トヨタ紡織株式会社 2009年3月期の動向
ハイライト
業績 | ( 単位:百万円 ) |
2009年 3月期 |
2008年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 979,775 | 1,233,789 | (20.6) | -シート、ドアトリムなどの減産により減収 |
経常利益 | 13,292 | 65,696 | (79.8) | -合理化など増益要因はあったが、減産減収の影響、製品価格変動の影響、市況値上げ、労務費の増加、為替の影響などにより減益 |
当期純利益 | (5,064) | 40,720 | - | - |
自動車部品事業 | ||||
売上高 | 976,116 | 1,229,748 | (20.6) | - |
受注
-クラウンに、アレルギーの原因となる可能性があるダニアレルゲンを抑制する世界初の自動車用シート表皮「抗ダニアレルゲン加工シート表皮」が採用。
-軽量なシート骨格「トヨタ紡織新世代シート骨格『TB-NF100』」がiQに採用。
会社設立
<米国>
-2008年9月に米国イリノイ州ローレンスビル市にシート、ドアトリムなど内装品の生産子会社 Automotive Technology Systems LLC. を設立。
<フランス>
-2008年10月にフランス ノール・パ・ド・カレ州ソマン市にシートなど内装品の生産子会社 Toyota Boshoku Somain S.A.S. を設立。
<ポーランド>
-2009年1月にポーランド ドルヌィ・シロンスク県 ノボグロ ジェッツェ市にアイシン精機株式会社との合弁で、 シートフレーム・シートカバーの生産子会社 TBAI Poland Sp.z o.o. を設立。
>>> 詳細は設備投資 参照
海外動向
生産体制再編・強化
<北米>
-Learと同社は、米国での合弁契約を解消することで合意した。この合弁会社は、Toyota Motor Manufacturing Indiana(TMMI)がプリンストン工場で生産しているミニバン「シエナ」にシートシステムなど内装部品を供給している。合弁解消に伴い、マイノリティ株主のLearが自社持分を35百万ドルで同社に売却する。今後もLearは、同社に対して「シエナ」向けの部品を供給する一方、両社は他のビジネスではTier1サプライヤーとして競合する。両社はまた、シート用部品の一括調達や鋼材、発泡材、繊維といった主要材料の共同購入などを推進することで合意した。(2008年12月2日付プレスリリースより)
-同社はタイで生産している高付加価値製品「ラウンドリクライニング」を米ゼネラル・モーターズ(GM)や米フォード・モーターなどトヨタ自動車以外の自動車メーカーへ拡販する。ラウンドリクライニングは、シートの調節機構を担う円形の金属製部品で、同社は2008年、内製化をタイ生産拠点ARSTで開始した。ARSTのラウンドリクライニング内製比率は、売り上げべースで08年4月の14%から09年4月には31%まで引き上げる。7、8年後に販売する車両への搭載を目指す。(2009年1月26日付日刊自動車新聞より)
<インドネシア>
-同社は、インドネシアのIToFCRIとケナフ種子開発契約を結び、本格的に種子開発に着手した。同社は、1990年代後半から、環境にやさしい植物「ケナフ」を自動車内装部品に活用する研究を進めており、これまでインドネシアの子会社アバディ・バリンド・オートテック(ABA)が栽培から製品化までを一貫して行っていた。国内で2000年に発売されたトヨタ『セルシオ』にケナフを使用したドアトリムの基材が採用されたのを皮切りに、現在では5部品、延べ27車種に採用されている。(2008年5月14日付プレスリリースより)
開発動向
研究開発費 | (単位:百万円) |
2009年3月期 | 2008年3月期 | 2007年3月期 | |
合計 | 28,968 | 31,717 | 26,404 |
研究開発活動
<内装品事業>
