Gestamp Automocion S.A. 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)

2017年12月期 2016年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 8,201.6 7,548.9 8.6 1)
EBITDA 889.9 841.1 5.8 2)
事業部別売上
ホワイトボディー及びシャシー 6,439.3 6,067.4 6.1 3)
機構部品 1,015.9 902.4 12.6 4)

要因
1) 売上高
-売上高は前年比8.6%増の8,201.6百万ユーロ。為替の影響を除くと、売上高は前年比11.0%増加。売上増は南米、欧州、アジアでの販売向上によるもの。これら地域での売上増は北米の販売減により一部相殺。

2) EBITDA
-2017年12月期のEBITDAは前年比5.8%増の889.9百万ユーロ。売上増は南米、欧州、アジアが寄与したが、北米での売上減と為替差損が利益を圧迫。

3) ホワイトボディー/シャシー
-2017年12月期でホワイトボディーとシャシー合わせ6,439.3百万ユーロの売上で前年比6.1%増。地域別には欧州、南米で売上高が増加。

4) 機構部品
-2017年12月期で前年比12.6%増の1,015.9百万ユーロの売上で前年比12.6%増。中国、ドイツ、ブラジル、スペイン、チェコ、ロシア、北米で最も大きく伸張。

企業買収

-2017年3月1日に子会社のBeycelik Gestampは、ルーマニア企業を買収すると発表した。被買収企業はルーマニアのPitesti郊外に位置し、従業員数200名超、2016年の売上高は17百万ユーロ。ルーマニア工場では現在、小型および中型プレス部品・ASSYを生産している。新工場では、ルノー日産グループおよびFordのルーマニア工場向けに納入する予定。

-2016年11月24日に子会社のGestamp Metalbagesが23.4百万ユーロでESSA Palauの株式60%を取得し完全子会社化。ESSA PalauはスペインBarcelonawoを本拠とし、乗用車用部品の加工、製造をしている。

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全体 361.2 298.5 240.9

研究開発体制

-13カ所の研究開発拠点を保有。約1,500名が研究開発に従事。

研究開発施設

-2017年3月1日現在、下記9か国に13か所の研究開発センターを持ち、更にアジアで追加の研究開発所を建設中。

  • スペイン
  • ドイツ
  • フランス
  • 英国
  • スウェーデン
  • 米国
  • ブラジル
  • 中国
  • 日本


研究開発活動

-ホワイトボディ製品の開発は、OEMと共同でパッシブセーフティー、NVH、構造、衝突性能、変形検知、エネルギー吸収等の車両特性の改善が中心。

-シャシー製品では軽量化やコストダウンなどの課題を考慮する一方、剛性、強さ、耐久性、対衝突性などの品質改良を実施。

-構造部品では重量軽減や使いやすさなどに焦点を合わせている。

製品開発

-IZB見本市で出品された製品
-IZBサプライヤー見本市での主な出展製品

  • フロントロアコントロールアーム:
    コントロールアームは統合ボールジョイントが特徴。プラスティクオーバーモールド工程で統合され、部品重量を軽減かつ高精度にできる。更にボールジョイントは他の部品を使うことなく、直接、溶接組立に統合される。
  • 電動開口のアルミドア:
    高強度アルミで作られたヒンジがついている電動開口機構を使用したアルミドア。機械部品部門(Edscha)による開発。
  • ドア閉め:
    ドア路の障害物を検知する様々なセンサーがついたドア止め。Edcchaによる開発。
  • ソフトゾーンホットスタンピング技術:
    異なった特性を一つに統合し単一の部品にするホットスタンピング工程を開発した。この工法により、EVで重量が増したバッテリー重量を補うため、ひずみを抑えより軽い構造をつくるのに適している。(2016年10月18日付プレスリリースより)
  • EV用バッテリーボックスのプロトタイプ:
    このバッテリーボックスはVolkswagenとの共同開発によるもので、バッテリーセルをサポートするモジュールで構成されている。もしセルがダメになった場合、セルに接触することなく、より速く、より安全にモジュールを変える箱の設計になっている。なお、試作品は拡張性があるため、様々な車両に使用できる。

