Plastic Omnium S.A. 2013年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2013年
12月期
2012年
12月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 5,124.5 4,806.2 6.6 1)
純利益 208.0 181.5 14.6 -
自動車部品
売上高 4,655.2 4,343.0 7.2 -

要因
1) 売上高
-2013年12月期の売上は、初めて50億ユーロを越え5,124.5百万ユーロ。前年比6.6%の増加。

-製造拠点110カ所 (29カ国) を展開しているが、すべての拠点において売上の増加が見られた。
地域別では、南米・アフリカ前年比8.1%増、欧州同7.8%増 (先進的軽量化技術が評価された)、アジア同5.5%増、北米同4.8%増となった。

事業再編

-2013年3月、ベルギーHerentalsのバンパー工場を2013年夏に閉鎖すると発表した。同工場の従業員数は現在123名。欧州での自動車販売台数の減少や自動車メーカーが同国の生産拠点を閉鎖していることなどから、同工場の生産能力は2007年に比べて半分以下に落ち込んでいる。なお、今回の計画において同拠点の燃料タンク事業に影響はないとしている。

受注

-2013年12月期は、自動車メーカーと組んだ107のプロジェクトを上市した。2014年には98件を予定している。
(件)
プロジェクト (地域) 2014年12月期予定 2013年12月期実績
アジア 55 34
西欧 19 39
北米 10 11
東欧 9 13
南米 5 6
アフリカ 0 4
合計 98 107

-2013年12月期の主な受注案件
  • 各種軽量化ソリューション: Land Rover 「Range Rover Sport」、Skoda 「Superb」、日産 「Qashqai」、Renault 「Capture」、Peugeot 「2008」、「308」
  • フロントエンドモジュール: Mercedes-Benz 「CLA」
  • リアフロアー: Peugeot 「308」、Citroen 「C4 Picasso」
  • 100%リサイクルバンパー: Peugeot 「208」
  • フューエルシステム: トヨタ 「Etios」、現代 「HB20」

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
合計 247.0 243.7 206.2

研究開発体制

-22カ所のR&Dセンターで、全従業員の9%に相当する2,000名以上のエンジニアが研究開発に従事。

-2013年は全社売上の5%を研究開発費に使用。

-2,994件の特許を保有。その内、114件は2013年に取得。

研究開発拠点

<中国>
-2013年12月、中国の安亭 (Anting) 市に外装部品の開発センターを開設した。世界最大の自動車市場において急成長する同社の事業をサポートする。技術者および研究者は現在の300名から、2016年までに450名に増員する計画。同社は2013年、中国において18社の顧客向けに35件の外装部品に関する新規プログラムを開始した。なお、2015年までにその数を年間50件に増やす計画。顧客には、Volkswagen、GM、上海汽車 (SAIC)、第一汽車 (FAW)、BMW、PSA Peugeot Citroen、Jaguar Land Roverなどが含まれる。現在、中国企業との合弁会社である延鋒彼欧汽車外飾系統 [YFPO:Yanfeng Plastic Omnium Automotive Exterior Systems] を通じて、バンパーを中心に約100件の新規プログラムを進めている。このほかに、テールゲートに関して4件、フェンダーに関して1件の受注を獲得した。

<スロバキア>
-2013年10月、スロバキアのLozornoに開発センターを開設した。外装部品および構造部品の開発を行う。1,300平方メートルのオフィスと300平方メートルの実験室を備え、技術者・研究者110名を雇用している。今後160名まで増員が可能。新センターでは主に、CAD、スタイリング、製品・生産工学、品質管理、営業、購買など自動車関連のプロジェクトをサポートする。新センター建設への投資額は約2百万ユーロ。まず、ドイツの自動車メーカーとのプロジェクトを開始する予定。また、フランスLyonにある研究開発センター∑-Sigmatechと緊密に連携をとるほか、スロバキアのBratislavaやKosice、チェコのZlinにある大学と技術提携を行うことでも合意している。

<フランス>
-2013年6月、フランスVenetteにおいて国際研究開発センター「α-Alphatech」の起工式を開催した。Inergy Automotive Systemsに属する新センターは、2014年9月に稼動する予定。投資額は60百万ユーロで、敷地面積は23,000平方メートル。Inergy Automotive Systemsの既存工場の近郊に建設する予定。フランスではVenetteの既存拠点とLaval拠点から従業員450名を新センターへ異動するほか、ベルギーBrusselsの研究開発センターからはエレクトロニクスの研究チームを異動する。2002年にLyonに開所した∑-Sigmatechに加え、同社はフランスに2つの自動車技術の研究開発センターを保有することになる。

