Eberspaecher Gruppe GmbH & Co. KG 2018年12月期の動向
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2018年 12月期 |
2017年 12月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 4,610.4 | 4,480.9 | 2.9 | 1) |
EBITDA | 204.1 | 219.6 | (7.1) | - |
部門別売上高 | ||||
-エキゾーストテクノロジー部門 | 4,064.3 | 3,931.0 | 3.4 | 2) |
-クライメートコントロールシステム部門 | 491.9 | 495.3 | (0.7) | 3) |
-自動車制御部門 | 54.1 | 54.6 | (0.9) | 4) |
要因
1) 全社売上高
-2018年12月期の全社売上高は、前年比2.9%増の4,610.4百万ユーロ。特に米国におけるエキゾーストテクノロジー部門の売上増が好調の要因。地域別では中国とルーマニアが売上を伸ばしたがフランスの不振により利益が一部相殺された。
2) エキゾーストテクノロジー部門
-2018年12月期の売上高は、前年比3.4%増の4,064.3百万ユーロ。北米および中国事業の売上増が好調の要因。顧客の需要減により、ディーゼル製品事業が不調となった。
3) クライメートコントロールシステム部門
-2018年12月期の売上高は前年比0.7%減の491.9百万ユーロ。特殊市場事業およびバス・コーチ事業の売上高が前年比で増加、特に大型特殊車事業が需要増となった一方、燃料式ヒーターおよび電動ヒーター事業の売上高が減少した。
4) 自動車制御部門
-2018年12月期の売上高は、前年比0.9%減の54.1百万ユーロ。主要顧客の2件のプロジェクト立ち上げが2019年に延期されたことと、自動車用バッテリー管理事業の市場成長の鈍化が不調の要因となった。
買収
-Kaloriの株式100%を取得する契約に合意したと発表した。フランスLyonに本拠を置くKaloriは、クライメートコントロール技術に特化し、商用車や特殊車両のエアコンおよび換気システムを開発、製造している。従業員数約150名、2017-2018年の売上高は22百万ユーロ規模。買収に伴い、EberspaecherはNAFTA地域と南米市場の新規開拓に注力し、第2段階ではアジア太平洋地域での成長を図るという。Lyonの拠点では100名超が販売、研究開発、生産、管理に従事し、約50名は中国の中山工場で勤務する。(2018年11月6日付プレスリリースより)
-スタートアップのPACE Telematicsの株式20%超を取得したと発表した。クラウドベースのモビリティサービスの拡充が狙い。PACEのクラウドベースのモビリティソリューションにより、Eberspaecher製品同士の接続や、ほかの車載機能との接続が可能になるという。PACEは、2015年設立で、従業員数30人以上。2016年の夏以降、クラウドベースの認証接続システムを自動車ユーザーに提供している。(2018年7月5日付プレスリリースより)
合弁事業
-2018年3月、Sharda Motorとの間で合弁会社設立に合意した。新会社は欧州のEuro 6基準に相当するインド商用車のBS-VI基準に準拠する排ガス後処理システムを製造する。
-グループ傘下のEberspaecher Exhaust Technology Internationalは、中国玉柴国際有限公司[China Yuchai International]との合弁会社設立に合意したと発表した。新会社名はEberspaecher Yuchai Exhaust Technologyで、中国の最も厳しい排ガス基準に対応した商用車向け排ガス制御システムの製造・販売を行う。Eberspaecherが51%を出資し、現在広西玉柴機器のエンジン製品工場がある楡林市に工場を新設する予定。12,000平方メートルの新工場は2019年末に操業開始を予定しており、初年度は160,000基のシステムを生産する計画。長期的には最大250名の現地雇用を創出する見込みだという。(2018年8月28日付プレスリリースより)
最近の動向
-2018年、2本の生産ラインで2種類の異なるAirtronicエアヒーターの生産を開始した。
-スペインおよびポルトガル市場の展開強化を発表した。同社の特殊車事業部門は2019年1月からスペイン、ポルトガル市場向けに空調システム製品の供給を開始する。提供する製品は中・大型商用車用燃料作動式ヒーター、エアコン、制御ユニットなど。また、先頃買収したフランスの空調システム企業Kaloriの製品の供給も予定している。(2018年12月6日付プレスリリースより)
2019年12月期の見通し
-2019年12月期の売上は2018年12月期の売上をやや上回ると予測。
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2018年12月期 | 2017年12月期 | 2016年12月期 | |
合計 | 162.4 | 156.5 | 147.3 |
売上高に占める割合 (%) | 3.5 | 3.5 | 3.4 |
-毎年、研究開発費に売上の平均7%をの投資を目的としている。
研究開発体制
-約900名が研究開発に従事。
研究開発拠点
-研究開発活動は、以下の拠点で実施されている:
- Esslingen (ドイツ)
