ZF Friedrichshafen AG 2018年12月期の動向

業績

 (単位:百万ユーロ)
2018年
12月期
2017年
12月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 36,929 36,444 1.3 1)
営業利益 1,381 1,723 (19.8)
部門別売上高
パワートレインテクノロジー 7,775 8,725 (10.9) 2)
シャシーテクノロジー 7,876 6,484 21.5 3)
商用車テクノロジー 3,720 3,172 17.3 4)
E-Mobility 2,195 924 137.6 5)
アクティブ&パッシブセーフティテクノロジー 12,121 13,970 (13.2) 6)
ZF アフターマーケット 2,975 3,007 (1.1) 7)

 

事業再編

ー同社は事業を2018年10月時点で再編した。アクティブ&パッシブセーフティテクノロジー部門を、エレクトロニクス及びADAS、パッシブセーフティシステム、アクティブセーフティシステムの3事業部門に分割した。

ー2018年1月、以下の事業再構成が行われた

  • パワートレインテクノロジー部門におけるアクスルドライブ事業をE-Mobility部門へ移管
  • 風力テクノロジーサービス事業をアフターマーケット部門からインダストリアルテクノロジー部門へ移管
  • アクティブ&パッシブセーフティテクノロジー部門における商用車ステアリングシステム事業をシャシーテクノロジー部門、商用車テクノロジー部門へ移管
  • ボディコントロールシステム部門を売却

  

要因

1) 売上高
-2018年12月期の同社売上高は前年比1.3%増の36,929百万ユーロ。企業買収および為替の影響を除いた実質の事業成長率は約6%となった。

2) パワートレインテクノロジー部門

-同部門の2018年12月期売上高は前年比10.9%減の 7,775百万ユーロ。アクスルドライブ事業の移管および為替の影響を除いた実質の事業成長率は約5%。成長の主な要因は、乗用車用トランスミッションや、ハイブリッド分野製品の需要増による。

3) シャシーテクノロジー部門
-2018年12月期同部門売上高は前年比21.5%増の7,876百万ユーロ。同部門はアクティブ&パッシブセーフティ部門からの事業移管を受けている。事業構成の変更及び為替の影響を除いた実質の事業成長率は約5%。主にアジア太平洋地域セグメントでの売上高が寄与したが、これは一部北米での売上高及び為替の影響により相殺されている。

4) 商用車テクノロジー部門
-商用車テクノロジー部門における2018年12月期売上高は前年比17.3%増の3,720百万ユーロ。実質の事業売上高の12%増が大きく寄与した。増加の要因は主に欧州及び中国での高い需要と、ロシア・ブラジルでの堅調な市況。また、同部門もアクティブ&パッシブセーフティ部門からの事業移管を受けている。

5) E-Mobility部門
-2018年12月期、同部門の売上高は137.6%増の2,195百万ユーロ。アクスルドライブ事業の移管に加え、ハイブリッドモジュール・乗用車用AT向けコントロールシステム・電動アクスルドライブの需要が高まったことで売上増となった。

6) アクティブ&パッシブセーフティ部門
-アクティブ&パッシブセーフティ部門の2018年12月期売上高は前年比13.2%減の12,121百万ユーロ。ボディコントロールシステムの売却及びその他事業の移管、為替の影響を除いた売上高成長率は約5%となった。

7) ZF アフターマーケット
-アフターマーケット部門の2018年12月期売上高は1.1%減の2,975百万ユーロ。事業再編及び為替の影響を除いた実質の事業売上高成長率は約3%。以前同部門であった風力テクノロジー部門は今事業年度よりインダストリアルテクノロジー部門へ移管されている。

  

最近の動向

独ASAP Holdingの株式35%を取得
-ドイツ・バイエルン州Gaimersheimを拠点にエンジニアリングサービスを提供するASAP Holdingの株式35%を取得すると発表した。取得額は非公表。ZFは、顧客の需要増に対応するため、自動運転やeモビリティの能力を強化するのが狙い。ASAPは、eモビリティや自動運転、コネクテッドカーに焦点を絞ってエンジニアリングサービスを提供する企業。11カ所に拠点があり、従業員数は1,100人以上。(2018年10月19日付 プレスリリースより)

