Continental Holding China Co., Ltd.[大陸投資(中国)有限公司] 2022年12月期の動向
業績
-2022年12月期のグループ全体の売上高は前年比16.7%増の394億890万ユーロ。 連結範囲の変更や為替要因の影響を除くと、自動車、タイヤ、自動車関連製品、コンチテック分野の業績改善と価格調整により、前年同期比12.3%の増収となった。 さらに、為替要因による15億1,370万円の増加もあった。 中国事業の売上高はグループ全体の12%を占め、Continental中国の売上高は前年比で20%以上増加した。
-同グループの2023年通期売上高は420億-450億ユーロと予想している。
カーボンニュートラルに向けた事業戦略:
- 2020年より使用する電力をすべて再生可能エネルギーとする。
- 2040年までに生産プロセスにおいてすべてをカーボンニュートラルとする。
- 遅くとも2050年までにはバリューチェーンの完全なカーボンニュートラルを実現し、それにより業務全体のカーボンニュートラルを目指す。
設備投資
パッシブセーフティ・センサーの研究開発拠点建設で長春市と合意
-自動運転向けセンサーを生産する同社子会社の長春市支社が、同市の産業開発区と提携した。吉林省長春市浄月高新技術産業開発区管理委員会と大陸汽車電子 (連雲港) 有限公司長春分公司が協業に合意。「Continentalパッシブセーフティ・センサーのアジア及び中国における研究開発センター」のプロジェクトで協業することとなる。国際的な車載エレクトロニクス及びアフターマーケットサービスの実証区や、自動車文化の普及と体験を目的とした実証区を構築する。(2022年3月8日付Continental公式Wechatより)
受注
納入先 | 詳細 |
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長安汽車 | 横滑り防止システム(ESC)用新型電動ブレーキシステム「MK 120 ESC」を、長安汽車「Oshan X5 Plus」と「Uni-T」向けに供給。MK 120 ESCは、セキュアブート、データセキュリティプロテクション等のOTA機能とサイバーセキュリティ機能を提供する。この製品は組み込みハードウェアセキュリティモジュールを採用し、世界的な産業におけるサイバーセキュリティに対する高い要求に対応する。ブレーキシステムには、製品ごとに個別に生成されるセキュリティキーに使用できる暗号機能が含まれている。このシステムは内燃エンジン車の省エネルギー化、排出ガスの低減、EVの航続距離の向上に貢献する。今後は欧州、日本、インドでの生産も予定している。また、2023年には欧州自動車メーカーとの間でさらなる生産も計画されている。(2023年5月17日付プレスリリースより) |
中国の高級EVメーカー | 傘下のElektrobitが中国の高級EVメーカーの新エネルギー車(NEV)への基盤ソフトウェア提供に向けてBlackBerryと提携。Elektrobitは第2世代のEB corbos AdaptiveCoreソフトウェアとEB corbos Studioを、新しいコントローラー用のAUTOSAR対応のプラットフォームベースソフトウェアフレームワークに向けて提供した。このコントローラーはBlackBerry のQNX Software Development Platform 7.1及びセーフティOS向け QNX OS上に構築される。ElektrobitのAUTOSAR Adaptive Platformと、BlackBerry QNXのISO 26262 ASIL D認定OS技術を組み合わせることにより、自動車の安全性を強化したADAS電子制御ユニット(ECU)の開発に向けた完全かつ統合された基盤を提供できるという。(2023年5月9日付プレスリリースより) |
深蓝汽車(Deepal) | Horizonと設立した合弁会社コンチネンタル・コア・インテリジェント・ドライビングは、深蓝汽車(Deepal)初の電気自動車にオールインワンのスマートフロントビューカメラを供給。 (2023年4月20日WeChat公式アカウントより) |
BYD | コンチネンタルは、BYDが電気SUV「Atto 3」の標準装備タイヤとしてContinentalのEcoContact 6 Qを選定したことを発表した。サイズは235/50 R18 101V XL。このタイヤは、走行中のエネルギー吸収を最小限に抑える特殊なラバーコンパウンドを採用している。また、摩擦、転がり抵抗、転がり騒音の低減も実現している。さらに短い制動距離に加え、乾いた路面や濡れた路面でも抜群のグリップ力を発揮し、高速走行時でも優れたコーナリング安定性を発揮する。(2023年3月22日付プレスリリースより) |
長城汽車 | インストルメントクラスターとセンターコンソールディスプレイから構成されるデュアルスクリーンを長城汽車のHavalブランドの「神獣」に供給すると発表。V型スクリーンと呼ばれ、ドライバーが情報を視認しやすい設計になっている。特殊な形状を採用しており、すべてのコンテンツが同等な距離でドライバーの視野に入るという。(2022年7月15日付プレスリリースより) |
戦略的提携
提携先 | 詳細 |