- Hermsdorf (ドイツ)
- Herxheim (ドイツ)
- Renningen (ドイツ)
- Landau (ドイツ)
- Concord (カナダ)
- Novi (米国)
- 上海 (中国)
研究開発活動
-2018年、以下製品および開発プロジェクトに注力:
エキゾーストテクノロジー部門
- ガソリン微粒子フィルターシステムや、SCR付きディーゼルエンジン用微粒子フィルターシステム
- 排気音と排気ガスを改善するモジュラー式排気弁
- 中国およびインド市場向け排気ガス後処理システム
クライメートコントロールシステム部門
- 乗用車および小型商用車向けAirtronic 2エアヒーター
- 乗用車および小型商用車向け小型ウォーターヒーター
- 触媒コンバーター一体型Hydronic S3 InCatウォーターヒーター
- デジタル接続プラットフォームおよびサービス開発チームの創設 (2019年)
- 高電圧クーラントヒーター
- 高電圧および低電圧製品用PTCセラミックス
- バス・コーチ用ルーフ空調システム
- 電動エアコンシステムおよびヒートポンプ
自動車制御部門
- 自動運転用安全スイッチ
- エア・ウォーターヒーター用電子プラットフォーム
製品開発
乗用車向け電動音響バルブ
-グループ傘下のEberspaecher Exhaust Technologyが乗用車向け電動音響バルブを開発したと発表した。このバルブは2020年生産開始予定で、最大限の音響特性と連続調整可能なバルブプレートにより、騒音低減と快適な車両音を保証するとともに、軽量バルブがマフラーと背圧の排出量を低減する。バルブプレートは0-90度で調整ができ、800度の熱耐性がある530gの軽量バルブは300万回以上の切換が可能だという。(2018年12月12日付プレスリリースより)
Rinspeed「microSNAP」向け新型熱管理システムム
-RinspeedがCES 2019に出展する自動運転車「microSNAP」に新型熱管理システムが採用されたと発表した。このシステムはスプリット型エアコンと電動エアヒーターを組み合わせ、独立したエネルギー貯蔵システムからのエネルギー供給により、システムが自動で作動して適温を維持する。季節や外気温に応じて、乗客や荷物が乗り込む前に車内を理想的な温度に調整するという。またパワーポッドには同社の480Vリチウム鉄リン酸電池を使用して最大69kWhの電力を生成し、電気自動車(EV)をサポートする。(2018年12月10日付プレスリリースより)
オープンプラットフォームのコンセプト製品
-オープンプラットフォームのコンセプト製品をIAA国際商用車ショーに出展すると発表した。この製品は車載コンポーネントをネットワーク化し、1つのアプリケーションで操作可能な実験用車両を使用して実演される。将来的にはサードパーティーからの要素をプラットフォームに統合する予定。さらに、新たなアプリケーションを開発したり既存のアプリケーションに大幅な変更を加えることなく。他のメーカーの既存の接続ソリューションをオープンプラットフォームに統合することを目標としている。オープン構造は部品の統合を容易にし、ボディメーカーや車両メーカーの時間節約を目的としているという。(2018年9月4日付プレスリリースより)
第3世代のウォーターヒーター
-コンパクトな設計でより一層効率的な暖房性能を提供する第3世代のウォーターヒーターを発表した。出力1.3~5kWの「Hydronic S3 Economy」と、5.6kWの「Hydronic S3 Commercial」は、乗用車から大型トラックまで様々な車両に適合する。このヒーターは新しいCANバス対応の操作エレメントと互換性があり、秋に投入予定のEasyStart Webバージョンは、ヒーターを従来よりもさらに高速で切り換える。また、サイズもコンパクトでスペースが小さい車両にも容易に設置することが可能だという。(2018年8月8日付プレスリリースより)
第2世代のエアヒーター「Airtronic」シリーズ
-エアヒーター「Airtronic」シリーズの第2世代を発表した。トラック用のコンパクトな「Airtronic S2 Commercial」、救急車用の「Airtronic M2 Commercial」、RV用の「Recreational」など、耐用年数が長く動作音が静かな新エアヒーターは、快適な温度を様々なタイプの自動車に提供。燃焼式の「Airtronic 2」は、ブラシレスモーターにより、5,000時間以上という耐用年数を実現した。また、「EasyStart」コントローラーはシンプルかつ便利に予熱管理ができ、ビルトインタイプの「EasyStart Pro」は直感的に操作できる。タイマー機能を使うことで、ヒーターの始動や作動時間を設定できるほか、内部の温度センサーによって好みに応じた温度調整ができるという。 (2018年7月31日付プレスリリースより)
最新の排出ガス制御技術
-独ハノーバーで開催されるIAA国際商用車ショー2018で、最新の排出ガス制御技術を紹介すると発表した。直列システム用イノベーションの1つが、どのような直径にも拡大縮小できるトンネルミキサー。限られたスペース内で尿素水を用いて最適に処理し、汚染物質を効率的に削減する。また、商用車用の楕円形の缶は、スペースの最適利用に向けて開発されたコンセプト。将来的には、丸みを帯びた長方形など、ほかの形も可能になるという。さらに、排出ガス制御システムの重量やサイズ削減に向け、ディーゼル用酸化触媒(DOC)、ディーゼル微粒子除去フィルター(DPF)、SCRシステムを一体化したコンパクトなソリューション「1Box」を開発。従来の排ガス制御システムと比べ、最大で40%の軽量化を実現したという。(2018年7月25日付プレスリリースより)