Car eWallet事業を分社化
-さまざまな決済・取引機能を提供する「Car eWallet(自動車用イーウォレット)」事業を分社化し、ドイツBerlinを拠点とするスタートアップCar eWalletを設立したと発表した。2018年春まで6カ月間実施したIBMとUBSとの共同プロジェクトに続き、「Car eWallet」サービスの開発を推進するのがその狙い。同サービスは、給油や充電時の支払いに加え、通行料金や駐車料金、カーシェアリングの支払いにも利用できる。最初の実験プロジェクトは、早ければ2018年後半に開始される予定。(2018年7月5日付プレスリリースより)

インダストリー4.0対応のインフラソリューションを公開
-ZF Friedrichshafen、ドイツ人工知能研究センター(DFKI)およびその他パートナーと共同で生産設備の生産性を最適化するインダストリー4.0対応のインフラソリューションを公開すると発表した。3年間にわたって総額12百万ユーロを拠出するプロジェクトは、ドイツ連邦教育研究省の見本市会場で発表予定。共通プラットフォーム「BaSys 4.0」によって、新製品を導入する際に迅速に製品プロセスを適応させることができ、これにより購入した全ての製品が自動的かつ迅速に利用できるようになるとしている。またアッセンブリーおよびネットワーキング補助システムの活用が従業員に利点をもたらし、計画立案も3Dでシミュレーションでき、見当たらない機能はシステムが自動的に識別するという。(2018年6月12日付プレスリリースより)

「MOBI(モビリティ・オープン・ブロックチェーン・イニシアチブ)」への参加
-ブロックチェーン事業体「MOBI(モビリティ・オープン・ブロックチェーン・イニシアチブ)」に創設メンバーとして参加することを発表した。MOBIはブロックチェーン技術を使い、自動車運転を安全で環境にやさしく手頃なものにすることを目的に自動車メーカーやサプライヤーが立ち上げた事業体。自動車業界向けの標準化されたブロックチェーンネットワークにより、自動車、インフラ、サービスプロバイダーが効率的に通信し、相互に直接取引してクラウドサービスなどからデジタル通貨での支払いをサポートする。ブロックチェーン技術によるデータ暗号化、操作耐性および分散型トランザクションで将来のモバイルアプリケーションのための安全なメディア提供を目指すが、これらの技術はこれまで世界標準がなく、ZFはMOBIのメンバーとともに標準化を目指すとしている。(2018年5月2日付プレスリリースより)

「eSync Alliance」への参入
-OTA (Over-The-Air) アップデートとデータ診断ソリューションの標準化を目指すマルチベンダー・イニシアティブ「eSync Alliance」に参入すると発表した。この世界的な取り組みにより、自動車産業は毎年数十億ドルを節約できる可能性があるという。「eSync Alliance」は、クラウドコンピュータと車載コンポーネントを結ぶプラットフォーム「eSync」がベース。「eSync」は、米国のミドルウェア開発会社Excelforeが車載デバイスへのセキュアなデータ供給を目的に開発したシステム。車外からの脅威に対するシールドとして作用するほか、ソフトウェア・ファームウェアを無線アップデートし、診断・テレマティクスデータをリアルタイムで収集する双方向コミュニケーションを提供するとしている。(2018年4月26付プレスリリースより)

EUの共同出資プロジェクト「ENSEMBLE」への参加
-2021年までに欧州で複数ブランドでの自動運転トラック隊列走行実現を目指し、EUの共同出資プロジェクト「ENSEMBLE」の一環としてトラックメーカーと協力すると発表した。同社の現在のポートフォリオには、カメラおよびレーダーセンサー、スーパーコンピューター「ZF ProAI」、商用車向け電気油圧式ステアリングシステム「ReAx」、トランスミッションなど隊列走行機能を有効にする技術がある。同社はすでにいくつかのプロジェクトで隊列走行の実現可能性をテストしている。(2018年9月25日付プレスリリースより)

 

受注

 VDL Bus & Coachへプラットフォームの提供
-傘下のOpenmaticsが、VDL Bus & Coachにコネクティビティ・プラットフォームを提供すると発表した。アプリケーション・プログラミング・インタフェース (API) とソフトウェア開発キット (SDK) 機能を含むこのオープン・プラットフォームは、優れたネットワーキングや機能を提供するという。Openmatics は、VDLの全車両の運転効率に関するフルオーバービューを提供。VDLは、「Connected Services」ラインナップの顧客への提供をまもなく開始し、ソフトウェアのOTAアップデートも今後選択できるようになる見通し。(2018年9月21日付 プレスリリースより)

