東洋ゴム工業 (株) 2012年12月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2012年 12月期* |
2012年 3月期 |
備考 | |
全社 | |||
売上高 | 291,110 | 320,569 | - |
営業利益 | 15,650 | 12,893 | - |
経常利益 | 13,645 | 10,754 | - |
当期純利益 | 13,218 | 6,704 | - |
タイヤ事業 | |||
売上高 | 228,729 | 241,693 | 1) |
営業利益 | 13,014 | 10,325 | - |
ダイバーテック事業 | |||
売上高 | 62,321 | 78,795 |
2) |
営業利益 | 2,228 | 2,073 | - |
備考
1) タイヤ事業
-震災等の影響による国内自動車生産台数が復調。
-同社製品装着車種の販売が堅調に推移。
2) ダイバーテック事業
-自動車用防振ゴムおよびシートクッションは、震災やタイにおける大洪水の影響から復調したものの、以下影響により売上高は前年並みにとどまった。
- 中国における日系自動車メーカーの減産
- 国内におけるエコカー補助金制度終了後の需要減少
合弁会社
-中国のボディーシーラーの製造・販売会社である広東時利和汽車実業集団有限公司 (TGPM) と、広東省佛山 (Foshan) に合弁会社を設立することで合意。新会社「佛山東洋時利和汽車零件有限公司 [Toyo TGPM Automotive Parts Foshan Co., Ltd.]」の資本金は50百万元 (約600百万円) で出資比率は東洋ゴム工業が60%、TGPMが40%。自動車などの輸送機器向けにウレタンシートクッションを製造・販売する。2013年に生産を開始する予定で、2017年の売上額は13億円を見込む。(2012年1月27日付プレスリリースより)海外事業
<中国>-今年8月からフル生産に入った中国の新工場で、米国市場向けや日本市場向けの乗用車・ライトトラック用タイヤを生産する。中国工場は当初、主に中国市場向けのタイヤを専用で製造する拠点として開設したが、日中の領土問題などで中国のタイヤ小売店が同社製タイヤの仕入れを控えていることから、中国市場向け以外の輸出用タイヤを製造して工場の稼働率を維持する構え。工場の生産能力は月産16万本だが、現在の生産実績は月産10~12万本レベルで稼働している。中国市場向け以外の他市場向けタイヤの製造を増やすことで、稼働率を8~9割程度を維持していく方針で、当面は生産量の半分程度が輸出用タイヤになる見込み。(2012年11月16日付日刊自動車新聞より)
-中国市場専用のセダン・クーペ用高性能タイヤ「プロクセスC100」を今年8月から発売すると発表した。江蘇省張家港市に設立した東洋輪胎張家港の新工場で生産し、市場に供給する。中国の補修用タイヤ市場は、現地製の低価格タイヤのシェアが高い。一方で、経済発展に伴って消費者のタイヤ選択の眼も厳しくなっている。同社では、中国で生産する高品質、高性能なタイヤを現地工場から直接市場に供給し、商品に対して厳しい目を持つ中国の消費者の需要を開拓していく戦略だ。プロクセスC100は、専用非対称パタ―ンや最適構造設計などの採用で、中・高級車向けタイヤとして高いレベルの静粛性と上質な乗り心地を実現するとしている。(2012年6月16日付日刊自動車新聞より)
<タイ>
-同社は、2012年11月からタイで自動車用防振ゴムの販売を開始すると発表した。日系自動車メーカーがアジアでの自動車生産を増やしているのに対応、自動車部品事業の拡大を図る。同社では、タイでの自動車用防振ゴムの供給体制を整え、タイでOA機器部品を製造する子会社のトーヨー・ラバー・ケミカル・プロダクツ (タイランド) を通して自動車用防振ゴムの販売を開始。成長市場に販路を拡大して、自動車部品事業の成長・拡大を図る。(2012年6月29日付日刊自動車新聞より)
<低燃費タイヤのグローバル展開>
-2012年、同社は低燃費タイヤ「ナノエナジー」ブランドのグローバル展開第一弾として欧州市場に10月から投入すると発表。ナノエナジーは、タイヤのゴム材料開発をナノレベルで制御する独自の材料設計基盤技術「ナノバランステクノロジー」を採用した新低燃費タイヤブランド。欧州市場では2012年11月からタイヤラベリング制度が施行され、転がり抵抗性能、ウェットグリップ性能、静粛性能を評価基準に応じてラベル表示が義務付けられる。欧州に投入する両商品は、既に公開されている欧州の基準で上位等級に評価されているとしている。(2012年6月19日付日刊自動車新聞より)