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地平線 | コンチネンタルは、北京地平線機器人技術研発有限公司[Beijing Horizon Robotics Technology R&D Co., Ltd.](地平線)との合弁会社である大陸芯智駕が走行駐車一体型ドメインコントローラー3.0を開発すると発表した。地平線の次世代高性能チップをベースに開発される。製品はレベル2+のNOA機能に対応し、より高度な自動駐車機能を統合することで、中国内外の自動車メーカーにフルスタックのソリューションを提供する。大陸芯智駕が地平線の「征程3 (Journey 3)」および「征程5」高性能チップやアルゴリズムをベースに開発した走行駐車一体型ドメインコントローラー1.0および2.0は、すでに中国国内の複数のメーカーへの採用に向けて。(2023年4月28日付のContinentalの公式サイトより) |
零跑汽車(Leap Motor) | 零跑汽車(Leap Motor)は、Continental (コンチネンタル)と上海モーターショーの場で戦略的提携枠組み契約を交わしたと発表した。両社は、安全・動的制御の分野において全面的に提携を深化させ、インテリジェントOEMサービスでの協力を強化し、零跑汽車の複数のモデルにContinentalのブレーキシステム、パッシブ安全センサー、統合安全ソリューションなどを搭載する。(2023年4月20日付零跑汽車のWechat公式アカウントに基づく) |
四維図新 | 北京四維図新科技股份有限公司[NavInfo Co., Ltd.](四維図新)は、子会社の合肥傑発科技有限公司がElektrobitとの提携に合意したと発表した。Elektrobitは、自動車向け組み込み/コネクテッドソフトウェア製品・サービスを提供するContinentalの子会社。両社はElektrobitのEB tresosを使用してAUTOSARプラットフォームソフトウェアの開発を行う。開発するのはソフトウェアとハードウェアの一体型ソリューションで、自動車メーカーとTier1サプライヤーがAUTOSARに準拠する車載電子制御ユニット(ECU)を開発するのをサポートするもの。(2023年3月13日付四維図新のWechat公式アカウントより) |
Novosense | 車載用チップメーカーの蘇州納芯微電子股份有限公司[Suzhou Novosense Microelectronics Co., Ltd.](納芯微)は、Continental (コンチネンタル)及び曲阜天博集団が共同出資する陸博汽車電子(曲阜)有限公司と製品の現地化に向けて提携すると発表した。両社は車輪速センサーのローカライゼーションの推進で協力し、サプライチェーンの安定性および技術信頼性の確立を図る。(2023年2月9日付の納芯微電子のWechat公式アカウントより) |
華勝集団 | 同社は、中国の完全子会社である大陸汽車電子(済南)有限公司が広州華勝企業管理服務有限公司(華勝集団)と協業を行うと発表した。両社はルーフ用スマートサンシェード分野での提携から開始し、アフターマーケット事業まで領域を拡大していくという。(2022年10月21日付 ContinentalのWeChat公式アカウントより) |
Motovis | 中国上海の自動運転テクノロジー企業、魔視智能(Motovis)と共同開発を行うと発表した。中国の交通状況に沿いながらコストパフォーマンスの高いスマートモビリティソリューションを共同で開発する。開発するスマートモビリティソリューションは、低価格から高級モデルまで様々な車種に対応する。多機能、低コスト、低消費電力、高セキュリティで、高い処理能力のチッププラットフォームに対応すると同時に、より高度な自動運転レベルに適応するための差別化機能を拡張することができる。このシステムは2023年に中国の乗用車メーカーのモデルに搭載予定である。(2022年6月13日付 ContinentalのWechat公式アカウントより) |
吉林省長春市 | 同社は、傘下の大陸汽車電子(連雲港)有限公司長春分公司が吉林省長春市浄月高新技術産業開発区管理委員会と協業することについて合意したと発表した。両者は、Continentalのパッシブセーフティおよびセンサーのアジア・中国技術研究開発センタープロジェクトで協業し、国際的な車載エレクトロニクス及びアフターマーケットサービスのデモンストレーションゾーンや、自動車文化の普及と体験を目的としたデモンストレーションゾーンを構築する。(2022年3月8日付Continental公式Wechatより) |
中国国内における投資
-上海映馳科技有限公司[Shanghai Enjoy Move Technology Co., Ltd.](映馳科技)に出資すると発表した。映馳科技は、自動運転車両用のコンピューティングソフトウェアの開発やサービスを手掛ける企業。映馳科技が開発した自動運転ミドルウェアプラットフォームEMOSは、自動運転、セントラルゲートウェイ及びサービス指向アーキテクチャ(SOA)などに対応し、さらに主流のチッププラットフォームと互換性を有する。両社はこの提携を通じて、より迅速で充実したサービスの提供や、自動運転製品の普及を加速させる。(2022年7月28日付 ContinentalのWechat公式アカウントより)
新工場・研究開発センター