電動ポータルアクスル「AxTrax AVE」を米New Flyer of Americaのバス「Xcelsior CHARGE」へ
-米New Flyer of Americaのバス「Xcelsior CHARGE」100台に電動ポータルアクスル「AxTrax AVE」を供給すると発表した。同バスは、2020年までにLos AngelesやSeattle、Boston、Minneapolisなどの公共交通機関に納入される予定。加えて、ZFは、英メーカーOptareが製造するLondonの2階建てバス31台にも「AxTrax AVE」を供給する。2012年に初めて導入された「AxTrax AVE」は、ハイブリッドや燃料電池、バッテリー電動パワートレインと組み合わせて利用できる。(2018年9月17日付プレスリリースより)

SPR8(Snake Pretensioner Retractor)シートベルトシステムをJeep「Wrangler」へ供給
-新型のSPR8(Snake Pretensioner Retractor)シートベルトシステムがJeep「Wrangler」に採用されたと発表した。トーションバーを介してトルクにテンションを伝達するピストンを、従来の金属部品から樹脂に変更し、シンプルなデザインでコンパクトになり、最大で20%超の軽量化を実現した。(2018年1月15日付プレスリリースより)

東京都交通局へのリヤアクスルとトランスミッションの供給
-同社の低床バス向けリヤアクスルとトランスミッションが、2018年に東京都交通局が導入するフルフラットバスに採用されたと発表した。採用されたリヤアクスル「AV133」は、新しいベアリングの採用や潤滑システムの改良などで低ノイズ化を図ったほか、メンテナンスしやすい構造にした。都バスには地形やパワートレーン負荷などに応じてソフトウエアで変速制御する大型バス向け6速AT(オートマチックトランスミッション)「エコライフ」も採用された。(2018年3月5日付日刊自動車新聞より)

 

新規生産状況

インドでの新型ショックアブソーバーの生産開始
-インドで新型ショックアブソーバーの生産を開始したと発表した。この製品はPuneのチャカン工場で製造される。初期生産能力は年間70万個で、3-4年後には300万個に増強する計画。この生産ラインでは、トラックおよびバス向けのショックアブソーバーを生産する。(2018年10月29日付プレスリリースより)

ブラジルでのモジュール式トラック用ATの生産開始
-各種報道によると、ZFがブラジルで2種類のモジュール式トラック用ATの生産を開始すると報じた。2014年から2018年にわたって1億ブラジルレアルを投じたプロジェクトで、大型トラック用の「Traxon」と中型およびセミトラック用の「EcoTronic」を製造する予定。投資総額のうち、3,300万ブラジルレアルは新型トランスミッションの開発、試作、テストおよび全世界市場向け農業機械用システムとオフロード軸の開発を担当するSorocaba工場の刷新とトレーニングに投じられたという。新型トランスミッションの量産は2018年末もしくは2019年初頭を見込んでいる。(2018年10月9日付各種報道より)

ハンガリーでの8速ATの生産
-ハンガリー投資促進公社(HIPA)は、ZFのハンガリーEger工場での8速ATの生産について報じた。100百万ユーロを投じて建設された40,000平方メートルの生産棟では、年間150,000基のトランスミッションの製造が可能。同社は今回の投資により、2019年末までに770名の新規雇用を創出する計画で、Volvo、Renault、VW、日産、MANなどに製品を供給する。(2018年9月6日付HIPAプレスリリースより)

 

受賞

-2018年4月、そのステアリングシステムの品質が認められ、吉利汽車からサプライヤー品質向上賞を受賞した。ZFは2010年より吉利汽車の戦略パートナーとして吉利汽車とステアリングシステムの共同開発を進めてきた。ZFのコラム式電動パワーステアリング(EPS)と機械式ステアリング(MSG)は吉利の「帝豪EC7 (Emgrand EC7)」、「遠景 (Vision) S1」シリーズ、「帝豪GL (Emgrand GL)」、「帝豪GS (Emgrand GS)」シリーズに搭載されている。(2018年4月20日付け各種リリースより)

 

見通し

-同社は2019年12月期の売上高を370億ユーロから380億ユーロ程度となると予想。

 

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2018年12月期 2017年12月期 2016年12月期
合計 2,158 (2,470*) 2,230 1,948

*2018年1月より同社は会計基準IFRS15の適用を開始。適用以前の換算額では、2018年12月期の研究開発費は2,470百万ユーロとなる。

-年間売上高の6%以上を研究開発費に投資する予定。

 