受注
-2012年、トヨタ 「Crown」向けおよび日産 「Pathfinder」向けタイヤの供給を開始。中期経営計画
-同社は2020年までの経営計画「ビジョン'20」を掲げ、その中間地点である2015年を最終とする5カ年の中期経営計画「中計'11」を実行中。「ビジョン'20」の経営目標は売上高6,000億円、営業利益率10%。-中期経営計画「中計'11」では以下4つの基本戦略に基づき、最終年度の2016年12月期において、売上高4,000億円、営業利益300億円、営業利益率7.5%の数値目標を設定している。
- 成長市場、戦略事業への経営資源集中
- 収益力向上のためのビジネスモデル構築
- 独自技術による新需要の創出
- 継続的な企業革新の取り組み
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2012年12月期 | 2012年3月期 | 2011年3月期 | |
タイヤ事業 | 3,956 | 4,999 | 5,459 |
ダイバーテック事業 | 1,605 | 2,457 | 2,249 |
共通 | 648 | 856 | 847 |
合計 | 6,211 | 8,312 | 8,556 |
研究開発拠点
拠点名 | 所在地 |
研究開発センター | 大阪府茨木市 |
タイヤ技術センター | 兵庫県伊丹市 |
自動車部品技術センター | 愛知県みよし市 |
タイヤテストコース | 宮崎県児湯郡 |
冬期タイヤテストコース | 北海道常呂郡 |
-同社は、大阪府茨木市の研究開発センターを移転し、兵庫県川西市に新たな研究開発拠点を開設すると発表した。既存の研究開発センターでは、製品・素材に関する基礎研究を行っている。また、兵庫県伊丹市のタイヤ技術センターにおけるタイヤ生産技術部門の一部も新拠点に移転・集約する計画。新拠点の敷地面積は約33,000平方メートルで、施設総床面積は約22,000平方メートル。開設は2013年11月を予定している。(2012年8月10日付プレスリリースより)
研究開発活動
ダイバーテック事業<輸送機器>
-自動車メーカーから高級車種向けとして、エンジンマウントなど高機能部品を多く受注し、順調に立ち上げた。
-先行技術開発においては、環境対応車向けの新製品開発を行い、市場展開を目指している。
-環境問題への対応として鉛フリー、6価クロムフリーの製品開発を実施し、製造工程・製品からVOC (揮発性有機化合物) を削減するため、新素材への切替を推進。
-車の燃費向上のために部品の軽量化および性能向上を目指し、アルミや樹脂材料の採用以外に新工法・新材料の開発を推進。
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2012年12月期 | 2012年3月期 | 2011年3月期 | |
タイヤ事業 | 18,553 | 26,564 | 26,299 |
ダイバーテック事業 | 2,502 | 2,800 | 2,025 |
その他 | 1,902 | 402 | |
合計 | 22,958 | 29,767 | 28,324 |
タイヤ事業
-合理化および品質向上、中国・マレーシア工場の増強を中心に設備投資を実施。
ダイバーテック他事業
-合理化および品質向上を中心に設備投資を実施。
海外投資
<マレーシア>-2013年春に生産開始予定のマレーシア連結子会社「トーヨータイヤ・マレーシア」は、生産開始に向け2012年5月、工場建屋の建設に着手。マレーシアのタイヤ生産供給拠点と位置付け、成長市場での事業拡大を目指す。
設備の新設計画 |
(2012年12月31日現在) |
事業部門 | 計画金額 (百万円) |
設備等の主な内容・目的 |
タイヤ事業 | 19,982 | 合理化および品質向上、グローバル供給体制への対応 |
ダイバーテック事業 | 4,491 | 合理化および品質向上、グローバル供給体制への対応 |
全社 (共通) | 1,547 | 基礎研究技術の強化 |
合計 | 26,020 | - |