豊田合成 (株) 2019年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2019年
3月期
2018年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 840,714 807,958 4.1 -日本を中心とした新型車効果及び台数増。またトヨタ外への拡販が寄与
営業利益 36,525 35,179 3.8 -独禁法関連損失、原材料価格の上昇及び欧州の業績悪化があるも、増販、また現存の戻入れにより増益
経常利益 37,356 35,507 5.2 -
当期純利益 23,309 21,361 9.1 -


 

事業動向 

-新技術や新製品の実用化に向けたオープンイノベーションを加速させるため、スタートアップ企業などに機動的に投資する専門部署「ベンチャー投資企画室」を20191月に新設すると発表した。豊田合成のコア技術とのシナジーが期待できる、ロボティクス、半導体、次世代自動車部品、素材の4分野に関連したスタートアップや、ベンチャーキャピタルに投資する。運用規模は30億円で、期間は20191月から2年間の予定。(2018119日付 プレスリリースより)

 

海外事業動向

<インド>
インド北部でエアバッグの開発機能を強化すると正式に発表した。現地企業との合弁会社、豊田合成ミンダ・インディア(TGMIN) のグルガオン事務所をデリー近郊に新設し、搭載義務づけにより需要が急増するエアバッグを、現地で開発・設計する体制を整える。2025年度までに、インドでの同社の売上高全体を現在の2倍以上の350億円に拡大する計画も併せて明らかにした。グルガオン事務所は、マルチ・スズキ・インディア本社の近隣に立地。主要顧客に近接して技術・営業員10人を常駐させ、これまで日本で行っていたエアバッグの設計などを現地で行い、スピードアップを図る。20年には20人に増強する。インドでは17年に車の衝突安全規制が強化され、19年以降に新車へのエアバッグ搭載が義務づけられる見通し。 (2018年7月14日付日刊自動車新聞より)

 

<中国>
中国にある地域統括会社「豊田合成 (上海) 管理有限公司」の会社形態を「投資性公司 (いわゆる持株会社) 」に変更すると発表した。これに伴い、社名も変える。変更時期は2018年12月を予定する。地域統括会社が中国子会社の株を持つことができるようになり、現地での経営判断を迅速化して中国事業を拡大する。(2018年8月27日付日刊自動車新聞より)

ー中国・北京市で開催される「第15回北京国際モーターショー (Auto China 2018)」に出展すると発表した。将来の自動運転や電動化時代に対応した次世代コンセプトモデルを中国で初出品するほか、各種「エアバッグ」や「樹脂フューエルフィラーパイプ」「車載LED製品」などの安全・環境・快適に貢献する自動車部品も出展する予定。(201844日付プレスリリースより)

ー中国で自動車のゴム部品を製造している合弁会社の天津星光を4月に完全子会社化すると発表した。鬼怒川ゴム工業と同社の中国持株会社から全持ち分を取得する。完全子会社化することで経営判断を迅速化する。現地に進出する日系自動車メーカーに加え、民族系のニーズにも対応して成長市場での事業拡大を図る。天津星光は、中国・天津市でガラスランなどのウェザストリップ製品を生産している。現地に進出する日本の自動車メーカーや中国地場の企業などと取引しており、売上高は17年度見込みで約80億円。豊田合成は、2000年に天津星光に出資した。現在の出資比率は豊田合成が51%、鬼怒川ゴム工業の中国持株会社が42%、鬼怒川ゴム工業が7%。豊田合成が両社から全持ち分を取得することで合意している。(2018年4月2日付日刊自動車新聞より)

ー中国の華東地域における生産子会社の豊田合成(張家港)科技と豊田合成(張家港)塑料製品を合併すると発表した。この2社は、それぞれセーフティシステム製品と内外装部品を生産する会社として2003年に設立されたが、豊田合成(張家港)科技を存続会社として合併し、経営の効率化を図る。合併登記は20187月に完了する予定。(201842日付プレスリリースより)

 

研究開発活動

-人と車が情報をやり取りするためのヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)機能付きハンドルの開発を進めていると発表した。20189月には、「トラック向け脇見・居眠り警報ハンドル」のTGロジスティクスへの販売を開始。ハンドルに付けたカメラで運転手の顔を撮影し、脇見・居眠りを検知したときに警報する後付け製品で、甚大化しやすい大型車の事故防止に貢献するとしている。また、現状の高度運転支援システムに対応した「グリップセンサー付きハンドル」も実用化。グリップ部に内蔵したセンサーで、ハンドルを握っているかどうかを高い精度で検知し、手放し運転時には、音と表示で運転手に注意を促すという。(20181127日付 プレスリリースより)

