富士通テン (株) 2015年3月期までの動向

近年の動向

業績

(単位:百万円)
2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 329,787 303,376 8.7 -
営業利益 2,812 3,780 (25.6) -
経常利益 2,765 3,791 (27.1) -
当期純利益 (3,024) 583 - -

事業方針

-2015年3月期に赤字転落予想する同社は、アルパインとのカーナビ・ソフトウェアのプラットホーム共通化などによる収益力強化と、設計から調達までに至る過程での徹底した原価低減など構造改革に着手し、2016年3月期には最終黒字への転換を目指す。2015年3月期の上期に海外売上高比率が初めて50%を超え、それに伴う法人税などの支払い額が増えている。このため、開発や営業両分野での効率向上などで収益力を高め、税額増を吸収したい考えだ。 (2014年11月18日付日刊自動車新聞より)

国内事業

ミリ波レーダー装置の生産能力を増強
-2014年4月、同社生産子会社の富士通テンマニュファクチュアリングが中津川工場で製造するミリ波レーダー装置の生産能力を増強すると発表。2015年にミリ波レーダーの月産能力を現状比3倍の3万台に引き上げる計画。

国内生産機能を独立会社化

-2013年、国内生産機能を統合し、独立会社化すると発表。中津川工場 (岐阜県中津川市) と子会社の栃木富士通テン (栃木県小山市) が対象で、2014年1月1日付で「富士通テンマニュファクチュアリング」を設立する。企業体質の強化と経営効率の向上、意思決定の迅速化、国際競争力の確保を目指す。新会社は栃木富士通テンを存続会社とし、本社を中津川工場の所在地に置く。生産品目は中津川工場が主に自動車用電子機器、栃木富士通テンが主にカーナビゲーションなど。 (2013年11月16日付日刊自動車新聞より)

主な受賞

受賞年 授与者 受賞者
2014年 広汽日野汽車有限公司 [GAC Hino Motors Co., Ltd. (GHMC)] 富士通天国際貿易 (天津) 広州分公司 [Fujitsu Ten Trading (Tianjin) Ltd. Guangzhou branch] 全体品質進捗賞
2014年 Isuzu Motors Co., (Thailand) Ltd. Fujitsu Ten (Thailand) Company Limited The Best in Delivery award
2014年 Subaru of America Inc. Fujitsu Ten Corp. of America Supplier Excellence Award "Gold Award"
2014年 GM - GM Supplier of the year 2013
2013年 Subaru of America Inc. Fujitsu Ten Corp. of America Bronze Award
2013年 Toyota Motors Europe NV/SA Fujitsu Ten Espana, S.A. Quality Award : Certificate of Recognition
2013年 GM - Supplier of the year 2012
2013年 Toyota Motor Asia Pacific Engineering and Manufacturing Co., Ltd. Fujitsu Ten (Thailand) Company Limited 2012 Regional Overall Outstanding Performance Award
2012年 GM Fujitsu Ten de Mexico. S.A. de C.V. 2012 GM Supplier Quality Excellence Award
2012年 Hino Motors Manufacturing U.S.A., Inc. Fujitsu Ten Corp. of America Excellence in Cooperation Award 2011
2012年 Toyota Motor Europe Fujitsu Ten Espana, S.A.
Fujitsu Ten (Europe) GmbH
Achievement (Silver awards) of 2011 TME Award in Supply & Award in Project Management
2012年 Subaru of Indiana Automotive Inc. Fujitsu Ten Corp. of America Quality & Delivery Award 2011
2012年 GM - Supplier of the year 2011
2011年 GM - Supplier of the Year 2010
2011年 トヨタ自動車 - 技術開発賞

研究開発拠点

名称 所在地
国内
東京事業所 東京品川区
川崎センサ開発センター 神奈川県川崎市
中津川テクノセンター 岐阜県中津川
音響開発センター 兵庫県神戸市
海外
Fujitsu Ten Corp. of America; Silicon Valley Creative Square 米国
カリフォルニア州
Fujitsu Ten (Europe) GmbH ドイツ
バイエルン州
富士通天研究開発 (天津) 有限公司
[Fujitsu Ten Research & Development (Tianjin) Ltd.]
中国
天津市
Fujitsu Ten Solutions Philippines, Inc. フィリピン
メトロ・マニラ
Fujitsu Ten Minda India Pvt. Ltd. インド
ハリヤーナー州
PT. Fujitsu Ten Manufacturing Indonesia インドネシア
西ジャワ州ボゴール県

技術提携

車載機器用基本ソフト (OS) 「アンドロイド」 を共同開発
-同社とアルパインは2014年6月、カーナビなど車載機器の基本ソフト (OS) 「アンドロイド」 を共同開発することで基本合意したと発表。非競争領域であるOSの開発コストを圧縮して収益体質を強化するとともに、差別化を図っていく機能の開発にそれぞれの経営資源を振り向ける。2、3年後から共同開発したOSを両社の製品に搭載していく。また同社は、米グーグルなどがアンドロイドプラットホームの自動車への搭載を推進する「オープン・オートモーティブ・アライアンス」 (OAA) に加盟したと発表した。

Valeoと先進安全システムの開発で提携

-2013年11月、同社とValeoは、自動車の先進安全システムの開発に関して提携すると発表。富士通テンのミリ波レーダーとValeoの前方カメラを組み合わせることで、車道の障害物を検知するセンシング技術の共同開発に取り組む。両社は、ミリ波レーダーの特長である「対象物との相対距離や位置関係の認識における優位性」とカメラの特長である「対象物を識別できる優位性」を融合させることで、天候や時間帯など外部環境に左右されることなく、高い精度で障害物を検知できる技術の開発を目指す。(2013年11月14日付プレスリリースより)

