(株) パイオラックス 2013年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2013年
3月期
2012年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 48,476 46,500 4.2 -顧客からのニーズを確実に補足し、新興国を中心とした拡販活動を継続的に推進。
営業利益 5,189 4,701 10.4 -一層の合理化を推進。
経常利益 5,776 5,182 11.5
当期純利益 3,757 3,404 10.4
自動車関連事業
売上高 45,577 43,667 4.4 -新興国を中心としたグローバル拡販を積極的に推進。
営業利益 5,775 5,170 11.7 -

受注

-現代自動車から、新たにインドと中国で開閉機構部品を受注。韓国ですでに納入実績があり、他の地域での取引に結び付けた。中国で受注したのは、グローブボックスなどに使われる機構部品。今年4月に稼働する武漢工場 (湖北省武漢市) で生産し、現代自の中国合弁会社、北京現代に2014年半ばからの納入を予定している。インドでは南部・チェンナイに生産拠点があり、日系メーカー向けを中心にファスナー部品などを生産している。現代自の工場にも機構部品の納入を始めることにより工場稼働率を高める。(2013年3月28日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<韓国>
-2015年3月期に韓国で自動車用ファスナーの売上高を11年度比で3割増の20億円に引き上げる。現地生産子会社で生産設備を増設するなどし、輸出が好調な現代自動車グループ向けの製品供給を増やす。同国では工場の移転・拡張を計画しており、14年度には新工場での生産開始を目指している。新工場稼働後は11年度比倍増の30億円の売り上げを目指す。同社は1996年に韓国に製造子会社を設立し三星自動車向けに納入を始めた。近年はグローバルでの販売が好調な現代自動車、起亜自動車といった現代自グループ向けの生産が増えている。足元の受注増に対応するため、早急に供給力を高める。(2012年9月7日付日刊自動車新聞より)

材料調達

樹脂を2013年からインドで現地調達
-ファスナーの材料となる樹脂を2013年からインドで現地調達する。一定の品質を確保している現地の廉価材を使うことにより原材料コストを引き下げ、現地調達率を80%以上に高める。同社はインド南部・チェンナイ近郊に生産拠点を構え、12年6月に現地生産を開始。日産自動車、ホンダ、マルチ・スズキ向けを中心にファスナーや他の樹脂部品を生産している。14年度には5億~6億円の売り上げを目指しており、新規納入先の拡大や現地調達の推進により、インド事業の収益力を一段と高める。インド材は現地生産拠点で使うだけでなく日本にも輸入し、日本で生産する製品の原材料コストを大幅に引き下げる。(2013年3月11日付日刊自動車新聞より)

2016年3月期に海外調達率20%を目指す
-樹脂や特殊鋼といった材料の海外調達を本格化する。2013年3月期から韓国材の採用を開始するほか、14年3月期には中国、インド、東南アジア製の採用も始め、16年3月期に海外調達率20%を目指す。現地の生産拠点が採用している廉価な材料を日本でも使うことにより、国内で生産する製品のコストダウンを加速する。主要取引先の日産自動車は、価格の安いLCC (リーディングコンペティティブカントリー) 製の部品や材料の採用を部品メーカーに推奨している。日産の方針に沿い、LCCからの材料調達を始める。 (2012年7月31日付日刊自動車新聞より)

中期経営計画

-2012~14年度の中期経営計画を策定。日系メーカーの海外生産拡大に対応して海外の売上高を増やし、14年度に連結売上高550億円 (12年度見込み490億円)、営業利益60億円 (同53億円) を目指す。アジアを中心に新興国で生産を拡大することで、連結売上高に占める海外比率40%を達成する。海外売上高は14年度に11年度比60.5%増の220億円に拡大する。インド、インドネシア、タイ、中国で生産能力を順次増強し、アジアの売上高を10年度の57億円から125億円に倍増させる。海外売上高に占めるアジア比率は、10年度の49%から14年度に57%と6割弱に上昇する。アジアで最大となる中国の売上高は14年度に60億円程度に達し「米国と並ぶ規模になる」(島津幸彦社長) としている。(2012年6月13日付日刊自動車新聞)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全社 707 605 588
自動車関連 388 390 353