<東海理化との共同開発>
東海理化2018年7月、安全性や付加価値を高める車のハンドル向けスイッチ・センサー類を2点開発した。同社と協業し、静電気に反応するセンサーをステアリングホイールに組み込み、運転者がハンドルを握っているかを検知するだけでなく、指の動きに反応するジェスチャー入力にも応用する。ソフトウエア技術を生かし、同じスイッチでも表示を切り替えることで多機能化する技術も開発した。車の技術が進化する中、ユーザーとクルマをつなぐ分野で付加価値を高める方針。 (2018年7月12日付日刊自動車新聞より)

 

製品開発

ー青色LEDの主材料の窒化ガリウム (GaN) を使って開発している「縦型GaNパワー半導体」で業界トップクラスの大電流化を実現したと発表した。LED半導体技術で培ったノウハウを生かし、電流を流す方向を工夫、1チップで50アンペア以上を実現した。2020年には、半導体メーカー向けを中心にパワートランジスタなどのサンプルを提供する。GaNパワー半導体を新たな事業の柱に育てる方針。GaNパワー半導体は自動車などのPCUやワイヤレス給電といった用途への適用も視野に入れる。 (2018年4月19日付日刊自動車新聞より)

 

研究開発体制

-開発本部、生産本部、オプトエレクトロニクス事業部技術部および海外子会社の豊田合成ノースアメリカ (北米)、豊田合成アジア (アジア)、豊田合成 (上海) 管理有限公司 (中国)、豊田合成ヨーロッパ (欧州・アフリカ地域) が連携し、グローバルな研究開発活動を展開。

 

研究開発拠点

北島技術センター 愛知県稲沢市
美和技術センター 愛知県あま市
TGR Technical Center, LLC 米国ミシガン州プリマス
Toyoda Gosei North America Corporation 米国ミシガン州トロイ
Toyoda Gosei Europe N.V. ベルギー
Toyoda Gosei Asia Co., Ltd. タイ チョンブリ
Toyoda Gosei(China) Investment Co., Ltd. 中国 上海
Minda TG Rubber Pvt. Ltd. インド ハリヤナ

技術導入契約

(2019年3月31日現在)
相手方の名称 (国名) 契約内容 契約期間
Intier Automotive Interiors of America (米国) ウレタンスプレー表皮に関する特許・ノウハウライセンス 2002年11月18日 - 2019年5月10日
Daimler AG (ドイツ) ミリ波レーダー用カバーに関する特許ライセンス 2011年11月10日 - 2019年9月23日

 

研究開発費

(単位:百万円)
2019年3月期 2018年3月期 2017年3月期
自動車部品事業 30,025 27,200 25,000
オプトエレクトロニクス事業 - 600 2,100
合計 30,025 27,800 27,100

 

設備投資額(地域別)

(単位:百万円)
2019年3月期
日本 20,033
米州 14,346
アジア 11,020
欧州・アフリカ 1,491
合計 46,891

設備投資額(部門別)

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
自動車部品事業 64,700 54,800 53,500
非自動車部品事業 70 400 800
合計 64,800 55,200 54,400

-2020年3月期は、全社で54,000百万円の設備投資を計画。

 

受注

-同社初の「サクションブロー工法」を使った樹脂製ターボダクトをトヨタ自動車の新型「ハイエース」(海外向け) 用に納入したと発表した。金属やゴムを組み合わせたターボダクトと比べて重さを1.6キログラムから800グラムへと半減させ、コストも削減した。今後、電動系エコカーの冷却パイプ用などにも売り込んでいく考えだ。(2019年3月28日付日刊自動車新聞より)

ー車載製品では世界初となる共振式のワイヤレス給電技術を用いた「LED照明付きエアコンレジスター」を開発し、トヨタ自動車の新型車レクサス「UX」に搭載されたと発表した。物体の振動が他の物体にも伝播する「共振」の原理を用いたワイヤレス給電方式を採用した。レジスター(送風口)外周の送電回路に電流を流すと、ノブ本体の受電回路が共振し、同じ周波数の磁界が発生。これにより電流が生じLEDが点灯する。ワイヤレス給電により、ワイヤーハーネス破断などのリスクを避けて、エアコンの風向き・風量を調整するノブを光らせる。(2018年12月7日付日刊自動車新聞より)

