パナソニック (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年
3月期
2011年
3月期
増減率(%) 備考
全社
売上高 7,846,216  8,692,672 (9.7) -
営業利益 43,725  305,254 (85.7) -
当期純利益 (772,172)  74,017 - -
オートモーティブシステムズ
売上高 624,878 573,170 9.0 -ハイブリッドカー用バッテリーをはじめ、環境対応車向けデバイスの売上が好調に推移し、増収。
営業利益 4,941 22,678 (78.2) -
エナジー
売上高 319,877 315,495 1.4 -太陽光発電システム事業が国内を中心に引き続き堅調に推移したが、リチウムイオン電池事業の売上が減少。
営業利益 (20,880) (15,232) - -

受注

-米フォードのハイブリッド車(HV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の4車種向けにリチウムイオン電池を供給すると発表した。フォードにはこれまで「エスケープHV」向けを皮切りに「フュージョンHV」と「リンカーンMKZ HV」などにニッケル水素電池を納入した実績がある。今回、納入するのは「フュージョンHVエレクトリック」と「C-MaxHVエレクトリック」、PHVは「フュージョン エナジー」と「C-Maxエナジー」の合わせて4車種。(2012年2月27日付日刊自動車新聞より)

-トヨタのプラグインハイブリッド車「Prius PHV」向けに、リチウムイオン電池を供給すると発表。量産仕様のプラグインハイブリッド車への電池納入は、パナソニックグループとして今回が初めてとなる。(2011年11月29日付プレスリリースより)

-Toyota Motor Europe (TME)の「iQ」向けに、カーメーカー純正商品として「MirrorLink」対応ディスプレイオーディオを納入したと発表。「Toyota Touch Life」という商品名で、欧州市場向け「iQ」にディーラーオプション品として搭載される。この2DINサイズのディスプレイオーディオは、AM/FMラジオにワイドVGAの7v型カラーTFTディスプレイを搭載し、「MirrorLink」対応スマートフォンアプリやiPhoneアプリを車載器側ディスプレイに複製表示。車載器側タッチパネルで、地図、ナビゲーション、ミュージックプレーヤーなどスマートフォンアプリの遠隔操作が可能になる。(2011年11月28日付プレスリリースより)

-同社とTeslaは、自動車用リチウムイオン電池の供給契約を締結したと発表。TeslaのEVセダン「Model S」に搭載される。これにより、同社は今後4年間でTeslaが生産する自動車8万台分以上のリチウムイオン電池を供給することになる。両社は、2009年に最初の供給契約を交わし、2010年には協力関係の強化とEV産業の発展に向けて、同社がTeslaに対し3,000万米ドルを出資した。今回、パナソニックが供給するリチウムイオン電池は、ニッケル系正極を用いた独自技術により高エネルギー密度を実現。このニッケル系正極の技術をベースに、同社とTeslaは共同で次世代電池を開発し、EVの性能や寿命の最適化に取り組んでいる。(2011年10月11日付プレスリリースより)

-弱酸性のイオン「nanoe (ナノイー)」を発生するデバイスがトヨタ自動車が発売した新型「カムリ」に標準装備として採用されたと発表した。デバイスは、同社のオートモーティブシステムズ社が供給する。ナノイーは、水に包まれた微粒子イオンで、一般的なイオンと比べて約6倍の寿命があるため、広範囲にいきわたる。水分量は、体積比で空気イオンの約1千倍以上で、肌や髪にやさしく作用する。ナノイーは、新型「カムリ」のフルオートエアコンに搭載され、ブロアと連動してナノイーがエアコン吹き出し口から放出される。(2011年9月10日付日刊自動車新聞より)

事業再編

-2012年1月1日付けで、100%出資の連結子会社であるパナソニック電工を吸収合併することを決定したと発表。同社を存続会社、パナソニック電工を消滅会社とする吸収合併方式で、パナソニック電工は解散により消滅する。(2011年8月31日付プレスリリースより)

-2012年4月1日付けで、100%出資の連結子会社であるパナソニック エレクトロニックデバイス (PED)と、PED 100%出資の子会社であるパナソニック エレクトロニックデバイスジャパン (PEDJ)の両社を吸収合併することを決定したと発表。同社を存続会社、PEDとPEDJを消滅会社とする吸収合併方式で、PEDとPEDJは解散により消滅する。(2011年8月31日付プレスリリースより)

2013年3月期の見通し

(単位:億円)
  2013年3月期
(予想)
2012年3月期
(実績)
増減
(%)
要因
全社
売上高 81,000 78,462 3.2 -アジアと中国が現地通貨ベースで2桁の伸びとなり、国内・海外ともに増収を確保する見通し。
営業利益 2,600 437 495.0 -大規模な事業構造改革に区切りが付き、前年から大幅な改善と黒字化を達成する見通し。
当期純利益 500 (7,722) -
オートモーティブシステムズ
売上高 7,200 6,248 15.2 -需要が拡大しているディスプレイオーディオの増販により、2桁成長となる見通し。
営業利益 180 49 267.3 -
エナジー
売上高 6,600 3,198 106.4 -車載用・民生用のリチウムイオン電池が身長し、増収の見込み。
営業利益 30 (208) - -

