ams-OSRAM AG 2023年12月期の動向
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2023年12月期 | 2022年12月期 | 増減率 (%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 3,590 | 4,819 | (25.5) | 1) |
EBITDA | 463 | 857 | (46.0) | - |
セミコンダクター部門売上高 | 2,425 | 3,167 | (23.4) | 2) |
ランプ&システム部門売上高 | 1,165 | 1,652 | (29.5) | 3) |
要因
1) 全社売上高
-2023年12月期の売上高は、前年度比25.5%減の3,590百万ユーロ。これは主に、ランプ&システム事業の事業売却によるポートフォリオ変化と、民生機器事業を中心とする半導体製品の需要減少によるもの。2023年度の事業売却は、欧州とアジアのDigital Systems事業、自動車用照明(AMLS)事業イタリア、エンターテインメントライティング事業Clay Pakyなど。
2) セミコンダクター部門売上高
-2023年12月期の半導体部門の売上高は、前年度比23.4%減少の2,425百万ユーロ。主な理由は、顧客の重要なプロジェクトが終了しつつあることや、世界的にスマートフォンの販売が減り、民生用アプリケーション事業が減少したこと。一方で、自動車LED市場は2023年に正常化し、特に中国からの需要が大幅に増加したことで、売上減少は一部相殺された。
3) ランプ&システム部門売上高
-2023年12月期のランプ&システム部門の売上高は、前年度比29.5%減の1,165百万ユーロ。2023年、ランプ&システムの自動車分野は、好調な業績を記録した。OEM事業は予想通りの結果となり、自動車アフターマーケット事業が好調に推移した。一方、娯楽・医療・産業用照明器具など自動車以外分野は、市場環境の影響を受けて低調となった。
受賞
-同社は2023年、BYDからOutstanding Partnership賞を受賞した。
研究開発費 |
(単位:百万ユーロ) |
2023年12月期 | 2022年12月期 | 2021年12月期 | |
セミコンダクター部門 | 447 | 560 | 560 |
ランプ&システム部門 | 33 | 70 | 132 |
合計 | 480 | 630 | 692 |
Regensburg工場での研究開発
-同社は、ドイツ連邦政府とバイエルン州からIPCEI (欧州共通利益に適合する重要プロジェクト)資金提供の通知を受けたことを発表した。今回の資金提供はams-OSRAMのRegensburg工場でのオプトエレクトロニクス部品研究開発を支援するもの。同社は今後5年間で3億ユーロ以上の公的資金を受け取る予定。同工場では新たに400人の雇用を創出し、製造工程をサポートする。さらに消毒用UV-C LED、自動運転用LiDAR用近赤外発光体など様々なアプリケーションに取り組むための研究、開発およびパイロット生産用クリーンルームと研究所施設、インダストリー4.0アプリケーションの分野にも投資する。現在、マイクロLEDの大規模生産開始に向けて、8インチウエハー生産用パイロット組立ラインの建設が進行中だという。(2023年9月20日付プレスリリースより)
研究開発体制
-2023年12月期の研究開発人員は年度平均で3,144名。
研究開発拠点
-2023年12月31日時点、40ヵ所以上の研究開発拠点を有する。
製品開発
第3世代の自動車照明用LED「OSLON Submount PL」
-同社は、自動車照明用LED「OSLON Submount PL」の第3世代を発表した。この新しいLEDは、ヒートシンクへの直接取り付けに対応しており、標準的なロー/ハイビームのヘッドランプにおいてシステムコストの削減が可能となる。また、前世代よりも約9%高輝度を実現しているという。OSLON Submount PL Gen3シリーズは、発光領域(LEA)が(1030μm)2 LEAと(1150μm)2 LEAの2サイズから選択できる。(1030μm)2 LEAオプションは輝度と効力のバランスが取れており、(1150μm)2 LEAオプションは効力の最適化がなされている。またこの新しいLEDは、高い熱安定性と、カラーオーバーアングル(色度の角度依存性)が均一な照射を特徴とするビームパターンを提供する。(2023年11月9日付プレスリリースより)
C18 180nm CMOS特殊技術
-同社は、 オーストリアの200mm製造施設でC18 180nm CMOS特殊技術を生産することを発表した。C18ラインのマルチプロダクトウエハー(MPW)プロトタイピングサービスは2023年11月に開始される。自動車業界や医療業界のほか、多様化するセンサーやセンサーインターフェイスデバイスでの使用に適している。C18 180nm CMOSプロセス技術の導入により、顧客はアナログおよび混合信号デバイスの製造オプションを追加できる。このプロセスは光学コーティングなどの高度な製造技術もサポートする。同社のプロセス開発キット(PDK) は、チップ設計者にC18実装用のプラグアンドプレイのツールセットを提供する。アナログおよび混合信号の機能とデバイスのパフォーマンスを向上させ、高精度のシミュレーションモデルを提供する。また最新バージョンのヒットキット設計環境により、設計の生産性が向上する。これには1.8Vと3.3VのNMOSおよびPMOSデバイスが付属している。RAMとROMのメモリ生成サービスおよびゼロマスクレベル加算器EEPROM IPブロックにより、製品ポートフォリオが完成するという。(2023年10月13日付プレスリリースより)
