市光工業 (株) 2016年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2016年
3月期
2015年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 102,143 94,166 8.5 -自動車部品事業の売上増加
営業利益 2,429 514 372.6 -国内増収による影響
-タイ子会社の赤字幅の減少
経常利益 3,007 3,118 (3.5) -為替差損益がプラスからマイナスに転じた
-持分法による投資利益などの営業外損益が減少
親会社株主に帰属する当期純利益 2,505 2,363 6.0 -
自動車部品部門
売上高 92,983 84,330 10.3 -国内受注が順調に推移していること
-タイ子会社の新製品による増収
-中国の持分法適用関連会社を連結子会社化した影響が通年化したこと
営業利益 2,275 274 730.3 -国内増収による影響
-タイ子会社の赤字幅の減少



中期経営計画

-2015年12月、2019年度の売上高目標を2014年度比約4割増の1,300億円に設定した。営業利益率も7.0%と2014年度の0.5%から大幅に改善する。コスト競争力の強化やデザイン性が高いLED製品などの投入により、ランプやドアミラー事業を中心に新規受注が拡大している。日系メーカー向けなどの海外売り上げを強化することで、目標の必達につなげる。海外では2013年に稼働したタイ工場で新規受注の生産が拡大しているほか、2014年12月に完全子会社化した中国のドアミラー生産拠点が貢献する。これにより2019年度の海外売り上げ比率は、2014年度の16%から23%まで高まると見ている。(2015年12月7日付日刊自動車新聞より)

製品開発

「MonoLED」 ソケット型標準LED光源ユニット
-採用事例: トヨタ 「Prius」 「Alphard」 「RAV4」、三菱 「Pajero Sport」、スバル 「Forester」
-LEDチップ、駆動回路、放熱部品が一体化したソケット型のLED標準光源ユニット。
-LED普及のための革新的な技術が評価され、自動車技術会 技術開発賞 (日本) とPACE Award (米国) を受賞。

-LEDチップや基盤、放熱部品をソケットと一体化した汎用型のLED光源ユニット 「Mono LEDユニット」 を開発した。ポジションランプやテールランプ、ウインカーなどヘッドランプ以外の外装品に使用できる製品で、LED光源の汎用ユニットの製品化は世界初となる。まずはトヨタ自動車 「アルファード/ヴェルファイア」 のポジションランプに採用された。ユニットの小型化やコスト競争力の高さなどを武器に提案を積極化することで、幅広い車種での採用に結びつける。(2015年6月2日付日刊自動車新聞より)

-同社は汎用型LED光源ユニットのグローバル提案に乗り出す。グループ会社の仏Valeoを通じて欧州自動車メーカーへの提案活動を本格化し、幅広いメーカーでの採用を目指す。普及が進んでいるLED光源は、一般的に車種ごとに専用設計している。開発したLED光源ユニットは世界初となる汎用型製品で、トヨタ自動車の新型 「プリウス」 などに採用された。Valeoと連携してグローバルで採用車種を増やしていくことで、LED市場でのシェア拡大に結びつける。(2016年3月24日付日刊自動車新聞より)

-トヨタ自動車が2015年12月に発売する新型 「Prius」 のリアコンビランプを受注した。「Prius」 の部品を受注するのは初めてで、1車種当たりでは同社として過去最大の数量となる。これに伴い生産を行う藤岡製造所 (群馬県藤岡市) に25億円投資して 「Prius」 専用の建屋と生産ラインを設置し、量産体制を整えた。新型 「Prius」 のリアコンビランプはLEDを用いた個性的なデザインが特徴で、同社が強みとするデザイン性の高いLED製品の量産技術が受注につながった。(2015年12月3日付日刊自動車新聞より)

カメラモニターシステム (Camera Monitor System)
-ミラーに置き換わる次世代の安全システム。モニターへ情報、ガイドを表示することで運転をサポート。視認性と空力性能が向上。

-ルームミラーの代わりに後方視界をモニターに表示する電子ミラーを開発した。2016年7月から日系メーカーのライン装着品として供給する。同社が新車装着用として電子ミラーを実用化するのは初めて。さらにドアミラーの電子ミラー化にも着手する。6月に実施されるミラーに関する法改正により、ドアミラーをカメラ画像で代用することが可能となる。ドアミラーレスによりデザイン性の向上や空力特性を改善できるため、今後普及が進むと見られている。同社ではドアミラー事業をランプ事業に続く主力事業と位置づけている。2019年までに国内ドアミラーシェアを現在の13%から16%まで高めるほか、2014年12月には中国のドアミラー生産会社を完全子会社化した。(2016年2月24日付日刊自動車新聞より)

