Webasto SE 2012年12月期までの動向

ハイライト

近年の動向

受注

-2012年6月、BMW 「MINI Roadster」向けにソフトトップを開発し、生産を行っていると発表。このソフトトップは、手動またはセミオートマチックで開閉する。キャノピーと骨格の生産、最終組立が行われているのは、スロバキアのVelky Meder拠点。手動式・セミオートマチック式ともに、組立式モジュールとしてVelky Meder拠点からMINIの英国Oxford拠点に納入されている。(2012年6月12日付プレスリリースより)

-2012年3月、Daimler「Mercedes-Benz SLS AMG Roadster」向けに、コンバーチブルシステムを納入していると発表。スイッチを押すと11秒でソフトトップが自動で開き、時速50kmまで走行中に操作が可能。ソフトトップを開けるとZ型に折り畳まれるため、シート後部のソフトトップ収納スペースを削減する。(2012年3月19日付プレスリリースより)

-2011年10月、Daimler 「Mercedes-Benz SLK」のモジュラールーフシステムに、透明パノラマルーフがオプション採用されたと発表。この軽量素材は、Bayer Material Science製ポリカーボネート「Makrolon AG 2677」を使用している。ガラス素材に比べて、ポリカーボネート製ルーフは約4kg (40%) の軽量化を実現。この透明パノラマルーフは、ドイツSchierlingのPlastics Competence Centerで生産が行われている。(2011年10月20日付プレスリリースより)

-2011年3月、ドイツ子会社Webasto-Edscha Cabrio製のZ型ソフトトップがVolkswagenの新型「Golf Cabriolet」に採用されたと発表。このモデルは、ジュネーブモーターショーで初公開となる。コンバーチブルルーフは9.5秒で自動全開。防音特性向上のため、ルーフと油圧ユニットに特殊インシュレーターが使用されている。この4人乗りオープンカーは、ドイツで2011年5月中旬に販売開始となる予定。(2011年3月10日付プレスリリースより)

-2009年11月、ベバストジャパンは、韓国の現代自動車が今後投入する乗用車17車種でパノラマルーフを大量受注した。2012年までに同ルーフの韓国での生産台数を年間55万台規模に引き上げる。パノラマは既存のサンルーフに次ぐ戦略商品として数年前から国内外で拡販を続けてきたが、欧州での人気装備の導入に積極的な現代自動車への売り込みが奏功。韓国工場のパノラマ生産ラインを順次増強し対応する。(2009年11月11日付日刊自動車新聞より)


-2009年9月、Audiの「S4 Avant」にパノラマルーフを供給中。この2分割ルーフはガラス部分の面積が0.5平方メートル以上。リモコンキーを使えば外部からの自動開閉も可能という。(2009年9月15日プレスリリースより)

-2008年10月、新型「Ferrari California」にコンバーチブルルーフを供給。同社のリトラクタブルハードトップ (RHT) がスポーツコンパーチブルに採用されたのは、今回が初。 (2008年10月6日付プレスリリースより)

-2008年6月、2009年型「Ford Flex」向けにVista Roofを供給と発表。Fordでは新型Flexの「SEL」「Limited」グレードに、グラスルーフ・モデルをオプション設定。 (2008年6月26日付プレスリリースより)

事業提携

-2012年12月、同社中国法人と長城汽車は、戦略的提携契約を締結した。これにより、Webasto Chinaは長城汽車の「Haval」シリーズのほか乗用車モデルの開発に対する技術サポートなどを主として行う。なお、同社は既に「Haval H3」および「Great Wall C50」向けにサンルーフシステムを供給している。(2012年12月4日付プレスリリースより)

-2011年10月、米国の有機太陽電池メーカーKonarka Technologiesと、自動車用ルーフシステム向け有機太陽電池に関して協業を行うと発表した。開発する製品には、Konarkaのソーラーパネル 「Power Plastic」を使用する計画。 (2011年10月19日付プレスリリースより)

会社設立

-2007年2月、エアヒーターなどサーモ製品を販売するための新会社「ベバストGCSジャパン」 (横浜市港北区) を設立。エンジンを停止していてもヒーターを作動できる独ベバスト製エアヒーターや後付けサンルーフなどを拡販する。建機・トラック架装メーカー、キャンピングカーメーカー、大型トラックメーカー各社にエアヒーターの営業活動を行うほか、サンルーフ架装メーカーを通じて後付けサンルーフも販売予定。同年11月、ベバスト・ジーシーエス・ジャパンは、大型トラックの二酸化炭素 (CO2) 排出抑制と省エネにつながるエアヒーターなどの拡販により国内売上高を2009年までに10億円超に引き上げると発表。主力のエアヒーターに加え、09年前半にはパーキングクーラーを日本市場に投入し底上げを図る。

