(株) パイオラックス 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 46,500 44,852 3.7 -
営業利益 4,701 4,893 (3.9) -震災対応の費用がかさんだため
経常利益 5,182 5,628 (7.9) -
当期純利益 3,404 3,544 (4.0) -
自動車関連事業
売上高 43,667 42,351 3.1 -アジアを中心とした新興国需要の増加に対して積極的なグローバル拡販を推進したため。
営業利益 5,170 5,325 (2.9) -

海外動向

- リチウムイオン電池の部品を2012年後半から米生産拠点、パイオラックスコーポレーション(ジョージア州)で生産する。日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」に搭載される電池の部品で、国内向けに続いて新たに米国向けも受注した。同社は欧米、アジア、中国に生産拠点を持つが、電池用部品を海外で生産するのは初めて。生産を現地化することで、海外でも生産が増えるEV向け製品の売り上げを増やす。(2011年12月13日付日刊自動車新聞より)

- 中国地場メーカーからの新規受注獲得に向けた活動を強化する。中国各地の自動車メーカーに対する製品説明会の回数を増やし、積極的なアピール活動を推進する。同社はすでに奇瑞汽車と長城汽車の2社に対して製品の納入を行っている。さらに、現地の生産拠点についても増産体制を整えつつある。納入実績に加え、円滑な供給体制を実現できる点などメリットを積極的にアピールしていくことで目標として掲げる中国での売上高50億円の早期実現につなげる。(2011年6月18日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 605 588 642
自動車関連 390 353 347

研究開発体制

-設計部、各SBUの開発グループ、および子会社の(株)パイオラックスメディカルデバイスの開発部門により推進。

研究開発拠点

横浜テクニカルセンター 神奈川県横浜市

研究開発活動

-ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)など次世代自動車向け部品事業の展開を加速する。現在生産を行っているモーターとバッテリーの関連部品に加え、インバーター用部品の新規受注を目指す。同社が持つ金属加工と樹脂成形技術を生かして製品群を拡充し、2015年度に売上高を現状の3倍増に相当する30億円まで引き上げる。同社は、自動車の駆動系や開閉機構に使われる精密ばねや内外装に使用される樹脂ファスナーを始めとした部品を製造し、日産自動車をはじめ国内外の完成車メーカーに納入している。これまでに、バッテリーの構成部品である「ターミナル」や「スペーサー」と呼ばれる製品やモーターの構成部品である「インシュレーター」や「カバーターミナル」と呼ばれる部品を生産。主要取引先である日産自動車の「リーフ」や「フーガハイブリッド」に採用された。日産は15年度までにEV、HVを含めてグローバルで70万台の生産を実現していく方針を打ち出している。また、他メーカーも次世代車のグローバル生産を拡大する動きを相次いで表明している。この流れにあわせて、同社も次世代車向け製品の開発を加速する。今後は未参入領域であるインバーター部品の開発も進めていき、製品群の拡大を図ることで売り上げ増につなげる。(2011年6月10日付日刊自動車新聞より)

精密ばね関連
-変速機、エンジン補器等に用いられるコイルばね等の廉価材材料開発。
-応力や拳動等の解析技術を駆使した最適設計により、変速機ユニットの小型・軽量化・低コスト化に寄与する製品の量産化。
-変速機ユニットへの組付け作業を容易にした複合ばねの開発拡大。
-客先組立工場との連携を密に取り、客先組立工場の意見と当社製品の最適形状を盛り込んだ商品の開発。
-国内カーメーカー等との開発拡大と共に、新興国のカーメーカーとの新たな開発・量産化の拡大。

工業用ファスナー関連
-原価低減、作業性改善、品質向上等の課題を解決する為、薄板から厚板まで使用出来る製品、取付け力の低減等による車体への組付作業を容易にした製品、高強度な締結機能を有する製品、廃車後の車体解体作業の作業性向上を考慮した製品などの開発。
-環境問題へ対応した燃費改善のための軽量化取り組み。
-利便性を向上させた内装部品のネットフック等の開発。

小型ユニット関連
-グローブボックスにおいては、ロックハンドルの機構部の樹脂化、サイドロックの開発、ソフトオープンさせるためのダンパーの開発。

燃料系関連
-樹脂タンク用バルブとしてロールオーバーバルブ、インレットチェックバルブを中心として性能向上、コスト低減を狙った開発。
-金属タンク用バルブとしては、性能向上、コスト低減を狙った標準部品や複合機能部品の開発。
-燃料供給ユニット関係の部品は、2輪車が燃料噴射装置の搭載を増加させているための需要拡大に伴い、採用が増加。
-環境問題に対しては、代替燃料に対応した製品、ハイブリッドに対応した製品を拡大。

