(株) ニチリン 2012年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年
12月期
2011年
12月期
増減率
(%)
要因
売上高 37,652 33,463 12.5 1)
営業利益 1,172 649 80.6 -
経常利益 1,536 577 166.2 -
当期純利益 729 (10) - -

要因
1) 売上高
<日本>
-2012年12月期の日本の売上高は、前年比5.8%増加の27,644百万円。全社売上高の73%を占める。
-1月から6月までは、東日本大震災やタイ洪水による生産減の挽回のため、国内自動車メーカーからの受注が大幅に増加したこと、およびエコカー補助金復活により売上高は好調に推移した。
-一方で、7月以降はエコカー補助金の終了に伴う受注減や日中関係の悪化等が影響し、売上高は減少に転じた。

<北米>
-2012年12月期の同地域の売上高は、前年比31.4%増加の8,711百万円。
-北米市場の回復および東日本大震災やタイ洪水による生産減の挽回等により好調に推移した。

<中国>
-2012年12月期の中国の売上高は、前年比2.0%増加の6,259百万円。
-第1四半期は堅調に推移したものの、第2四半期後半より自動車生産の鈍化が始まったこと、さらに日中関係の悪化により生産・販売が一層縮小したことが売上成長率を抑えた。

<アジア>
-2012年12月期の同地域の売上高は、前年比134.1%の4,291百万円と大幅に増加。
-7月以降のASEAN地域経済の減速の影響があったが、上半期に二輪車市場が概ね堅調に推移したこと、およびインドネシア子会社の本格稼働が売上高増加に奏功した。

<欧州>
-2012年12月期の同地域の売上高は、前年比7.9%増加の1,093百万円。
-財政・金融危機による経済の冷え込みが影響。営業利益は赤字に転落。

受注

-2012年、同社はFiat、Land Rover、Renault向けに液圧ブレーキホースの納入を開始した。

合弁事業

-同社は自動車部品メーカーの仏ハッチンソンと合弁会社を設立すると発表した。ハッチンソンの全額出資子会社のブレーキホース事業を分社化するもので、2013年1月に設立する予定。協業によりグローバルでのブレーキホース事業の拡大を図る。新会社「ハッチンソン ニチリン ブレーキホーシーズ」はハッチンソンの自動車用ホース製造子会社「パラモス ハッチンソン」(スペイン・パラモス市) のブレーキホース事業を分社化して設立する。本社はパラモス市。資本金は約800万~1千万ユーロ (約8億~10億円) の予定で、ニチリンが30%、ハッチンソンが70%を出資する。ブレーキホースの製造・販売を手がけ、13年度は売上高で1,800万ユーロ (約18億円) を計画する。従業員は約170人。(2012年11月10日付日刊自動車新聞より)

事業再編

-同社はカナダ子会社であるNichirin Inc. (NNI) に関して、2013年6月30日付で事業を閉鎖 (清算) すると発表した。同子会社は、カナダ国内のビジネス縮小や北米拠点の再編など、同社の北米事業戦略に伴い、2011年2月に生産を休止していた。現在は自動車用ホースの販売を行っている。なお、NNIの事業については米国テネシー州の子会社Nichirin Tennessee Inc. (NNT) にすべて移管するほか、カナダではNNTの支店または営業所を設置し、営業活動を継続する計画。(2013年2月19日付プレスリリースより)

2013年12月期の見通し

(単位:百万円)
  2013年12月期
(予想)
2012年12月期
(実績)
増減 (%)
売上高 40,000 37,652 6.2
営業利益 2,200 1,172 87.7
経常利益 2,200 1,536 43.2
当期純利益 1,000 729 37.2

-国内生産は厳しい状況が予想されるものの、北米および拡大を続けるASEAN地域を中心とする新興国での販売増を見込み、売上高は2012年実績比で6.2%の増加を予想。

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

中期経営計画

-同社が掲げる中期経営計画 「2010年-2014年:Nichirin Progressive Globalization」のフェーズⅡ期 (2012年-2014年) として、以下の重点施策を実行中。
  • 北米事業の強化と安定した収益基盤の確立:カナダ拠点の事業閉鎖による経営資源の集約。
  • ASEAN地域での事業拡大とASEAN拠点の競争力強化:インドネシア拠点での新製品量産およびタイ拠点の機能強化によるグループメリットの追求。
  • ブレーキホース事業におけるグローバル規模での優位性確保:Hutchinson S.A.との合弁事業による製造・販売・購買分野でのグローバルアライアンス地域最適戦略商品による拡販。

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
全社 824 794 844

研究開発体制

-同社の研究開発は、姫路工場内の研究開発拠点 (ニチリンR&Dセンター) で実施。

研究開発活動

自動車用ホース
-海外新規ユーザー向け液圧ブレーキホース開発に取組み、Renault、Land Rover、Fiat向けに納入を開始。
-エアコンホースにおいては、電動コンプレッサー用システムとして、耐水分透過性に優れたホースを開発し、一部納入を開始。
-耐燃料透過性に優れた米国CARB規制 (米国カルフォルニア州大気資源局の規制) に適合したフューエルホースを開発し、2013年度以降の採用を計画。

技術供与契約

(2012年12月31日現在)
供与先 国名 契約内容 契約期間
和承R&A 韓国 自動車用エアコンディショニングホース製造に関する技術 2010年2月24日 -
2013年3月4日
自動車用ブレーキホース製造に関する技術 2010年3月3日 -
2013年3月4日
自動車用パワーステアリングホース製造に関する技術 2012年1月1日 -
2013年3月4日

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年12月期 2011年12月期
日本 517 516
北米 254 105
中国 107 161
アジア 301 328
欧州 39 11
合計 1,219 1,121