研究開発体制

-2018年12月31日時点、同社は研究開発において17,100名及び19の施設を有する。

 

研究開発活動

-ドイツHanoverのIAA国際商用車ショーで、eモビリティと自動運転分野に今後5年間で120億ユーロ以上を投資する計画を発表した。IAAでは、「スマートロジスティクス」のスローガンの下、同社の技術を集結し、自動化、ネットワーク化、電動化を通して創出した、物流チェーンにとって魅力的なソリューションを紹介。また、デモカー「Innovation Van」を出展し、将来の配送荷物量の増加や個人の宅配需要の伸びに対応すべく、インテリジェントネットワークや自動運転、完全電動運転がどのように小荷物配送サービスをサポートするかを披露する。ZFは、他の商用車セグメントでもドライブの電動化を加速。バス・トラック用の完全電動セントラルドライブ「CeTrax」の量産契約を獲得し、小型商用車向け電動アクスルドライブシステムの量産を2019年半ばから開始する予定。(2018年9月19日付プレスリリースより)

-未来モビリティの早期実現に向け、研究・開発への投資を拡大すると発表した。同社の2017年の研究開発費は前年比約15%増の22億ユーロだったが、2018年は売上高に占める研究開発費の割合を6.1%から6.5%に引き上げ、20億ユーロを大幅に超える金額を電気ドライブやハイブリッド・トランスミッション、安全システム、自動運転などの技術開発に投じる。また、2017年は14億ユーロだった設備投資も継続し、電動ドライブ部品を生産する工場2つを新設する予定。(2018年3月22日付プレスリリースより)

 

特許

-2018年、同社は2,206の特許を申請(うち1,350の初申請を含む)。

 

技術提携

Mobileye
-Mobileyeと提携し、次世代のカメラシステム「S-Cam4」ファミリーを2018年に投入、主要OEMに供給すると発表した。単眼モノカメラタイプと3つのレンズを搭載した複眼タイプを用意し、先進運転支援システム (ADAS) や先進の自動運転機能を支援する。単眼タイプは、歩行者や自転車を衝突回避の対象に含めた自動緊急ブレーキ (AEB) の衝突安全テスト「EuroNCAP」などにも対応するよう設計され、複眼タイプには、長距離検知機能を高めた望遠レンズと短距離用の魚眼レンズが追加されるという。(2018年6月22日付プレスリリースより)

Microsoft Corporation
-米マイクロソフトと共同で新しいモビリティーサービス向けのクラウドベースプラットフォームを共同開発したと発表した。次世代モビリティーでの活用を想定し、さまざまな機能やサービスを展開できる共通プラットフォームとなる。開発したのはマイクロソフトが提供するクラウドサービス「アジュール」をベースに、モビリティー関連サービスとの結びつきに特化した単一のプラットフォーム。車両管理に加え、集合型風力発電所や充電ステーションも含めた超小型モビリティーサービスの管理としても使用できる。車両位置や状態をリアルタイムで遠隔から追跡できるほか、予知保全にも活用できる。(2018年2月2日付日刊自動車新聞より)

奇瑞汽車
-中国におけるレベル3の自動運転実現に向け、中国の奇瑞汽車と提携したと発表した。ZFは、奇瑞汽車をはじめとする中国OEMと積極的に提携し、車載AI「ProAI」を供給していく意向。ZFとNVIDIA、中国の百度 (Baidu) の自動運転分野での提携により、レベル3までの自動運転を実現する「ProAI」を用いたディープラーニングのアルゴリズムが、量産車に初めて搭載される予定。(2018年1月16日付プレスリリースより)

 

製品開発

エアバッグ用新ソリューションと開発の現状
-「エアバッグ2018」シンポジウムでエアバッグ用新ソリューションと開発の現状について公開すると発表した。同社は車両の側面から外部に配置されるように設計されたプリクラッシュ・サイドエアバッグを出展する。また、将来の車両用シートのリクライニングと旋回に適応する「デュアルコンター・エアバッグ」も開発。これらのエアバッグは、自動運転によって生み出される車内の新たな自由度に適応するように設計されているという。さらに、自分から遠い側の衝撃などの場合に前席の乗員または内部の構造部材との衝突の危険性を低減するための「ファーサイド・エアバッグ」も開発中。このほか、従来と比較して30%の軽量化を実現する新型ニーエアバッグを2019年初めから量産開始予定。(2018年11月26日付プレスリリースより)

