日本発条 (ニッパツ) (株) 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 569,711 507,985 12.2 -
営業利益 37,480 30,020 24.9 -
経常利益 41,436 34,907 18.7 -
当期純利益 24,677 20,333 21.4 -
懸架ばね事業
売上高 120,422 103,213 16.7 -国内外での自動車増産があり、増収
営業利益 15,284 10,245 49.2 -
シート事業
売上高 245,549 208,773 17.6 -主要客先の国内外での自動車増産があり、増収
営業利益 12,615 13,543 (6.9) -中国新会社の立ち上げ費用の影響などがあり、減益
精密部品事業
売上高 128,620 123,373 4.3 -HDDの減産がありながらも、国内外での自動車増産と為替の影響もあり、増収
営業利益 5,597 2,919 91.7 -

新会社

<日本>
-2014年6月に九州に懸架ばねの生産子会社を設立すると発表した。納入先の現地調達化の要請に応じ、これまで滋賀県の工場から供給していたコイルばね、スタビライザーを現地で生産する。2016年4月に稼働する。新会社「ニッパツ九州」 (仮称) を6月、福岡県苅田町に同社の完全子会社として設立する。約20億円を投資し、40,000平方メートルの敷地に工場建屋を建設する。従来のラインよりも投資額を大幅に抑えたコンパクトラインを導入する。九州では仏Faureciaとの合弁で日産自動車向けのシートを生産している。新工場は同シート工場の隣接地に建設する。日産からの新規受注に合わせ、ばねも現地生産することにした。新会社は2019年3月期に売上高15億円を見込んでおり、九州に工場を持つ他の自動車メーカーからの受注も目指す。 (2014年5月14日付日刊自動車新聞より)

<欧州>
-2014年3月、オランダの持株会社の設立及び、ドイツ支店の開設を決定したと発表した。新会社を欧州での事業展開の母体として位置づけるほか、支店の開設により顧客サービスの向上を図る。3月に新会社「日本発条 (欧州、仮称)」をオランダ (アムステルダム) に設立する。資本金は35万ユーロ (約4,930万円) で、ニッパツが100%出資。会社設立後、同社が40.17%の株式を所有するスペイン法人イベリカ・デ・ススペンシオネス社の保有全株式を現物出資により増資する。ドイツ支店は、ウォルフスブルグに開設する。 (2014年3月7日付日刊自動車新聞より)

<メキシコ>
-2013年11月、メキシコ・グアナファト州に設立した自動車用懸架ばねの生産会社「NHK Spring Mexico S.A. de C.V.」について、2015年2月に生産を開始すると発表した。当初予定していたスタビライザーに加えて、コイルばねも受注し生産を行う。売上高は、2019年3月期に29百万ドル (27.55億円) を見込んでいる。新会社は、2013年9月に、米子会社、NHKインターナショナルが全額を出資し、資本金2,200万ドル (約20億9千万円) で設立したもの。60,000平方メートルの敷地に延べ床面積7,500平方メートルの工場を建設した。同社は北米では米国に自動車用懸架ばねの2工場、シートの1工場を稼働させている。メキシコでの生産は、ばね、シート事業を通じて初となる。

-2013年4月、子会社であるトープラが、メキシコ・グアナファト州に自動車用ねじ、ボルトの生産会社「トープラファスナードメヒコ」を6月に設立すると発表した。ニッパツのメキシコ子会社の敷地内に工場を建設し、2015年4月に稼働する。新会社は資本金1億8300万ペソ (約14億円) で設立する。トープラが44.6%、トープラの米子会社TAFが22.1%、ニッパツの米子会社、NHKインターナショナルが33.3%を出資する。ニッパツが8月に設立するニッパツメキシコの敷地内に、建屋面積11,000平方メートルの工場を建設する。同社がメキシコで生産するのは初めて。納入先の生産拡大に対応し、現地生産化する。2018年3月期には売上高2億2100万ペソ (約17億円) を目指す。 (2013年4月18日付日刊自動車新聞より)

