(株) ジーテクト 2018年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2018年
3月期
2017年
3月期
増減率
(%)
要因
売上高 219,849 206,072 6.7 -新機種立ち上げが減少したが、中国・アジアの増産等による量産売上の増加により増収
営業利益 14,272 14,402 (0.9) -北米における製造費用の一時的な増加の影響があり、他地域での利益改善を進めたが減益
経常利益 14,606 14,430 1.2 -持分利益及び為替差損の縮小等により増益
親会社株主に帰属する当期純利益 11,532 9,706 18.8 -政策投資株式の売却益や税効果会計などにより増益

事業動向

EV化や自動車業界の大きな転換期を好機と捉え、持続的な成長と進化を遂げるべく、中長期的な成長戦略として「売上高3,000億円」、「営業利益200億円」の達成を掲げ、「技術」、「販売」、「人事」の3つの領域でのイノベーションによる目標達成に取り組んでいる。

技術イノベーション
-完成車メーカーに対する、車一台開発提案のコア技術として、ボディの性能解析技術を極め、新機種の受注原単位の拡大に注力。
-欧州、中国で加速する自動車の電動化も視野に入れ、軽量・高剛性ボディの進化を推進。
-日本、米国、ドイツ、中国のグローバルな研究開発の中核拠点として、「ジーテクト東京ラボ」を2018年4月に開設。

販売イノベーション
-欧州高級車メーカーを主なターゲットとした営業活動を展開し、スロバキアにおいて、英国で取引のある欧州高級車メーカーからアルミ部品を新規受注。
-上記に対応するため、同国にアルミボディ量産拠点(G-TEKT Slovakia, s.r.o.)を設立し、2019年6月に稼働予定。
-英国拠点(G-TEKT Europe Manufacturing Ltd.)では、アルミ加工に対応した第4工場の建設に着手し、2019年1月の稼働を予定。
-中国では、上海市に新たに開設したリサーチオフィス(G-TEKT Shanghai Representative Office)が業務を開始。
-日系自動車メーカーからの受注拡大に伴い、能力拡大を目的として湖南省長沙市に新工場を建設。

人事イノベーション
国内従業員を対象とした新人材育成制度の構築に重点を置き、クラウドを活用した育成支援ツールを新たに導入。


>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

研究開発費

 (単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 736 737 613

研究開発体制

-技術本部開発部において新技術や新製品の開発を推進。
-2018年3月末現在、開発室の人員は20名。
-機種開発は、技術本部プレス技術部、溶接技術部、精密部、および営業本部商品開発部が、顧客と連携しながら実施。

研究開発活動

-2018年3月期の研究開発テーマは以下の通り:

  • ホットスタンプ技術開発
  • 超高張力鋼板の成形技術開発
  • トランスミッション部品プレス技術開発
  • 成形シミュレーション技術開発
  • ボディ軽量化技術開発
  • マルチマテリアル化適用技術
  • 異材接合技術


-同社は電気自動車(EV)向け製品の開発に乗り出す。全固体電池向けバッテリーケースや駆動系の部品など、既存の技術を応用できる領域で検討を進めており、今後、EVのバーチャルデータなどを活用しながら開発の方向性を決める。同社ではEVシフトによって将来的に需要が減る可能性のある無段変速機(CVT)用精密プレス部品を手掛けている。これを穴埋めできるEV向け部品事業を立ち上げて持続的な成長を目指す。(2018年2月7日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 21,918 22,394 20,181
-機種投資 (新機種立ち上げ投資) 9,376 12,698 6,480
-基礎投資 (生産能力増強投資) 12,542 9,696 13,701


設備投資 (2018年3月期)
-新機種立ち上げに伴う機種投資として、国内で45億円、北米で3億円、アジアで19億円、中国で27億円の投資を実施。
-生産能力増強のための基礎投資として、国内で36億円、北米で50億円、アジアで16億円、中国で6億円、欧州で16億円、南米で2億円の投資を実施。

