J. Eberspaecher GmbH & Co. KG 2014年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2014年
12月期
2013年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 3,598.5 2,916.4 23.4 1)
EBITDA 130.3 117.2 11.2 -
部門別売上高
-エキゾーストテクノロジー部門 3,120.9 2,449.4 27.4 2)
-クライメートコントロールシステム部門 428.3 427.0 0.3 3)
-自動車制御部門 49.3 39.9 23.6 4)


要因
1) 全社
-2014年の全社売上高は、前年比23.4%増。主に、エキゾーストテクノロジー部門の商用車向けシステム製品、例えば米国の排ガス規制EPA2010や、欧州のEuro6に対応する製品が牽引した。

2) エキゾーストテクノロジー部門
-2014年の売上高は、前年比27.4%増。ドイツWilsdruff拠点の量産開始効果により、商用車向け製品の売上が伸長。米国顧客からの発注量の増加。また、モノリス担体の販売が堅調であったことも売上高を押し上げた。

3) クライメートコントロールシステム部門
-2014年の売上高は、前年比0.3%増。バス用エアコンシステムの売上が微増。

4) 自動車制御部門
-2014年の売上高は、前年比23.6%増。複数のドイツメーカーの高級車に、車載電力供給安定化システムが採用されたことが寄与。このシステムはスタートストップシステムにおいて、エンジンが再始動するときの電圧降下を防ぐ働きをする。

売却

-2014年9月、エレクトロニクス分野の戦略的再編として、ドイツGoeppingenにある子会社Eberspaecher Electronics GmbH & Co. KGをStar Cooperation Group (ドイツBoeblingen) に売却したと発表。2014年8月1日に遡って発効する。この拠点は自動車制御部門の中で、車内の電子ネットワークの開発および製造を担当していたが、Tier1サプライヤーとして自動車メーカーへの直接納入を増やしていくため、今回の売却となった。Star Cooperationは産業向けのコンサルタントや技術サービスを行っている。 (2014年9月25日付プレスリリースより)

合弁事業

-2015年2月1日、同社とUnipart Groupとの英国の折半出資企業Unipart Eberspaecher Exhaust Systems Ltd.の合弁が解消された。継続事業はUnipart Groupと新設されたEberspaecher Exhaust Technology UK Ltd.に統合された。

再編

エキゾーストテクノロジー部門
-2014年5月、ドイツのザクセン州Wilsdruffに建設した新工場が本格生産を開始したと発表。主に欧州排出ガス基準「Euro 6」に対応する商用車用エキゾーストシステムを生産する。従業員数は300名超で、エキゾーストシステムの年産能力は約15万ユニット。25,000平方メートル超の生産スペースのほか管理棟を有している。

-2014年に開始されたドイツNeunkirchen拠点とスウェーデンNykoeping拠点の再編作業が、2015年にも進行中。

-2014年末にかけて、ドイツBexbachとLebach工場が閉鎖された。

自動車制御部門
-ドイツHerxheimとKandel工場の生産能力が頭打ちのため、2013年4月ドイツLandauに新工場建設を開始。 2014年第1四半期に全ての機能が新工場に移管された。

受注

-Volkswagenの新型 「e-Golf」 に、Eberspaecher catem製の第2世代のPTC高電圧ヒーターが採用されたと発表。このPTCヒーターは「e-up!」にも搭載されている。 (2014年5月15日付プレスリリースより)

-同社とカルソニックカンセイは、Renault-Nissan Allianceよりサプライヤーグループに選出された。「Alliance Growth Partner (AGP)」とよばれ、今後3年間、同アライアンスにマフラーを供給する主要サプライヤーとなる。 (2014年4月発行プレスリリースより)

-Rinspeedのコンセプトカー「microMAX」に、バイオエタノールを利用した暖房ユニット「Airtronic E2」とPTCヒーターが採用されたと発表。「Airtronic E2」は100%バイオエタノールを燃料とし、車のバッテリーから独立して機能する。 (2014年2月発行プレスリリースより)

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 138.2 138.0 134.0
売上高に占める割合 (%) 3.8 4.7 4.7

研究開発体制

-約700名が研究開発に従事。

研究開発拠点

-研究開発活動は、以下10拠点で実施されている:

