パナソニック (株) 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

 (単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率(%) 備考
全社
売上高 7,736,541 7,303,045 5.9 -
営業利益 305,114 160,936 89.6 -
当期純利益 120,442 (754,250) - -
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ
売上高 2,585,690 2,359,275 9.6 -インフォテインメント事業部などの車載関連事業の販売増や円安が寄与
営業利益 85,747 29,458 191.1 -車載関連事業の好調や円安が寄与

2015年3月期の取り組み

<全社>
-2015年3月期は中期経営計画「Cross-Value Innovation 2015 (CV 2015)」の2年目として「CV 2015達成への基盤を固める」年、そして「2018年の『新しいパナソニック』に向けた成長戦略を仕込む」年と位置づける。

「CV 2015達成への基盤を固める」
-「事業部機軸の経営」により事業構造改革を完遂すると同時に、各事業部の「営業利益率5%以上」の達成に向けた変革を加速する。

「2018年の『新しいパナソニック』に向けた成長戦略を仕込む」年
-2018年の売上高として家電事業、住宅関連事業、車載事業でそれぞれ2兆円、BtoBソリューション事業で2.5兆円、デバイス事業で1.5兆円と、これら5つの事業領域において収益を伴った成長を目指す。

<車載事業>
-車載電池では米国電気自動車メーカー向けの円筒形リチウムイオン電池に加え、角形リチウムイオン電池などでも適宜、投資を行い、積極的に事業を拡大する。

-インフォテインメント分野でも最先端のデジタルAV・IT技術を投入したヘッドアップディスプレイやコックピットシステムなどで他社との差別化を図る。

中国のHV用電池製造合弁会社

-トヨタ自動車が海外初の電池製造拠点として中国にハイブリッド車 (HV) 用電池製造合弁会社「新中源トヨタエナジーシステム有限公司」を設立。資本金は975万米ドル (約9億6千万円) で、常熟新中源創業投資有限公司が50%、トヨタが35%、パナソニックとの合弁会社プライムアースEVエナジーが10%、トヨタ自動車 (中国) 投資有限公司が5%の割合で出資。年間11万基の生産能力を有する体制を整備し、2015年中の稼働を目指す。総投資額は2437万米ドル (約24億円)。同日、「トヨタ自動車研究開発センター (中国) 有限会社 (TMEC) 」の完成披露式を開催。HVユニットの中国国産化に向けて開発を加速させる。(2013年11月15日付日刊自動車新聞より)

受注

-2013年、テスラ向けの電気自動車 (EV) 用リチウムイオン電池セルの供給を拡大する契約を締結したと発表。2014~17年で約20億セルのリチウムイオン電池を供給する。生産体制を増強してリチウムイオン電池の生産を拡大する。住之江工場 (大阪市住之江区) は和歌山工場 (和歌山県紀の川市) のラインを移設して増強、現在操業を停止している貝塚工場 (大阪府貝塚市) も再稼働する。また、国内の車載電池の生産設備に180億円の追加投資を決定した。13年3月時点ではすでに130億円の投資を計画しており、車載電池の増産を進める。(2013年11月6日付日刊自動車新聞より)

-2013年、富士重工業のハイブリッド車 (HV) 「XVクロストレック ハイブリッド」 (米国仕様) にニッケル水素電池を供給すると発表。XVクロストレックハイブリッドは、米国で13年3月27日~4月7日まで開催される「ニューヨーク国際自動車ショー」で発表、13年秋に発売される予定。(2013年4月5日付日刊自動車新聞より)

受賞

-2013年、パナソニック ファクトリーソリューションズ (間接購買部門) がBosch Groupからサプライヤー賞を受賞。(2013年7月4日付プレスリリースより)

リチウムイオン電池セルの累計出荷数

-2013年、米国テスラモーターズの電気自動車 (EV)「モデルS」向けリチウムイオン電池セルの累計出荷数が、6月に1億個を達成すると発表。2012年に米国で納車を開始したモデルSは、今年2万台以上の販売が見込まれている。モデルSに搭載する電池セルは、18650サイズの円筒形リチウムイオン電池セルではトップクラスの高エネルギー密度と性能を持ち、EVに最適化した設計とした。パナソニックはテスラ「ロードスター」にも電池セルを供給しており、両社でEV用電池セルの共同開発を進めてきた。高性能電池の開発・製品化を加速し、グローバルで環境対応車用電池事業の拡大に取り組む。(2013年6月13日付日刊自動車新聞より)

2015年3月期の見通し

 (単位:百万円)
  2015年3月期
(予想)
2014年3月期
(実績)
増減
(%)
要因
全社
売上高 7,750,000 7,736,541 0.2 -
営業利益 310,000 305,114 1.6 -
当期純利益 140,000 120,442 16.2