自動車用照明向け新技術「ALIYOS」
-同社は、ALIYOS LED-on-foil技術を発表した。ALIYOS技術の利点は、透明性、薄さ、2.5Dの屈曲性で、これにより自動車メーカーは外装と内装の照明を通じてブランドの個性を表現できるほか、ドライバーや道路利用者に動的な個別メッセージや情報信号を表示するための3D照明やアニメーション効果を導入することができる。この技術を応用することで、リアランプ、ストップランプ、方向指示器の明るさに関する国連協定規則第148号などの法的要件を満たすことができる。ALIYOS技術の産業化は始まっており、2025年末までに同技術を自動車に搭載し、自動車の品質と安全基準への適合を達成することを目標としている。ams OSRAMは、9月25日から27日までドイツのDarmstadtで開催されるISAL 2023自動車照明シンポジウムでALIYOSを公開する。(2023年9月25日付プレスリリースより)
ams-OSRAM製ヘッドランプ用LED「EVIYOS 2.0」ベースのh-Digi microLED
-マレリ(Marelli)は、ams-OSRAM製の光源EVIYOS 2.0をベースにした、自動車フロントライト用h-Digi microLEDモジュールを発表した。h-Digi microLEDは、2018年に発売されたh-Digiに続く、マレリの第2世代の高解像度プロジェクションシステム。約4万個のLEDピクセル(2万個/ランプ)を搭載したこのモジュールは既に量産している。新型EVIYOS 2.0 LEDは、アダプティブでダイナミックなヘッドライト機能と画像投影を可能にする。新しい高解像度モジュールh-Digi microLEDは、このLEDピクセルを選択的に管理することで、さまざまな走行状況に応じたロービームとハイビームの配光を作り出す。また、対向車に眩しさを感じさせないよう、ダイナミックなカーブライトと正確なグレアフリーのハイビーム・ブロックアウトゾーンも備えている。さらに、ドライバーから見える道路上に、警告やドライバー支援画像を投影することができる。40μm×40μmサイズのLEDが車両用ヘッドランプのピクセル素子として導入されるのは、今回が初だという。アスペクト比1:4の2万5,600ピクセルと、アスペクト比1:3の1万9,200ピクセルの2種類のマイクロLEDが導入されている。(2023年7月19日付プレスリリースより)
第3世代の車載用LED「OSLON Compact PL」ファミリー
-同社は、第3世代となる車載用LED「OSLON Compact PL」ファミリーを発表した。前世代より8%輝度が向上した新世代LEDは、高い発光効率により、車両のエネルギー効率を高め、CO2排出量削減に寄与する。また、ヘッドランプやデイタイムランニングランプを製造する際に少ないLEDで規定の発光出力を出せるようになるため、コスト削減にもつながるという。セラミックパッケージに収められたコンパクトLEDで、AEC-Q 102の認証を受けているほか、ams-OSRAMの先進UX .3チップをベースにしており、Class 3 Aの耐食性も認証されている。この新型LEDは、シングルチップで、前世代の405ルーメンと比較し440ルーメンの光を発生する。2チップ、3チップ、4チップのバリエーションもあり、発光表面積は最大1,150平方マイクロメートルに達する。(2023年6月22日付プレスリリースより)
車内センシングアプリケーション向け新型垂直共振器型面発光レーザー
-同社は、既存のVCSEL(垂直共振器型面発光レーザー)モジュールよりも優れた安全性を特徴とする車内センシングアプリケーション向け赤外線レーザーモジュール「TARA2000-AUT-SAFE」VCSELを発表した。TARA 2000-AUT-SAFEは目の安全性を損なう可能性のある障害を超高速検出して保護するインターロックループ方式を採用している。インターロック方式は部品点数を削減し、システムコストを削減できる。940nmエミッターは現在、2D NIRまたは3D間接タイムオブフライトカメラを使用したドライバー監視・キャビン監視向けで照射野の広いモデルのTARA2000-940-W-AUT-SAFEと、照射野の狭い次期モデルであるTARA2000-940-UN-AUT-SAFEの2種類のバージョンでサンプル供給している。同社はこの新製品を2024年から大手自動車メーカー向けに量産する予定。(2023年5月30日付プレスリリースより)
特許
-2023年12月期、取得済み・申請済み併せて約13,600件の特許を保有。
設備投資額 |
(単位:百万ユーロ) |
2023年12月期 | 2022年12月期 | 2021年12月期 | |
全社 | 1,049 | 537 | 310 |
国外投資
<マレーシア>
-マレーシア投資開発庁(MIDA)は、ams OSRAMとの協力協定を通じて、マレーシアにおける投資と拡張に向けた相互支援を継続することを発表した。2023年8月、マレーシア投資産業省(MITI)とMIDAは、マレーシア初となる量産型8インチマイクロLEDの全自動生産設備の技術開発アプローチと建設進捗状況について理解するためオーストリアのams OSRAM本社を訪問した。ケダ州Kulim Hi-Tech Parkに建設中の新工場は、OSRAMのマレーシア拠点設立50年目にあたる2022年に着工され、計画通りに建設が進んでいるという。MIDAの支援を受け、ams OSRAMは地域の公的研究機関、大学、ベンダー開発プログラムと緊密に協力して、インダストリー4.0の技術を進歩させ、ユースケースを実装していく。(2023年9月11日付プレスリリースより)