-2019年3月期の設備投資額は、全社で28,200百万円を予定。

国内・海外投資

-同社は、スロバキアにアルミ車体部品を製造する工場を新設すると発表した。総投資額は約4200万ユーロ(55億円)で、20196月に操業開始する予定。新会社「G-テクト スロバキア」を設立する。資本金は2800万ユーロ(37億円)でジーテクトが80%、子会社のG―テクト・ヨーロッパ・マニュファクチャリングが20%出資する。取引先であるジャガー・ランドローバーからのアルミ車体部品の新規受注に対応する。スロバキアではジャガー・ランドローバーが完成車の生産拠点を建設している。新工場の敷地面積は10万平方メートルで、建物面積が15千平方メートル。また、当初工場稼働時工場には大型トランスファープレス機を1台導入する計画だったが、2台に増やすことを決めた。スロバキア周辺に車両生産拠点を持つ欧州自動車メーカーからの新規受注を獲得できる可能性が出てきたため。電気自動車 (EV) シフトなどで車体軽量化ニーズの高まりが見込まれることから同社ではアルミ車体部品を今後の主力製品に位置付ける。

-同社は中国子会社のウーハン・オート・パーツ・アライアンス(WAPAC)が湖南省長沙市に第二工場を新設すると発表した。同市内で完成車を生産している広汽三菱からの受注増加に対応する。2018年4月に操業開始する。総投資額は4500万元(約7億8千万円)。WAPACの主要供給先の一つである広汽三菱が生産能力を増強することから、溶接組み立てを行う第二工場を広汽三菱の工場がある長沙市に新設、物流コストの低減と供給体制の改善を図る。これまで広汽三菱へは湖北省武漢市にあるWAPACの工場から車体部品を供給してきた。WAPACの第二工場はジーテクトとして中国で5カ所目の工場となる。長沙市近郊には欧州系、中国の地場系含め自動車メーカーが多く集積しており、第二工場の新設後は、新規の取引先開拓も見込む。(2017年12月5日付日刊自動車新聞より)

-同社は、英国の生産拠点で生産能力を増強すると発表した。英国拠点が新規受注を獲得したことからこれに対応する。英国生産拠点のジーテクト・ヨーロッパ・マニュファクチャリングのグロスター州にある工場の隣接地に建屋を新設する。2019年1月に操業を開始する予定で総投資額は約3千万ポンド(約42億円)。1万2千平方メートルの建屋に、アルミの加工も可能な大型トランスファープレス機、大型ブランキングプレス機などを導入する。(2017年8月28日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画

(2018年3月31日現在)
会社名
事業所名
所在地 設備の内容 投資
予定金額
(百万円)
着手 完了 完成後の増加能力
同社
埼玉工場
埼玉県
深谷市
自動車部品製造用設備(金型・冶工具等) 2,270 2017年2月 2018年6月 新規車種生産用設備
自動車部品製造用設備(金型・冶工具等) 744 2017年3月 2018年6月 新規車種生産用設備
同社
滋賀工場
滋賀県
甲賀市
自動車部品製造用設備(金型・冶工具等) 601 2016年5月 2018年5月 新規車種生産用設備
Austin Tri-Hawk Automotive, Inc. 米国
インディアナ州
自動車部品製造用設備(金型・冶工具等) 2,333 2018年5月 2018年5月 新規車種生産用設備
Jefferson Elora Corporation 米国
オンタリオ州
生産拠点の工場拡張 598 2018年7月 2019年10月 生産能力増強
自動車部品製造用設備(プレス設備等) 1,372 2018年7月 2019年10月 生産能力増強
G-TEKT Europe Manufacturing Ltd. 英国
グロスター州
生産拠点の工場新設 1,891 2017年10月 2019年1月 生産能力増強
自動車部品製造用設備(プレス設備等) 685 2018年1月 2019年1月 生産能力増強
G-TEKT Slovakia, s.r.o. スロバキア
ニトラ市
生産拠点の工場新設 1,934 2018年4月 2019年7月 生産能力増強
自動車部品製造用設備(プレス設備等) 926 2018年3月 2019年2月 生産能力増強
G-TEKT India Private Ltd. インド
ラジャスタン州
自動車部品製造用設備(金型・治工具等) 905 2016年9月 2018年4月 新規車種生産用設備
Auto Parts Alliance (China) Ltd.
[広州艾帕克汽車配件有限公司]
中国
広東省
自動車部品製造用設備(金型・治工具等) 777 2016年12月 2018年6月 新規車種生産用設備
Wuhan Auto Parts Alliance Co., Ltd.
[武漢艾帕克汽車配件有限公司]
中国
湖北省
自動車部品製造用設備(プレス設備等) 956 2018年6月 2019年11月 生産能力増強
G-KT do Brasil Ltda. ブラジル
サンパウロ州
生産拠点の工場拡張 366 2018年6月 2019年11月 生産能力増強
自動車部品製造用設備(プレス設備等) 1,350 2018年6月 2019年11月 生産能力増強