  • Esslingen (ドイツ)
  • Unna (ドイツ)
  • Neunkirchen (ドイツ)
  • Schwaebisch Gmuend (ドイツ)
  • Herxheim (ドイツ)
  • Renningen (ドイツ)
  • Landau (ドイツ)
  • Paris (フランス)
  • Novi (米国)
  • Shanghai (中国)

研究開発活動

-2014年、以下製品および開発プロジェクトに注力:
排気システム

  • 乗用車用エキゾーストシステム
  • Euro 6に対応するディーゼルエンジン用DPF/SCR技術の開発
  • 軽量化

クライメートコントロールシステム

  • 燃料ヒーターシステムおよび補機
  • ウォーター予熱ヒーター
  • 電気自動車用電動ヒーター

自動車制御

  • 車載電力供給安定化システム
  • 急速電力貯蔵システム

-Eberspaecher Exhaust Technology UK Ltd.は「ACTIVE:Advanced Combustion Turbocharge Inline Variable Valvetrain Engine」プロジェクトに参加する。このプロジェクトには、英国政府および業界から数百万ポンドが投じられる。参加するのは、同国に拠点を置く11の技術関連団体。Fordの1.0L EcoBoostエンジンに注力し、CO2の大幅な低減に向けた次世代の低炭素技術の導入を目指す。これらの技術には、先進ターボチャージャーシステムや燃焼システム、さまざまなバルブトレイン技術などが含まれる。Fordとそのパートナーが取り組む1億ポンドのプロジェクトには、EcoBoostエンジンのアップグレードに向けて英国政府から13.1百万ポンドの助成金が授与される予定。今回、同プロジェクトに参加する11団体に含まれるのは、Eberspaecher以外にFord、Schaeffler UK、Continentalなどとなっている。 (2014年5月23日付プレスリリースより)

製品開発

第3世代のHV・EV用ヒーター
-第3世代のHV・EV用ヒーターを発表。高電圧PTCクーラントヒーターに関しては、主力製品の第3世代製品の生産が2016年に開始される予定。次世代製品では、体積と重量がさらに30%軽減されるという。また、同社はスイッチ内蔵のPTC (IS PTC) ヒーターも開発した。ヒーターに統合されたスイッチング素子が外側のリレーボックスの役割を果たしており、すでに48Vのシステムにも対応している。 (2014年10月14日付プレスリリースより)

燃料電池式補助動力ユニット (APU)
-ディーゼル燃料を効率的に電力に変換し、車載用電化製品に供給できる燃料電池式の補助動力ユニット (APU) を開発。エアコンシステムや冷蔵庫など、商用車に搭載されている多くの電化製品には常時電力が必要となる。走行中、この電力はジェネレーターから供給される。一方、停止時はディーゼルAPUやアイドリング中のエンジンに電化製品に使用する電力が使われてしまう。いわゆるディーゼルエンジンAPUでは、通常ベルトを通じて機械式にエアコンコンプレッサーを駆動し、電力を発生させる。Eberspaecherが開発した燃料電池式APUは、エンジンから完全に独立しており、トラックにおけるエネルギー管理を大幅に変革するものといえる。このシステムでは、電力を発生させる際にジェネレーターへの負担をなくし、燃料消費および排出ガス低減が可能になる。 (2014年7月17日付プレスリリースより)

圧縮天然ガス (CNG)・液化天然ガス (LNG) エンジン搭載商用車用新型エアヒーター
-グループ傘下のEspar North Americaは、新型エアヒーター「Airtronic NG Commercial」を開発した。オンロードおよびオフロードで使用される圧縮天然ガス (CNG)・液化天然ガス (LNG) エンジンの商用車向けとなる。既存製品に比べて、動力と熱を1つのタンクから供給することができるため、自動車メーカー、部品販売店、整備工場にとっては、設置スペースやコストの削減、設置の簡易性向上につながるという。米国ではミシガン州NoviのEspar Inc.、カナダではオンタリオ州MississaugaのEspar Products Inc.を通じてこの製品の販売を行っている。 (2014年2月25日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 142.5 134.9 114.1


-2014年12月期、設備投資金額の内訳

  • エキゾーストテクノロジー部門: 72%
  • クライメートコントロールシステム部門: 23%
  • 自動車制御部門: 3%