(株) ファルテック 2015年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 79,739 77,393 3.0 -中国における日本車市場の回復による中国子会社の売上増等
営業利益 3,242 3,326 (2.5) -電装事業の増収効果
-中国の新設子会社およびタイ子会社の工場立ち上げに伴う費用増
経常利益 3,283 3,502 (6.3) -
当期純利益 2,397 2,084 15.1 -
自動車部品事業
売上高 40,672 40,100 1.4 -中国子会社の増収等
営業利益 (172) 431 - -中国の新設子会社およびタイ子会社の工場立ち上げに伴う費用増等
自動車用品事業
売上高 21,661 20,546 5.4 -電装事業および中国用品事業の増収等
営業利益 2,452 2,197 11.6 -電装事業の利益貢献および中国用品事業の増収効果等

海外事業

<中国>
-中国で外装部品の生産品目を相次いで拡大する。湖北省襄陽市の製造子会社、湖北ファルテックにルーフレール用の生産設備を導入し、2014年秋から量産を始める。広東省佛山市の製造子会社、佛山ファルテックでは、SUV用のステンレス製ウインドーモールを生産するための大型プレス機などを増設する。同部品では現地のガラスメーカーを経由して、フィアット・クライスラーの合弁会社への納入を昨年度から始めており、日系の自動車メーカー、ガラスメーカー以外にも販路を広げている。中国事業の2014年度の売上高は70億円程度になる見込み。競争力の高い戦略商品の生産を拡大し、17年度には14年度比2倍以上の150億円の売り上げを目指す。(2015年4月15日付日刊自動車新聞より)

<インドネシア>
-インドネシアの連結子会社 「Faltec Classic Automotive Manufacturing」 に関して、共同出資者であるClassic Prima Carpet Industriesとの合弁契約を解消すると発表した。ファルテックは、2014年9月中旬に保有する同合弁会社の株式60%を全て譲渡する予定。譲渡価額は14,400ドル (1.47百万円)。同合弁会社は、主に北米市場向けの自動車用フロアカーペット製造拠点として設立された。ファルテックの北米子会社Faltec Americaの新規工場立ち上げなどにより、Faltec Classic Automotive Manufacturingの新規受注が見込めないと判断したことから、合弁契約の解消に至った。(2014年8月7日付プレスリリースより)

FY17中期経営計画

中長期ビジョン
-『業界トップレベルの収益力と高品質を目指す』
 2017年度に売上高900億円、経常利益率6%を目指す中期経営計画を発表。14年度実績に対し、売上高は12.9%の増加、経常利益率は1.9ポイントの上昇になる。グローバルでの事業拡大、収益構造の変革、コスト構造の改革を柱として、売上高、収益力の向上を図る。17年度計画では、営業利益を14年度比68.7%増の54億円、当期純利益を同33.3%増の32億円に設定した。17年度計画の達成に向けては、新車装着用、アクセサリー、コンバージョンのライフサイクルプランを一括提案するビジネスモデルを推進するほか、コンバージョン、ルーフレール、電装品などの付加価値の高い製品に経営資源を集中する。(2015年5月26日付日刊自動車新聞より)

数値目標

2015年3月期
(実績)
2016年3月期
(計画)
2017年3月期
(計画)
2018年3月期
(計画)
売上高 (億円) 797 820 860 900
経常利益 (億円) 33 35 43 54
経常利益率 4.1% 4.3% 5.0% 6.0%
自己資本比率 27.6% 30%以上 33%以上 35%以上


重点戦略
1) グローバル事業の伸展
-2012年度に米国ジョージア工場、中国広東省佛山工場が稼働開始。2014年度にタイ新工場、中国湖北省工場が稼働開始。
-海外売上高比率は、2009年度の8%から、2014年度に21%へ拡大、2017年度には32%へ増加する見込み。

2) 売上収益構造変革
 
-自動車部品事業で培った技術と自動車用品事業で培った企画・デザインを融合して、量産部品・コンバージョン・アクセサリーのすべてをクルマのライフサイクルプランとして一括提案するビジネスモデル。

-ダイハツ 「WAKE」 の外装部品を受注。ラジエーターグリル、フォグフィニッシャー、ピラー (ダイハツ初の樹脂化)、フューエルリッドカバー、スライドレールカバーを供給。
 ダイハツ工業は、新型軽自動車 「WAKE」 の外板パネルでファルテックの樹脂部品を採用した。外板パネルでファルテック製品の採用は今回が初めて。採用部位はAピラーアウターパネルとスライドドア用レールカバー、フューエルリッド。車体軽量化を目的に樹脂ボディーパネルの採用を拡大するダイハツでは、生産台数の増加とともに安定した供給体制の構築が課題となっている。サプライヤーを増やすことで供給体制を強化するとともに、樹脂部品のコスト低減につなげていく。樹脂ボディーパネルは、これまでエイエフティーとダイキョーニシカワの2社から調達していた。(2014年11月12日付日刊自動車新聞より)

<No.1を目指す商品の売上拡大>
-下記5製品の合計売上高で、全社売上高に占める比率を2014年度の22%から2017年度に32%に引き上げる。

  • コンバージョン: 電装と樹脂成形品を融合。日産 「X-Trail」 に採用。
  • ルーフレール: 3次元曲げ加工、日本・中国での内製化拡大。ホンダ 「Vezel」 に採用。
  • ウィンドモール: 車体との合わせ技術、国内シェアNo.1
  • 電装品: 高速Wi-Fi画像処理技術、三菱電線事業のM&AによるCAN技術取得。スバル 「Legacy Outback」 に採用。
  • ミリ波レーダーカバー: ミリ波を透過する金属調カバー。2017年度にNo.1を目指す。

