WABCO Global GmbH 2019年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
  2019年12月期 2018年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 3,421.4 3,831.0 (10.7) 1)
営業利益  337.1 512.5 (34.2) -

要因

1) 売上高
-2019年12月期の売上高は、前年比10.7%減の3,421.4百万ドル。為替の影響を除くと7.0%減。総売上高の48%を占める欧州での売上は前年比11.5%減、北米での売上は5.3%減となった。

 

最近の動向

ZF Friedrichshafenとの合併合意
-ZFとの合併契約を締結したと発表した。今回の買収によりWABCOの安全性と効率性を備える商用車向け車両ダイナミクス制御、アクティブエアサスペンションシステム、フリート管理システムなどの技術と、ZFの商用車向けドライブラインおよびシャシー技術を統合することとなる。(2019328日付プレスリリースより)

R.H. SheppardのKnorr-Bremseへの売却
-Knorr-Bremseは、北米市場向け商用車用ステアリングシステムメーカーのR.H. Sheppard を買収する契約を締結したと発表した。WABCOの子会社Sheppardは、ZFによるWABCOの買収提案に関連して売却されることとなった。Knorr-Bremseは149.5百万ドルでSheppardを買収する。買収はKnorr-Bremseの間接子会社で商用車システム事業部門の一部でもある、米国Bendix Commercial Vehicle Systemsによって行われる。今回の取引は2020年前半に完了予定。1937年設立のR.H. Sheppardは、商用車用ステアリングシステムおよび関連製品を製造している。(2020130日付プレスリリースより)

 

事業提携

Plug and Play
-シリコンバレーに拠点を置き、グローバルイノベーションプラットフォームを運営するPlug and Play3年間のアンカーパートナー(会員企業)契約を締結したと発表した。WABCOは300社を超える企業パートナーに加わり1,100社を超えるスタートアップ企業をイノベーションプロセスに統合する。契約により、WABCOPlug and Playの広範なグローバルパートナーシップネットワークにアクセスできるようになる。このネットワークには多くの優良スタートアップ企業や業界リーダーが含まれ、高度な新ソリューションとイノベーションイニシアチブの共創を可能にする。また今回の提携により、Plug and Playはイノベーション能力を活用してWABCOの自動運転、コネクティビティ、電動化、輸送エコシステム技術をサポートする。WABCOはドイツStuttgartPlug and Playが主導するSTARTUP AUTOBAHNにも参加予定。(2019912日付プレスリリースより)

TIP Trailer Services (TIP)
-同社は、TIP Trailer Services (TIP) とフリート管理のデジタル化で協業を開始したと発表した。TIPは70,000台のトレーラーのリース・レンタルを欧州・カナダなど16カ国で行う、オランダのトレーラーリース・レンタル企業。今回のWABCOとの契約により、TIPは高度なトレーラー・テレマティクスや、様々な種別のトレーラーに応じた最適なフリートマネジメントソリューションのサービス提供を受ける。このソリューションにより、追跡機能のみならず、リモート環境からトレーラーの診断を行えるほか、タイヤ空気圧のモニタリングやコールドチェーン管理など機能も含まれる。(2019年7月19日付プレスリリースより

 

受注

-2019年12月期の受注は以下の通り。

エアサスペンション
-同社は、エアサスペンション技術の開発及び供給に関して欧州の大手乗用車OEMと長期契約を締結したと発表した。今回の10年契約に基づき、同社は乗用車の量産プラットフォーム向けにエアサスペンションシステムの制御を行うソフトウェア及びエアサプライモジュールを開発、提供する。(2019年2月4日付プレスリリースより)

パワーステアリングギア
グループ傘下の
R. H. Sheppardが米国トラックブランドにパワーステアリングギアを供給する180百万ドルの長期契約を締結したと発表した。今回の契約で、R. H. Sheppardはクラス5-8の中・大型トラック向けにパワーステアリングギア「M-Series」および「D-Series」を提供する予定。(2019326日付プレスリリースより)

フリートマネジメントソリューション
-同社は、欧州大手物流企業Vos Logisticsと先進フリート制御ソリューションについて契約に合意したと発表した。今回の契約により、車載コンピューター「TX-SKY」をVos Logistics社に1,200基供給することとなる。「TX-SKY」はVos Logisticsの20年来使用されてきた既存のフリートマネジメントシステムに置き換わる。また、今回Vos Logistics社は、ドライバーを車室外でもサポートするアプリ「TX-FLEX」を合わせて使用するという。(2019年7月1日付プレスリリースより)

バス用ドア
-インド現地法人WABCO Indiaは、Tamwareとの間で国内市場向けバス用ドアの設計および開発に関する契約を締結したと発表した。この契約により、WABCO Indiaは、インド市場向けにTamwareが独自設計したドア制御システムを組み合わせて、空気圧式および電動式のドアシステムを独占的に生産できるようになる。Tamwareが設計・開発したバス用ドアは、WABCO IndiaAmbattur工場で製造される。インスイング/アウトスイングドアとスライディングドアは、ドアがすばやく開き、乗客が車両にスムーズに出入りできるため、特に都市バスに適している。さらにこのドアは密閉性によりバスに取り付けられた空調システムの効率を向上させながら、ノイズと振動を低減するという。(20191016日付プレスリリースより)

AMT制御技術
-Daimler
に次世代自動マニュアルトランスミッション(AMT)制御技術を提供する長期契約を発表した。WABCOは軽量でコンパクトな設計で騒音レベルを低減し、ギアシフト性能を最適化し、ドライバーの快適性を高めるギアボックスコントロールユニットをDaimlerのトラックおよびバスの量産モデルに供給する予定。この新システムは、様々な種類のトラック、ギアボックス、および市場固有の機能を幅広くサポートするように設計されているため、世界全域での普及が期待できるとしている。(2019114日付プレスリリースより)

  

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
全社 193.2 184.4 147.0



研究開発拠点

-昨今の複雑な交通エコシステムをより広く繋げるソリューションを開発するフリートソリューションの機関を設立したと発表した。この新規事業は、フリートの道路輸送の安全性、環境効率の改善に重点を置き、スムーズなオペレーションの実現に注力する。またスペアパーツ提供のほか、IoTや商用車フリート向けクラウドベース技術などのデジタルポートフォリオの拡大が最優先課題となる。同社は既に燃費効率や稼働停止時間の短縮などへのソリューション展開を行ってきたが、今回はパーツ供給者やメンテナンスショップ、支払いサービスプロバイダーなどの輸送に関係する事業者から成るエコシステムのさらなる拡大を行う。同社のフリートソリューション事業は、世界30カ国45を超える市場で活動しており、顧客に近い場所で事業を行えるという。(2019年7月8日付プレスリリースより

 

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
全社 153.6 132.1 110.5



海外投資

<米国>
-ケンタッキー州経済開発公社 (Kentucky Cabinet for Economic Development)は、WABCO USAケンタッキー州Hebronの大型トラック用部品製造施設及び倉庫の流通部門に3百万ドル超を再投資し、従業員数を3倍に増強する計画であると発表した。今回の投資はOEMおよびアフターマーケット事業強化を目的とし、新機器の導入により米国、カナダ、メキシコでの製品流通増を図るという。プロジェクトは2019年12月に開始し、2020年春までに完了する見込み。WABCOの米国子会社WABCO USAは、ミシガン州Auburn Hillsにオフィスを構えている。(20191219日付ケンタッキー州経済開発公社リリースより)