3次元車内観測システム(IOS)
-車両の乗員を検出・分類し、サイズや位置を測定する3次元車内観測システム(IOS)を開発していると発表した。2021年後半の生産開始を見込む。このシステムは、ドライバーが緊急時に迅速に制御を取り戻すことができるかどうかを判断するなどの先進安全システムおよび自動運転用の情報をリアルタイムでインプットするという。また子供の存在を判定して、車両への自動呼出しなどの緊急動作を起動するように較正することも可能だとしている。(2018年10月16日付プレスリリースより)

インドにおけるセーフティシステムラインナップ
-インドにおける需要増に対応し、安全システムのラインナップや生産能力を拡充すると発表した。インドでまもなく導入される新環境規制への対応をサポートするという。ZFは、合弁パートナーRane TRW Steering Systemsを通してシートベルトやエアバッグシステムを、合弁パートナーBrakes Indiaを通して先進ブレーキシステム、電動パーキングブレーキ (EPB)、アンチロック・ブレーキシステム (ABS) 技術をインド市場に投入している。(2018年9月28日付 プレスリリースより)

次世代アクティブ・コントロールリトラクター「ACR8」
-次世代アクティブ・コントロールリトラクター「ACR8」の量産を開始したと発表した。「ACR8」はアクティブおよびパッシブ両方の車両安全性を兼ね備え、衝撃に備えて危機的状況でシートベルトを締めるように設計されている。また車載された安全・運転支援システムからの情報により、自動緊急ブレーキ (AEB)や回避ステアリングアシスト (ESA)、衝突時にエアバッグや他の乗員拘束装置と連動することも可能。(2018年9月25日付プレスリリースより)

レーダーベースのターンアシストシステム使用車両監視システム
-レーダーベースのターンアシストシステムを使用した、車両全体の右側を監視するソリューションをIAA国際商用車ショーに出展すると発表した。このシステムは、現在のミラー構造によってもたらされる死角の課題に取り組んでおり、自転車や歩行者が死角もしくは衝突ゾーンに近づくとドライバーに警告が表示される。近い将来、同社は製品ポートフォリオにターンアシストシステムを追加する予定。このシステムはトラックの右下に取り付けられた2つのレーダーセンサーをベースとしており、旋回時の衝突を防ぐためにターンアシスト機能をアクティブに展開する。サイドビジョンアシストシステムはドライバーへの警告のみでなく、必要に応じて緊急ブレーキや回避操作を作動することも可能。サイドビジョンシステムはレーダーセンサーに加えて、歩行者および自転車を認識するために複数のカメラを使用している。(2018年9月13日付プレスリリースより)

e.GO Mover
-同社の自動運転電気自動車「e.GO Mover」がハードウェア、ソフトウェア、サービスを含むデジタル物流の一部であり、戦略的方向性を強調すると発表した。「e.GO Mover」は2019年からドイツAachen工場で量産開始を予定する。当初は年間数万台の生産を予定しており、5~7年後には100万台を製造する計画。「e.GO Mover」は電動ドライブシステム、電動ステアリングシステム、電動ブレーキ、人工知能搭載のセントラルコンピューター「ProAI」や、自動運転用センサーなどを装備するという。(2018年6月26日付プレスリリースより)

モジュール式トランスミッションシステム「TraXon」
-商用車向けポートフォリオに新たなデジタルソリューションを追加したと発表した。モジュール式トランスミッションシステム「TraXon」は、2019年からオプションで予知保全機能を装備する。2019年以降、自動車メーカーとフリート事業者はクラウドソリューションを使用した車両メンテナンスを計画する。ZFは、車両にプリインストールされているトランスミッションモジュールを使用して、トランスミッションの状態に関する情報を車両メーカーのクラウドに転送する。自動車メーカーのデータプラットフォームはZFのクラウドにも接続されており、受信した一次データを取得してトランスミッションコンポーネントの状態に関するレポートを集める機能を備えている。(2018年6月26日付プレスリリースより)