-2007年1月、Webasto Solar GmbHを設立。この新会社は、自動車用や住宅用 (屋根の上に設置する) にソーラーモジュールおよびソーラージェネレーターの製造・販売に加え、製品開発や試験も行う。Webasto AGは、この新会社の合弁パートナーとしてsystaic AGを検討しているが、出資比率は未公開。Webasto Solar GmbHは、フル受注の状態で2007年4月1日に事業を開始。新会社はWebastoに代わって、VW、Audi、DaimlerChrysler、Skoda、Bentley、Lancia向けに、ソーラーパワースライディングルーフ用のジェネレーターを製造する。

事業再編

-2009年3月末までにベバストジャパンは、東京都内にある研究開発センターを閉鎖する。日産自動車やマツダの減産で同社の2009年3月期の売上高は半減する見通し。国内自動車生産の大幅減少に伴う当面の受注減に対応、R&D施設を広島の本社に移管し固定費を圧縮する。これまで聖域とされた研究開発部門でも、こうしたコスト削減が波及する可能性はある。同社が閉鎖するのは、関東地区自動車メーカーなどとの共同開発で窓口となる「デザインセンター東京」(DCT、東京都千代田区)。2008年11月に2フロアから1フロアに圧縮し規模を縮小したが、国内生産が回復するまでの緊急対策として今月末で閉鎖、 固定費を圧縮する。約20人いた開発要員は早期退職制度などで12人に減員した上で、広島本社の開発部門に統合する。 (2009年3月19日付日刊自動車新聞より)

-2007年9月、同社は、燃料電池 ("Fuel Cell") 特化部門を同社から分離、Enerday GmbHを同部門へ移行する。この分社化により、主力分野であるルーフおよび温度管理システムの開発・生産事業に注力する狙い。Enerday GmbHでは、固体酸化物型燃料電池 (SOFC)、SOFCシステム、その他SOFC技術を応用した製品の開発、製造、販売を行なう。Enerday GmbHは、Stockdorfに本社を、Neubrandenburgに開発・実験プラントをおく。 (2007年9月19日付プレスリリースより)

企業買収

-2010年8月、Wilhelm Karmann GmbH (ドイツ) から北米のコンバーチブルルーフシステム事業を買収した。米国ミシガン州のKarmann USA, IncとメキシコPueblaの生産拠点Karmann Ghia de Mexicoが対象で、売上規模は総額で約40百万ドル。なお、Karmannの米国事業はWebasto-Edscha Cabrio USAに、メキシコ事業はWebasto-Edscha Cabrio Mexicoに統合した。(2010年8月5日付プレスリリースより)

-2010年6月、ドイツ合弁会社Webasto Solar GmbHを完全子会社化した。合弁パートナーSystaic AG (ドイツ) の持分64%を100万ユーロで取得したもの。Webasto Solarは2007年1月に設立された自動車用ソーラーモジュールの開発・製造メーカー。同社は今後、Webastoの「コンバーチブル、ルーフ&ボディ事業部門」に組み込まれる。Webastoは現在、Audi「A8」にソーラールーフを供給中。また、数ヶ月以内に発売される電気自動車にも同ルーフが採用された。このルーフはガラス部分が0.65平方メートルで、同社の従来製品に比べて面積を拡大した。(2010年6月30日付プレス リリースより)

-2010年1月、同社は、Edschaのコンバーチブルルーフシステム事業「Convertible Roof Systems (CDS)」の買収を完了した。Webastoは2010年1月1日付で同社のコンバーチブルルーフシステム事業とCDSを統合し、100%子会社 「Webasto-Edscha Cabrio」を設立した。この会社は現時点で欧州 (6カ所) と日本 (1カ所) に工場を保有しており、メキシコにも工場を設立する計画。2009年の売上高は約320百万ユーロを見込む。(2010年1月4日付プレスリリースより)

受賞

会社 子会社/生産拠点
2012 Core Supplier PSA Peugeot Citroen 仏Les Chatelliers-Chateaumurの同社拠点
2008 Silver Award as sunroof supplier Ford -
2008 Pace Award for "Manufacturing Process & Capital" Automotive News -
2006 Golden steering wheel VW Eos -
2006 Best Service Shanghai GM -
2005 Quality, Delivery and Diversity Achievement Award Toyota -
2005 Q1 Award Ford Neubrandenburg plant
2004 Quality, Delivery and Diversity Achievement Award Toyota -
2003 Outstanding performance 
in product quality
VW Utting plant, Neubrandenburg plant

