テイ・エス テック (株) 2018年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2018年 3月期 |
2017年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
売上高 | 479,490 | 425,794 | 12.6 | 1) |
営業利益 | 47,346 | 34,557 | 37.0 | - |
税引前利益 | 49,681 | 35,792 | 38.8 | |
親会社の所有者に帰属する 当期純利益 |
30,115 | 19,622 | 53.5 |
要因
1) 売上高
-主要客先からの受注が4年ぶりの高水準となり、受注台数国内18%増、中国14%増となったことや、機種構成の良化に加え、円安による為替換算効果等により前年比増収。過去最高益を達成。
利益面では、増収効果に加え、アジア・欧州セグメントで前期に生じた新機種立ち上げに伴う一過性費用(米州の新機種設備トラブル・広州拠点移転費用など)の解消や、中国広州工場移転完了に伴う補償金等により、増益。
<日本>
-ホンダ新型N-Box用シートや、ホンダ新型CIVIC用シート及び内装品などの生産を開始。
ー新機種生産開始に合わせたグループ最新型となる一括溶接設備の導入、軽自動車用シートの増産や今後の新機種立ち上げを見据えたフレキシブル生産を可能とする生産ラインの見直し等、高効率生産体制の構築へ取り組んだ。
ー売上収益:機種構成の変化や、開発費売上の減少等はあったものの、新機種生産開始に伴う主要客先からの受注台数の増加や、日米APA合意に基づくロイヤリティ売上による価格調整等により前年同等。
ー営業利益:上記の増収に加え、為替効果等により増益。
<米州>
-ホンダ新型ODYSSEY用シートやホンダ新型ACCORD用シート及び内装品の生産を開始。
ー無人搬送車等による構内物流効率の向上や、生産ラインの徹底した工程見直しによる生産効率の向上に取り組んだ。
ー売上収益:機種構成の良化や欧州大手四輪車メーカー向けの売上増加に加え、為替換算効果等により増収。
ー営業利益:増収効果はあったものの、日米間APA合意に基づくロイヤリティ費用による価格調整や労務費の増加等に減益。
<中国>
-ホンダ新型CR-V用シートなどの生産を開始。
ー主要客先の大幅増産に応える高効率生産体制構築のため、各生産工程の自動化や構内物流効率の向上等に取り組んだ。
ー重慶市に営業拠点を新設し、中国ローカル自動車メーカー等を対象とした積極的な拡販を実施。
ー売上収益:主要客先からの受注台数の増加や機種構成の良化に加え、為替換算効果により増収。
ー営業利益:増収効果に加え、広州工場の移転完了に伴う補償金等により増益。
<アジア・欧州>
-英国においてホンダ新型CIVIC TYPE R用シートを、インドネシアにおいてホンダ新型CR-V用シート及び内装品などの生産を開始。
ー前期は、新機種立ち上げに伴う一過性費用が生じたものの、解消。シート部品の内作化や、各拠点での徹底した原価低減により、さらなる収益性の向上に努める。
ー前期から稼働を開始した裁断・縫製を行うTS BANGLADESH LIMITEDの他拠点へのトリムカバー供給により、グループの四輪シートコスト競争力向上に寄与。
ー売上収益:主要客先からの受注台数増加や、機種構成の良化に加え、部品売上の増加及び為替換算効果より増収。
ー営業利益:増収効果に加え、前期新機種立ち上げに伴う一過性費用の解消等により増益。
事業拡大
ー既存顧客以外への新規受注拡大に向け、ハンガリー、メキシコにおいて新機種の立ち上げを行った。
TS TECH Hungary Kft. では、欧州メーカー向け新型ミニバン用3列目シートの組立を受注した。これは、ライン改善により、1勤シフトでの対応が可能になったことで新機種対応が可能になった。
TST MANUFACTURING DE MEXICO, S. DE R.L. DE C.V.においては新機種トリムカバーの生産を開始した。
2018年3月期の主な生産開始機種
2017年4月~6月 | 2017年7月~9月 | 2017年10月~12月 | 2018年1月~3月 |
OEM/モデル名 | |||
ホンダ「N-WGN」 | ホンダ「N-BOX」 | ホンダ「ODYSSEY」 | ホンダ「N-BOX SLASH」 |
ホンダ「FIT」 | ホンダ「Step WGN」 | ホンダ「ACURA ILX(米州)」 | ホンダ「LEGEND」 |
ホンダ「GRACE」 | ホンダ「SHUTTLE」 | ホンダ「CR-V(米国)」 | ホンダ「RIDGELINE(米国)」 |
ホンダ「ACURA RDX(米国)」 | ホンダ「CIVIC」 | ホンダ「ACCORD(北米)」* | |
ホンダ「CIVIC SI(北米)」 | ホンダ「FIT(ブラジル)」 | ||