プロジェクト | 詳細 |
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上海工場の第4期プロジェクト | -同社は、中国子会社である大陸泰密克汽車系統(上海)有限公司が嘉定区にある上海工場の第4期プロジェクトを着工したと発表した。新工場の敷地面積は約2万8,000平方メートルで、2025年下半期に稼働予定。主にセーフティ・ダイナミック制御、自動運転・モビリティ関連の製品を生産する。第4期工場はスマート工場として建設されているほか、環境評価指標「LEED」のゴールド規格にも適合している。デジタル情報システム、スマートエネルギー管理システム、先進的な安全・消防システムなどのシステムを導入している。(2023年5月25日付ContinentalのWechat公式アカウントより) |
常州工場第3期拡張プロジェクト | -同社は、常州工場が第3期拡張プロジェクトを開始したことを発表した。常州工場は、江蘇長順集団との中国で2番目の合弁会社。高性能複合表面材の生産能力を年間1,300万平方メートル追加し、3,500万平方メートルに増強する。拡張により12,000平方メートルの工場棟、3,250平方メートルの原料倉庫、1,500平方メートルの施設室を建設し、既存工場棟のうち約1,000平方メートルを改修する。2024年5月に完了予定の拡張では、自動欠陥検出・識別システム、無人搬送車、サンプル配送ロボットなどのスマート生産設備も導入する。第3期拡張プロジェクトでは中国におけるAcella表面材の生産能力を増強する。さらに環境に優しく、低臭で低温に強いPVC人工皮革の特許開発・生産も同工場で行われる。(2023年4月12日付プレスリリースより) |
5Gデジタル化ギガファクトリー | -同社は、長沙市経済技術開発区でデジタル技術を駆使した工場の稼働を開始したと発表した。この工場はContinental初となる5Gデジタル化ギガファクトリーで、表面実装技術(SMT)、ディスプレイパネルの光学接合、バックライトアセンブリ、ディスプレイのパッケージングと試験などを含む先進的な生産プロセスや生産技術が導入される。建屋建設、インフラ、設備に対して5億元超が投資された。総面積は約8万平方メートル、延床面積は約2万8,000平方メートル。大型液晶ディスプレイやヘッドアップディスプレイ(HUD)など革新的なユーザー体験ソリューションを提供する。(2022年12月15日付 ContinentalのWechat公式アカウントより) |
曲阜工場第2フェーズ |
-同社は、山東省の曲阜工場第2フェーズの建設を開始したと発表した。2024年初めの稼働開始を目指す。この拡張工事では、工場棟、R&Dセンター、オフィス棟、実験室、倉庫などの建設を行う。開設後は、ホイールスピードセンサー、エンジン用センサーを主に生産する。(2023年2月9日付WeChat公式アカウントより) -同社の中国子会社Road-Broad Automotive Electronics (Qufu) Co., Ltd.は、山東省曲阜経済開発区管理委員会と協力協定を締結し、曲阜工場の第2期拡張プロジェクトを正式に開始したことを発表した。総面積40万平方メートル、建設エリアは8万平方メートルで、自動車用スピードセンサーなどの開発・生産・販売、アフターサービス、輸出入を支援する。今後、2期に分けて約100本の自動車輪速度センサーとエンジンセンサーの生産ラインを新設する予定。(2022年11月17日付 ContinentalのWechat公式アカウントより) |
長春技術センター(CCTC)研究開発施設 |
-同社は、長春技術センター(CCTC)の新しい研究開発施設が開業したと発表した。この施設では先進技術・製品、パッシブセーフティソリューションの開発を行っている。また、同社は傘下の大陸汽車電子(長春)有限公司が長春市浄月高新技術産業開発区管理委員会と浄月工場の第2期拡張プロジェクトに合意したと発表した。長春の浄月工場は、2012年に長春市浄月高新技術産業開発区に設立され、敷地面積は約14.8万平方メートル、建築面積は約7.3万平方メートルを持つ。主にコネクテッド関連製品、スマートモビリティ、セーフティ・ダイナミックコントロールなどの自動車エレクトロニクス製品の研究開発や生産を行っている。(2022年9月23日付ContinentalのWechat公式アカウントより) |
新製品
スマートサンシェード
-コンチネンタルは、スマートサンシェードを開発したと発表した。この製品は音声やジェスチャーによりサンシェードを作動させるもので、新エネルギー車(NEV)などの夏季における快適性向上に貢献する。Continentalはこの製品をAutomechanika Shanghaiの深圳特別展示会で、アフターサービスソリューションとともに出展した。(2023年2月17日付 ContinentalのWechat公式アカウントより)
展示会