商用車電動化システム
-都市バスなどの商用車をシンプルに電動化するシステムを発表した。都市型バス向けには、すでに量産実績のあるAVE 130電動アクスルと新たな電気式セントラルドライブCeTraxを提供。AVE 130は、バッテリーやスーパーキャパシタ、燃料電池、架線といったほぼすべての通常電源との組合せが可能で、シリーズハイブリッドやプラグインハイブリッドにも適している。低床および高床バス向けのCeTraxは、「Plug-and-Drive」アプローチにより、シャシーやアクスル、ディファレンシャルに大きな変更を施さなくても、既存の車両プラットフォームに統合できる。また、電動モーターをエンジンとトランスミッションの間に設置したモジュールTraXon Hybridは、大型商用車のハイブリッド化を実現。発電モードでは、低温輸送時の冷却機能といったほかの装置への電力供給にも使用できるという。(2018年6月21日付 プレスリリースより)

電動自動マニュアルトランスミッション「eAMT」
-電動アクスルドライブシステム(eVD)と自動マニュアルトランスミッション(AMT)を1つのシステムに統合した新開発の電動自動マニュアルトランスミッション「eAMT」を発表した。この「eAMT」は、トランスミッションアクチュエーターと電動リアアクスルが相互作用で同時に作動することにより、トラクションが中断されない仕組みとなっている。また、電気モーターがAMTの加速力のギャップを埋めるという。「eAMT」の採用により、自動車メーカーは既存のプラットフォームでプラグインハイブリッドシステムを搭載することが可能になるとしている。(2018年6月18日付プレスリリースより)

新型フルアクティブシャシーシステム「sMOTION」
-路面のくぼみ、隆起や湾曲などによって引き起こされる不便な車体の動きを低減する新型フルアクティブシャシーシステム「sMOTION」を発表した。「sMOTION」は、電子制御で非常にコンパクトな外部に取り付けられた電気モーターポンプ装置を備える。カメラなどの環境センサーを接続することにより、前もって道路のくぼみなどを検出して、アクチュエーターを準備する。また、「cubiX」システムを組み合わせることにより電動パワーステアリング、統合ブレーキ制御、リアアクスルステアリング、電動アクスルドライブシステムなどと一緒に作動することも可能だという。(2018年6月15日付プレスリリースより)

業界最軽量級のニーエアバッグモジュール
-業界最軽量級のニーエアバッグモジュールを開発したと発表した。エアバッグハウジングに繊維素材を業界で初めて採用し、従来のメタルハウジングと比べ最大30%の軽量化を実現した。2019年に欧州の大手自動車メーカーへの供給を開始する予定。(2018年3月15日付プレスリリースより)

 

Faureciaとの共同開発

-Faureciaは、2019年1月開催のCES 2019に最新技術を出展すると発表した。ZFと開発した、自動運転車のすべてのシートポジションと向きで個々の快適性と安全性を最適化する新しいフロントシートおよびリヤシート構造を持つソリューションも発表予定。このほか、Accentureとの提携によって開発されたカメラ、センサー、人工知能を統合したエレクトロニクスシステムなども出展する。(2018年11月22日付プレスリリースより)

-Faureciaは、ZFと共同でフロントおよびリアシートの安全性を高める新しいフレームのコンセプトモデル「Advanced Versatile Structure(AVS)」を開発した。(2018年10月3日付プレスリリースより)

-同社とFaureciaが、ハンドルやペダルのないレベル4の自動運転向けディスプレイコンセプト「Trendsetting Cockpit」を開発したと発表した。柔軟性が高く、運転中の動作を簡略化するものという。小型商用車向けの同コンセプトは、手動運転時も含めて、ドライバーがフロントシートの左右どちら側に座るのかをセンターコンソールの制御レバーで選択できる。手動運転時には、制御レバーを利用して、アクセルやブレーキ、方向変更が指1本で行える。中央に配置されたタッチスクリーンで、ウィンカーやクラクション、ワイパーなどを左右どちら側からも操作可能。従来の操作や表示装置の代わりに、ダッシュボード上の左右に2つのモニターを統合した。(2018年6月26日付 プレスリリースより)

 

百度との共同開発

-ZFと百度(Baidu)は、米ラスベガスで開催される「CES 2018」に先立ち、無人で自動駐車できる新システムを発表した。両社の戦略的提携の初成果である新システムは、NVIDIAと共同開発した車載AI「ProAI」を活用。カーシェアリング企業Pand Autoの電気自動車に搭載され、デモンストレーションが行われているという。(2018年1月5日付プレスリリースより)

 