-コア技術となるシート骨格の軽量化・薄型化に取組み、新開発シート骨格『TB-NF100』が新コンパクトカー「トヨタ iQ」に採用.。『TB-NF110』が2009年4月発売の新型「トヨタ ウィッシュ」、2009年5月発売の新型「トヨタ プリウス」に採用。将来のプロジェクトに向けて更なる進化型軽量フレームも開発中。
-シート骨格用のワイヤーハーネスを開発し、「トヨタ クラウン」が天井イルミネーション、「ダイハツ ムーヴコンテ」がインパネイルミネーションを採用。
-環境開発として、2009年5月発売の新型「トヨタ プリウス」では、シートクッション材のポリウレタンの主原料である石油由来のポリオールの一部を、植物由来の『ひまし油』の成分に置換(トヨタ自動車、三井化学と共同開発)。
-「トヨタ マジェスタ」にヘッドレストサイド部可動式でスピーカーが搭載された後席大型ヘッドレスト、「レクサス RX」に後席乗員用のディスプレイを搭載したシート、「トヨタ ヴィッツ」に着せ替えシート『ら・シート』を開発。
-同社は2012年をめどにケナフを使った内装材のコストを通常の樹脂製と同等に引き下げる。ケナフ製の内装製品は樹脂製に比べ現在の量産品は3割程度のコスト高となっているが、製造方法や設計の工夫、歩留まり率の向上により、樹脂と同等化するめどをつけた。同社はドアトリムやシートバックボードの基材にケナフを活用しているが、採用はトヨタの上級車種の一部にとどまっている。コスト面の課題をクリアするとともに軽量化を一段と推進し採用車種の拡大につなげる。(2009年1月14日付日刊自動車新聞より)
<フィルタ・パワートレイン機器事業>
-パワートレイン系では、「トヨタ ヤリス」にVVT(Variable Valve Timing)システムを制御するOCV(Oil Control Valve)を世界で初めて樹脂製シリンダヘッドカバーへ搭載。
-2009年5月発売の「スバル レガシー」に樹脂製インテークマニホールドが採用され、樹脂枠を廃止して低コスト・軽量化を図ったHC吸着フィルタ、ファンシュラウドとエアクリーナケースを一体化したファンシュラウド一体型エアクリーナなど、小型化・軽量化製品を開発。
-車室内空調系では、超小型化ニーズに対応した薄型キャビンエアフィルタなどを開発。
設備投資
設備投資額 | (単位:百万円) |
2009年3月期 | 2008年3月期 | 2007年3月期 | |
合計 | 60,496 | 52,961 | 47,550 |
-内装品では、シート・ドアトリムなどの新製品対応、日本・北中南米での生産準備などに 51,189百万円の投資を行った。
-フィルター・パワートレイン部品では、エアフィルター・オイルフィルターの新製品対応などに 5,222百万円の投資を行った。
-繊維・外装品他では、バンパー・フェンダーライナーの新製品対応などに 4,083百万円の投資を行った。
設備の新設 | (単位:百万円) |
会社名 事業所名 |
所在地 | 設備の内容 | 投資予定 総額 |
着手 | 完了 予定 |
猿投工場 | 愛知県 豊田市 |
シート、ドアトリムの新製品対応、設備の維持更新 | 4,279 | 2009年4月 | 2010年3月 |
御殿場工場 | 静岡県 御殿場市 |
シートの新製品対応、設備の維持更新 | 3,715 | 2009年4月 | 2010年3月 |
岐阜工場 | 岐阜県 岐阜市 |
バンパーの新製品対応、設備の維持更新 | 2,529 | 2009年4月 | 2010年3月 |
刈谷工場 | 愛知県 刈谷市 |
エアフィルター等の新製品対応、設備の維持更新 | 2,198 | 2009年4月 | 2010年3月 |
藤岡工場 | 愛知県 豊田市 |
ドアトリムの新製品対応、設備の維持更新 | 1,100 | 2009年4月 | 2010年3月 |
天津英泰汽車飾件有限公司 (Tianjin Intex Auto Parts Co.,Ltd.) |
中国 天津市 |
シート、ドアトリムの新製品対応 | 4,261 | 2009年4月 | 2010年3月 |