バス向けインテリジェントサーマルシステムム
-傘下のEberspaecher Suetrakは、すべての駆動タイプのバスに搭載可能な、インテリジェントで環境に優しいサーマルシステムをIAA国際商用車ショー2018で披露すると発表した。同社は、未来のクリーンモビリティ実現に向け、自然冷媒CO2を採用。既存冷媒とCO2冷媒の両方が使用可能な都市・観光バス用空調システム「AC250」や、あらゆる気候地帯で快適な車内温度を提供する「AC353G5」、天井設置型の空調システムの電動コンプレッサーが運転席を常に冷却し、最適な温度を提供する「AC403E」などを出展するという。Suetrakは、すべての駆動タイプのバス用に、サーマルシステム全体を集中管理する最先端の「E-Control」プラットフォームを開発した。(2018年7月19日付プレスリリースより)
最新バッテリーマネジメントシステム
-傘下のEberspaecher VectureがドイツHanoverで開催される「Battery Show Europe」で、最新バッテリーマネジメントシステム (BMS) を披露すると発表した。出展製品には、高い拡張性を備えた「μC BMS」シリーズのバッテリーモジュールやコントローラーも含まれるという。同社のバッテリーマネジメントシステムは、4セルから22セルのモニター・制御が可能で、コントローラーには、バッテリーとBMSをCANデータ通信、I/Oインターフェース、Bluetooth LEでワイヤレスに接続するタイプがある。ほかに、12Vから48Vまで対応可能な新開発の7 kWhバッテリーモジュールも出展される予定。 (2018年4月4日付プレスリリースより)
車載用ソリッドステート(固体素子)プラグインミニリレー
-乗用・商用車やオフロード車などの車載用ソリッドステート(固体素子)プラグインミニリレー(12V/100A) を開発したと発表した。新製品は、負荷電流の管理や切り替えを確実に実現。小型・ハイパワーで、低い制御電源や速い応答速度、静かな動作音が特徴。耐久性にも優れ、エレクトロメカニカルリレー以上に長寿命という。頑丈な構造で、車載サブシステムや電気加熱式コンバーター、ファンモーター、バキュームポンプなど、多彩な用途に使用できるという。(2018年3月22日付プレスリリースより)
排出ガス浄化トンネルミキサー
-エキゾーストテクノロジー部門が乗用・商用車向けの排出ガス浄化トンネルミキサーの量産を開始すると発表した。ミキサーの特許は出願中で、欧州の大手乗用車メーカー向けに5月初めから生産を開始し、2019年には他メーカーからの受注も続く見通し。同社のトンネルミキサーは、深絞り加工で成形された2つの部品の設計を改良することで、排気ガスと尿素水溶液の混合と蒸発を最適化、汚染物質の最小化を最大効率で実現するという。(2018年3月19日付プレスリリースより)
設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2018年12月期 | 2017年12月期 | 2016年12月期 | |
合計 | 86.8 | 103.2 | 131.4 |
-2018年12月期、同社は有形固定資産に84.7百万ユーロを投資。各部門への投資の内訳は以下のとおり。
- エキゾーストテクノロジー部門 54.7百万ユーロ: 複数拠点の生産能力拡大
- クライメートコントロールシステム部門 27.5百万ユーロ:複数拠点の生産能力拡大およびドイツHermsdorfの新工場
- 自動車制御部門およびセントラルサービス部門 2.1百万ユーロ
-2019年12月期の投資額は、中国の生産施設新設により、2018年より増加すると予測している。
国内投資
-傘下のEberspaecher catem HermsdorfがドイツHermsdorfで新工場の建設を開始したと発表した。新工場の敷地面積は約3ヘクタールで、PTCヒーターを生産する。最大で150人を新規雇用し、2018年11月に稼働を開始する予定。(2018年3月2日付プレスリリースより)
海外投資
<ポルトガル、ルーマニア>
-ポルトガルのTondelaおよびルーマニアのOradeaのエキゾーストテクノロジー部門の2工場の生産量を大幅に増加させた。Oradea工場は主に欧州乗用車市場向けパイプを、Tondela工場はスペイン、ポルトガル、モロッコのOEM向けにホットエンドおよびコールドエンドの排出ガス制御部品を製造している。
<スロバキア>
-2018年秋、スロバキアNitraの新施設が生産を開始した。新工場では、ホットエンドおよびコールドエンドの排ガス制御システムを含む排気システムの最終組み立てを行う。
<中国>
-中国の天津に電動ヒーター工場を新設したと発表した。電気自動車(EV)およびハイブリッド車用高電圧ヒーターを生産し、急成長する中国EV市場に対応するという。敷地面積5,200平方メートルの新工場では、主に乗用車向け電動高電圧クーラントヒーターや、低電圧エアヒーターを製造、さらに乗用車、商用車および救急車等の特殊車両向けヒーターも生産する予定。将来的には、ドイツHerxheimおよびHermsdorfの拠点と生産ネットワークを形成して操業し、電動ヒーターの中心部品であるPTCセラミックを開発・生産する計画。(2018年4月10日付プレスリリースより)