設備投資額

 (単位:百万ユーロ)
2018年12月期 2017年12月期 2016年12月期
全社 1,586 1,350 1,185

-2018年12月期の設備投資費用は、52.6%が前払い及び建設仮勘定、32.4%が技術設備及び機械、10.7%がその他設備や工場・事務用設備、4.3%が土地及びビルに充てられた。

-同社の設備投資は、トランスミッション製品(ハイブリッド化用途を含む)、電気駆動装置、電子機器、シャシーシステム、ダンパーモジュール、ブレーキ、ステアリングシステム、および乗員安全システムに用いられた。 さらに、既存拠点:Eger(ハンガリー)、Levice(スロバキア)、Klasterec(チェコ共和国)および新規拠点 Pancevo(セルビア)での建設費用及び生産能力拡張等に用いられた。

 

投資

<ドイツ>
-ドイツFriedrichshafen拠点への投資計画を発表した。2016年9月、同社はFriedrichshafen拠点への投資について従業員代表との間で合意しており、600百万ユーロを投じて2022年までに本社、生産施設、研究開発施設を拡張する決定を下していた。600百万ユーロのうち、約1/3はすでに自動物流プロセス施設やハイブリッドモジュール「TraXon Hybrid」の生産施設の建設、インダストリー4.0対応やサプライヤーネットワーク強化に投資済みで、今後は小型商用車向けトランスミッション生産ホールの新設や電動セントラルドライブ「CeTrax」量産化などに注力するという。このほか、70百万ユーロを投じたトランスミッションシステム用テストセンターが間もなく稼働する予定。(2018年12月14日付プレスリリースより)

-今後4年間で800百万ユーロを投じてドイツSaarbrucken工場を拡張すると発表した。今回の投資により、生産施設、システム、インフラ、サプライヤーネットワークなどを拡張する。また同工場は電気自動車(EV)用トランスミッションの製造が可能となる。Saarbrucken工場は競争力向上のため、IoTプロジェクトや人工知能(AI)の技術を活用している。同社はハイブリッド技術の需要増に対応するため、30億ユーロ超の投資を行い製品開発強化を図るという。(2018年12月7日付プレスリリースより)

<インド>
-ZF Steering Gears (India) は、自動車部品を生産する第2工場を建設を視野に、中部マディヤプラデシュ州Pithampurに工業区画をリース取得したと発表した。現在、工場の建設や主要機械の発注が進んでおり、2018-2019年度末までに稼働を開始する予定。これにより、同社の生産能力は30万ユニット増加し、主要顧客のより近くに拠点を持つことになる。Pithampur工場への総投資額は1,800百万インドルピーとなる見込み。(ZF India annual report FY 2017-18より)

<中国>
-ZF TRWは2018年3月27日、張家港生産拠点で電動パワーステアリングシステム生産設備建設第2期工事の定礎式を行った。総投資額は90百万米ドル。外資約30百万米ドルを増資し、新たに工業用地66,667平方メートルを確保した。2018年5月に建設を開始し、2019年に正式に稼働を開始する予定。フル稼働すれば年間売上高は約6億米ドルが見込まれる。(2018年5月14日付けリリースより)

<セルビア>
-100百万ユーロ以上を投資し、セルビアPancevoにeモビリティ向けシステムを生産する工場を建設すると発表した。Pancevoは、セルビアの首都Belgradeの北東14kmに位置する都市。2018年6月に建設を開始し、2019年に稼働を開始する予定。工場の敷地面積は2万平方以上。ハイブリッド・電動ドライブ向け電気モーターやジェネレーター、トランスミッションのシフトレバー、小型スイッチなどを生産する。将来的には、従業員数1,000人を見込む。(2018年4月11日付プレスリリースより)

<メキシコ>
-17百万ドルを投資し、メキシコのGomez Palacioにエアバッグの生産工場を開設した。従業員数は約1,200人。ZFグループは、新工場を含めてメキシコに12の工場があり、センサーやシートベルト、パワートレインコントロールモジュール、ブレーキ、ステアリング・シャシーパーツといった自動車部品を幅広く生産している。(2018年3月7日付 Mexico-Nowより)

<ポーランド>
-欧州での需要増に対応するため、ポーランドCzestochowaに安全技術製品向け電子部品の生産工場を開設すると発表した。新工場の面積は1万平方メートルで、運転支援システム向けの先進カメラシステムやエアバッグコントロールユニットといった、アクティブ、パッシブセーフティ製品を生産する。2019年末に稼働を開始し、300人以上を雇用する予定。(2018年1月8日付プレスリリースより)