サンデン (株) 2014年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2014年 3月期 |
2013年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 274,786 | 241,780 | 13.7 | - |
営業利益 | 4,858 | (896) | - | - |
経常利益 | 4,976 | 253 | 1,866.8 | - |
純利益 | 5,843 | 1,084 | 439.0 | - |
自動車機器部門 | ||||
売上高 | 182,207 | 152,697 | 19.3 | -グローバルで環境技術を活かした新商品を投入し、増収。 |
営業利益 | 3,762 | (2,761) | - | -市場の環境・省エネニーズに応えるため、技術開発投資を前倒しで実施。一方、グローバル部品調達構造改革の成果によるコスト削減、国内外の生産拠点における生産性改善の効果に加え、円安の影響もあり、大幅な増益となった。 |
業務提携
-同社とケーヒンは自動車用空調システムでの協業に向け基本合意したと発表。HVAC (エアコンの室内ユニット) や空調用熱交換器の分野でのメガサプライヤーを目指し、両社の開発力や販売力を持ち寄る。空調システムの共同開発、生産販売体制の補完などを目的に2014年4月に共同出資会社の設立を目指す。自動車用空調機器での両社の世界市場シェアはサンデンが4%、ケーヒンが3%だが、協業による競争力強化により、両社合わせて10%の獲得を目指す。 (2013年6月8日付日刊自動車新聞より)受注
-2013年9月に発売されたホンダの新型 「Fit」 に、同社のエアコン用コンプレッサーが採用されている。販売計画
-カーエアコン用コンプレッサーの2016年3月期の販売計画を、2013年3月期実績の1,500万台から33.3%増となる2,000万台に設定した。自動車生産が拡大する米国や中国、ASEAN (東南アジア諸国連合) を始め、日本と欧州での受注が拡大する。生産と調達の現地化の推進で、グローバルでのコスト競争力を高める。省エネ性能が高いコンプレッサーは欧米で新規顧客を獲得するなど、事業規模拡大につなげる。需要増に対応するため、グローバルで生産能力増強と生産と調達の現地化を進めている。北米はメキシコの工場が稼働、欧州ではポーランドの第2工場が稼働する。中国では工場を拡張するほか、東南アジアでは、タイ、インドネシア、マレーシア、インドでそれぞれ生産能増などを図る。現地生産の拡大と現地調達率の引き上げにより、コスト競争力を強化する。 (2013年5月14日付日刊自動車新聞より)
2015年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2015年3月期 (予測) |
2014年3月期 (実績) |
増減 (%) | |
売上高 | 290,000 | 274,786 | 5.5 |
-自動車機器 | 188,000 | 182,207 | 3.2 |
営業利益 | 7,000 | 4,858 | 44.1 |
経常利益 | 7,000 | 4,976 | 40.7 |
当期純利益 | 5,000 | 5,843 | (14.4) |
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2014年3月期 | 2013年3月期 | 2012年3月期 | |
全社 | 7,095 | 6,890 | 7,431 |
-自動車機器事業 | 4,908 | 4,555 | 4,816 |
研究開発拠点
-日本、米国、ドイツに点在するサンデンテクニカルセンターおよびフランスの開発部門で開発を実施。研究開発活動
自動車機器事業-プラグインハイブリッド車や電気自動車など車両の変化に対応したコンプレッサーならびにカーエアコンシステムの開発。
-環境対応のための次世代商品の開発や省エネ対応を自動車機器事業の最大の課題とし、ハイブリッドコンプレッサー、電動コンプレッサー、自動車用小型・軽量のHVACシステム等、省動力・低燃費等、環境負荷低減のための開発を実施。
製品開発
二酸化炭素 (CO2) を使用するHVAC-冷媒に二酸化炭素 (CO2) を使用するカーエアコン用室内ユニット (HVAC) を開発する。ドイツの自動車メーカーが2017年以降に欧州市場向けに投入するモデルでカーエアコンの冷媒をCO2とする方針に対応するため、同年をめどに製品化する。飲料品の自動販売機などでCO2冷媒の製品を開発した経験を生かし、事業拡大につなげる。CO2冷媒は地球温暖化係数 (GWP) が「1」と低い上に冷暖房能力も向上する。しかし、高圧での圧縮が必要で、コンプレッサーなど従来のカーエアコンの構成部品が使用できず、新規開発が必要になる。欧州ではGWP「150」以上の冷媒の新型車種への使用が規制されており、17年以降はすべての新車で使用が禁止される。カーエアコン用の新冷媒は、米ハネウェルと米デュポンが開発したGWP 「4~6」のHFO1234yfが有力だが、ドイツではダイムラーが同冷媒は発火する恐れがあるとして採用しない方針を示している。フォルクスワーゲンとBMWもこれに追随し、同国の大手3社が不燃性のCO2冷媒を採用する方向だ。 (2014年5月15日付日刊自動車新聞より)
高効率ヒートポンプ
-電気自動車 (EV) 用のヒートポンプシステムを開発する。高効率な電動コンプレッサーなどで構成したシステムを開発し、電気自動車の省電力化や航続距離の延長に貢献する。エンジンのないEVは、駆動用バッテリーの電力を冬場の暖房に使っており、航続距離を縮める原因となっている。暖房装置の効率を高めることにより、駆動用バッテリーの搭載量を増やさなくても、一定の航続距離延長につなげることができる。自動車メーカーと共同で開発し、2、3年以内の実用化を目指す。 (2013年12月17日付日刊自動車新聞より)
ランキンサイクルシステム
-エンジンの廃熱をエアコン用コンプレッサーの駆動に利用し、燃費性能の向上に貢献する「ランキンサイクルシステム」を開発した。エンジンの廃熱をポンプ一体型エキスパンダーで動力に回生して、コンプレッサーを作動させる。廃熱はラジエーターやマフラーなどから回収。電力に変換して、バッテリーに蓄えたり補助用電気ヒーターを作動することができる。高速道路などを長時間走行する場合は継続して熱が発生するため、燃費削減効果が大きくなるとしている。小型・軽量化し効率を向上したコンプレッサーと組み合わせて、燃費削減に貢献する空調システムとして自動車メーカーに提案する。車両の開発段階から参加して設計を最適化し、早期の製品化を目指す。 (2013年11月28日付日刊自動車新聞より)
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2014年3月期 | 2013年3月期 | 2012年3月期 | |
全社 | 16,600 | 15,500 | 13,900 |
自動車機器事業 | 13,600 | 11,100 | 10,900 |
-日本 | 3,400 | 2,800 | 4,700 |
-欧州 | 4,300 | 4,200 | 2,500 |
-北米 | 2,500 | 1,200 | 1,200 |
-アジア | 3,200 | 2,700 | 2,300 |
設備の新設
-2015年3月期は、主に生産体制強化および現調化・内製化等を目的とした設備投資を中心として総額12,000百万円の設備投資を予定。このうち、自動車機器事業では欧州地区で3,000百万円、北米地区で1,000百万円、アジア地区で2,500百万円、日本で3,500百万円、総額10,000百万円の設備投資を予定。海外投資
<ポーランド>-ポーランド子会社のSanden Manufacturing Poland (SMP) に第2工場を建設したと発表した。SMPの第1工場では、カーエアコン用コンプレッサーのPXシリーズを生産している。建屋面積は26,000平方メートルで、年産能力は160万台。今回の第2工場は、このPXシリーズの鋳造と部品工場となる。建屋増築面積は13,000平方メートル。2014年2月に生産を開始する予定で、フル稼働となる2016年度には約300名の雇用拡大を計画している。 (2013年11月13日付プレスリリースより)