日鍛バルブ (株) 2011年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2011年 3月期 |
2010年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 32,294 | 27,753 | 16.4 | -東日本大震災の影響による減収はあったものの、自動車需要の回復や海外事業の好調に加え、新たな子会社の連結効果などにより、前年度を大きく上回った。 |
営業利益 | 2,198 | 369 | 495.0 | -国内事業では、設備投資等による効果や増産・増収により改善。海外事業では増産・増収により伸長。 |
経常利益 | 2,192 | 762 | 187.4 | |
純利益 | 565 | (189) | - | |
小型エンジンバルブ |
||||
売上高 | 21,562 | 17,952 | 20.1 | 1) |
営業利益 | 1,660 | 657 | 152.7 | - |
要因
1)
<小型エンジンバルブ>
-国内生産では、震災の影響による減収はあったものの、輸出の回復や景気刺激策の効果などにより、四輪車用エンジンバルブが増加、二輪車用エンジンバルブについても、依然低調であるものの回復の兆しが見られ増収。
-海外生産では、アジア地域においては内需拡大を背景に概ね堅調に推移。インドネシア、タイにおいては受注が急回復し大幅な増収。また、北米地域においても、為替換算額の影響はあったものの、需要が回復傾向にあることなどから大幅な増収となった。
-汎用エンジンバルブは、北米向け汎用製品の需要回復などにより増収。
<可変動弁・歯車>
-精密鍛造歯車は、国内需要は依然低調であったものの、中国をはじめとするアジア地域向け自動車用製品の増加や北米向け産業機械用製品の回復など海外向け製品の好調により増収となった。
-可変動弁は、震災の影響による減収はあったが、モデルチェンジによる効果、北米向け製品の好調などにより増収。
>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2011年3月期 | 2010年3月期 | 2009年3月期 | |
全社 | 1,117 |
1,391 | 1,346 |
研究開発体制
-研究開発関連の増強などを行うため本社工場(神奈川県秦野市)に2年間で6億円の設備投資を行うと発表した。新たに評価装置やテスト装置などを設置。ラボラトリーの整備や生産ライン改革などに取り組む。環境対応技術を始めとした次世代の自動車部品の開発力を強化し基礎体力を充実する。設備投資プロジェクトの「秦野本社工場再整備計画」は5月から第一期工事に着手しており、2011年4月からは第二期工事を開始する。(2010年11月10日付日刊自動車新聞より)
研究開発活動
<小型エンジンバルブ>-電気モーターを併用している「ハイブリッド」エンジン用のバルブでは、低コスト化と高信頼性に向けて開発を継続。一部のエンジンですでに量産採用された。
-エタノールやガスを使用した「代替燃料」エンジン用のバルブでは、多様な燃料性質に対応した材料の開発を行っている。
-排気量を小さくした「ダウンサイジング」エンジン用のバルブでは、軽量化と高耐熱化に向け開発を行っている。冷媒封入中空弁を安価に提供できる技術を確立し、現在量産が決定。
-新興国の低価格車向け部品の自動生産システムを2011年度までに実用化する。山陽工場(山口県山陽小野田市)などで展開している自動システムの進化版で、従来 は段階的に行ってきたエンジンバルブの鍛造押し出し成形を1工程で可能にする技術を確立、効率を高めた。さらに鍛造設備を既存ラインの1/3に小型化、 初期投資を抑えられるようにしてコスト競争が非常に厳しい新興国での活用にめどをつけた。こうした生産技術力を提案しながら、低価格車の拡販に取り組む日系自動車メーカーを始めとした新規ニーズの吸収に結びつける。(2010年4月13日付日刊自動車新聞より)
<可変動弁・歯車>
-可変動弁機構では、燃費改善の要求に対し、フリクション低減や燃焼サイクルの高効率化・圧縮比可変の実現に向けて可変バルブタイミング機構の大変換角化や変換レスポンスの高応答化を進めている。
ライセンス契約・技術援助契約等
(2011年3月31日現在)
会社名 (国名) |
契約内容 | 契約期間 |
Eaton (米国) |
小型エンジンバルブに関するライセンス契約 | 2011年01月01日 - 2011年06月30日 |
Eaton (米国) |
油圧式バルブリフターに関するライセンス契約 | 2011年01月01日 - 2011年06月30日 |