開発動向

研究開発費

(%)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
総売上高に対する割合 7.2 7.9 8.4

技術提携

-2006年2月、欧州の熱技術メーカーVaillantグループとの協業契約に調印したと発表。契約によると両社は、自動車用および据付用途の燃料電池の共同開発を緊密に連携しながら推進する。同社は、固体酸化物型燃料電池 (SOFC) や再加熱装置、改質装置などの熱絶縁コアモジュールの開発に注力する。この改質装置は、天然ガスを水素を多く含むガスに変化させる。このガスは、燃料電池を動かすのに必要となる。Vaillantは、このコアモジュールを開発すると共に、さらに同システム部品を燃料電池を動力とするヒーター用途に開発し、その成果を一戸建て住宅用の暖房システムに取り込む役割を担う。

製品開発

第4世代サンルーフ
-ベバストジャパンは、現状のサンルーフに比べ約25%の軽量化を図るなど重量・コストを大幅に引き下げる第4世代サンルーフの開発に入った。同社が開発に着手した次世代サンルーフは「GTS-X」シリーズ。ターゲットとする総重量を現状より2キログラム軽くし6.5キログラムとするほか、国内外のどの生産拠点でも低価格で作れるよう生産技術も改善する。アルミやスチールなどのフレーム (外枠) とリッド (ガラス) をつなぐポリウレタン部を特殊な手法で中空構造とする独自の軽量化技術を現行モデルから導入しているが、技術そのものの改良に加え海外生産拠点にも拡充する。また、そのための部品・資材の調達ネットワークも整備する。 (2009年11月6日付日刊自動車新聞より)

リキッドヒートジェネレーター (LHG)

-リキッドヒートジェネレーター (LHG) は、単独で使用できるオンデマンド式エンジンヒーターシステム。さまざまな実験によって、LHGを装備した車は、 車内が暖まるまでの時間、霜取り性能、冷えたエンジンが始動するまでに要する時間、いずれも大幅に改善することが実証されている。実際の結果は車種によりまちまちだが、LHGのもつ速温機能により、大概は従来型のヒーター搭載車に比べ半分以下という極早い段階で霜取りが作動、一般的な車では霜取りが作動しはじめる頃に、霜取りが完了している。 (2008年3月5日付プレスリリースより)

第3世代サンルーフ
- ベバストジャパンは、2008年夏までに国内自動車メーカー向けサンルーフの主力製品を第3世代型新製品に置き換える。第3世代サンルーフは、重量比でかなりの部分を占めるモーター部の出力軸 (ピニオン) や各種構成部品を見直し、第2世代では11キログラムあったモーター重量を8.5キログラムへと23%軽量化するとともに静粛性も改善。さらに、スチールやアルミニウムの外枠とガラス (リッド) をつなぐポリウレタン部を、広島大学などと共同開発したガス注入による中空減量工法を用いて原材料使用量を30%低減したのが特徴。 (2008年2月6日付日刊自動車新聞より)

グラスルーフ
-グラスルーフ仕様は、コンバーチブルより安価で、かつクーペのもつヘッドルームの広さ、多機能性といった長所を損なうことなく採光を確保できる第3の選択肢として導入されるもの。フル/インビジブルインターフェイス搭載のグラスルーフ仕様車は、Mustangの組立を行うミシガン州のAAI (Automotive Alliance International)  フラットロック工場にて生産される。 (2008年1月2日付プレスリリースより)

Ultra View電動サンルーフ
-2パネルタンデム式で、全面紫外線 (UV) 防止機能付き。従来のサンルーフ同様、換気ができるよう、前方パネルがティルトダウンする。前方パネルは、開けると後方パネルの下側にスライド収納され、外気を取り込めるよう設計されている。前後に長いタンデムサンルーフのため、後席でも十分な採光が可能で、後席に着座した状態からでもスカイビューが楽しめる。2008年型Cadillac CTSに供給を予定している。(2007年11月5日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(%)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
売上高に対する割合 5.6 3.5 2.9

国内投資

-2011年5月、ドイツNeubrandenburgのヒーターシステム工場を拡張。2011年単年で8百万ユーロを投資し、生産・試験工場 (面積1,400平方メートル) を建設する計画。今後4年間で20百万ユーロ超を投資する。同工場では、2011年に年間100万個を超えるヒーターを生産する予定。従来のパーキングヒーターや補助ヒーターに加え、将来的にはEV用ヒーターもNeubrandenburgで生産する計画。なお、同工場にはこれまで80百万ユーロ超が投資されている。 (2011年5月30日付プレスリリースより)

-2009年10月、ドイツのSchierling新工場が稼働開始したと発表。同地2つ目となるポリカーボネート樹脂部品の製造拠点で、投資額は約10百万ユーロ。ルーフパネルやトリムパネルなど、年間約16万個を生産する。Smart向けパノラマルーフを生産している既存工場と合わせると、年産32万個のポリカーボネート部品の生産能力を持つことになる。同社はこれまで、パノラマルーフ25万個をSmart 「fortwo」に供給している。 (2009年10月8日プレスリリースより)