<インドネシア>
-2013年8月、仏Faureciaなどとの合弁で、インドネシアにシート生産会社を設立したと発表した。工場を建設し、2014年3月に日産自動車向けに生産を開始、2016年3月期に売上高3,960億ルピー (約35億円) を目指す。ばね事業を含む全ての事業を通じ、インドネシアに生産拠点を設けるのは初めてとなる。新会社は西ジャワ州プルアカルタに工場を建設し、日産がインドネシアで生産する新型車のシートを供給する。 (2013年8月30日付日刊自動車新聞より)

<インド>
-2013年3月、インド南部・チェンナイ市近郊に、仏Faureciaなどとの合弁で自動車用シートの生産会社を設立したと発表した。工場を建設し、2013年12月に生産を始める。同社がインドにシートの生産拠点を設けるのは初めて。新会社「NHK F. Krishina India Automotive Seating Private Limited」はニッパツが51%、現地部品メーカーのKrishinaグループが30%、Faureciaが19%を出資。チェンナイ市近郊のオラガダム工業団地に敷地面積8,000平方メートル、延べ床面積3,500平方メートルの工場を建設する。フォルシアとは日産自動車向けのシート供給で提携しており、インドでも日産向けにシートを供給する予定。 (2013年3月14日付日刊自動車新聞より)

事業再編

<中国>
-2014年3月6日、取締役会で中国子会社の広州日発汽車零部件有限公司 (広東省広州市) を解散し、清算することを決議したと発表した。2015年3月末での清算完了を予定している。同子会社は、2011年3月に自動車用シート構成部品の製造販売を目的に設立したが、当初の目的達成は困難だと判断し、解散を決めた。一部、同社の開発設計業務は中国シート子会社の湖北日発汽車零部件有限公司 (湖北省襄陽市) で継続する。 (2014年3月7日付日刊自動車新聞より)

中期経営計画 (2015年3月期 - 2017年3月期)

-2017年3月期に売上高を2014年3月期比17.6%増の6,700億円に増やす新中期経営計画を策定した。2015年3月期からの3年間で前中計を上回る総額760億円の設備投資を行い、国内外で売り上げの拡大を図る。中国、インドで懸架ばねの生産能力を増強するほか、シートは国内外で完成シートの受注を増やして収益を高める。新中計は2017年3月期の自動車生産台数の前提を国内970万台、北米1,430万台、中国2,800万台、タイ260万台として策定した。営業利益は2014年3月期比36.3%増の510億円、当期純利益は同38.2%増の340億円に設定した。売上高の増加に加え、合理化効果を見込み営業利益の大幅な増加を目指す。3年間の設備投資は懸架ばねが260億円、シートが171億円といずれも前中計を上回る。特に懸架ばねは前中計に対し85.7%の大幅な増加となる。グローバルでの供給体制拡充に向け先行投資を増やす。 (2014年6月2日付日刊自動車新聞より)

-中期経営計画の財務指標 (2017年3月期目標値)
  • 売上高:  6,700億円
  • 営業利益:  510億円 (利益率7.6%)
  • 経常利益:  540億円 (利益率8.1%)
  • 当期純利益:340億円 (利益率5.1%)

2015年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2015年3月期
(予測)
2014年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 580,000 569,711 1.8
-懸架ばね事業 115,600 120,422 (4.0)
-シート事業 253,600 245,549 3.3
-精密部品事業 132,100 128,620 2.7
営業利益 36,000 37,480 (3.9)
経常利益 38,000 41,436 (8.3)
当期純利益 24,000 24,677 (2.7)
-2015年3月期の懸架ばね事業の売上高は、日本国内・タイにおける自動車の減産の影響もあり、減少する見込み。

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 13,803 11,750 10,055
対売上高比率 (%) 2.4 2.3 2.3
-2015年3月期の研究開発費は、16,534百万円を予定。

研究開発体制

-本社研究開発本部および技術本部技術開発部、各生産本部および事業本部の開発部門、技術部門、設計部門等、また各子会社の開発部門等により推進されている。
-2014年3月31日現在、研究開発スタッフは全体で944名であり、全従業員数の5.8%に相当。