フロントランプ
-グレアフリーハイビーム (安全性、機能性向上)
-スタイリッシュヘッドランプ (意匠性の多様化)
-低価格標準モジュール (コスト削減、環境性能)

リアランプ
-レーザーマーキング (安全機能追加)
-インフォメーションライティング (コミュニケーション機能追加)
-ウィンドライティング、ボディスキンライティング (意匠性向上)

2025年までの開発ロードマップ

フロントランプ シグナルライト インテリアライト ミラー/カメラ
大型車/高級車 Performance ピクチャービーム
(Picture beam)
キネティックシグナルランプ
(Kinetic signal lamp)
ドライバーサポートライト
(Driver support light)
カメラモニターシステム
(Camera monitor system)
中型車 Signature 薄型LEDユニット
(ThinLED unit)
ウィンドウライト
(Window lighting)
ドアパネルイルミネーション
(Door panel illumination)
新構造アウトサイドミラー
(New structure exterior mirror)
小型車 Entry PeopLEDモジュール
(PeopLED module)
MonoLEDユニット
(MonoLED unit)
LED標準ルームライト
(LED standard room/L)
低コストガラスアクチュエーター
(Low cost glass actuator)

研究開発費

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 6,508 6,172 5,450
-自動車部品 6,202 5,879 5,353


-2017年3月期の研究開発費は6,900百万円 (予想)。

研究開発体制

部門 業務
テクニカルセンター
(伊勢原製作所内)
先端技術開発、製品開発
生産技術本部 開発成果の商品化


-中国にドアミラーの開発拠点を設置する。ドアミラーの開発拠点を海外に設けるのは初めてで、江蘇省無錫市の生産拠点に開発機能を設ける。海外での同社単独の開発拠点としてはタイのランプ開発拠点に続き2カ所目。同社はドアミラーをランプに続く主力製品と位置付けている。市場拡大が見込める中国向けの開発を現地化することで、ドアミラーの販売を強化。同国でのドアミラー売上高を2018年までに現在の4割増となる100億円まで拡大する。(2015年3月10日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動

2016年3月期の主な研究開発課題
-照明機器および信号機器関係

  • 安心・安全を提供する高機能自動車用照明機器の開発
  • カーデザインを生かす高品位自動車信号機器の開発
  • 高機能・高品位を提供するための配光特性と評価システムの研究
  • 環境に対応した新光源の開発

-視界機器関係

  • CMS (カメラモニターシステム) の開発 (法規改正に伴い、ミラーに代わる新商品)

-電子制御関係

  • LDM (LEDドライバーモジュール)、ECU (エレクトロニックスコントロールユニット) の開発

設備投資額

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 9,717 8,991 8,727

-2016年3月期の設備投資額は97億円。内訳は、金型 51億円、機械器具 37億円、建物 9億円。
-2017年3月期の設備投資額は175億円 (予想)。内訳は、金型 70億円、機械器具 78億円、建物 27億円。

-2016年3月期は、新製品、モデルチェンジへの対応および省人化、合理化のために自動車部品事業を中心に設備投資を実施。
-主な投資内容は以下の通り:

事業所名 所在地 事業部門 投資金額
(百万円)
伊勢原製造所 神奈川県伊勢原市 自動車部品 2,857
藤岡製造所 群馬県藤岡市 自動車部品 4,526

設備の新設計画

(2016年3月31日現在)
会社/事業所
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
本社
(神奈川県伊勢原市)
自動車部品製造設備 12,116 2016年4月 2017年3月
九州市光工業 (株)
(大分県中津市)
自動車部品製造設備 2,767 2013年10月 2017年3月

2017年3月期の見通し

(単位:百万円)
2017年3月期
(予測)
2016年3月期
(実績)
増減
(%)
全社
売上高 113,300 102,143 10.9
営業利益 2,800 2,429 15.3
経常利益 3,900 3,007 29.7
親会社株主に帰属する当期純利益 3,100 2,505 23.7

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

-日本: 売上高は大幅増加、成長のための投資先行により利益は横ばい。
-海外: ASEANは一過性金型売上を除いたベースでの対比において、売上高および利益は増加見込み。タイは通年での収支均衡を狙う。

国内市場シェア
-リアランプの国内市場シェアが増加傾向にある (同社調べ)。

  • 2015年3月期実績: リアランプ 20.6%、フロントランプ 14.0%、ミラー 11.4%
  • 2016年3月期実績: リアランプ 22.4%、フロントランプ 14.5%、ミラー 11.5%
  • 2017年3月期予想: リアランプ 24.5%、フロントランプ 14.5%、ミラー 12.1%