日本ピストンリング (株) 2016年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2016年 3月期 |
2015年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 52,199 | 51,657 | 1.0 | - |
営業利益 | 2,549 | 1,946 | 30.9 | - |
経常利益 | 2,442 | 2,172 | 12.4 | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,605 | 2,173 | (26.1) | - |
自動車関連製品事業 | ||||
売上高 | 45,031 | 44,724 | 0.7 | -中国をはじめとするアジア新興国の景気減速の影響を受けたものの、北米における販売が好調。 -非日系自動車メーカー向けの拡販が進んだことにより、増収、増益。 |
営業利益 | 2,878 | 2,076 | 38.6 |
生産革新
-国内工場の生産合理化とスマートファクトリー化を進める。機械の介在比率を高めて設備の稼働状況や製造品の品質などを見える化し、一元管理の体制を整えることでライン稼働に必要な人員を低減する。国内拠点の利益率を高めるのが狙い。まずは、一関工場 (岩手県一関市) で試験稼働している省人化ラインで量産部品の生産に取り組み、同ラインの増設に合わせて段階的に合理化を進めていく。バルブシートなどを生産する福島製造所 (福島県川俣町) でも省人化ラインの導入を検討する。(2016年3月17日付日刊自動車新聞より)
製品戦略
バルブシートの拡販
-現中期経営計画(2015~17年度)における14年度比増収目標34億円のうち、6~7割をバルブシート事業で確保する。海外メーカーからの受注が増えている高性能バルブシートを成長の柱として位置づける。新規受注が多い海外メーカーの中国や北米拠点向けに現地での生産を増やし、低燃費エンジン対応型の製品などを拡販していく。(2016年3月2日付日刊自動車新聞より)
中期経営計画
-2018年3月期を最終年度とした第六次中期経営計画において、「100年企業への土台作り」~マーケティング&イノベーションによる企業価値向上~を基本方針として、以下の重点施策に取り組んでいる。
- 製品の差別化による戦略機種の獲得
- 革新的モノづくりの推進
- 新製品 (非自動車エンジン部品) の事業化推進
- 人材育成強化による「世界最高品質の追求」
- CSR活動の強化
-業績目標 (2018年3月期):
- 売上高550億円 (ピストンリング269億円、バルブシート119億円) 以上
- 営業利益率7%以上
- 海外売上比率59%
- 非日系自動車メーカー向け売上比率 (ピストンリング・バルブシート) 11.9%
中期経営計画の進捗
2015年3月期 (実績) |
2016年3月期 (実績) |
2017年3月期 (予測) |
2018年3月期 (目標) |
|
売上高 (億円) | 516 | 521 | 510 | 550 |
-ピストンリング (億円) | 255 | 249 | 249 | 269 |
-バルブシート (億円) | 88 | 103 | 104 | 119 |
営業利益率 (%) | 3.8 | 4.9 | 5.1 | 7.0 |
海外売上比率 (%) | 52 | 55 | 58 | 59 |
非日系自動車メーカー向け売上比率 (ピストンリング・バルブシート) (%) | 8.1 | 10.3 | 11.9 | 11.9 |
2017年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2017年3月期 (予測) |
2016年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上高 | 51,000 | 52,199 | (2.3) |
営業利益 | 2,600 | 2,549 | 2.0 |
経常利益 | 2,500 | 2,442 | 2.4 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,800 | 1,605 | 12.1 |
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 1,810 | 1,647 | 1,591 |
-自動車関連製品事業 | 1,433 | 1,261 | 1,204 |
研究開発活動
次世代低燃費エンジン用ピストンリング
-ピストンリングの張力低減によらない燃費低減技術の一つとして、低摩擦表面処理であるDLC皮膜を量産中。2016年3月期においては、更なる量産適用機種の拡販および、次世代の更に高い機能を有したDLC皮膜開発に取り組んだ。
-オイル消費増加現象の定量的な把握が可能な油膜挙動解析手法を取り入れ、今後のピストンリング設計標準へ反映すべく、研究開発を行った。
次世代ディーゼルエンジン用ピストンリング
-Euro-VI、US10等の新たな排ガス規制および重量車燃費規制対応技術として、ナノレベルの皮膜特性制御技術を適用した、耐摩耗性、耐剥離性に優れたPVD皮膜の開発を完了し量産中。さらなる耐摩耗性、耐剥離性向上のニーズに対してレベルアップを図った合金PVD皮膜を開発している。
-DLC皮膜適用範囲をディーゼルエンジンに拡大するべく、耐久信頼性向上を図った厚膜DLC皮膜の開発に取り組んでいる。
-低張力でも高い潤滑油調整機能を持つ新形状のOILリングの開発を完了。クリーンな排ガスと低燃費が両立できる製品として量産化し、市場シェアを拡大中。
