(株) ジーテクト 2016年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2016年
3月期
2015年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 220,731 193,769 13.9

-ホンダの主力車種のモデルチェンジやSUV投入による生産台数および受注金額の増加。
-新機種開発のための非量産売上の増加。
-為替の影響もあり、増収。

営業利益 12,826 9,643 33.0 -増収効果や生産・技術領域での原価低減。
-金型の原価圧縮や型設備・試作などの利益が増加したため、増益。
経常利益 11,382 8,983 26.7 -新興国通貨での為替差損があったが、メキシコG-ONE Auto Parts de Mexico, S.A. de C.V.の収益好転により、増益。
親会社株主に帰属する当期純利益 7,559 4,652 62.5 -米国Jefferson Southern Corporation、中国Wuhan Auto Parts Alliance Co., Ltd. [武漢艾帕克汽車配件有限公司]、インドネシアPT. G-TEKT Indonesia Manufacturingなどの海外子会社の収益が好転したため、増益。
日本
売上高 42,256 41,187 2.6

-軽自動車の生産台数が大幅減少したが、輸出向けホンダ 「Fit」 の生産開始や機種構成の変化、ホンダ以外への販売等により、量産売上は前年並みを維持。
-非量産売上は、型設備売上が減少。

営業利益 2,245 2,137 5.1 -量産の機種構成の改善、非量産売上の利益率改善。
-生産・技術分野での原価低減効果により、増益。
北米
売上高 85,587 66,612 28.5 -市場全体が好調を維持。
-新機種立ち上げなど機種構成の改善。好調なホンダ以外への販売により、量産が増収。
-型設備売上の増加。
-為替の影響もあり、増収。
営業利益 3,541 2,476 43.0 -新機種立ち上げ費用が想定内に収まり、量産の生産性が改善。
-非量産売上に為替メリットがあり、増益。
欧州
売上高 11,899 10,111 17.7 -生産台数は前年並みを維持。
-Jaguar向け量産開始の他、型設備売上が増加。
-為替の影響もあり、増収。
営業利益 1,148 959 19.7 -労務費・減価償却費が増加したものの、増益を確保。
アジア
売上高 39,752 32,806 21.2

-主力市場であるタイ・インドネシア・インドで生産台数が回復基調にあり、増収。

営業利益 4,261 2,574 65.5 -増産による生産性の向上に加え、インドネシアの新拠点が黒字化したことにより、増益。
中国
売上高 32,343 31,901 1.4

-生産台数が増加。
-競争激化による機種構成の悪化、型設備売上の減少があったものの、為替影響により、増収。

営業利益 1,232 1,594 (22.7) -機種構成の変動や、減価償却の増加により、減益。
南米
売上高 8,892 11,149 (20.2)

-生産台数は計画を維持。
-型設備売上もあるが、大幅な通貨レアル安の影響で、減収。

営業利益 341 444 (23.2) -高インフレ・レアル安により労務費・製造費用が増加。さらなる効率化、コスト削減に努め、利益を確保した。

事業動向

研究・開発分野

<ドイツ>

  • 2015年6月、ドイツ・ミュンヘンに営業・開発支援拠点としてG-TEKT (Deutschland) GmbHを設立。日・米・欧間で相互に補完しあうグローバルな開発体制を構築した。

    -2015年4月、ドイツに開発営業子会社を新設すると発表した。次世代の自動車ボディの開発や市場に関する情報収集を行い、欧州自動車メーカーからの受注拡大を図る。新会社は同社が100%出資し、資本金は55万ユーロ(約7,100万円)。欧州では英国に開発拠点を持っているが、自動車先進国のドイツにも拠点を設けることで、プレス加工方法や新素材などの先進技術に関する情報を収集し、グローバルでビジネスチャンスの拡大につなげる。(2015年4月28日付日刊自動車新聞より)

<日本>

  • 日本:グローバル開発センターとして、シンプルで造り易く、競争力のある車体を開発すべく、軽量高剛性ボディ実現のためのアルミをはじめとする 「マルチマテリアル加工技術」 など、先行要素技術開発に取り組んでいる。

量産技術

  • ホットスタンプ (熱間プレス) は、日本および北米においてそれぞれ1ラインが稼働し、量産している。日本においては、さらに1ラインを追加導入する工事を進めている。北米でも追加導入を検討中。

