Plastic Omnium S.A. 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2017年
12月期
2016年
12月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 6,768.5 5,857.3 15.6 1)
純利益 430.5 318.3 35.3 -
自動車部品部門
売上高 6,433.0 5,488.3 17.2 2)

要因
1) 全社
-2017年12月期の全社連結売上高は、前年比15.6%増加の6,768.5百万ユーロ。売上増は為替の影響により68.8百万ユーロ減。

2) 自動車部門
-2017年12月期の自動車部品部門の連結売上高は、前年比17.2%増加の6,433.0百万ユーロ。売上増はマーケットシェアの増加、生産能力の増加、新製品投入によるもの。特に欧州で外装部門の買収、北米ではSUV販売の好調による影響が大きい。アジアでは過去数年にわたる設備投資の効果があらわれた。

同社は3つの合弁事業を保有している。

  • HBPO:HellaMahle-Behrと同等比率で出資している合弁会社。フロントエンドモジュールの主要メーカーで、26の組立工場を所有している。2017年12月期の売上高は740百万ユーロ。
  • Yanfeng Plastic Omnium Automotive Exterior Systems (YFPO):同社が49.95%出資している合弁会社で、中国トップの自動車外装部品メーカー。中国に19の工場があり、約4,200名が開発センターに勤務。2017年12月期の売上高は458百万ユーロ。
  • BPO:同社が50%を保有するトルコの合弁会社。車体外装部品を生産。2017年12月期の売上高は36百万ユーロ。


買収

-同社は、燃料電池分野を専門とするSwiss HydrogenOptimum CPV2企業を買収すると発表した。Swiss Hydrogenは、スイスFribourgを拠点に、自動車向け燃料電池システムにおけるエネルギー制御のためのソリューションを設計・生産。Optimum CPVは、ベルギーZonhovenを拠点に、フィラメント複合材製の水素貯蔵タンクを設計・生産する。両社は、同社Auto Inergy部門内に新設される「New Energies」部門に統合される見通し。(20171221日付プレスリリースより)

事業売却

-同社は、トラック複合材事業のGerman group mutaresへの売却が完了したと発表した。同事業部門の従業員数は1,500名、2016年の売上高は約200百万ユーロ。フランスに5カ所、中国に2カ所、ドイツとメキシコに各1カ所の生産拠点を有する。(2017630日付プレスリリースより)

受注

-2017年12月期で、126のプログラム立上げがあった。 

新規プログラム数

地域 2017年12月期 2016年12月期
欧州 52 57
北米・南米 23 28
アジア 51 75
合計 126 160

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
合計 401.0 339.1 295.4

研究開発体制

-世界の24カ所のR&Dセンターで2,000名超の技術者が研究開発に従事。

技術提携

-2016年イスラエルのElbit Systemsと、燃料電池とスーパーキャパシターの共同開発で研究センターPOCellTechを立ち上げることで合意した。総投資額は16百万ユーロで、同社は20%を保有する。

-燃料電池の研究開発のためFrench Alternative EnergiesやAtomic Energy Commission(CEA), 米国のマサチュウセッツ工科大学(MIT), Israel Institute of Technology(Technion)や the Technical University of Denmark(DTU)などの様々な研究所・大学と共同研究している。

研究開発活動

-自動車部品部門ではCO2およびNOxの排出削減や、より軽量で、空力性能の高い製品の開発に注力。

製品開発

プラグインハイブリッド車用樹脂製燃料タンク 
新しいINWIN技術を用いたこのタンクは、従来のPHEVで主に使用されている金属製のものに比べて40%の軽量化を実現。また、長時間の電気走行で発生する燃料蒸気による圧力に耐えることができる設計となっている。この製品の開発にあたっては、163の特許技術が用いられた。同社は2016年12月より、韓国で現代自動車のPHEV向けに納入を開始する予定。この他に2018年までに、アジアと欧州の自動車メーカー3社の7モデル向けに納入する計画。(2016年6月13日付プレスリリースより)

軽量エアバンパーコンセプト
-空気抵抗と二酸化炭素排出の低減、設計自由度の向上、電気とメカトロの統合システムを考慮した設計。下段スポイラーとエアグリルを調整するアクティブ空力システムと、パッシブサイドグリルが組み込まれている。また、バンパーの張り出しや重量を10%軽減させる新しいフロントエンドアーキテクチャーや、低密度の材料を採用している。

複合テールゲートテクノロジー
-2種類の複合テールゲートを開発中。ハイプレミアムは優れた機械的性能を引き出すす再生カーボンファイバーで強化された合成フレームで形成されている。その低密度は従来のメタルテールゲートに比べ6キログラムの重量軽減をもたらしている。ハイゲートアクセスはAセグメント及びBセグメント向けの仕様。

DINOxコンパクトSCRシステム
-電子制御ユニットと単一モジュールにつながる全てのセンサーを組み込んだDINOxコンパクトSCRシステムを開発している。費用対効果を最大限にする単一のシステム(アドブルー(AdBlue)噴射、加熱、センシング機能)を最適化する。DINOxコンパクトはブロー成形および射出成形どちらで作られた燃料タンクにも互換性を持つ。

FCV用水素タンク
-2016年パリ自動車ショーで3分間で燃料補給可能な大型車両の高圧水素貯蔵の試作品を展示した。

     

特許

-2017年に141件の特許を取得、合計約3,700件以上の特許を取得している。

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
自動車部門 310.1 203.5 242.6
環境部門 13.2 13.5 14.0
その他 5.4 3.7 12.7
合計 328.7 220.7 269.3


<北米>
-同社は、デジタルトランスフォーメーションと新しい産業モデルへの投資を専門とするベンチャー投資会社Aster240百万ユーロの資金調達に、共同出資者として参加すると発表した。Asterは調達した資金で、新エネルギーへの移行や未来のモビリティ分野のイノベーション企業を、主に欧米で支援する予定。同社は、イスラエルを本拠とするELBIT Systemsと共同で燃料電池分野の合弁会社「POCellTech」を設立したほか、水素などの新エネルギー分野の先進研究センター「Δ-Deltatech」をベルギーのブリュッセルに建設。新センターは、200人以上のエンジニアを迎え、2019年にオープンする予定となっている。(201711月9日付プレスリリースより)

<英国>
-2016年6月、英国Warringtonに2015年前半に着工した自動外装工場の建設が完了した。この工場はJaguar Land Rover向けの外装車体部品を生産している。同社は2016年12月31日時点で、この工場に合計80.8百万ユーロを投資した。

-新工場の建設予定:

場所 量産開始時期 生産品目 納入先
メキシコ San Luis Potosi 2017 バンパー GM, Mercedes-Benz
中国 Chongqing  2017 燃料システム Hyundai
インド Hansalpur 2017 燃料システム Maruti Suzuki
北米 Tennessee, Smyrna 2018 燃料システム 日本OEM
北米 South Carolina, Greer 2018 バンパー BMW