その他
-EV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)向け部品について、銅材料や難燃性樹脂材料を用いてバッテリーやモータ関連の構成部品が採用された。
-環境問題に対して、欧州廃車指令、欧州ROHS(ロース)規制の管理を継続するとともに、日本自動車工業会の環境負荷物質に関する自主規制(車室内VOCの規制等)に対応した活動を推進。欧州REACH規則に対応する取り組みでは、欧州拠点との連携を図って進めている。

技術導入契約

(2012年3月31日現在)
相手先 契約品目 契約内容 契約期間
Norma Germany GmbH
(ドイツ)
自動車用燃料給油関連部品 特許実施許諾 1995年9月18日から2000年8月17日まで
以後1年毎の契約更新
Norma Germany GmbH
(ドイツ)
樹脂製燃料タンク関連部品 特許実施許諾 上記本契約に追加
Norma Germany GmbH
(ドイツ)
樹脂製燃料タンク関連部品 特許実施許諾 2001年12月13日から2006年12月12日まで
以後1年毎の契約更新

技術供与

(2012年3月31日現在)
相手先 契約品目 契約内容 契約期間
三加産業股份有限公司
[Piolax of Taiwan Inc.(Taiwan)]
(台湾)
金属・樹脂ファスナー 製造技術
援助契約
1987年10月6日
から1992年10月5日まで
以後10年毎の契約更新
台湾厚木工業股份有限公司
[Taiwan Houmu Industrial Co., Ltd. (Taiwan)]
(台湾)
プレッシャースプリング、
トーションスプリング、
バルブスプリング
製造技術
援助契約
1978年11月1日
から1983年10月31日まで
以後5年毎の契約更新
Piolax Corp.
(米国)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
およびマーケティング・
サービス契約
1993年4月1日から無期限
Piolax Ltd.
(英国)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
およびマーケティング・
サービス契約
1995年8月8日から無期限
Piolax Co., Ltd.
(韓国)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
およびマーケティング・
サービス契約
1996年6月20日
から2006年6月19日まで
以後1年毎の契約更新
Piolax (Thailand) Ltd.
(タイ)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
およびマーケティング・
サービス契約
2000年8月10日から無期限
東莞百楽仕汽車精密配件有限公司
[Dongguan Piolax Co., Ltd. (China)]
(中国)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
およびマーケティング・
サービス契約
2004年7月1日
から2014年6月30日まで
以後1年毎の契約更新
Piolax Mexicana, S.A. de C.V. 自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
およびマーケティング・
サービス契約
2011年1月1日から無期限

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
自動車関連 3,548 3,048 2,365

-国内関係で1,882百万円、海外関係で1,728百万円。

海外投資

<タイ>
- 2013年にタイでCVT(無段変速機)用部品の現地生産を始める。同部品は国内、中国、メキシコで生産しており、東南アジアでの生産は初めてとなる。納入先の現地調達ニーズに対応し、タイ工場に新規に専用設備を導入し、現地で供給体制を整える。同社は海外売上高比率を11年度の30%から14年度に40%に引き上げる目標を掲げており、アジアでの生産拡大により目標の達成につなげる。CVT用部品を納入するトランスミッションメーカー、ジヤトコ(静岡県富士市)が13年にタイで初のCVT工場を稼働するのに合わせ、現地生産を開始する。生産するのはスナップリングや圧縮コイルばねといった金属部品で、生産能力は年間50万台分。数億円を投資して専用の生産設備を導入する。納入先のニーズに対応して現地で生産し、アジアの市場拡大に合わせて受注を増やす。(2012年2月20日付日刊自動車新聞より)

- タイのラヨン県Eastern Seaboard Industrial Estate内に位置する工場の拡張を発表した。既存工場に隣接する土地・建物を取得するもの。投資金額は約3億円。敷地面積7,278平方メートルを取得し、取得後の総面積は18,567平方メートル。また、取得建物面積は3,820平方メートルで、取得後の建物総面積は8,246平方メートルとなる。(2011年5月26日付プレスリリースより)

設備の新設(自動車関連)

(2012年3月31日現在)
会社名
事業所名
設備の内容 予定金額
総額
(百万円)
着手 完成予定 完成後の増加能力
同社 生産設備、金型他 1,431 2012年
4月
2013年
3月
更新・合理化が主で増加能力は軽微。
国内子会社 生産設備、金型他 117 2012年
4月
2013年
3月
更新・合理化が主で増加能力は軽微。
海外子会社 生産設備、金型他 2,353 2012年
1月
2012年
12月
多種目の生産であるため増加能力は不明。