浦工場は伸銅品の生産拠点で、新製造設備は、2009年度中の稼動を予定している。本設備投資により、銅条の生産能力を現状の月産4,600tから月産5,200tに引き上げるとともに、高性能、高品質な製造設備を整え、高付加価値製品を中心に銅条事業の拡充を目指すとしている。(2007年4月17日付けプレスリリースより)


高機能材料事業
-半導体パッケージ材料生産設備及び伸銅品生産設備の拡充を中心に投資。