豊田合成 (株) 2018年3月期の動向
業績
(単位:百万円)
2018年 3月期 |
2017年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 806,938 | 755,601 | 6.8 | -自動車部品事業における販売の増加・為替の影響 |
営業利益 | 41,136 | 40,675 | 1.1 | -製品構成の悪化及び固定費の増加があったものの増益 |
経常利益 | 43,200 | 39,007 | 10.7 | - |
当期純利益 | 21,175 | 16,233 | 30.4 | - |
自動車部品事業 | ||||
売上高 | 792,397 | 737,049 | 7.5 | -国内外での販売の増加・為替の影響 |
セグメント利益 | 41,980 | 46,256 | (9.2) | -製品構成の悪化及び固定費の増加により減益 |
国内LED生産集約
-同社は2016年8月、佐賀工場(佐賀県武雄市)でのLED生産を9月末までに終了し、LED生産を平和町工場(愛知県稲沢市)と子会社TSオプト(千葉県市原市)に集約すると発表した。生産能力を削減し効率化を図る。LED事業では今後、車載製品の採用拡大、照明などで普及が見込まれる東南アジアでの拡販、産業用特殊照明の開拓の3点に注力する方針。佐賀工場は09年にLED工場に切り替えたが、再び自動車部品工場に戻る見通し。(2016年8月31日付日刊自動車新聞より)
海外投資
<ベトナム>
ー同社は30日、ベトナムにエアバッグ展開部である「バッグ」を製造する工場を新設すると発表した。投資額は2460万ドル (約26億円) 。工場を新設してベトナムでのバッグ生産能力を、16年度の1450万個から、23年度に2300万個へ増強する。日本、北米、欧州などのエアバッグ最終組み立て拠点へ輸出する。新工場は、豊田合成ハイフォン (ベトナム・ハイフォン省) の分工場としてタイビン省に新設する。18年3月に着工し、19年7月にバッグの生産を始める。従業員数は21年3月に1千人を予定する。(2017年8月31日付日刊自動車新聞より)
<インド>
ー同社は22日、インド・グジャラート州にエアバッグなどを生産する新工場を設立すると発表した。同国内では5拠点目の工場となる。投資額は建屋や土地を除いて7億3200万ルピー(約12億円)で、2018年度後半から生産を開始し、スズキのインド子会社向けに製品を供給する。インドでは自動車生産台数の拡大に加え、今年10月から安全規制が強化される見通しで、生産体制を強化して需要増に対応する。21年度には同国全体での売上高を16年度比1.4倍増の約200億円へと引き上げる。(2017年5月23日付日刊自動車新聞より)
研究開発活動
-バイオ燃料、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車などの動向を先取りした製品・技術
-各種環境規制に対応した材料および製品、生産技術
製品開発
グリップセンサー付きハンドル
ー同社は、ドライバーのハンドル保持状態を検知する「グリップセンサー付きハンドル」を開発したと発表した。ハンドルに内蔵したセンサーで運転者がハンドルを握っているかを高精度に監視し、手放し運転の防止に活用できる。開発品は、トヨタ自動車と共同で開発し、レクサスの新型「LS」に採用された。グリップセンサー付きハンドルを開発したのは国内メーカーとしては初めて。(2017年10月31日付日刊自動車新聞より)
大型ラジエーターグリル
ー同社は、重量増を抑えながらサイズを約1割増にして意匠性を高めた「大型ラジエータグリル」を開発したと発表した。成型時の樹脂の流動シミュレーション技術などを活用して金型の構造を工夫したことで、複雑なメッシュ部品の一体成型を実現した。開発品はトヨタ自動車の新型「レクサスLS」に採用された。サイズは縦53センチメートル、横116センチメートルで従来品に比べて約1割大型化した。一体成型により上下を組み合わせる付属部品が不要になり軽量化にも貢献する。(2017年11月17日付日刊自動車新聞より)
新構造ガラスラン
ー同社は、新構造のガラスランを開発したと発表した。サイドウインドーとセンターピラーの段差を無くすことで車両側面の外観性を向上するとともに、車室内の静粛性を高める技術として提案する。開発品はトヨタ自動車の新型「レクサスLS」に採用された。(2017年11月20日付日刊自動車新聞より)
新型サイドエアバッグ
ー同社は19日、トヨタ自動車と共同で「新型サイドエアバッグ」を開発したと発表した。エアバッグの構造を見直し、胸部や腹部など、体の部位ごとに合わせて適切に衝撃を軽減でき、米国や欧州などの厳しい車両の衝突安全アセスメントでの高評価に貢献する。開発品はトヨタの新型「カムリ」に採用され、今後は他のトヨタ車も含めて、年間約250万台に搭載される見通し。サイドエアバッグは、ドア側のシート側面に組み込まれ、側面衝突時に乗員の胸部や腹部を保護する。従来製品では、胸用と腰用の二つのバッグに分かれた構造だった。今回開発した製品は、肩・胸後用、胸前用、腰用の3バッグ構造とし、衝突時に体の各部位に合わせてエアバッグを展開、衝撃を軽減できる。(2017年7月20日付日刊自動車新聞より)
研究開発体制
-開発本部、生産本部、オプトエレクトロニクス事業部技術部および海外子会社の豊田合成ノースアメリカ (北米)、豊田合成アジア (アジア)、豊田合成 (上海) 管理有限公司 (中国)、豊田合成ヨーロッパ (欧州・アフリカ地域) が連携し、グローバルな研究開発活動を展開。
研究開発拠点
北島技術センター | 愛知県稲沢市 |
美和技術センター | 愛知県あま市 |
TGR Technical Center, LLC | 米国ミシガン州プリマス |