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

 (単位:百万円)
  2014年3月期
全社 478,800
AVCネットワークス 161,100
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ 170,000

製品開発

<オートモーティブ&インダストリアルシステムズ>
-車載向けなどのマルチメディア関連機器、二次電池、電子部品、電子材料等の研究開発を行う。

高輝度白色光源
-近紫外半導体レーザーと蛍光体を用いた高輝度白色光源を開発。

通信LSI
-4Kに対応した大画面モニターなどの放送・産業機器や車載用表示機器などの4K機器の適応分野句拡大が見込まれる中、高速伝送に最適なHDMI Ver.2.0規格準拠の通信LSIを開発。

樹脂振動板スピーカー
-竹由来の「プラントオパール」を混練した樹脂振動板を用いたスピーカーを開発。

自動車向けスイッチ
-2013年、ドアの開閉やシフトレバーの位置を検知する自動車向けスイッチの新製品を発売したと発表。小型・軽量化し、設計や取り付けの自由度を向上する。新製品は、従来製品に比べ体積を45%、重量を40%低減した。内部の接点構造を小型化し、スイッチ全体も小型・軽量化した。ガソリン車だけでなく、静音性が求められるハイブリッド車、電気自動車でも需要を見込む。中国やアジアなど新興国向けにも提案する。伊勢工場 (三重県玉城町) で生産し、月産150万個を予定している。(2013年12月12日付日刊自動車新聞より)

インバーターマイコン
-2013年、車載機器用などのインバーターとコンバーターを同時に制御できる高性能インバーターマイコンを開発したと発表。従来は別のマイコンでインバーターとコンバーターを制御していたが、インバーターマイコンにコンバーターへの命令機能を追加して、モーターと電源の制御の処理時間を従来より40%短縮した。北陸工場 (新潟県妙高市) で今月から量産する。生産規模は月産100万個。(2013年12月11日付日刊自動車新聞より)

ミリ波レーダー
-2013年、ミリ波レーダーの高精度・広視野角化技術を開発したと発表。この技術では、40m先にある自動車や歩行者、自転車がそれぞれ20cm離れていれば、0.1秒以下で個別に分離し検知することができる。同社は、この技術を79GHzレーダーに適用し、交差点内の事故を未然に防ぐ検知センサーなどに応用するとしている。(2013年10月15日付プレスリリースより)

パワーチョークコイル
-2013年、エンジンなど車載ECU (電子制御ユニット) の電源回路に使用するパワーチョークコイルの新シリーズ「PCC-M0530M」「PCC-M0540M」を開発したと発表。ECUの電源回路の省スペース化に貢献し、低損失で電源を高効率化できる。低直流抵抗で小型化し、体積を従来製品と比較して40%削減した。大電流にも対応する。また、耐熱性を150度C/2千hに向上し、放熱などの回路設計が容易になる。ハイブリッド車、電気自動車、ガソリン車のエンジンECUだけでなく、各種車載ECUに使用できる。(2013年10月10日付日刊自動車新聞より)

12ボルトエネルギー回生システム
-2013年、車載用ニッケル水素電池を活用したアイドリングストップ車向け「12ボルトエネルギー回生システム」を開発したと発表。減速時に発生するエネルギーを蓄電して電装品や駆動用モーターへのエネルギー供給を実現する。メーンバッテリーとなる鉛蓄電池の長寿命化や燃費向上に貢献する。(2013年2月9日付日刊自動車新聞より)

研究開発体制

<オートモーティブ分野>
主要開発部門 所在地
オートモーティブ事業開発センター 神奈川県横浜市
eコックピット事業開発室 大阪府門真市
商品開発センター 神奈川県横浜市
グローバル基盤技術開発センター 神奈川県横浜市
グローバル生産革新センター 長野県松本市
Panasonic Automotive Systems Company of America (PASA) 米国ジョージア州
(カーオーディオ)
Panasonic Automotive Systems Europe GmbH (PASE) ドイツ ランゲン市
天津松下汽車電子開発有限公司 (パナソニックAS開発天津有限会社: PASDT)
[Panasonic Automotive Systems Development Tianjin Co., Ltd.]
中国天津市
(カーオーディオ、カーナビ)
Panasonic Automotive Systems Asia Pacific (Thailand) Co., Ltd. (PASAP) タイ サムットプラカーン

設備投資

設備投資額

 (単位:百万円)
2014年3月期
全社 217,000
AVCネットワークス 34,700
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ 85,400

設備の新設計画

 (2014年3月31日現在)
  計画金額
(百万円)
主な内容・目的
全社 255,000 -
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ 109,000 -二次電池の増産、カーマルチメディア機器、電子部品等の新製品生産および増産