P.T. Federal Nittan Industries (インドネシア) |
小型エンジンバルブに関するライセンス契約 | 2010年06月01日 - 5年間 |
新和精密(株) [Shinwa Precision Co., Ltd.] (韓国) |
油圧式バルブリフターに関するライセンス契約 | 2010年08月01日 - 5年間 |
Nittan (Thailand) Co., Ltd. (タイ) |
小型エンジンバルブに関する技術援助契約 | 2007年02月01日 - 5年間 |
新和精密(株) [Shinwa Precision Co., Ltd.] (韓国) |
メカニカルタペットに関するライセンス契約 | 2002年12月05日 - 10年間 |
北京柳成新和汽車部件有限公司 [Beijing Yoosung Shinhwa Automobile Parts Co., Ltd.] (中国) |
ラッシュアジャスターに関するライセンス契約 |
2006年12月07日 - 10年間 |
北京柳成新和汽車部件有限公司 [Beijing Yoosung Shinhwa Automobile Parts Co., Ltd.] (中国) |
メカニカルタペットに関するライセンス契約 | 2008年01月01日 - 10年間 |
Nittan Euro Tech sp.zo.o. (ポーランド) |
自動車用エンジンバルブに関するライセンス契約 | ライセンス対象製品の出荷を開始した日から5年間 (2008年8月29日締結) |
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2010年3月期 | 2009年3月期 | 2008年3月期 | |
全社 | 2,935 |
880 | 3,233 |
小型エンジンバルブ |
2,322 |
- | - |
可変動弁・歯車 | 344 | - | - |
自動車用部品事業の投資内訳 |
(単位:百万円) |
生産拠点 | 投資額 | 投資内容 |
小型エンジンバルブ | ||
同社 | 1,300 | エンジンバルブ製造設備の増設および更新・合理化。 |
U.S. Engine Valve (partnership) (米国) |
324 | エンジンバルブ製造設備の増設等。 |
Nittan (Thailand) Co., Ltd. | 306 | エンジンバルブ製造設備の増設等。 |
可変動弁・歯車 | ||
同社 | 344 | 産業機械等の精密鍛造歯車製造設備の更新・合理化。 |
海外投資
-ブラジル、インドに生産進出する。筆頭株主である米イートンの工場敷地内に生産拠点を立ち上げ2012年から操業を開始。取引関係のある日系自動車 メーカーから、両国で生産する車両向けの受注が発生していることに加え、今後の需要増に対応していくのが狙い。インド、ブラジル両拠点とも日鍛バルブから 技術者を派遣し、イートンに生産委託をする形で進出する。このため、投資額は1億円程度にとどまる見込み。当面は委託生産体制で生産を行い、生産量が増加 した場合には現地法人の立ち上げも検討していく。(2010年11月12日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画(自動車部品事業)
(2011年3月31日現在)
事業所 | 設備の内容 | 投資額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
完成後の 増加能力 |
本社工場 (神奈川県秦野市) |
エンジンバルブ生産設備 | 770 | 2011.04 | 2012.03 | 合理化、更新および生産能力4%増。 |
精密鍛造歯車他生産設備 | 630 | 2011.04 | 2012.03 | 合理化、更新が主目的。 | |
山陽工場 (山口県山陽小野田市) |
エンジンバルブ生産設備 | 1,240 | 2011.04 | 2012.03 | 合理化、更新が主目的。 |
U.S. Engine Valve (partnership) 本社工場 (米国) |
エンジンバルブ生産設備 | 800 | 2011.01 | 2011.12 | 生産能力25%増。 |
P. T. Federal Nittan Industries 本社工場 |
エンジンバルブ生産設備 | 450 | 2011.01 | 2011.12 | 生産能力10%増。 |
Nittan (Thailand) Co., Ltd. 本社工場 (タイ) |
エンジンバルブ生産設備 | 200 | 2011.01 | 2011.12 | 生産能力10%増。 |