Autoneum Holding Ltd. 2014年12月期の動向

業績

(単位:百万スイスフラン)
2014年
12月期
2013年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 1,954.7 2,053.3 (4.8) 1)
EBITDA 201.6 184.3 9.4 2)
純利益 102.8 36.2 184.0


要因
1) 全社売上高
-2014年12月期の売上高は前年比4.8%減。各国通貨ベースでは、前年比1.9%増。2013年のイタリア子会社売却が欧州での減収要因。欧州以外の3地域 (北米、アジア、南米・中東・アフリカ・ロシア)では、現地通貨ベースで増収。

2) 全社利益
-2014年12月期のEBITDAは前年比17.3百万スイスフラン増の201.6百万スイスフランで、過去最高の売上比率10.3%を達成。
-2014年12月期の純利益は102.8百万スイスフランで、前年比で約3倍を確保。
-利益増の要因として、欧州の既存工場での生産能力調整・稼働率の拡大、基礎材料の社内生産の拡大、アジアでの増産などが挙げられる。

事業展開

高級車から中級車へ
-自動車用の高品質カーペットのラインナップを拡充し、高級車向けの品質をコンパクトカーやミドルクラス車向けにも提供すると発表。同社の新しい「Clean-Tuft」システムは、これらのクラスの車両で多く使用される不織布に比べて、高い洗浄・清掃性や耐久性を実現する。 (2015年1月12日付プレスリリースより)

欧州市場から北米市場へ
-2015年以降、米国で特殊繊維技術「Ultra-Silent」を採用した製品の生産を開始すると発表。これらの製品は北米市場向けとなる。同社はこれまで、この技術を欧州拠点のみで展開しており、主にドイツの高級自動車メーカー向けにアンダーフロアやアンダーエンジンシールドを納入している。「Ultra-Silent」を採用したアンダーボディ部品は、従来のプラスチック製品に比べて最大50%の軽量化を実現。吸音性にも優れ、車の内装・外装部品の騒音を低減するという。 (2014年3月5日付プレスリリースより)

基礎材料の社内生産による垂直方向の拡大
-2014年、欧州および中国で基礎材料のカーペットおよびフェルトの生産能力を増強。これらの材料は南米で製造される制振材、北米やアジア拠点で製造されるオーダーメードの隔壁用フェルトブランクやフロア部品に使用される。部品の基礎材料を内製することで利益の拡大を試みる。

スイスから北米へ
-2013年にスイスに導入されたERPシステムが、2014年に北米 (米国、カナダ、メキシコ) に展開された。地域共通の業務プロセスを使用することにより、さらなる効率の向上を図る。

合弁事業

-韓国に合弁会社「Autoneum Korea Ltd.」を設立したと発表した。今後、韓国の自動車メーカーに高性能の吸音製品およびサーマルマネジメント製品を提供する。新会社は、Autoneumのほか韓国の自動車部品サプライヤーSH Global (SHG) を少数株主として設立。同国の自動車メーカーは、エンジンカバー、アンダーボディシールド、ヒートシールド、カーペットシステムなど、Autoneumのさまざまな製品や技術を車両の開発段階から利用することができるという。部品の量産は、SHGの仁川 (Incheon) 拠点および大邱 (Daegu) 拠点で行う予定。 (2014年6月17日付プレスリリースより)

受賞

自動車メーカー Autoneumの工場 受賞名
GM Katowice (Poland)、Bloomburg (USA)、London (UK)、Canada "GMサプライヤー品質優秀賞"
PSA Katowice (Poland) "2013ベスト工場"
Ford Valldoreix (Spain) "Ford Q1"
Volvo

Genk (Belgium)、Chocen (Czech Republic) "品質優秀賞"
Katowice (Poland) "環境・社会的サステナビリティ賞"
Sevelen (Swiss) "先進的ウルトラサイレント技術賞"

 

2015年12月期の見通し

  • 売上高: 4 - 5%増 (前年比、各国通貨にて)
  • 営業利益率のさらなる拡大
  • 欧州: 新技術の展開、市場シェア拡大
  • 北米: メキシコ市場の成長に追従、アンダーボディシステムの展開
  • アジア: 新規納入先開拓、アンダーボディ・カーペットシステムの展開
  • 南米: 次期成長段階に備え、ブラジル工場移転後の生産性向上

2020年の目標

  • 売上高: 2,600百万スイスフラン
  • 新興国売上比率: 20%以上
  • EBITDAマージン: 12%

 

研究開発費

(百万スイスフラン)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
全社 57.1 64.4 66.4


-2013~2014年は、欧州、米州、アジアの自動車メーカーの新モデルおよび各種要望向けの防音ソリューション、車体下部部品およびカーペットの研究に注力。

研究開発体制

スイス Winterthur (HQ) -アコースティックセンター
-研究開発センター
Sevelen -開発センター
フランス Aubergenville -アコースティックセンター
-開発センター
ドイツ Rossdorf-Gundernhausen -アコースティックセンター
ポーランド Katowice -開発センター
米国 ミシガン州Fmarmington Hills -アコースティックセンター
-開発センター
イリノイ州Chicago Heights -開発センター
イリノイ州Tinley Park -アコースティックセンター
-開発センター
ブラジル Sao Bernardo do Campo -アコースティックセンター
-開発センター
中国 上海 (Shanghai) -アコースティックセンター
-開発センター
重慶 (Chongqing) -開発センター
日本 東京
(日本特殊塗料)
-アコースティックセンター
静岡
(日本特殊塗料)
-アコースティックセンター

 

製品開発

吸音性のあるヒートシールド
-多機能の軽量ヒートシールドの製品ラインを拡充する。RIMIC技術をベースとしたアルミ製ヒートシールドを用いて、車のノイズを効率的に吸収する、特殊な穿孔を施したアルミを開発した。決められた範囲にのみ穿孔を施すことで、最適な遮熱性と耐久性を実現するという。吸音性能は穿孔の数によって決められる。さらに、同社製の吸音製品と組み合わせることで高周波音も防止することができる。RIMIC技術をベースとしたヒートシールドはすでに、欧州や日本の自動車メーカーに採用されている。 (2014年4月29日付プレスリリースより)

ニードルパンチカーペット「Di-Light」
-標準的なニードルパンチカーペットよりも軽量で耐久性を格段に上げた製品で、触感的にも外観的にも優れている。PETボトルからのリサイクル材料を使用。欧州および米州の2015年以降のモデルに採用が決定している。

設備投資額

(単位:百万スイスフラン)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
全社 101.9 80.7 75.3

 

海外投資

<米国>
-2014年、米国インディアナ州Jeffersonvilleの新工場および米国オハイオ州MonroeのUGN (株主はUni-NTF, Inc.: 日本特殊塗料株式会社の子会社 50%, Autoneum North America, Inc. 50%) の新工場が完成し、受注を開始。内装部品の量産準備に入った。

-2014年、米国市場向けにテキスタイル素材のアンダーボディ技術 「Ultra-Silent」の量産立ち上げを実施。同時進行で、軽量で多機能なアンダーボディシールドをグローバル自動車メーカーに販売する基礎作りを開始した。