特許

2016年12月31日現在ビジネスや製品に関連して、960以上の特許、実用新案を申請。

設備投資

2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期 2014年12月期
合計l 796.0 724.8 622.4 483.3


-新工場の設立や既存工場の生産能力増強が中心。売上高に対する設備投資費の割合は、2013年から2016年平均と同等の予定。売上高が8%増加し、うち設備投資費用が9%とすると2018年12月期の設備投資費は約800百万ユーロとなる。

-2014年から2016年通じ1,830.5百万ユーロを投資。
・3年間の設備投資で約850百万ユーロが事業成長への投資。850百万ユーロの内、約52%が新しいプロジェクト、31%が主要工場の拡張、17%が既存工場での新しい工程や技術への投資。

-2017年3月1日現在、10の追加の生産施設を建設中。さらに、2019年までに13の新工場と10の工場拡張のフル稼働を計画している。

スペイン以外での投資
<米国>
-米国ミシガン州Chelseaに新工場の建設を決定。新施設はシャシー組立、電気塗料ライン、3-D遠隔レザー溶接ラインを備える予定。新工場には68百万USドル投資し、今後4年間で195の新案件を見込む。同工場設立のために、Michigan Economic Development Corporation及びAnn Arbor SPARK、Chelsea市からの援助があった。(2016年10月25日付プレスリリースより)

<英国>
-英国のWolverhamptonの近郊にあるFour Ashesに新工場建設を計画。投資総額は70百万ポンド超。プレス設備を備え、面積は50,000平方メートルとなる予定。既存のCannock工場から新工場へ生産を移管するが、Cannock工場の従業員800名の雇用は維持できるようにする。新工場はBMW、ホンダ、Jaguar Land Rover (JLR)、Renault-Nissan、トヨタなどの顧客向けに納入する予定。2017年末までに生産開始となる見込み。同社は2011年以降、英国に180百万ポンド超を投じており、そのうち既存のCannock工場への投資額は30百万ポンド超となる。新たに建設するWest Midlands工場の年間売上高は140百万ポンドを超えるとみられる。Cannock工場は、トレーニングや開発などのニーズに対応するため一部の業務が維持される予定。(2016年9月6日付プレスリリースより)

<メキシコ>
-傘下のEdschaは、メキシコのSan Luis Potosi市で新工場の起工式を開催。早ければ2016年12月に生産を開始する予定。新工場では、まずドアヒンジ、ドアチェック、リフトゲートヒンジ、フードヒンジを生産する。その後、リアリッドやリフトゲート用の自動開閉システムの生産も行う予定。第1フェーズでの工場面積は約3,800平方メートルで、2016年末までに従業員約60名を雇用する。数年間で面積は10,000平方メートルまで拡張し、従業員数は約300名に増員する計画。(2016年6月22日付プレスリリースより)

<ロシア>
-ロシアのTogliattiに同社にとって同国4番目となる新工場を開設したと発表。傘下のEdschaが運営する。新工場の従業員数は約50名で、ロシア市場向けにドアヒンジ、リフトゲートヒンジ、リアドアヒンジの生産・組立を開始した。2016年に約250万ユニットのヒンジを生産する見込み。中期的には従業員を150名超まで増員する計画。生産スペースは約5,000平方メートルで、さらに6,000平方メートルの拡張が可能になるという。(2016年3月10日付プレスリリースより)

<中国>
-上海に研究開発センターを開設すると発表。中国自動車メーカーとの連携強化を図る。25億ユーロが投じられる広さ2,550平方メートルの新センターは2017年末に開設予定で、40名超の専門家が従事する。上海と近い崑山にある子会社Edschaの研究開発センターをサポートするという。また、崑山の金型工場の操業開始も併せて発表した。(20171122日付プレスリリースより)

<スロバキア>
-スロバキアのNitraにアルミニウム専門の新工場を開設すると発表。新工場への投資額は133百万ユーロ。スロバキアに開設するJaguar Land Roverの工場など、自動車工場向けに部品を供給する。同社は2021年まで投資を行い、229名の雇用を創出する。新工場の面積は42,400平方メートルで、2018年に生産開始予定。同社が製造する部品は、軽量化と安全性の向上を目的として、アルミニウム製品が80%以上を占める予定。(2017年1月12日付プレスリリースより)