-2007年11月、ミュンヘン近郊のGilchingに新たな中核施設を建設。新拠点は、同社Global Comfort Solutions (GCS) 部門の本社機能をもつ。GCS部門は、温度管理システムにおける世界屈指のメーカーとして、乗用車向けパーキングヒーター、補助ヒーター、また、トラック、バス、キャンピングカー、特殊車両といった商用車向け冷暖房空調システムの開発・生産・販売を行っている。07年11月初旬に開所したGilchingのGCS部門本社には、目下約300名が勤務している。同社は3,000万ユーロを上回る資金を投じ、新社屋を新設した。Gilching本社は延床面積18,200平方メートル、うち2,750平方メートルが試験施設および工場スペースとして使用されている。 (2007年11月23日プレスリリースより)

海外投資

<アジア>
-2012年4月、中国湖北省襄陽市にサンルーフの新工場の建設を発表。日系メーカーの合弁工場向けに2013年初めに量産を始める。また広州工場 (広東省広州市) は8月に移転・拡張し、生産能力を3倍の90万台に引き上げる。(2012年4月11日付日刊自動車新聞より)

-2009年春に新設する韓国第3工場の生産能力を2011年までに3倍に引き上げる。ルノー・サムソン向け専用工場として初年度7万台規模の生産を計画しているが、付加価値の高い大型サンルーフなどを中国や日本に輸出することも検討しているとみられ、すべてのサンルーフの生産能力を年産20万台規模に引き上げる。韓国で3番目となる新工場は2009年初頭にも釜山に新設する。 (2008年11月28日付日刊自動車新聞より)

-2009年春までに中国と韓国で4工場を刷新もしくは新設し生産能力を増強する。アジアで最もサンルーフ需要の大きい中国で自動車メーカー各社の増産要請に応えるとともに、韓国ではルノー向け専用工場となる第3工場を新設する。中国の3工場はいずれも1.5-2倍に生産能力が拡大する。一部工場では従来型サンルーフに加え、将来的には後部座席の上部まで続く固定式大型サンルーフの生産も視野に入れており、設備・レイアウトなどを大幅に刷新する。中国で移転・新設するのは、北京、長春、上海の3工場。韓国の第3工場は釜山に新設する。 (2008年8月26日付日刊自動車新聞より)

-2007年8月、同社は2008年にもサンルーフの主要構成部品であるリッド (ガラス) 加工を広州工場への移管を発表。投資額は約1億円。07年末から工場内の物流スペースを縮小し加工設備一式を搬入、08年初頭から一部量産モデルで生産を開始。年央には全量を内製化する。

-2007年3月、2007年末までにサンルーフの主要構成部品であるリッド (ガラス) 部を中国での現地生産に切り替えるとともに、中国3工場で生産するリッド成形を長春工場に集約すると発表。総投資額は約4億円となる見通し。同社では供給先となる自動車メーカーにより、上海、長春、そして昨年6月には現地日系メーカー向けに広州の拠点を設立し、3拠点体制を構築した。3工場の中でも、マツダ、フォルクスワーゲン(VW)、現地メーカーの3社に製品を供給し生産数量も大きい長春で集中生産し、上海および広州に輸送することで人・技術・資金面の運用効率を最適化する。これにより長春、上海の現地調達率は約75%、後発の広州工場で65%に向上する。

-2007年1月、中国・北京の生産拠点を移転し生産能力を増強すると発表。現地自動車メーカーからの旺盛な需要に対応した措置で、今夏をめどに稼働を開始する。北京の生産拠点では、韓国・現代自動車向けの製品を中心に製造しているが、生産能力の増強により年間生産台数は現在の15万台から20万台へ、売上高は30億円から40億円規模に引き上げる。新工場は現在地から30キロメートル程度の距離に位置し、敷地面積は約4万平方メートルで、2007年夏からの稼働を目指す。

-2006年2月、同社は中国・広州市に初の生産拠点を開設すると発表。このほど中国政府から工場建設に関する認可を取得、06年末にはサンルーフのKD (ノックダウン) 組み立てを開始する。07年中には現地生産もスタートし、広州地区の日系自動車メーカーに供給する。中国では日本国内に比べ、サンルーフの新車装着率が高く、約8割に達する。日本からの輸出を現地生産に切り替え、製品コストや物流費を低減する。中期的な総投資額は10億円。 2010年までに最低でも年産30万セットに引き上げる。10年には重慶工場でも30万台に生産規模を拡大する。中国国内の2拠点で売上高150億円、生産台数を60万台に引き上げ、日本市場と同程度の生産規模に育成していく。親会社の独ベバストグループは既に中国拠点を持つが、日本法人による中国への生産進出はこれが初めて。