製品開発

シースルービュー
-2015年3月、運転手の視線で車体を透過したような映像を表示できる機能を開発したと発表。運転席から死角となる車両周辺の状況を画面で確認できるため発進前の事故防止につながる。新機能を用いてトヨタ自動車と共同開発した「シースルービュー」機能が新型「アルファード/ヴェルファイア」に採用された。新機能は、車両の前後と左右ドアミラーの4カ所に取り付けたカメラの映像を合成し、周囲360度の立体的な俯瞰映像を表示できる「マルチアングルビジョン」の新たな画面モードとして開発した。 (2015年3月4日付日刊自動車新聞より)

車載向けクラウド情報サービス「フューチャーリンク」
-2014年10月、車載向けクラウド情報サービス「フューチャーリンク」を開始すると発表。富士通のクラウドサーバーを経由し、交通状況や天気予報などの情報配信、音楽やSNSなどのサービスを提供する。第一弾として、市販カーナビの新製品に通信ユニットを付属し、地図の自動更新などの機能を搭載する。“つながる”サービスを充実させ、カーナビの付加価値向上を目指す。11月上旬に発売する新製品に、NTTドコモの3G回線を使用する通信ユニットを付属する。富士通のクラウドセンターと常時接続して最新の地図情報や駐車場の満空状況を入手できる。また、入力した文字の予測変換や、施設情報のデータベースにアクセスして地名やジャンルなど複数のキーワードを入力し、目的地検索ができるようにした。 (2014年10月16日付日刊自動車新聞より)

塗装レス成形技術をカーナビ前面パネルに適用
-2014年、富士通テンテクノセプタ (株) と共同で、カーナビゲーションシステムの前面パネルの製造において、塗装を行わずに光沢が実現できる樹脂成形技術を開発。一台あたりの溶剤使用量14g~21gをゼロに削減。また塗装・乾燥工程でのエネルギー使用量も削減でき、地球環境への負荷低減に寄与する。

76ギガヘルツミリ波レーダー

-2010年10月、車載用76ギガヘルツミリ波レーダーの新製品を開発したと発表。小型で低価格、高機能を実現し、高級車で導入が進む安全や利便システムを小型車やトラックなどにも普及させる。2013年初旬から自動車メーカーへの納入を目指す。新製品は、前方用レーダーでは同社初の電子スキャン方式を採用し、構造を簡素化した。部品点数も大幅削減し、体積比で同社従来品の半分以下を実現、低価格化も図った。(2010年10月20日付日刊自動車新聞より)

周辺監視製品「マルチアングルビジョン」
-2010年4月、車両の周囲をさまざまな視点から立体的な俯瞰映像で表示できる世界初の周辺監視製品「マルチアングルビジョン」を発表。カーナビゲーションの画面に俯瞰映像を表示することで、駐車時の車両後退や見通しの悪い交差点での右左折時などに運転者の視界を広範囲で補助し、安全運転を支援する。トヨタ自動車の「プリウス」など3車種にディーラーオプションとして採用が決まった。車体の前後と左右のドアミラーに取り付けた4台のカメラで撮影した車両周辺の映像をECU (電子制御装置) でリアルタイムに高速演算処理し、車両の周囲を立体的に合成した映像と3次元コンピューターグラフィックス (CG) で描画した車両の映像を生成する仕組み。 (2010年4月21日付日刊自動車新聞より)

LEDバックライト制御技術
-2010年3月、カーナビゲーションなど車載用ディスプレーの「LEDバックライト制御技術」を開発したと発表。LEDバックライトの発光量を映像の輝度 (明暗) に応じて自動的に制御することで、消費電力を同社従来比で約40%低減し、映像のコントラストを向上する。今後、自社製品への採用を進め、自動車メーカーなどに提案する。 (2010年3月3日付日刊自動車新聞より)

海外投資

<インドネシア>
-2012年8月、インドネシアにカーオーディオと自動車用電子制御装置の製造会社と、現地企業と合弁で販売会社を10月に設立すると発表。インドネシアは、自動車メーカーの増産投資が相次いで計画されている。トヨタ自動車やダイハツ工業への現地供給体制を強化して納入数拡大につなげる。製造会社「PT. Fujitsu Ten Manufacturing Indonesia」の資本金は2千億ルピア (約18億円) で富士通テンが全額出資する。西ジャワ州ボゴール県に延べ床面積約1万1千平方メートルの工場を建設して2013年7月に操業する。CDチューナーやディスプレー付きオーディオなどのオーディオ関連機器と、エンジンとエアバッグの電子制御装置を生産する。(2012年8月13日付日刊自動車新聞)

<インド>
-2012年5月、インドの自動車部品メーカー「NK Minda Group」と合弁で、カーオーディオ関連製品などの製造会社と販売会社をそれぞれ設立することで合意したと発表。2013年4月から生産を開始する予定。開発から設計、製造までの一貫体制を確立し、急成長を続けるインドの自動車市場に対応する。NK Minda Groupはランプやバッテリー、ドアミラーなどの製造と販売を行うインドの自動車部品メーカー。製造を行う合弁会社「Fujitsu Ten Minda India Pvt. Ltd.」はCDチューナーやディスプレイオーディオ、カーナビゲーションシステム、車載スピーカーの設計から開発、製造まで行う。ハリヤナ州バワール工業団地に工場を建設する予定。(2012年5月17日付日刊自動車新聞より)