 

海外投資

<中国>
ー2018年10月30日、中国統括会社の豊田合成中国を通じてウェザストリップ製品を造る「湖北諾克橡塑密封科技 (湖北Rock社) 」に出資すると発表した。2018年12月に湖北Rock社の親会社から株式の60%を約8億円で取得する予定。これにより、中国のウェザストリップ製品の生産拠点は4工場となり、従来の沿岸部に加えて内陸部にも工場を持つ。トヨタ自動車をはじめ、日本の自動車メーカーが中国事業の拡大を進める中、現地での生産体制を強化する。(2018年10月31日付日刊自動車新聞より)

 

<メキシコ>
Mexico-Nowは、同社30.5百万ドルを投じてメキシコ5番目となる生産拠点をサンルイスポトシ州ベナード (Venado)に新設すると報じた。新工場は2020年稼働開始予定で、フル稼働時には900名を雇用してシーリングソリューションを製造する。同社はメキシコ国内ではマタモロス (Matamoros)工場でエアバッグおよび安全製品を、メスキティク (Mexquitic)工場でウェザーストリップ、ドアガラスランを、グアナフアト (Guanajuato)とマタモロスの2拠点では燃料システム用チューブ、ホース、樹脂製品を生産している。同社の主な顧客はトヨタ、フォード、日産、ホンダなど。(2019322日付 Mexico-Nowより)

 

<インド>
ーインド西部グジャラート州の新工場で開所式を行ったと発表した。スズキの現地四輪車生産会社スズキ・モーター・グジャラートにエアバッグ、ハンドル、ウェザストリップなどを供給する。投資額は2021年度までに30億円を予定する。インド子会社の豊田合成ミンダインディアの3番目の工場として新設した。豊田合成は25年度までにインドでの売上高を現在の2倍以上となる350億円に拡大することを目指している。4日の開所式で宮﨑直樹社長は「グジャラート州出身のモディ首相が掲げる『メーク・イン・インディア』を通じインドでの自動車産業の発展に貢献していく」と述べた。(2019年2月9日付日刊自動車新聞より)

ーインド子会社の「豊田合成ミンダインディア(TGMIN)」のグジャラート工場が201810月に稼働を開始したと発表した。インドにおける自動車生産の拡大と安全規制強化により需要が伸びるエアバッグに加え、ハンドルやウェザストリップなどを生産し、スズキ・モーター・グジャラート(SMG)に供給する。工場は、敷地面積約75,000平方メートルで、建屋面積約18,000平方メートル。20213月末の予定従業員数は約330人。(2018116日付 プレスリリースより)

 

<インドネシア>
ーインドネシアにエアバッグを造る新会社を設立すると発表した。2025年度までの投資額は約45億円で、20年11月に生産を開始する。同社のインドネシアにおける生産拠点は2拠点目となる。現地の安全規制強化に伴い、エアバッグの供給体制を整える。新会社「豊田合成インドネシア」は、現地の大手部品メーカーであるアストラオートパーツとの合弁会社で、インドネシア・西ジャワ州カラワン県に設立する。豊田合成が80%、アストラオートパーツが20%を出資する。資本金は2200万ドル(約25億円)。工場は19年2月に着工し、20年11月から生産を始める。土地面積は5万平方メートル。各種エアバッグや燃料系部品を造り、現地のトヨタ自動車やダイハツ工業など、日系自動車メーカー向けに供給する。(2018年12月5日付日刊自動車新聞より)

 

2020年3月期の見通し

(単位:億円)
2020年3月期
(見通し)
2019年3月期
(実績)
増減
(%)*
売上高 8,450 8,407 -
営業利益 410 365 -
経常利益 420 373 -
親会社株主に帰属する当期純利益 250 233 -

*平成31年3月期より国際財務報告基準(IFRS)を採用することを決定したため、増減率は記載なし

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

 

中期経営計画

2025年度の売上高を17年度に比べて約2割増の1兆円以上とする中長期経営計画を発表した。自動運転や電動化などの自動車業界の大きな潮流に対応した次世代製品の開発やエアバッグをはじめとする既存事業の強化、ものづくり革新を重点分野とし、リソーセスを手厚くする。25年度の売上高営業利益率は8% (17年度実績は5.1%) 、ROE10% (同6.6%) をそれぞれ目標に設定した。25年度に新製品・新技術の分野の売上高1700億円を目指す。(2018年5月23日付日刊自動車新聞より)