生産体制の再編

  • 北米では、得意先の増産に対応するため、物流や生産能力を見直した。また北米拠点間でラインを移設するなど、地域最適生産を推進。

  • 2016年3月期には、Austin Tri-Hawk Automotive, Inc. (米国インディアナ州) にてホンダ向けの本格生産を開始した。

増資

<メキシコ>
-同社とエイチワンは、メキシコの持分法適用関連会社G-ONE Auto Parts de Mexicoが30百万ドル (約36億円) の増資を行い、両社がそれぞれ50%を引き受けることで合意したと発表した。増資後の資本金は60百万ドル (約72億円) となる。同子会社では自動車用部品の製造・販売を行っている。(2015年5月14日付プレスリリースより)

中長期ビジョン

数値目標:

  • 連結売上高:3,000億円
  • 営業利益: 200億円


技術イノベーション

  • ボディ全体の構造解析による最適提案を可能にする、ボディ1台解析技術をコア技術として磨く。車体の更なる軽量・高剛性化を提案することで、新規受注を目指す。
  • プレス・溶接技術にアルミをはじめとする 「マルチマテリアル加工技術」 を新たな先端技術として加える。

販売イノベーション

  • 欧米市場:技術イノベーションを武器として、営業活動を展開し、新規受注・顧客の獲得を目指す。
  • 新興国市場:従来のプレス・溶接および解析技術に磨きをかけ、販路拡大に努める。

2017年3月期の見通し

(単位:百万円)
2017年3月期
(予測)
2016年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 206,500 220,731 (6.4)
営業利益 13,000 12,826 1.4
経常利益 12,300 11,382 8.1
親会社株主に帰属する当期純利益 8,400 7,559 11.1


>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

研究開発費

 (単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 613 641 459

研究開発体制

-技術本部開発部において新技術や新製品の開発を推進。
-2016年3月末現在、開発室の人員は17名。
-機種開発は、技術本部プレス技術部、溶接技術部、精密部、および営業本部商品開発部が、顧客と連携しながら実施。

研究開発活動

-2016年3月期の研究開発テーマは以下の通り:

  • ホットスタンプ技術開発
  • 超高張力鋼板の成形技術開発
  • スポット溶接部の非破壊検査技術開発
  • トランスミッション部品プレス技術開発
  • 成形シミュレーション技術開発
  • ボディ軽量化技術開発

設備投資額

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 20,181 43,671 21,056
-機種投資 (新機種立ち上げ投資) 6,480 18,108 -
-基礎投資 (生産能力増強投資) 13,701 25,563 -


設備投資 (2016年3月期)
-新機種立ち上げに伴う機種投資として、国内で3,325百万円、中国で1,831百万円、合計6,480百万円の投資を実施。
-生産能力増強のための基礎投資として、北米で6,520百万円、アジアで3,683百万円、中国で2,045百万円、合計13,701百万円の投資を実施。

-2017年3月期の設備投資額は、全社で23,900百万円を予定。

国内・海外投資

-ホットスタンプ (熱間プレス) のラインを日米で増設する。国内では2016~17年度にかけて1本を追加し、既存ラインと合わせて合計2ラインにする。その後、米国での増設も検討する。ホットスタンプは超高張力鋼板 (超ハイテン材) を上回る強度の部品を造ることができるため、衝突安全性能を高める目的で車体骨格の一部に採用されるケースが増えている。受注車種や部品の種類が増えるため本格的な量産体制を敷く。(2016年2月18日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画

(2016年3月31日現在)
会社名
事業所名
所在地 設備の内容 投資
予定金額
(百万円)
着手 完了 完成後の増加能力
同社
埼玉工場
埼玉県
深谷市
自動車部品製造用設備
(金型・治工具等)
2,622 2014年
12月
2016年
7月
新規車種生産用設備
1,591 2014年
2月
2016年
8月
新規車種生産用設備
Austin Tri-Hawk Automotive, Inc. 米国
インディアナ州
自動車部品製造用設備
(金型・治工具等)
1,759 2015年
6月
2016年
11月
新規車種生産用設備
G-TEKT North America Corporation 米国
オハイオ州
自動車部品製造用設備
(プレス・溶接設備等)
483 2015年
10月
2016年
10月
生産能力増強
G-TEKT Mexico Corp. S.A. de C.V. メキシコ
グアナファト州
自動車部品製造用設備
(プレス・溶接設備等)
675 2015年
4月
2016年
8月
生産能力増強
G-TEKT (Thailand) Co., Ltd. タイ
アユタヤ県
自動車部品製造用設備
(金型・治工具等)
1,556 2014年
10月
2016年
2月
新規車種生産用設備
Auto Parts Alliance (China) Ltd.
[広州艾帕克汽車配件有限公司]
中国
広東省
自動車部品製造用設備
(金型・治工具等)
1,033 2015年
4月
2016年
10月
新規車種生産用設備
910 2014年
12月
2016年
5月
新規車種生産用設備