アイシン高丘 (株) 2015年3月期までの動向

ハイライト

近年の動向

事業概況 (2015年3月期)

-2015年3月期の売上高は、国内外の得意先自動車メーカーの生産台数増加などにより、前年比6.6%増の263,800百万円。
-営業利益は、減価償却費などの費用増加があったものの、売上高の増加や収益体質強化活動の成果などにより、前年比20.5%増の11,200百万円。

海外事業

熱間プレス部品の海外提案を強化
-2013年5月、熱間プレス (ホットスタンプ) 部品の海外提案を強化すると発表。熱間プレスの試験製造設備を米国、中国、タイの3カ国に導入する。同社が熱間プレスの製造設備を海外に設けるのは初めて。今年度中に設備を稼働し、現地に工場を持つ自動車メーカーやサプライヤーに対して、車体骨格部品を軽量化できる生産技術を提案する。同社の海外事業はこれまで、トヨタ自動車を中心とした日系自動車メーカー向けが中心だった。得意分野である熱間プレスの需要が海外市場で拡大しているため、現地生産体制を整え、受注拡大を狙う。(2013年5月16日付日刊自動車新聞より)

国内事業

-2011年、アイシン高丘東北 (宮城県大衡村) の鋳造プラントを来年春から稼働させる。当初は年内にも火入れを行い来年初めからの本格稼働を予定していたが、東日本大震災の影響で着工が遅れていた。生産能力は月産2千トンを計画している。これによってアイシン高丘東北は鋳造から加工・組み立てまでの一貫生産体制となる。アイシン高丘東北は、セントラル自動車や関東自動車工業による東北地区の車両生産拡大に対応するため2009年1月に設立。エンジンやブレーキなどの関連部品の加工・組み立てを手がけている。(2011年5月26日付日刊自動車新聞より)

-2010年、同社は、宮城県内で部品の一貫生産体制を構築する。年内にも子会社で、エンジンやブレーキなどの関連部品の加工・組み立てを始める予定。さらに来年夏には鋳造工場の開設準備に入り、2012年以降の稼働開始を目指す。来年1月に稼働するセントラル自動車の新本社工場や関東自動車工業の岩手工場に納入する。品質の確保と同時に製造コストの圧縮を図り、東北地区でのトヨタ車増産に貢献していく。(2010年9月6日付日刊自動車新聞より)

-2010年、グループ内でアルミダイカスト事業を再編すると発表した。同社の東浦工場(愛知県東浦町)が手がけていたトランスミッション部品などアルミ小物製品の生産を2月から、アイシン精機の西尾ダイカスト工場、アイシン北海道(苫小牧市)、アイシン軽金属(富山市)に移管開始した。生産を集約して効率化を図ることが狙いで、同社はバンパー補強材など鋳鉄事業に特化する。(2010年2月9日付日刊自動車新聞より)

-2009年1月下旬、エンジンやシャーシ部品など鋳鉄部品を生産する全額出資の新会社「アイシン高丘東北」(宮城県大衡村) を設立。資本金4億9千万円。2009年5月から機械加工を開始し、2010年10月から鋳造を開始する。総投資額は約90億円。愛知県内の生産設備が老朽化していることや地震など災害リスクを回避するため生産の一部を東北に移す。製品の納入先はトヨタ自動車東北や関自岩手工場のほか、日野自動車の新田工場や曙ブレーキ工業など北関東に拠点を持つ顧客も対象になる。2010年に宮城県に移転するセントラル自動車にも製品を納入する予定。(2008年11月22日付日刊自動車新聞より)

受注

-2011年、同社製品の搭載情報は以下の通り。

  • フロトピラーリーンフォースメント: トヨタ 「Lexus IS350C」、「Lexus IS250C」
  • ドアインパクトビーム: ダイハツ 「Mira e:S」
  • 1,800MPa級バンパービーム: マツダ 「CX-5」

研究開発費

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
合計 1,400 1,300 1,100

研究開発体制

-本社内に「TAセンター」(Takaoka Advanced Center) を保有。研究開発部門、生産技術部門、設計部門が同センターに集約。

研究開発活動

-2015年3月期、軽量化や高強度化など、ユーザーからの多彩なニーズに対応するため、自動車鋳造部品技術についての研究開発を実施。主な成果は鋳鋼タービンハウジングなど。

-2011年、マツダは引っ張り強度が1800メガパスカル級の高張力鋼板を世界で初めて車両に採用すると発表した。2012年初頭に発売する新型クロスオーバー「CX-5」の前後バンパービームに使用する。従来の部材に比べて強度が20%向上し、重量は約20%軽くなったという。マツダは素材の開発を住友金属工業、加工法などをアイシン高丘、溶接法などを板金部品メーカーの双葉工業と共同開発した。(2011年10月5日付日刊自動車新聞より)

製品開発

SUSエキゾーストマニホールド
-2008年、SUSエキゾーストマニホールドを開発。独立ロングブランチ化による高出力化 (新長期排気ガス規制対応) と単管パイプ採用によるシンプル構造で、低コスト化を実現。トヨタの「Noah」、「Voxy」に搭載。

設備投資額

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
合計 21,190 25,377 32,711

設備の新設計画

-2015年3月31日現在、鋳造設備等に22,200百万円を投資する計画。

海外投資

コンパクト鋳造ラインの活用を本格化
-2013年5月、生産能力が通常の4分の1程度のコンパクト鋳造ラインの活用を本格化すると発表。小型の設備を活用し、需要見通しを立てにくい環境下で投資判断を行いやすくする。国内では一部子会社で活用しており、海外では2014年中にもインドで新工場を建設する検討を行っており、同ラインを導入する方針だ。今後、需要動向の読みにくい新興国への進出を検討する際には同ラインの活用を前提とする一方で、国内では設備更新の際に稼働率が低下している従来設備をコンパクト鋳造ラインへ切り替えていく。

<中国>
-2011年、中国では3番目の拠点となる「高丘六和 (雲浮) 工業有限公司」を5月11日に設立したと発表した。華南地区における新たな鋳造拠点とし、ディスクローターなど年間3万トンの生産能力を持つ。2013年1月から生産を開始する予定だ。同社はすでに天津と広州に鋳造・加工拠点を置いているが、自動車メーカー各社の需要増に対応するため、華南地区の広東省雲浮市に生産拠点を設けることにした。当面はトヨタ自動車向けが中心になるが、他メーカーへの拡販も目指す。高丘六和 (雲浮) は資本金1億2千万元 (約15億円)。アイシン高丘が34.8%を出資するほか、同社の中国現地法人の高丘六和 (天津) が55.2%、高丘六和 (広州) が10.0%を出資する。従業員200人の体制で鋳鉄・塑性加工品の製造・販売を手がける。売上高は13年で20億円を見込んでいる。(2011年5月27日付日刊自動車新聞より)