研究開発体制

-設計部、各事業部の開発グループ、および子会社の (株) パイオラックスメディカルデバイスの開発部門により推進。

研究開発拠点

拠点名 所在地
横浜テクニカルセンター 神奈川県横浜市

<タイ>
-2014年3月期中にタイに開発拠点を新設。ASEANやインドをターゲットにしたアジア市場向けモデルの部品を開発する拠点とし、その他の地域の設計業務を支援する機能も持たせる。海外には開発の取次業務を行う拠点はあるが、設計や実験など本格的な開発業務を行う拠点はなかった。日本に次ぐ第2の開発拠点と位置付け、需要が拡大するアジアに適した部品の開発を強化する。(2012年12月6日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動

精密ばね関連
-変速機、エンジン補器等に用いられるコイルばね等の廉価材材料開発および採用。
-応力や拳動等の解析技術を駆使した最適設計により、変速機ユニットの小型・軽量化・低コスト化に寄与する製品の量産化。
-変速機ユニットへの組付け作業を容易にした複合ばねの開発拡大。
-客先組立工場との連携を密に取り、客先組立工場の意見と同社製品の最適形状を盛り込んだ商品の開発。
-国内自動車メーカー等との開発拡大と共に、新興国の自動車メーカーとの新たな開発・量産化の拡大。

工業用ファスナー関連
-原価低減、作業性改善、品質向上等の課題を解決するため、薄板から厚板まで使用できる製品、取付け力の低減等による車体への組付作業を容易にした製品、高強度な締結機能を有する製品、廃車後の車体解体作業の作業性向上を考慮した製品などが標準タイプとして新型車よりグローバルで横展開している。
-環境問題へ対応した燃費改善のための軽量化取り組み。
-利便性を向上させた内装部品のネットフック等の開発。

小型ユニット関連
-グローブボックスにおいては、ロックハンドルの機構部の樹脂化、サイドロックの開発、ソフトオープンさせるためのダンパーの開発を実施。この結果、国内全乗用車メーカーで採用されている。

燃料系関連
-樹脂タンク用バルブとしてロールオーバーバルブ、インレットチェックバルブを中心として性能向上、コスト低減を狙った開発を進め、新規顧客、新規車種への採用が拡大。これに伴い、タイ、中国など海外子会社での生産も拡大。
-金属タンク用バルブとしては、性能向上、コスト低減を狙った標準部品や複合機能部品の開発を進め、新規顧客への採用が拡大。
-燃料供給ユニット関係の部品は、2輪車が燃料噴射装置の搭載を増加させているための需要拡大に伴い、採用が増加。
-環境問題に対しては、代替燃料に対応した製品、ハイブリッドに対応した製品を拡大。

その他
-電気自動車 (EV) やハイブリッド車 (HEV) 向け部品について、銅材料や難燃性樹脂材料を用いてバッテリーやモーター関連の構成部品が採用された。
-環境問題に対して、欧州廃車指令、欧州ROHS規制の管理を継続するとともに、日本自動車工業会の環境負荷物質に関する自主規制 (車室内VOCの規制等) に対応した活動を推進。欧州REACH規則に対応する取り組みでは、欧州拠点との連携を図って進めている。
-製品価格の低減として、海外廉価材の採用を検討。金属材料および樹脂材料の機械的性質や性能評価を行い、製品への適用を増やす研究を続けている。

製品開発

ハイブリッド車用モーター部品の生産を2012年秋に開始
-ハイブリッド車 (HV) 用モーター部品の生産を2012年秋に開始。群馬県安中市の子会社で生産し、日産自動車に供給する。今秋生産を始めるのは、HVのモーターに取り付ける配線用部品のバスリングで、日産が今秋投入するFR (後輪駆動) のHV向けに生産する。同社は12年後半に米ジョージア州の生産拠点でリチウムイオン電池用部品の生産を始める予定。日産 「Leaf」用に納めるもので、日本での生産に続いて米国でも生産を始める。(2012年7月11日付日刊自動車新聞より)

技術導入契約

(2013年3月31日現在)
相手先 契約品目 契約内容 契約期間
Norma Germany GmbH
(ドイツ)
自動車用燃料給油関連部品 特許実施許諾 1995年9月18日から2000年8月17日まで
以後1年毎の契約更新
Norma Germany GmbH
(ドイツ)
樹脂製燃料タンク関連部品 特許実施許諾 上記本契約に追加
Norma Germany GmbH
(ドイツ)
樹脂製燃料タンク関連部品 特許実施許諾 2001年12月13日から2006年12月12日まで
以後1年毎の契約更新