研究開発活動

懸架ばね事業
-研究開発費: 2,148百万円
-主要課題:コイルばね・スタビライザーはFSD化 (Fully Stressed Design: 部位によらず、応力分布を均等にする設計法)・高強度化。板ばねは高強度化。
-主な成果:耐久性・品質に優れた製品の開発。
-今後の課題:低廉な材料を用い、高強度かつ軽量化を実現する加工法および、低コストな生産方法の開発。

シート事業
-研究開発費: 5,579百万円
-主要課題:軽量化については新構造フレーム検討、ハイテン材応用、鉄に代わる新素材の研究および機構部品の改良。また、疲労低減、乗り心地改良、デザイン等、シートの基本性能および商品魅力度向上についても、研究開発を推進。特に、乗り心地に関する取り組みは、動的な姿勢安定性に優れたクッションを開発した他、シートフレーム振動の低減方策に目途をつけた。
-主な成果:薄板板金とCFRP材料 (Carbon Fiber Reinforced Plastics) を組み合わせた工法の確立と、標準シートフレームおよび乗用車向け完成シートの新規受注。

精密部品事業
-研究開発費: 3,462百万円
-精密ばねについては、自動車のエンジン、トランスミッション関連部品の製品開発を実施。次世代自動車分野では、高精度プレス加工技術を応用したモーターコア、燃料電池用部品の開発、および燃費向上に寄与する軽量化技術の開発。

製品開発

樹脂製シートバックフレーム
-シートの大幅な軽量化を狙った樹脂製シートバックフレームを開発した。素材に炭素繊維強化プラスチックを使い、軽さと剛性を両立した。早期の量産化を目指し、自動車メーカーに提案していく。シートの背もたれ部分のフレームを樹脂化することで、同じ仕様の金属製軽量シートフレームに比べ33%の軽量化を実現した。低燃費車や電気自動車、超小型モビリティーなどでの採用を想定している。 (2014年5月23日付日刊自動車新聞より)

竹を材料に使った内装材
-タイで豊富に自生する竹を材料に使った内装材を開発した。2014年中の量産化を目指し、タイに生産拠点を構える自動車メーカーに提案する。現地で調達できる材料を活用することで、コストダウンや現地調達化といった自動車メーカーのニーズに対応する。タイの現地法人、タイ・ニッパツ (サムットプラカーン県) が今年、創立50周年を迎えるのを記念して開発に取り組んだ。竹を粉状に粉砕し、バインダー繊維 (つなぎ材) と混合。紙すきの要領で板状にし、ホットプレスで押し固める。シートのバックボードとして自動車メーカーに提案するほか、建築材料など自動車以外での用途も見込む。 (2013年5月24日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 20,713 25,506 20,370
-2015年3月期の設備投資額は、25,497百万円を予定。

2014年3月期の設備投資内訳
懸架ばね事業
-新製品の受注および既存製品の生産性向上を主な目的に、グループで4,657百万円の設備投資を実施。
-主な設備の内容は、同社横浜工場、東北日発 (株)、NHK Spring (Thailand) Co., Ltd.、NHK Spring India Ltd.の懸架ばね生産設備。

シート事業
-新製品の受注、既存製品の生産性および品質向上を主な目的に、グループで3,683百万円の設備投資を実施。
-主な設備の内容は、同社豊田工場、群馬工場、NHK Spring (Thailand) Co., Ltd. および、NHK Seating of America Inc.のシート生産設備。

精密部品事業
-新製品の開発および受注、既存製品の生産性および品質向上、生産能力の増強などを主な目的に、グループで9,313百万円の設備投資を実施。
-主な設備の内容は、同社厚木工場、駒ケ根工場、特殊発條興業 (株)、NHK Spring (Thailand) Co., Ltd.、日発電子科技 (東莞) 有限公司の精密部品生産設備。

設備の新設計画

(2014年3月31日現在)
会社名
事業所名
(所在地)
設備内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
予定
完成後の
増加能力
広州日正弾簧有限公司
[NHK-Uni Spring (Guangzhou) Co., Ltd.]
(中国広東省)
工場建屋増築および
懸架ばね生産設備
1,418 2014年
4月
2015年
6月
-
NHK Spring India Ltd.
(インド、マネサール市)
工場建屋増築および
懸架ばね生産設備
996 2014年
4月
2016年
4月
-