バルブシート
-内燃機関のダウンサイジング、過給直噴に伴う高熱効率内燃機関や特殊燃料 (ガス、エタノール) に対応可能な高機能製品の開発に取り組んでいる。また、高機能な仕様だけでなく新興国向け最適仕様も開発中であり、あらゆる地域の顧客ニーズに対応することを目指し、グローバルな技術サービスを展開。
組立式焼結カムシャフト
-ガソリンエンジン用はダウンサイジングに伴い、コンパクト化および軸部薄肉化の追求により、更なる軽量化に取り組んでいる。
-ディーセルエンジン用はエンジンブレーキ強化のため可変動弁機構が採用され、高面圧対応として焼結カムシャフトの採用が拡大している。
MIM (金属粉末射出成形) 製品
-住友金属鉱山より譲り受けた金属粉末射出成型品事業 (メタモールド) の生産を開始。メタモールド新規案件については、自動車エンジン部品等の引き合いを多数受けており、量産受注獲得に向けて試作対応、客先との折衝を進めている。
新規焼結製品
-断熱・放熱性に優れた高機能多孔質金属に関する研究、マーケティング活動を継続中。製造技術では既存の粉末プレス焼結で製作不可能な空孔率、空孔形状ができる新工法に着手して基礎研究を進めている。
シリンダーライナー
-重量車燃費規制に対応するため、独自のトライボロジー技術に基づく燃費低減技術を適用したディンプルライナーの開発を完了し、世界初の製品として量産を開始した。この技術の適用範囲拡大に向け大型の産業エンジン用シリンダーライナーにおいても、実用化に向け要素開発を進めている。
-ディンプルボアに最適なリングの開発にも取り組み、シリンダーライナーとピストンリング両側面から燃費低減技術開発を推進している。
技術供与契約 |
(2016年3月31日現在) |
相手会社名 | 国名 | 契約年月 | 内容 | 契約期間 |
株式会社瑞進カム [Seojin Cam Co., Ltd.] |
韓国 | 2000年7月1日 | 焼結カムシャフトの製造法 | 2016年6月末日まで |
河南省中原内配股份有限公司[Henan Zhongyuan Engine Fittings Stock Co., Ltd. (ZYNP)] | 中国 | 2005年9月2日 | シリンダーライナーの製造法 | 製品供給終了まで |
IP Rings Ltd. | インド | 2013年2月21日 | スチールリングの製造法 | 2018年3月末日まで |
2013年4月1日 | 鋳鉄リングの製造法 | 同上 | ||
2016年1月1日 | 窒化リングの製造法 | 2016年12月末日まで | ||
2016年1月1日 | オイルリングの製造法 | 同上 | ||
2012年4月1日 | 組合せオイルリングの製造法 | 2017年12月末日まで | ||
2016年1月1日 | PVDコーティング技術 | 2016年12月末日まで | ||
儀征亜新科双環活塞環有限公司 [ASIMCO Shuanghuan Piston Ring (Yizheng) Co., Ltd.] | 中国 | 2013年11月15日 | ピストンリングの製造法 | 7年 |
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 4,554 | 4,965 | 4,849 |
-自動車関連製品事業 | 4,025 | 4,586 | 4,650 |
-自動車関連製品事業は、新規増産を主たる目的として設備投資を実施。
中期経営計画における、目的別設備投資 (有形のみ)
2015年3月期 (実績) |
2016年3月期 (実績) |
2017年3月期 (予測) |
2018年3月期 (目標) |
|
全社 (億円) | 48 | 44 | 69 | 70 |
-新規増産 (億円) [内海外] |
25 [12] |
20 [12] |
35 [20] |
27 [22] |
-維持更新・合理化 (億円) | 8 | 14 | 18 | 25 |
-製品開発 (億円) | 6 | 6 | 10 | 9 |
-環境その他 (億円) | 9 | 4 | 6 | 9 |
海外投資
<インド>
-インドに自前のバルブシート工場を建設する。カルナタカ州にある借り受け工場の生産能力が一杯のため、既存拠点の近くに大型の工場を設置して全面的に生産を移す。2016年末までに建屋を完成させ、量産を始める計画だ。13年に現地生産を開始したインドの借り受け工場では、通常稼働で月200万本程度のバルブシートの生産が可能。一方、最近はMarti Suzukiや日系二輪車メーカーからの受注が想定以上に増えており、月250万~260万本の需要がある。現在、フル稼働でも生産が間に合わない分はタイ工場のバックアップ生産で補っているが、今後は新機種向けや受注機種の増産に伴い、さらなる受注拡大が予想されるため、自前工場の建設を決めた。稼働時には月産能力300万本前後の製造ラインの設置を予定しているが、建設予定の工場では最大で同700万本規模への設備拡張にも対応できるとしている。(2016年3月28日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画 |
(2016年3月31日現在) |
会社名 | 所在地 | 設備内容 | 投資予定総額 (百万円) |
着工年月 | 完了年月 | 完成後の能力 |
儀征日環亜新科粉末冶金製造有限公司 [NPR ASIMCO Powdered Metals Manufacturing (Yizheng) Co., Ltd.] |
中国 江蘇省 |
工場新設 | 2,000 | 2012年 12月 |
2016年 6月 |
900万個/月 |