研究開発活動

-自動車部門ではCO2およびNOxの排出削減に注力するため、以下の3テーマに関する研究開発を実施。
  • 車両の軽量化、空力設計の最適化
  • 排ガス制御システム
  • HVおよびEV用パワートレインの開発サポート
-同社は2020年までに、従来の鉄製部品と比べ最大25-30%乗用車の重量を削減できる以下の製品を開発する。
  • バンパー
  • フェンダー
  • 熱可塑性燃料システム
  • 複合材製フロア・テールバックモジュール
  • 高性能複合材製構造部品

製品開発

可動式エアグリル
-空気力学を使用した可動式エアグリル"LightAir"はCO2排出量を小型SUVにおいては3g/km削減する。モジュール構造により外装部品の薄厚化が可能となりデザイン性も向上。炭素ファイバーによって強化された熱可塑性複合材の使用により、フロントバンパービームとその吸収体を合わせ45% (3.5kg) の軽量化が可能となった。

熱可塑性テールゲート
-2013年9月、Peugeot 「308」 向けに熱可塑性樹脂のみを使用したリアオープニングモジュールの生産を開始したと発表。この製品の開発はフランスLyonにある研究開発センター∑-Sigmatecで行い、同国のLangres工場およびFontaine工場で生産される。テールゲートの重さは12kgで、スチール製のものより3kgの軽量化を実現。同社がこれまで生産したテールゲートは、熱硬化性複合材料製のほかに、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を組み合わせたものがあるが、今回開発した熱可塑性樹脂のみのテールゲートにより、リアオープニングモジュールのラインアップが拡大した。

フロントエンドモジュール
-Hella、Behrとの合弁HBPOが開発を推進するフロントエンドモジュールにおいては、前モデルより20%の軽量化を実現。車への取り付け時間を30%削減した。Mercedes-Benzの 「CLA」 に採用された。

-歩行者保護の観点から、バンパー衝撃吸収ビームやメタル複合フードの開発を推進。

複合リアフロアー
-スチール板にモールドインサート成形を施した複合リアフロアーは、工程を変更することなく、車の金属構造への固定が可能。Peugeot 「308」、Citroen 「C4 Picasso」 に採用された。

複合フロントフロアー
-高性能の複合材料を使用し、20以上のプレスメタル部品で構成される。従来品より50%の軽量化を狙う。 (プロトタイプ)

炭化水素排出の抑制
-Inergy部門は、TSBM (Twin Sheet Blow Molding) や、SCRで炭化水素、NOx、CO2等の削減を推進。
  • TSBM:燃料タンクを製造したあとに部品を溶接するのではなく、ブロー成形時に燃料タンク内に多くの部品を組み込むことで炭化水素の排出を抑制する技術。
  • DINOx Premium:第二世代のSCRシステムはディーゼルエンジン車のNOx排出を95%、CO2排出を最大8%削減することが可能。サイズの最適化や性能強化により、2014年に欧州で発効予定のEURO VIを含む排出・燃費基準に対応可能。
バッフル内蔵燃料タンク
-燃料タンク内にバッフルを成形することで、燃料が動く音を軽減する。ハイブリッド車やスタートストップシステムを備えた車向けに開発された。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
合計 338 261 228

-2013年12月期の設備投資は、11の新工場 (10カ所は中国、1カ所はロシア) の建設と開所のための費用を含む。
-2014年の新工場建設は、中国、ブラジル、ロシア、メキシコで進行中。

設備投資見通し

-2013年-2016年の3年間で、同社は設備投資に12億ユーロを投じる見込み。16の新工場建設を計画、内8つは中国を予定。

海外投資

<米国>
-2013年10月米国ミシガン州のHuronにPlastic Omnium Inergyの工場を開設したと発表した。従業員400名を雇用し、年間約150万個の樹脂製燃料タンクを生産する予定。Plastic Omnium Inergyはミシガン州に3拠点 (Troy、Adrian、Huron) を保有している。