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 520,217  527,798 476,903
オートモーティブシステムズ 43,981 - -
エナジー 31,533 - -
デジタルAVCネットワーク - 252,101 247,069
三洋電機 -  61,825 16,779

研究開発体制

<本社>
-本社に属するR&D部門は東京R&Dセンター、先端技術研究所、中尾研究所、生産革新本部で構成。

-インドのハリヤナ州Gurgaonに「パナソニックR&Dセンターインド (PRDCI)」を開設したと発表。同社にとってインド初のR&D拠点となる。PRDCIでは、エネルギーマネジメント事業、AV商品事業、新規事業創出を中心に、インド市場向けの技術・規格標準化などを推進していく。また2013年3月期に、同州Jhajjarにパナソニックテクノパークを新設し、現地での生産を本格化する予定。(2011年5月18日付プレスリリースより)

<オートモーティブシステム>
会社名または拠点名 所在地
日本
-横浜本社研究棟・開発部門
-事業開発センター
-技術統括センター
-グローバル基盤技術開発センター
-グローバル生産革新センター
神奈川県
横浜市
-eコックピット事業開発室 大阪府
門真市
パナソニックITS(株) 神奈川県
横浜市
海外
Panasonic Automotive Systems Company of America 米国
ジョージア州
Automotive Systems Europe Panasonic GmbH ドイツ
ランゲン
Panasonic Automotive Systems Development Tianjin Co., Ltd. 中国
天津市
Panasonic Automotive Systems Asia Pacific Co., Ltd. タイ
サムットプラカーン

<エナジー>
-エナジー社は同社の研究開発部門と三洋電機(株)を中心に、研究開発を実施。

製品開発

自車位置測位を可能とするポータブルカーナビゲーション機能
-高精度な自車位置測位を可能とするポータブルカーナビゲーション機能を開発。高架下や高層ビル街などのGPS電波を受信しにくい場所でも、自社位置を高精度に表示する「Gジャイロ」を搭載。GPS受信時にはGPS測位とGジャイロを組み合わせ0.2秒ごとの測位を行い、自車位置の動きをなめらかに表示する。さらに時刻情報のみを取得し、位置・起動情報は前回受信データを利用する「クイックGPS」で即位する時間を短縮した。再起動時などで自車位置を短時間で測位することを可能とした。

2012サイズ高電力耐サージチップ固定抵抗器
-自動車のエンジンを電気制御するECU (エンジンコントロールユニット)などを静電気放電などから保護する「2012サイズ高電力耐サージチップ固定抵抗器」を製品化したと発表した。小型ながら業界最高の高電力を実現した。小型化が進むECUに対応した。5月の量産開始を予定し、月産で200万個を目指す。サンプル価格は1個5円。同製品は使用時に発生する熱を拡散させることで、小型ながら同社従来品比2倍、業界最高となる定格電力0.50ワットを実現した。耐静電気放電性能にも優れ、電気回路の保護にも寄与する。(2012年3月24日付日刊自動車新聞より)

車載パワーチョークコイル
-アイドリングストップシステムなどの電源回路として、銅線の抵抗成分である直流抵抗を業界トップクラスまで低減し、小型ながらも大電流につなげた「車載パワーチョークコイル」を製品化したと発表した。従来品と比べ20%の直流抵抗の低減を実現し、電流の損失を抑えた。3月に量産を開始し、月500万個の生産を目指す。アイドリングストップシステムなど電子機器ユニットのアクチュエーターを駆動させる電源回路は、高機能化に伴い大容量化が進んでいる。エネルギー蓄積の役割を果たす車載用パワーチョークコイルにも小型化や大電流化、耐久性の向上の需要が高まっており、今回の製品化はこれらのニーズに応えることがねらい。サンプル価格は1個500円としている。(2012年3月9日付日刊自動車新聞より)

SiC (炭化ケイ素)パワートランジスター
-外付けダイオード (還流ダイオード)を一体化したSiC (炭化ケイ素)パワートランジスターを開発したと発表した。新製品はSiCパワーデバイスでインバーターを構成する際、部品点数を半減することができ、電気自動車(EV)や産業用機器など様々な機器で使用されるインバーターの小型化が図れるのに加え、高価なSiC基板の材料コストを半減できる。通常インバーターモジュールではパワートランジスターと外付けの還流ダイオードと一対で構成する。パワートランジスターに還流ダイオードの機能を一体化したことで部品点数を半減、インバーターモジュールのサイズが約半分に小型化される。(2011年12月22日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 294,821 403,778 385,489
オートモーティブシステムズ 5,522 - -
エナジー 53,364 - -
デジタルAVCネットワーク -  153,701 199,956
三洋電機 -  87,246 31,174

-オートモーティブシステムズでは、カーマルチメディア機器、電装品・環境関連機器の新製品生産および増産のための投資を行った。
-エナジーでは、太陽電池や二次電池等の新製品生産および合理化のために投資。

設備の新設計画

(2012年3月31日現在)
  計画金額
(百万円)
主な内容・目的
全社 310,000 -
オートモーティブシステムズ 5,000 -カーマルチメディア機器、電装品・環境関連機器の新製品生産および増産
エナジー 84,000 -太陽電池や二次電池等の新製品生産および増産