Toyoda Gosei North America Corporation | 米国ミシガン州トロイ |
Toyoda Gosei Europe N.V. | ベルギー |
Toyoda Gosei Asia Co., Ltd. | タイ チョンブリ |
Toyoda Gosei (Shanghai) Co., Ltd. | 中国 上海 |
技術導入契約
(2017年3月31日現在)
相手方の名称 (国名) | 契約内容 | 契約期間 |
Intier Automotive Interiors of America (米国) | ウレタンスプレー表皮に関する特許・ノウハウライセンス | 2002年11月18日 - 2019年5月10日 |
Daimler AG (ドイツ) | ミリ波レーダー用カバーに関する特許ライセンス | 2011年11月10日 - 2019年9月23日 |
技術援助契約
(2017年3月31日現在)
相手方の名称 (国名) | 契約内容 | 契約期間 |
Stant Manufacturing, Inc. (米国) | 導電性フューエルキャップに関する特許・ノウハウライセンス | 1998年11月17日 - 2018年12月21日 |
Magna Steyr Fuel Systems (ドイツ) | 導電性フューエルキャップに関する特許・ノウハウライセンス | 2004年2月26日 - 2018年12月21日 |
研究開発費
(単位:百万円)
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
自動車部品事業 | 27,200 | 25,000 | 25,600 |
オプトエレクトロニクス事業 | 600 | 2,100 | 2,700 |
合計 | 27,800 | 27,100 | 28,300 |
設備投資額
(単位:百万円)
2018年3月期 | 2017年3月期 | 2016年3月期 | |
自動車部品事業 | 64,700 | 54,800 | 53,500 |
非自動車部品事業 | 70 | 400 | 800 |
合計 | 64,800 | 55,200 | 54,400 |
-2019年3月期は、全社で52,000百万円の設備投資を計画。
受注
-同社は、「大型樹脂ルーフ」が、2018年に販売する予定のトヨタ自動車の燃料電池 (FC) バスに採用されたと発表した。同製品は、金属で製作した場合と比べて約3割重量を軽くでき、FCバスの軽量化や電動車両の航続距離の延長に貢献する。豊田合成は、ラジエーターグリルなどの大型樹脂部品を手掛けており、大型樹脂ルーフはこれらで培った金型や一体成型技術を応用して開発した。(2018年1月29日付日刊自動車新聞より)
買収・子会社動向
ー同社は、中国で自動車のゴム部品を製造している合弁会社の天津星光を4月に完全子会社化すると発表した。鬼怒川ゴム工業と同社の中国持株会社から全持ち分を取得する。完全子会社化することで経営判断を迅速化する。現地に進出する日系自動車メーカーに加え、民族系のニーズにも対応して成長市場での事業拡大を図る。天津星光は、中国・天津市でガラスランなどのウェザストリップ製品を生産している。現地に進出する日本の自動車メーカーや中国地場の企業などと取引しており、売上高は17年度見込みで約80億円。豊田合成は、2000年に天津星光に出資した。現在の出資比率は豊田合成が51%、鬼怒川ゴム工業の中国持株会社が42%、鬼怒川ゴム工業が7%。豊田合成が両社から全持ち分を取得することで合意している。(2018年4月2日付日刊自動車新聞より)
ー同社は、中国の華東地域における生産子会社の豊田合成(張家港)科技と豊田合成(張家港)塑料製品を合併すると発表した。この2社は、それぞれセーフティシステム製品と内外装部品を生産する会社として2003年に設立されたが、豊田合成(張家港)科技を存続会社として合併し、経営の効率化を図る。合併登記は2018年7月に完了する予定。(2018年4月2日付プレスリリースより)
ー同社は、九州に完全子会社「豊田合成九州」を設立し、現在九州に保有する3つの工場(福岡工場、佐賀工場、北九州工場)の事業運営を譲渡すると発表した。九州における経営の意思決定と業務執行のスピードアップが目的。新会社の設立予定は2018年11月で、資本金は1,000万円。豊田合成の福岡工場に本社を置く。2019年4月の従業員数は420人で、2019年度の売上高は300億円を見込む。(2018年3月23日付プレスリリースより)
ー同社はは25日、ブラジルで自動車用内外装部品を生産するペクバルインダストリアを子会社化すると発表した。2017年12月までにデンソー子会社が持つペクバルの全持分を約24億円で取得して完全子会社化する。ブラジルは、トヨタ自動車をはじめ、日系自動車メーカーが自動車生産台数を増やしており、長期的には自動車市場の成長が見込めると判断した。ラジエーターグリルを中心とした外装部品の需要増に対応するため、子会社化して現地での供給体制を強化する。(2017年8月28日付日刊自動車新聞より)
2018年3月期の見通し
(単位:百万円)
2019年3月期 (実績) |
2018年3月期 (実績) |
増減 (%)* |
|
売上高 | 810,000 | 806,938 | - |
営業利益 | 44,000 | 41,136 | - |
経常利益 | 45,000 | 43,200 | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 27,000 | 21,175 | - |
*平成31年3月期より国際財務報告基準(IFRS)を採用することを決定したため、増減率は記載なし