ホンダ「CITY(フィリピン)」 | ホンダ「CIVIC HATCHBACK(イギリス)」 | ||
ホンダ「MOBILIO(タイ)」 | ホンダ「JAZZ(インド)」 | ||
ホンダ「JAZZ(タイ)」 | |||
ホンダ「ODYSSEY(北米)」 | |||
ホンダ「CR-V」 | |||
ホンダ「CR-V(インドネシア)」 | |||
ホンダ「CIVIC TYPE R(イギリス)」 |
ーホンダ「ACCORD(北米)」:2017年10月販売開始の本モデルにおいて、シート・ドアトリムを受注。新骨格リアシートフレームを採用したことにより、薄版鋼板で軽量化従来比-20%、溶接時間の短縮従来比-80%を実現。
中期経営計画
-2020年ビジョン 「INNOVATIVE QUALITY COMPANY」 の実現に向け、2018年3月期より 「ESG経営の基盤構築」 を目標とする、第13次中期経営計画 (2018年3月期~2020年3月期) に取り組む。「継続的な事業成長」「ダイバーシティマネジメントの実践」「社会環境との共生」の3点を重点施策とし、世界No.1品質体質の実現や部品競争力世界TOPの実現、経営の現地化に向けた人材育成などに注力する。
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
全社 | 11,900 | 12,300 | 13,160 |
研究開発拠点
拠点名 | 所在地 |
技術センター | 栃木県塩谷郡 |
エンジニアリングセンター | 栃木県塩谷郡 |
セイフティテクニカルセンター | 栃木県塩谷郡 |
TS Tech Americas, Inc. | 米国オハイオ州 |
TS Tech Asian Co., Ltd. | タイ バンコク |
TS Tech Deutschland GmbH | ドイツTappenbeck |
広州提愛思泰汽車内飾科技有限公司 [Guangzhou TS Tech Automotive Interior Research & Development Co., Ltd.] |
中国広東省広州市 |
-現在、未来を見据えた自動車用シートの開発に取り組んでいる。社員のアイデアをベースに、疲労やストレスを取り除いて「究極のやすらぎ」を追求したシートを開発、東京モーターショー2017で公開した。本格的な普及が見込まれる自動運転車では、車内空間やシートに求められる技術が変化すると見られている。同社では、社員のアイデアと社外の専門知識を組み合わせることで、これまでの自動車用シートの概念にとらわれない新たな商品開発につなげていく構え。 (2017年12月2日付日刊自動車新聞より)
ーグローバルでの開発・部品供給体制強化に向け、日本・北米の開発拠点における業務を、フィリピンの委託子会社に一部委託。30%の業務費削減を目指す。また、バングラデシュの生産拠点ではトリムカバーの生産強化を進める方針。
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
日本 | 3,515 | 2,804 | 2,233 |
米州 | 2,671 | 3,733 | 7,026 |
中国 | 1,322 | 3,495 | 6,153 |
アジア・欧州 | 1,131 | 1,165 | 1,650 |
合計 | 8,640 | 11,199 | 17,064 |
-2019年3月期の設備投資額は、8,100百万円の見通し。
ー中国事業を内需型にシフトする。現在、中国から日本や米国にトリムカバーなどの部品を輸出しているが、段階的に縮小する。中国は労務費や材料費が上昇しており、グローバル市場向けの部品供給基地としての利点が小さくなっている。中国で生産していた海外工場向けの部品はバングラデシュの新工場で生産する方針。利益率を重視しながらグローバルでの生産体制への影響を抑えて自動車メーカーへの供給責任を果たしていく。(2017年3月23日付日刊自動車新聞より)
ー2018年3月期、米BIG3、中国ローカルメーカー向けに営業活動を強化。米国デトロイト・中国重慶にて営業拠点を新設した。今期の新規顧客受注は5件となった。
- 米系自動車メーカーからの受注開拓に注力。米ビッグスリーを中心に拡販に取り組むため、昨年11月にデトロイトに営業の出張事務所を設けた。同社は北米やアジアなどグローバルな生産体制を整えており、これを強みに米系自動車メーカーの北米にある完成車拠点だけでなく、アジアなどの新興国でのビジネスも開拓していく意向だ。ホンダ以外の取引を拡大して経営のポートフォリオを拡充する。(2018年2月8日付日刊自動車新聞より)
ー国内生産体制の強化を図り、鈴鹿工場においては軽モデルシリーズ増産・生産開始対応のため生産台数+35%、埼玉工場においては千機種生産開始のため生産台数増加・新型自動溶接ラインの能力増強を実施。自動化、高効率化等台数変動に柔軟に対応できる収益体質を目指す。