東洋ゴム工業 (株) 2011年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2011年
3月期
2010年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 294,092 287,726 2.2
-
営業利益 12,182 8,664 40.6
-
経常利益 9,193 8,979 2.4
-
当期純利益 521 2,957 (82.4)
-
タイヤ事業
売上高 216,596 214,308 1.1
1)
営業利益 8,863 6,933 27.8
-
ダイバーテック事業
売上高 77,462 73,380
5.6

2)

営業利益 3,197 1,698 88.3
-

要因
1)
タイヤ事業
-上期はエコカー購入補助金制度終了前の駆け込み需要や輸出台数の増加などからタイヤ販売が好調に推移したが、下期に入り補助金制度が終了した反動や東日本大震災の影響などにより、国内自動車生産台数が減少。その結果、販売量は前年度を下回ったが、売上高は高付加価値製品の販売拡大により前年度を大幅に上回った。

2)
ダイバーテック事業
-自動車用防振ゴムは、東日本大震災の影響で大幅な減産を強いられたが、年間を通して同社品装着車種の輸出が好調だったため、売上高は前年度を上回った。
-自動車用シートクッションは、エコカー購入補助金制度の終了により、ハイブリッド車などエコカー向けの受注を中心に同社品装着車種の販売が下期以降低調だったため、売上高は前年度を大幅に下回った。

受注

2011年1月、欧州市場で展開している冬用タイヤ「オープンカントリーW/T」が独アウディ「Q7」の独市場向け新車装着用冬タイヤに採用されたと発表した。今回採用さ れたのは、オープンカントリーW/Tの255/55R18サイズ。アウディは欧州の厳しい冬の路面状況においても高級SUVの力強い走行を支える冬用タイ ヤを求めていた。こうした中でオープンカントリーが持つ性能を評価し今回の採用にいたった。(2011年1月29日付日刊自動車新聞より)

2010年4月からAudi AG向けに「Proxes T1 Sport (AO)」タイヤの納入を開始した。サイズは255/35ZR19 96Y。モデル「TTS」では全車両の新車装着用として、「TT」ではオプションとして採用された。なお、両モデルは欧州、北米、アジアなどを中心に全世 界で販売される予定。(2010年7月13日付プレスリリースより)

買収

マレーシアのタイヤメーカーであるシルバーストーン社を買収して東南アジアに生産進出すると発表した。成長基調にある東南アジア市場における基盤強化を図 るのが狙い。シルバーストーン社の全株式を取得し子会社化するとともに、シルバーストーンのマレーシア・タイピン工場の能力増強を図り、東洋ゴムブランド のタイヤ生産を行う。当初1、2年で年産500万本まで拡充し、将来的には同800万本規模まで引き上げていく計画。(2010年10月23日付日刊自動車新聞より)

会社設立
全額出資する子会社の東洋輪胎張家港(江蘇省張家港市)の設立に関して、現地の工商行政管理局から営業許可証の発行を受けた。これを受けて同社は、来年12月からの操 業開始を目指してタイヤ生産工場立ち上げ準備を進める。新工場では、乗用車、ライトトラック用タイヤを年間200万本生産する計画。東洋ゴムが新会社は資本金5,000万ドル(約 46億円)で立ち上げ、従業員数は500人を予定している。(2010年4月22日付日刊自動車新聞より)

中国の乗用車用タイヤ生産会社、東洋輪胎張家港有限公司(江蘇省張家港市)が工場の起工式を行ったと発表。式東洋輪胎張家港有限公司は、米国のトーヨー・タイ ヤ・ノース・アメリカ・マニュファクチャリングに次ぐ2カ所目の海外タイヤ生産拠点で、乗用車用、ライトトラック用タイヤの製造・販売を手掛ける。4月に 資本金5千万ドルで設立し、年末の工場稼働を目指している。生産能力は年産200万本、従業員数は約500人。(2010年9月11日付日刊自動車新聞よ り)


>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
事業セグメント 2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社  8,556 8,315 8,762
タイヤ  5,459 5,327 5,567
ダイバーテック他  2,249 2,102 2,326
共通  847 886 869

研究開発拠点

タイヤ技術センター 兵庫県伊丹市
研究開発センター 大阪府茨木市
自動車部品技術センター 愛知県みよし市
自動車部品東日本技術センター 千葉県千葉市
タイヤテストコース 宮崎県児湯郡
冬期タイヤテストコース 北海道常呂郡

研究開発活動

タイヤ事業
-タイヤ技術センターにおいて、タイヤ挙動と車両の挙動の解析を結び付けたタイヤ設計基盤技術およびタイヤ騒音や磨耗性能のシミュレーション技術開発により、商品開発を進めている。
-タイヤ技術センターの敷地に「生産技術工房」を建設し、工法にかかわる要素技術開発、生産技術の改善を推進。
-中国に建設する新工場向けに導入する要素技術開発も行っている。

「NITTO(ニットー)」ブランドのアジア市場での拡販を狙った新たな製品群の投入を検討する。日本、中国、東南アジア市場をターゲットにウェット路面 性能に重きをおいた製品開発に乗り出す。同社は地元企業の買収で取得したマレーシアの工場で新たに同ブランドのタイヤ生産を開始する方針を固めている。こ れとあわせて、これまで培ってきたブランド力に加えてアジア市場で求められている性能を付加した製品を新規に投入していくことで主力市場である北米、中東 以外での販売本数の上積みにつなげる。(2011年2月1日付日刊自動車新聞より)

ダイバーテック事業
<輸送機器>
-先行技術開発として、最適接地サスペンションシステムへの取り組みから、車両の乗り心地と操縦安定性を高次元で向上させるLow Friction-BUSHを完成させ、市場へ投入した。
-エンジンルーム内の温度上昇に対応した高性能高耐熱性防振ゴム材料の開発を行い、市場展開を目指している。
-環境問題への対応として鉛フリー、6価クロムフリーの製品開発を実施してきたが、現在は製造工程・製品からVOC(揮発性有機化合物)を削減するため、新素材への切替を進めている。
-車の燃費向上のために部品の軽量化および性能向上を目指し、アルミや樹脂材料の採用以外に新工法・新材料の開発を進めている。

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
事業セグメント 2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社  28,324 13,215 29,221
タイヤ  26,299 10,842 23,955
ダイバーテック他  1,814 2,372 5,266

タイヤ事業
-合理化および品質向上、北米タイヤ工場の生産設備増強、中国工場の立ち上げを中心に設備投資を実施。

ダイバーテック他事業
-合理化および品質向上を中心に設備投資を実施。

設備の新設計画

(2011年3月31日現在)

事業部門 計画金額
(百万円)
設備等の主な内容・目的
タイヤ 24,734 合理化および品質向上、グローバル供給体制への対応
ダイバーテック他 2,697 合理化および品質向上、グローバル供給体制への対応
全社(共通) 293
基礎研究技術の強化
合計 27,724 -