3) コスト構造変革

-スペースとリードタイムを効率的に活用することで経費削減につなげ、収益力を強化する。

  • スペース半分: 外部倉庫を無くし (15→0)、工場スペースを確保。空きスペースに新ライン導入 (第2めっき、ルーフレール)。
  • リードタイム半分: 新車開発期間を14カ月から6カ月に短縮。

-第2ステージとして 「モノづくり原価低減活動」 を開始。生産効率アップおよび原価低減をスピードアップさせる。
 TPRのノウハウを取り入れ、国内工場の製造原価の引き下げに着手した。省人化と工程不良率の低減を図り、低コスト国に負けない原価を実現する。これまで「ファルテック2分の1活動」と称したコスト構造改革を推進してきたが、第2弾の活動として工程ごとの技術的な改善に抜本的に取り組む。国内の全ての工場に展開し、海外事業を拡大するためのものづくりの基盤にする。(2015年5月11日付日刊自動車新聞より)

2016年3月期の見通し

(単位:百万円)
2016年3月期
(予測)
2015年3月期
(実績)
増減
(%)
全社
売上高 82,000 79,739 2.8
営業利益 3,500 3,242 7.9
経常利益 3,500 3,283 6.6
当期純利益 2,100 2,397 (12.4)


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
自動車部品事業 1,152 1,104 1,427
自動車用品事業 520 349 399
自動車関連機器事業 303 274 233
合計 1,977 1,728 2,060

製品開発

<加飾>
-めっきと塗装の多種バリエーション化: 青黒/漆黒めっき、金属調塗装
-カラーウィンド SUSモール

<環境>
-空力部品技術の拡充: グリルシャッターと制御技術
-環境負荷物質の代替技術: めっき代替 (クロムレス)、レアメタル代替


-ミリ波レーダーカバー新工法のグローバル展開
-無線通信技術+カメラによる次世代セキュリティ商品

研究開発活動

自動車部品事業
<研究開発体制>
-グローバル開発部 81名

<開発品目>
-高付加表面加飾技術、樹脂メッキによる新光輝意匠、真空蒸着技術による新光輝意匠、立体感塗装技術の開発
-車両機能向上のための電子電装制御の外装部品の開発
-軽量化技術の開発として高剛性構造化および薄肉化の成形技術開発と部品への適用、超薄板射出成形による軽量部品の開発
-多材質樹脂成形による部品統合一体化商品
-従来の金属加工技術をさらに拡大し、アルミ、SUS材のプレス、曲げ、絞りに関する新技術の開発
-外装金属商品、車載工具、SUV&ミニバン用のルーフレールやクロスバーの開発および車両に標準搭載される工具の開発
-イルミインフォメーション/カメラ機能商品の開発、イルミネーション付外装部品、後部の視認機能付加カメラ商品

<CO2排出削減活動>
-樹脂着色材料によるポスト塗装部品開発、塗装廃止
-低温度焼付塗装
-自動車空力抵抗を下げる部品開発 (フロント空気取入口の開閉機構部品開発)  など

<活動成果>
-蒸着による電波透過グリル、耐食性能に優れるめっき商品等が自動車メーカーに採用されている
-樹脂外装部品の原料着色化、燃費向上空気開閉機構の採用 など

自動車用品事業
<研究開発体制>
-C&A商品部 53名
-グローバル営業部 17名

<開発品目>
-内外装樹脂商品、エアロ・マッドガード外装品、ラゲッジアンダートレイなどの内装品の開発
-電子電装品、省電力LEDを応用した自動車室内イルミネーション・イルミキッキングなどの新機能部品の開発、カメラ技術を応用した視認性向上部品の開発
-オプションマット、グローバルで開発生産し、より安価な部品の開発
-ケミカル商品、ボディーコートや各種クリーナーの商品企画・開発
-フロントフィニッシャー、デイタイムランニングランプ、LEDフォグランプのコモディティ開発
-無線を利用した利便性向上製品の開発
-車の周囲の視認性能をアップするカメラ商品の開発

<活動成果>
-LEDフォグランプ、イルミインフォメーション、エアロ各種用品の商品化
-自動車ボディケミカル商品の販売 など

設備投資額

(単位:百万円)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
自動車部品事業 4,055 4,027 3,880
自動車用品事業 441 142 312
自動車関連機器事業 207 60 77
合計 4,720 4,230 4,277

設備の新設計画

(2015年3月31日現在)
事業所名 所在地 設備の内容 投資額
(百万円)
着工 完了予定 完成後の
増加能力
九州工場 福岡県京都郡 自動車部品
製造設備
114 2015年
9月
2016年
2月
50%
能力増強
Faltec Europe Ltd. 英国
Tyne and Wear州
自動車部品
製造設備
166 2015年
7月
2015年
12月
25%
能力増強
佛山発尓特克汽車零部件有限公司
[Foshan Faltec Automotive Parts Co., Ltd.]
中国
広東省
自動車部品
製造設備
252 2015年
7月
2015年
11月
30%
能力増強