-コンチネンタルは、2023年上海モーターショーに持続可能な材料で製作されたコンセプトカー「AMBIENC3」および電気自動車(EV)用防振ゴムモーターマウントを出展すると発表した。「AMBIENC3」は同社のContiTech部門の持続可能な表面ソリューションを採用し、車内に再生可能な原材料などを使用することで、CO2排出を低減する。防振ゴムモーターマウントは、従来の金属ラックに変えてポリアミド材が使用され、二層防振、独自のゴム構造および専用開発のゴム配合方法などの技術を採用している。この製品により、電気自動車(EV)特有の高周波ノイズに適したNVH性能を提供しながら、製品重量を30%の削減したことで航続距離の延長にも貢献するという。(2023年3月31日付 Continentalの公式サイトより)
研究開発拠点
研究開発センター | 所在地 | 業務内容 | ||
大陸投資(中国)有限公司 [Continental Investment (China) Co., Ltd.] 旧:大陸集団投資(上海)有限公司 [Formerly:Continental Automotive Holding Co., Ltd.] |
上海 | 2007年設立。 コンチネンタルの中国本部と研究開発センターの機能を持つ。 |
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大陸汽車嘉定研発中心 [Jiading R&D Center of Continental Automotive Group] |
上海 | 2007年設立。 電子制御ブレーキシステム、油圧ブレーキシステム、エンジンシステムの研究開発。 |
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大陸泰密克汽車系統(上海)有限公司 [Continental Automotive Systems (Shanghai) Co., Ltd.] |
上海 | 2001年設立。 電子制御ブレーキシステム、ボディ・安全の研究開発。 |
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南京軟件研発中心 [Nanjing Software R&D Center] |
江蘇省 南京市 |
2011年設立。 自動車IDインストルメント、ミドル・ハイエンド車インストルメント部品の嵌め込み式ソフトウェアの開発。 |
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大陸集団黒河冬季試験中心 [Continental Heihe Winter Test Center] |
黒竜江省 黒河市 |
2012年設立。 電子制御ブレーキシステムの冬季試験。 |
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康迪泰克常熟研発中心 [ContiTech Changshu R&D Center] |
江蘇省 常熟市 |
2013年設立。 振動コントロール部品の開発。 |
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大陸輪胎(中国)有限公司合肥研発中心 [Hefei R&D center of Continental Tire (China)] |
安徽省 合肥市 |
2015年設立。 タイヤの開発、試験。 |
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大陸塩城試験センター [Continental Yancheng Test Center Yancheng] |
江蘇省 塩城市 |
2016年設立。電子ブレーキシステム、油圧ブレーキシステム、先進運転支援システム (ADAS)、タイヤなど、安全製品およびシステムの試験・評価。 | ||
大陸汽車研発(重慶)有限公司 [Continental Automotive R&D (Chongqing) Co., Ltd.] |
重慶市 | 2017年6月、第1期工程の鍬入れ式が行われた。自動車エレクトロニクス製品の応用、新エネルギー車及び工業分野の製品とソリューションの開発に注力するものとして、2018年末に運用を開始する予定。 | ||
緯湃科技天津研発中心(新能源科技事業部亜太研発中心) [BU ET Asia R&D Center] |
天津市 | ハイブリッド動力と電動化パワートレイン技術に注力。2021年末に完成、稼働開始予定。 | ||
康迪泰克氢能燃料電池技術中心 [ContiTech Hydrogen & Fuel Cell Competence Centre] |
江蘇省 常熟市 |
新エネルギー車用水素エネルギーと燃料電池関連部品の開発と生産を手掛ける。 | ||
長春技術センター (CCTC) | 吉林省 长春市 |
先進的な技術、製品、受動的安全ソリューションの開発に注力しており、約400名の研究開発担当者を擁する。 2022年に新研究開発棟が開設。 | ||
中国のスマートマニュファクチャリングイノベーションセンター | 湖北省 长沙市 |
世界の先進的なデジタル技術と管理概念が長沙工場や他の工場に導入、実装、検証、最適化され、より高度で成熟したインテリジェント製造の概念、経験、技術が共有される。 | ||
大陸嘉定テストセンタープロジェクト | 上海 | -2024年に完成する予定。 嘉定技術センターの近くに小規模な試験場を建設し、さまざまな新エネルギー車やさまざまなレベルの自動運転機能をより適切にサポートできるMK C2などの新世代の電子ブレーキ製品の開発を支援する。 |