技術供与契約

(2013年3月31日現在)
相手先 契約品目 契約内容 契約期間
三加産業股份有限公司
[KHK of Taiwan,Inc.]
(台湾)
金属・樹脂ファスナー 製造技術の援助契約 1987年10月6日
から2007年10月5日まで
以後5年毎の契約更新
台湾厚木工業股份有限公司
[Taiwan Atsugi Co., Ltd.]
(台湾)
プレッシャースプリング、
トーションスプリング、
バルブスプリング
自動車クラッチ用プレッシャースプリングおよびトーションスプリング、エンジン用バルブスプリング製造の技術援助契約 1978年11月1日
から2003年10月31日まで
以後5年毎の契約更新
Piolax Corp.
(米国)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
およびマーケティング・
サービス契約
1993年4月1日から無期限
Piolax Ltd.
(英国)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
およびマーケティング・
サービス契約
1995年8月8日から無期限
Piolax Co., Ltd.
(韓国)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
およびマーケティング・
サービス契約
1996年6月20日
から2006年6月19日まで
以後1年毎の契約更新
Piolax (Thailand) Ltd.
(タイ)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
およびマーケティング・
サービス契約
2000年8月10日から無期限
東莞百楽仕汽車精密配件有限公司
[Dongguan Piolax Co., Ltd.]
(中国)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
およびマーケティング・
サービス契約
2004年7月1日
から2014年6月30日まで
以後1年毎の契約更新
Piolax Mexicana, S.A. de C.V.
(メキシコ ヌエボレオン州)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
およびマーケティング・
サービス契約
2011年1月1日から無期限
Piolax India Private Ltd.
(インド タミル・ナードゥ州)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
およびマーケティング・
サービス契約
2010年1月1日から無期限
PT. Piolax Indonesia
(インドネシア 西ジャワ州)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
およびマーケティング・
サービス契約
2012年12月1日から無期限

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
自動車関連 3,892 3,548 3,048

-国内関係で1,882百万円、海外関係で2,102百万円。

海外投資

<中国>
-中国湖北省武漢市に生産拠点「武漢百楽仕汽車精密配件有限公司 (武漢パイオラックス)」[Wuhan PIOLAX Co., Ltd.]を2012年8月に設立すると発表した。同社の中国拠点は、広東省東莞市の東莞百楽仕汽車精密配件有限公司 (東莞パイオラックス) [Dongguan Piolax Co., Ltd.]に次いで2拠点目となる。資本金は1,000万ドル(約7億8,000万円) で、出資比率はパイオラックス80%、東莞パイオラックス19%、三龍産業股份有限公司1%。建屋面積約7,000平方メートルの工場を建設し、13年3月の操業を予定する。自動車用樹脂ファスナーや各種開閉機構の組み立て部品を製造販売し、売上高は14年度で約25億円を計画している。(2012年7月24日付日刊自動車新聞より)

<インドネシア>
-インドネシアに四輪・二輪用部品の製造・販売を手がける子会社を設立。市場の拡大基調が続く同国で市場特性に対応した商品展開を行い、新規供給先の開拓を目指す。新会社は「P.T.パイオラックス インドネシア」で西ジャワ州カラワン県に2012年6月設立。資本金800万ドル (約6億4千万円) でパイオラックスが95%を、タイの連結子会社が5%を出資する予定。2016年度に売上高2,000万ドルを目指す。(2012年5月10日付日刊自動車新聞より)

<メキシコ>
北米向けの組み立て部品の生産をメキシコに移管
-米国とメキシコで行っている北米向けの組み立て部品の生産を、2013年度までに全量、メキシコに移管する。米国に比べメキシコは労働コストが安いため、人手のかかる組み立て作業を集約してコスト競争力を高める。メキシコでは日系メーカーが13~14年にかけて相次いで生産を拡大する計画。これに伴い、部品メーカーも、現地への進出や新工場の計画を表明している。同社は既存のメキシコ工場を活用して北米の事業効率を高め、部品の需要拡大に対応する。(2012年4月27日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画 (自動車関連)

(2013年3月31日現在)
会社名
事業所名
設備の内容 予定金額
総額
(百万円)
着手 完成予定 完成後の増加能力
同社 生産設備、金型他 955 2013年
4月
2014年
3月
更新・合理化が主で増加能力は軽微。
国内子会社 生産設備、金型他 344 2013年
4月
2014年
3月
更新・合理化が主で増加能力は軽微。
海外子会社 生産設備、金型他 4,097 2013年
1月
2013年
12月
多種目の生産であるため増加能力は不明。